kosukeのきまぐれWORLD

アイドルやら音楽やらスポーツやらを好き勝手に語ります。

アイドル雑記帳 松本伊代「TVの国からキラキラ」

2007-03-20 22:55:43 | アイドル


松本伊代 「TVの国からキラキラ」(1982)

松本伊代、80年代前半を彩った代表的アイドルの一人である。伊藤つかさをはじめ、小泉今日子、堀ちえみ、早見優、石川秀美・・・と、まさにアイドル百花繚乱時代に、ある種異彩を放ったアイドルではなかったか。
デビュー曲「センチメンタル・ジャーニー」で、
♪伊代はまだ 16だから・・・
と自己紹介ソングを歌い(このアイデアは後に倉沢淳美の「プロフィール」において、完全なる自己紹介ソングとして完成するのであるが)、独特の振り付け、さらにバックにダンサーを配する(後の麻生真美子&キャプテン)等、一味違った演出で、差異化を図っていたのだが、その集大成が、この「TVの国からキラキラ」ではなかったか思う。
この曲、作曲はアイドル歌謡の常連、筒美京平であるが、作詞は、当時売り出し中のコピーライター、あの糸井重里なのである。
とにかく、すべてが「キラキラ」なのである。歌詞には「キラキラ」が連発だし、ジャケットにも星が降っている。TVの国から、という文句は歌詞には出てこないのだが、これは伊代そのもの、いや、さらにアイドルという存在全体までをも包含して「キラキラ」と形容したのであろうか。
で、この曲を歌う伊代、はっきり言って、不思議なアイドルである。同時期に活躍した女性アイドルの中でも、歌唱力の低さは伊藤つかさと双璧。伊藤つかさが小動物的かわいさを持っていたとすれば、伊代は爬虫類系か?というくらいガリガリのカラダと鼻づまりの声。普通ならB級アイドルで終わってしまいそうなこの少女が、デビューから数年間、トップアイドルの座を保持していたのである。かく言う私自身、高校時代に最も好きだったアイドルは、と聞かれれば、伊代と答えるであろう。
伊代が愛された理由、それはおそらく、その「普通っぽさ」ではなかったかと思う。普通の少女が衣装を着て、振りつきで歌っている、そういうイメージが多くの若者男性を惹きつけたのではないだろうか。ある意味、「かわい過ぎないことのかわいさ」というものが、世間に認知されはじめた走りが伊代だったのではないかと思うのである。その後、この「普通っぽさ」という概念がいろんなアイドルに当てはめられることになるのだが、伊代はその最初の流れを作った存在だったのである。
そこで、この「TVの国からキラキラ」であるが、おそらくこの曲を語るのに、この1節を語らないわけにはいかないであろう。
♪ねえ 君ってキラキラ
というセリフである。もう、これは反則である。この一節を考え出したというだけで、糸井の作詞能力恐るべしと言わざるを得ない。
そこに至るまで、たとえば、
♪夜空の星もキラキラ わたしの瞳キラキラ お花いっぱいフワフワ・・・
♪涙落ちてもキラキラ 思い出になるキラキラ 街の景色もキラキラ・・・
と、見事に韻を踏んでいたのが、突然、
「ねえ 君ってキラキラ」と語りかけるのである。
しかし、ある意味、こんなセリフを歌に挟めるとすれば、当時のアイドルでは伊代をおいて他にはいなかったであろう。いわゆる正統派アイドルの曲には、こんなセリフはありえない時代であったのだから。糸井が時代の一歩先を行った、ということなのである。
というわけで、この「TVの国からキラキラ」は伊代と糸井のコラボレーションによるアイドル歌謡の傑作ということができるのである。
松本伊代・・・私にとっては忘れられないアイドルの一人であり続けるだろう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿