古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

減量手術について

2017-03-16 15:41:22 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

平成27年4月から 減量手術(一種類のみ 腹腔鏡下スリーブ状胃切除術)が保険適応となりました。

特定検診(別名メタボリック検診)は医療費をかけずに
何とかしてカウンセリングだけで生活習慣を変えさせて減量させ 
生活習慣に起因する高血圧だの糖尿病だのを減らす目的で開始されたものの
人の性格や嗜好を保健指導だけで変えるのは きわめて困難というかほぼ不可能です。

昨日、市内某所にて減量手術を保険適応で行っている九州大学病院の
先生の講義があり、聴講しに参りました。

九州大学病院先端医工学診療部
http://www.camit.org/treatmentinfo/detail/i/39/

手術が保険適応になる要件
①手術を行ってよいと厚労省が認めた施設で行うこと
②BMI(体重(キログラム)÷身長(メートル)の二乗))が35以上であること
③半年以上の内科的治療に抵抗性であること
④糖尿病、高血圧、脂質異常症のうち1つ以上が肥満症に合併していること

医師は経験上、胃腸の手術をした患者さんはやせるということを
知っていますが、昨日の講師の先生のお話では、手術だけで十分に痩せる人はおらず
その後のバックアップ(カウンセリングや投薬など)がないとリバウンドするとのことでした。

「手術を受けることで 人生を変えたい」という強い意志を持った人だけが
受ける手術であり、安直に「痩せれるから」という理由だけで手術を受けると
思ったような成績が出ず、ジレンマに陥る方もおられるとのことです。

またBMI35を超える方について
男性の8~9割が小学校卒業時にすでに肥満を指摘されて
いじめや嘲笑の対象になっており、また女性については 減量手術をうけるために
九大を受診された時点で 3~4割ほどがうつ病を主とする精神疾患にり患しているとのことでした。

減量手術後のフォローを受けていると、BMIが下がる前に、糖尿病や高脂血症の
血液データが改善していくことが多いとのことです。最初の1年が勝負で、それ以降
リバウンドの問題なども人によっては出てくるようです。
腸内細菌によって、食べ物の嗜好が変わるという報告
(痩せている人の腸内細菌を移植すると 移植された方が実際に痩せる)もあるらしく
九州大学では手術後の栄養管理(腸内細菌叢の再構築を含む)にも力を入れているそうです。

講義は管理人が思ったよりも多くの聴講者がおられ盛況でした。今のところ
日本人でBMIが35を超える人は珍しい状況ですが(管理人も一人しかお目にかかったことがありません)
お困りの方は 手術を受けてみられてはいかがでしょうか。

http://komori-hp.cloud-line.com/







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