古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

社会にあまり知られていないこと

2023-06-18 10:57:53 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

昨日、このような記事を見かけました。

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https://www.kanaloco.jp/news/government/article-997967.html

身寄りない高齢者が増加 政府、身元保証の実態把握へ
高齢者
高齢社会
高齢者支援
成年後見制度
成年後見人
坂井学(政治家)
政治・行政 | 神奈川新聞 | 2023年6月18日(日) 06:40


国会
 身寄りのない高齢者が増える中、病院への入院や施設への入所の際に身元保証人が用意できないケースが増えている。現場ではケアマネジャーや職員らが家族に代わって身元保証を担うケースが急増しているが、有料の身元保証会社を利用する場合もあり、政府は実態把握に乗り出す考えだ。

 総務省関東管区行政評価局が昨年3月に公表した調査結果では、身寄りのない高齢者の緊急連絡先としてケアマネジャーや生活保護担当者に連絡したケースのほか、医療行為を行う際に患者の同意確認が困難として、自治体職員やケアマネジャーらを病院に招き本人意思を推定するための情報提供を受けた事例もあった。

 厚生労働省は身元保証人がいないことを理由に入院や入所を拒否しないよう通知を出しているが、ケアマネジャーの女性は「身元保証に関する相談が増えている。職務外で権限もないが、他に担う人がいないため無償でやるしかない」と実情を明かす。

 調査結果では、認知症や知的障害がある人の生活を支える成年後見制度や身元保証会社の利用を求めるケースもあるとしているが、成年後見制度は手続きが煩雑で費用負担があるため、利用が伸び悩んでいる。

 一方、身元保証会社は業界団体や監督官庁が存在せず「業者を選ぶための情報が不足している」ため、トラブルを恐れて利用を勧めにくい事情もあるという。

岸田首相「課題がある」

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有料記事にて ここまでで引用終わり

当院は長期療養施設であり、入院入所施設はどこでもそうですが
入院入所に当たり、身元保証人や連帯保証人を要求しています。

理由は簡単で、入院入所者に ①入院入所費用の支払い ②身の回りの物品確保 ③死亡退院後の行先の決定あるいは、死亡時に誰がその場所まで
お連れするのか などをできる能力のある人がいないため、それらのことを身元保証人にやっていただかないといけないためです。

今回、マイナンバー保険証をマイナンバーに紐づけする話が出ているところ、
入所施設の中は 身元保証人がいない方のため、
保険証を預かっているところが少なからずあります。
しかし、マイナンバーカードのアップデートなどを代行する余裕などないし、管理責任も取れませんので、
そのような事務管理は 政府がいくら言っても、お断りすることになるでしょう。
現段階では、保険証を預かっていても、保険証は自動的に役所から送られてきますので、
保険証を管理していても まったく問題ない状況ですが いちいち申請するとなると、話が変わってきます。

そうすると、身寄りがない方で
施設に入れない大量の人が出てきて、今からごり押しで普及させたい
マイナンバー保険証の運用に支障をきたすため、
以前からある問題を片付けるために 「いまさら」政府が実態調査をやる予定なのでしょう。

冒頭にも書きましたが、当院では入院面談時に 連帯保証人は全員、生活保護利用者以外は、身元保証人を要求しています。
もっとも、当初は生活保護であったものの、入院後に生活保護から外れてしまう人もいます。
したがって、生活保護の方や生活費がぎりぎりの方、親族がいない方(の方が大半です)か、いても機能していない場合には
やむを得ず、通帳を預からせていただいて、仕方なく「緊急事務管理」として 財産管理を行っています。

余分なことはしたくありませんから、管理料は 「当院では」もらっていません。
財産管理は結構 手間暇かかりますが、当院で財産管理するような方は 管理料(後見費用も含め)を支払えるほどの
潤沢な資金など持っていないことがほとんどです。
当院では、通帳と印鑑、あるいはキャッシュカードと暗証番号を別々の人間が
管理し、引き出すときに一緒に照合しています。そして年に一回、当院の監事(弁護士さん)に
監査を行っていただいています(先生、いつもありがとうございます・・。)弁護士さんは
病院で財産管理を行っていることに 少なからず驚かれますが、後見申請は施設ができないこと
身寄りがなく、仕方なく行っていることを説明すると、「緊急事務管理として 仕方がないが
何とか他の保証人をみつけて、その人にしてもらってくださいね」と言われます・・
私たちも決して したくてしているわけではありません。

福岡市も以前は「預り金は預からないように」などと きれいごとを言っていましたが、
じゃあ誰が入院費用を払うのですか?というと「きちんと管理してくださいね」と
まるで当院がわるいことをしているかのように言われ、非常に不本意でしたが、
最近は そのようなことは言われなくなりました。

裕福な方は独り身であっても
必ず(と言っていい)誰か後見人とか、知人とか、身元保証代行会社とか
遠縁であっても、どなたかが申し込みに来られます。

たまに本当にお金はないけど、昔からの知人の方が 自腹を切ってでも
いろいろしてくださって、患者様入所者様のそれまでの生きざまというか、人間的魅力がモノをいう方もおられますが、
きわめて少数派です。

お金がない方は 生活保護になっておられるので 問題になるのは

「生活保護にはなれない程度の年金収入しかないが、生活保護ギリギリの経済状況でまったく余裕はない」

という方でしょう。

時々 多額の貯金通帳をもって、当院で財産管理してほしいと言って
入院申し込みに来られる遠縁の方がおられますが
多額すぎる通帳預かりは致しかねますので、当院が成年後見申請をお願いすると、たいてい 入院入所を断られます(笑)。
成年後見は 過去記事にもいろいろ書いていますが、成年後見人によって当たり外れが激しすぎます。
ということで、お金があるかないかで 入院入所者の身元保証について大きく事情が変わってくるのを 日々目の当たりにしています。

この状況を今から どうやって打破していくのか
事業者として 興味津々です。

もっとも、事業者の仕事をこれ以上 対価もないのに増やすことはやめていただきたい。
ケアマネの仕事かというと・・・確かに 身寄りがないし、お金もないので
居宅ケアマネが仕方なく入院申し込みにやってくることは 時々ありました。
しかし、いくら何でも可哀想だと思います。

容易には片付く問題ではないでしょう。

https://komori-hp.cloud-line.com/


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