徳さん、酒飲みの威信にかけて、甘いものは口にしないのを信条にしているが例外がある。
この『milky way』というチョコレート菓子だけは手を出してしまう。
ココア仕立てのヌガーをチョコレートで包んだものだ。
猛烈な甘さだ。
口に入れた瞬間に後悔する。
最近は、ナイフで小さく小分けして、そのひとかけらを口にするようにしている。
なぜ、こんなにも執着するのだろうか?
答えは、徳さんの幼年期の記憶にある。
1947年生まれの4,5歳といえば、まだ戦後日本が朝鮮戦争特需によって浮かれ出す前の時期。
ともかく甘いものが貴重だった。
半紙にスプーン一杯の砂糖を載せてもらい、時間をかけて舐めたのを覚えている。
そんな時期に、一、二度口にして、鮮烈に記憶しているのがこの『milky way』
当時のお菓子屋さんに売っていたものなのか、親がいけないルートで手に入れたものなのかは知らない。
これを口にしたのはその時だけだった。
以後、大人になって、機会のある度にお菓子屋を覗いたりしたが、目にしたことはなかった。
ともかくこのハイカラなチョコレート菓子は、徳さんの心の中で、伝説のお菓子となっていた。
それが、一ヶ月前、国分寺の施療院の前のドンキホーテで山積みになっているのを見つけた。
その余りの安値と、量の多さに、徳さんの幼い頃の甘い記憶は、なにか苦々しいものに変わってしまった。
この『milky way』というチョコレート菓子だけは手を出してしまう。
ココア仕立てのヌガーをチョコレートで包んだものだ。
猛烈な甘さだ。
口に入れた瞬間に後悔する。
最近は、ナイフで小さく小分けして、そのひとかけらを口にするようにしている。
なぜ、こんなにも執着するのだろうか?
答えは、徳さんの幼年期の記憶にある。
1947年生まれの4,5歳といえば、まだ戦後日本が朝鮮戦争特需によって浮かれ出す前の時期。
ともかく甘いものが貴重だった。
半紙にスプーン一杯の砂糖を載せてもらい、時間をかけて舐めたのを覚えている。
そんな時期に、一、二度口にして、鮮烈に記憶しているのがこの『milky way』
当時のお菓子屋さんに売っていたものなのか、親がいけないルートで手に入れたものなのかは知らない。
これを口にしたのはその時だけだった。
以後、大人になって、機会のある度にお菓子屋を覗いたりしたが、目にしたことはなかった。
ともかくこのハイカラなチョコレート菓子は、徳さんの心の中で、伝説のお菓子となっていた。
それが、一ヶ月前、国分寺の施療院の前のドンキホーテで山積みになっているのを見つけた。
その余りの安値と、量の多さに、徳さんの幼い頃の甘い記憶は、なにか苦々しいものに変わってしまった。