これまで柳美里さんの作品には興味がなかったのですが・・・
彼女が同世代で、しかも育った環境も近いということを知り読んでみることにしたんです。
なんでも彼女の父親は黄金町のパチンコ屋さんで働いていたというではありませんか。
それでこの作品「ゴールドラッシュ」です。黄金町が舞台となった作品。
読後の感想はというと・・・正直言って「読まなければ良かった・・」。
１４歳の少年の父親殺しが主題です。重い主題が更に重く描かれています。
現実と幻想をない交ぜにしているので、この手の小説を読んだ経験のない身にとっては
少々難解でした。それでもグイグイ読まされます。
もう忘れていた少年の頃の「心の闇」が蘇ってきて陰鬱な気持ちにさせられました。
だから「読まなければ良かった・・」と思ったのですが、人の心にこれだけ影響を与える
柳美里さんの筆力はスゴイとしか言いようがありません。
黄金町の描写、登場人物の名前・・あの頃の「負の記憶」が生々しく蘇ったのでした。
そう、小説に正負、陰陽、明暗があるとすれば、この作品は疑いなく負、陰、暗の部類です。
万人にオススメできる作品ではありませんが、興味のある方は是非読んでみてください。
きっと懐かしくも苦しい思いができるはずです。
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