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金色銀色茜色

生煮えの文章でゴメンナサイ。

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なりすまし。(112)

2017-01-02 10:54:23 | Weblog
 時間の経過は全く分からない。
俺は痛みで目覚めた。
とにかく痛い。
まるで感電させられているかのよう。
ビリビリ、ヒリヒリ・・・。
目覚ましにしては酷すぎる。
死ぬことはないにしても痛い。
 自分が置かれた状況を思い出した。
またもや幽体離脱していた。
嫌な癖だ。
 俺は緑の光の塊に中にいた。
霊体のままで、まだ他人には憑依していなかった。
 光の外に目を遣ると、そこは星の海。
地上から見上げるよりも星の数のなんと多いことか。
呆れるほど無数にあった。
その中を俺は一体どこに運ばれるのだろう。
 左で大きな星が燃え上がっているのが見えた。
色とりどりの炎が立ち上がり、左右に揺らめき、その恒星を包んでいた。
消える気配は欠片も感じられない。
燃える燃料に事欠かぬのだろう。
 ようく見ると、それは俺の慣れ親しんだ太陽。
その証拠に周囲を公転する惑星、準惑星の数は教科書通り。
地球と覚しき惑星と、それに附随する月も認められた。
 地上から見上げると、太陽の燦々と輝く様は強さと美しさの象徴そのもの。
地域民族言語は違えど、人々の信仰に多大な影響を与えていた。
が、宇宙空間で間近にすると、その全容に恐怖を覚えた。
一言で表現するなら地獄絵図そのもの。
なにもかも焼き尽くすモノでしかない。
 気付くと雲を突き抜けていた。
降下している気配。
どこに・・・。
・・・、惑星。
 俺を包んでいた緑の光が、下方に一直線に伸びて行く。
その中を俺は降下した。
感覚としてはエレベーター。
下降速度が遅いから旧式のエレベーターか。
ならエレベーターガールがいて、案内しても良いのではないか。
文句の一つも言いたいが、インターフォンが見つからない。
 どうやら惑星の夜の側に降下している模様。
外側の天候は大荒れであった。
大粒の雨が降り注ぐだけで足りぬのか、強風が吹きつけ、稲光が走っていた。
 その稲光で状況が垣間見えた。
行き着く先は城壁で守られた都市。
中央には王宮らしき建物。
周りの町並みからすると欧風の中世都市。
 俺は霊体のまま、光に守られて王宮の中を突き抜けた。
地下室。
着地する瞬間、何かを踏み潰した。
グシャリ。
踏み潰しモノが飛散し、俺の霊体に当たった。
慌てて探したが不思議なことに何もない。
周囲にもない。
下はただの石畳。
しかし、何かを踏み潰した感触。
飛散し付着した感触。
何かは分からないが、確かに何かが。
 灯りのない地下室に人の気配がした。
一人や二人ではない。
十数人が床に座り、俺の方に視線を向けていた。
視線を向けていても俺に気付いた様子はない。
光に守られているから彼等には視えないのだろう。
どうやら俺が中心にいるらしい。
 地下室には奇妙な光が先客としていた
青白い光。
鬼火を連想させるそれが、天井辺りを浮き漂っていた。
こちらに侵入を試みるモノもいたが、悉く火花を散らして消滅した。
 俺が立っている床の中心には五重の円が描かれ、
読めないが、文字や数字に似た紋様が等間隔で書かれていた。
それは曼荼羅にも似ていた。
 床の四隅には異常なモノが並べられていた。
頭蓋骨。
人や獣の頭蓋骨が、数えるのも馬鹿らしくなるほど置かれていた。
真新しく血塗られた頭蓋骨、それが何を意味するかは想像でしかない。
おそらく、察するには魔方陣。
呪殺祈祷か、それとも召喚祈祷。
 祈祷の中心にいるのは痩せ衰えた白髪の老人であった。
声は聞こえぬが、人々を従え、俺の方に向かって一心不乱に何ごとか唱えていた。
祈祷が進むにつれて青白い光が力を帯びて行く。
光度を増し、俺を包んでいる緑の光を浸食して行く。
それほどの時間は要しない。
青白い光が緑の光への浸食を終えた。
光が入り混じった途端、ガラスが割れるように光が四散した。
 周りの者達は青白い光を認識していたらしい。
暗闇にも関わらず感嘆の声が上がった。
誰かが、「灯りだ、灯り」大声で叫ぶ。
地下室の入り口が開けられ、手に手に灯りを持った者達が駆け込んで来た。
 幾つかの灯りが中央を照らした。
照らし出されたのは俺。




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