アリスは高みの見物、野次馬気分でいた。
そこへハッピーからの知らせ。
興が冷めた。
矮小な人間共が地域の覇権の為に、
魔物共を巻き込んでまでして戦っているというのに、
そこへ空から介入しようだなんて、とんでもない。
許せない。
ハッピーに確認した。
『キングやクイーンはどうなの』
『プー、この群れにはいないっペー』
キングやクイーンは生まれていないようで、一安心。
『直ぐに戻って頂戴、迎え撃つわよ』
ワイバーンの成体の体長は5メートルから10メートルほど。
翼を広げれば10メートルから20メートル。
武器は体力と鉤爪、尻尾、風魔法。
ブレスの形でウィンドスピアを放つ。
群れとしては、広範囲攻撃のウィンドストームがあるので、そこは要注意。
対してエビスは頭部、胸部、腹部を合わせて全長が70センチ。
胴回りは50センチ。
これに羽根と足。
二対四枚羽根、三対六本足。
材質は竜の鱗とミスリルを混ぜたセラミック。
頭部にコクピット、後尾にカーゴドア。
動力源は二つ、ワイバーンのキングとクイーンの魔卵を錬金で精錬し、
仕上げた魔水晶。
口の両端から覗く二つの牙が魔法の放出口、
所謂ところの搭載された航空機関砲。
攻撃魔法、防御魔法を自在に放つ。
エビスは機体が小さいので侮られるかも知れないが、MPは200。
冒険者ならSランク。
そしてなによりも回復が早い。
加えて、搭乗員たるアリス達妖精は種独自の妖精魔法を使う。
ハッピーに至っては滅多に見られないスライムダンジョン魔法。
これらが初見殺しとなり、多くの戦いに打ち勝って来た。
当然、航空戦力としてだ。
ダンタルニャン佐藤が主戦力であったが邪龍を討伐した。
ワイバーンの巣も壊滅せしめ、キングとクイーンも討ち取った。
誇るべき戦果を上げて来た。
エビス飛行隊は十五機編成。
ハッピーが戻ると横隊になった。
大きなワイバーン群が相手なので、左右に広がった。
戻ったハッピーがアリスに言った。
『ペー、駄目駄目、だっめー。
正面からだと硬い外皮ばかりだっペー』
妖精の一人がそれに応じた。
『着弾面が狭いわね。
狙うとしたら下からね、腹部を狙いましょう』
正面から見えるのはワイバーンの硬い頭と、線にしか見えない翼。
狙おうとすれば狙えるが、弾かれるのは確か。
アリスは二人の意見を取り入れた。
『直ちに降下。
森に逃げ込む恰好でね』
ワイバーンの群れは前方にエビス飛行隊を発見していた。
しかし、蜂の種から枝分かれした魔物・コールビーの群れ、そう認識した。
ちょっと大きいが、翼の一振りで払い落せるとも。
それが急降下し、森に逃げ込んだ。
その時点で関心を失った。
荒ぶる戦気の地へと急いだ。
アリスの森の中から上を見上げていた。
散開した仲間達もだ。
念話で確認しなくても、やる気で満ちていた。
バイオレンス~♪ バイオレンス~♪ ゲバゲバ。
燃える燃える・・・ルンルン。
ワイバーンの群れが警戒する事もなく、腹部を晒して飛んで来た。
『成体を狙うわ。
攻撃箇所は腹部に限定、良いわね』
『『『ラジャー』』』
『使う魔法は光。
ワイバーンは風魔法を無自覚に纏っているから、光で突き破るわ』
『『『ラジャー』』』
『攻撃方法は一撃離脱、それを繰り返して撃墜する、これも良いわね』
『『『ラジャー』』』
『ただし、各自一頭撃墜したら、次は好きにして』
ワイバーンは成体二十四頭、子供七頭、計三十一頭。
こちらは十五機。
それぞれがノルマをこせば、後は甚振るだけ。
『出撃』
『『『ラジャー』』』
アリスは機体を急上昇させた。
標的は群れの先頭を飛ぶ成体。
狙う箇所は腹部。
最接近し、妖精魔法を起動した。
人間に例えれば股間、ロックオン。
光槍・ライトスピアを放った。
そして成果を見る暇がないので離脱。
速度のまま、擦れ違う様に航空路を斜め上に取った。
擦れ違う際、成体の周囲の空気が揺れるのを感じ取った。
身体を覆っている風魔法のシールドは、本来は攻撃を逸らすのだが、
失敗したようだ。
シールドが弾け飛んだ。
好機。
アリスは機体を急転回した。
標的を見下ろし、急降下。
擦れ違う際、標的の様子を見た。
シールドの再生が成っていないようで、慌ててる感じを受けた。
アリスは梢の手前で再び転回した。
手は緩めない。
再急上昇。
標的がこちらの意図を理解した。
脅しの様な咆哮を上げ、航空路からの離脱を図った。
遅い。
さっきより離れてはいるが射程距離。
股間をロックオン、三連射。
標的の悲鳴。
股間が弾け、血肉が飛び散った。
三連射なので悲惨の一言。
きっ、汚い。
アリスは逃げる様に標的への航空路から逸れた。
とっ、大きな黒い影。
別のワイバーンが最接近していた。
相手を見るに、衝突を厭わない様子。
この近距離では反撃は難しい。
アリスの選択は逃げの一手。
相手の来るルートから離脱を図った。
エビスに施された術式が起動した。
【自動回避】で直撃から逃れた。
それでも相手の風圧に晒された。
機体の軽さの弊害が出た。
風に巻き込まれて制御を失った。
アリス自身もコクピットから振り落された。
幸い畿内は【光体】で満たされているので、怪我はない。
光体の中で浮遊を余儀なくされただけで済んだ。
ハッピーからの念話が届いた。
『パー、アリスアリス、怪我したの』
アリスは泳ぐ様にしてコクピットに戻った。
操縦席に腰掛けた。
『ええ、心配かけたわね。
でも怪我はないわ。
直ぐに戻るわ』
アリスは各種機器を見た。
全て正常に機能していた。
異常なのは自分のみ。
自分で自分に活を入れた。
それから辺りを見回した。
墜落ではなかった。
愛機は地上付近を漂っていた。
そこへハッピーからの知らせ。
興が冷めた。
矮小な人間共が地域の覇権の為に、
魔物共を巻き込んでまでして戦っているというのに、
そこへ空から介入しようだなんて、とんでもない。
許せない。
ハッピーに確認した。
『キングやクイーンはどうなの』
『プー、この群れにはいないっペー』
キングやクイーンは生まれていないようで、一安心。
『直ぐに戻って頂戴、迎え撃つわよ』
ワイバーンの成体の体長は5メートルから10メートルほど。
翼を広げれば10メートルから20メートル。
武器は体力と鉤爪、尻尾、風魔法。
ブレスの形でウィンドスピアを放つ。
群れとしては、広範囲攻撃のウィンドストームがあるので、そこは要注意。
対してエビスは頭部、胸部、腹部を合わせて全長が70センチ。
胴回りは50センチ。
これに羽根と足。
二対四枚羽根、三対六本足。
材質は竜の鱗とミスリルを混ぜたセラミック。
頭部にコクピット、後尾にカーゴドア。
動力源は二つ、ワイバーンのキングとクイーンの魔卵を錬金で精錬し、
仕上げた魔水晶。
口の両端から覗く二つの牙が魔法の放出口、
所謂ところの搭載された航空機関砲。
攻撃魔法、防御魔法を自在に放つ。
エビスは機体が小さいので侮られるかも知れないが、MPは200。
冒険者ならSランク。
そしてなによりも回復が早い。
加えて、搭乗員たるアリス達妖精は種独自の妖精魔法を使う。
ハッピーに至っては滅多に見られないスライムダンジョン魔法。
これらが初見殺しとなり、多くの戦いに打ち勝って来た。
当然、航空戦力としてだ。
ダンタルニャン佐藤が主戦力であったが邪龍を討伐した。
ワイバーンの巣も壊滅せしめ、キングとクイーンも討ち取った。
誇るべき戦果を上げて来た。
エビス飛行隊は十五機編成。
ハッピーが戻ると横隊になった。
大きなワイバーン群が相手なので、左右に広がった。
戻ったハッピーがアリスに言った。
『ペー、駄目駄目、だっめー。
正面からだと硬い外皮ばかりだっペー』
妖精の一人がそれに応じた。
『着弾面が狭いわね。
狙うとしたら下からね、腹部を狙いましょう』
正面から見えるのはワイバーンの硬い頭と、線にしか見えない翼。
狙おうとすれば狙えるが、弾かれるのは確か。
アリスは二人の意見を取り入れた。
『直ちに降下。
森に逃げ込む恰好でね』
ワイバーンの群れは前方にエビス飛行隊を発見していた。
しかし、蜂の種から枝分かれした魔物・コールビーの群れ、そう認識した。
ちょっと大きいが、翼の一振りで払い落せるとも。
それが急降下し、森に逃げ込んだ。
その時点で関心を失った。
荒ぶる戦気の地へと急いだ。
アリスの森の中から上を見上げていた。
散開した仲間達もだ。
念話で確認しなくても、やる気で満ちていた。
バイオレンス~♪ バイオレンス~♪ ゲバゲバ。
燃える燃える・・・ルンルン。
ワイバーンの群れが警戒する事もなく、腹部を晒して飛んで来た。
『成体を狙うわ。
攻撃箇所は腹部に限定、良いわね』
『『『ラジャー』』』
『使う魔法は光。
ワイバーンは風魔法を無自覚に纏っているから、光で突き破るわ』
『『『ラジャー』』』
『攻撃方法は一撃離脱、それを繰り返して撃墜する、これも良いわね』
『『『ラジャー』』』
『ただし、各自一頭撃墜したら、次は好きにして』
ワイバーンは成体二十四頭、子供七頭、計三十一頭。
こちらは十五機。
それぞれがノルマをこせば、後は甚振るだけ。
『出撃』
『『『ラジャー』』』
アリスは機体を急上昇させた。
標的は群れの先頭を飛ぶ成体。
狙う箇所は腹部。
最接近し、妖精魔法を起動した。
人間に例えれば股間、ロックオン。
光槍・ライトスピアを放った。
そして成果を見る暇がないので離脱。
速度のまま、擦れ違う様に航空路を斜め上に取った。
擦れ違う際、成体の周囲の空気が揺れるのを感じ取った。
身体を覆っている風魔法のシールドは、本来は攻撃を逸らすのだが、
失敗したようだ。
シールドが弾け飛んだ。
好機。
アリスは機体を急転回した。
標的を見下ろし、急降下。
擦れ違う際、標的の様子を見た。
シールドの再生が成っていないようで、慌ててる感じを受けた。
アリスは梢の手前で再び転回した。
手は緩めない。
再急上昇。
標的がこちらの意図を理解した。
脅しの様な咆哮を上げ、航空路からの離脱を図った。
遅い。
さっきより離れてはいるが射程距離。
股間をロックオン、三連射。
標的の悲鳴。
股間が弾け、血肉が飛び散った。
三連射なので悲惨の一言。
きっ、汚い。
アリスは逃げる様に標的への航空路から逸れた。
とっ、大きな黒い影。
別のワイバーンが最接近していた。
相手を見るに、衝突を厭わない様子。
この近距離では反撃は難しい。
アリスの選択は逃げの一手。
相手の来るルートから離脱を図った。
エビスに施された術式が起動した。
【自動回避】で直撃から逃れた。
それでも相手の風圧に晒された。
機体の軽さの弊害が出た。
風に巻き込まれて制御を失った。
アリス自身もコクピットから振り落された。
幸い畿内は【光体】で満たされているので、怪我はない。
光体の中で浮遊を余儀なくされただけで済んだ。
ハッピーからの念話が届いた。
『パー、アリスアリス、怪我したの』
アリスは泳ぐ様にしてコクピットに戻った。
操縦席に腰掛けた。
『ええ、心配かけたわね。
でも怪我はないわ。
直ぐに戻るわ』
アリスは各種機器を見た。
全て正常に機能していた。
異常なのは自分のみ。
自分で自分に活を入れた。
それから辺りを見回した。
墜落ではなかった。
愛機は地上付近を漂っていた。
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