2011年3月3日(木)「しんぶん赤旗」
検疫緩和・牛の月齢制限撤廃
TPP 米が日本に要求
通商代表部報告書
米通商代表部(USTR)は1日、オバマ政権の貿易政策と通商交渉に関する年次報告書を議会に提出しました。この中で、米国が環太平洋連携協定(TPP)に加入する意義を強調し、2011年中に「大幅に進展させる」と意欲を示しました。米国は、11月にハワイで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)までに合意することを目指しています。
報告書は、米国のTPP加入が、アジア太平洋地域の経済統合の環境をつくりだし、世界で最も成長しているアジアと米国企業のつながりを強化するとしています。TPP交渉が完結すれば、「参加国の規制制度が互いに矛盾のないものになり、米国企業がTPP市場で障害なく活動できるようになる」と述べています。TPPは従来の貿易協定にない多岐にわたる協定であり、参加国の拡大についても歓迎するとの姿勢も示しました。
日本との通商関係では、昨年11月に日米が設置に合意した「日米経済調和対話」が両国間の規制制度を一致させ、貿易の拡大を促進すると強調しました。
また、輸入の際の衛生・植物検疫措置について報告書は、日本側に改めて「懸念」を表明しました。USTRはこれまで何度も日本の衛生基準が厳しすぎると不満を述べています。
報告書は輸入牛の月齢制限撤廃も日本に改めて求めました。その上で「米国は両国間の長年にわたる摩擦の全面解決を追求する」と述べ、検疫、牛肉、郵政など対日要求をTPPで一気に決着させる意向を示しました。