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かえるネット木津川南

大阪市南西部で活動する日本共産党の青年後援会のブログです。

日本共産党国会議員団総会での志位委員長のあいさつ

2011-01-25 12:28:30 | 日本共産党政策・提言等

2011年1月25日(火)「しんぶん赤旗」

日本共産党国会議員団総会での

志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が24日の議員団総会で行ったあいさつは次のとおりです。


写真

(写真)党国会議員団総会であいさつする志位和夫委員長=24日、衆院第1議員会館

 みなさん、おはようございます。

 通常国会の開会にあたり、ごあいさつを申し上げます。通常国会に対する日本共産党国会議員団の基本姿勢として、つぎの3点を堅持してたたかいにのぞみたいと思います。

菅政権――国会論戦と国民運動の力で、真正面から対決してたたかう

 第一に、菅民主党政権に対して、国会論戦と国民運動の力で、正面から対決してたたかいぬく決意をまず申し上げたいと思います。(拍手)

 この間の菅政権の動きを見ましても、完全に米国と財界という二つの支配勢力の軍門に下り、彼らにこびを売ることによって自らの政権の延命をはかるという姿がはっきり示されたのではないでしょうか。

 法人税の5%引き下げを表明したのにつづいて、消費税の増税に「政治生命」をかけるということを財界に対して誓約しました。

 「平成の開国」と称して、日本の農林漁業を破壊し、国民への安心・安全の食料供給を破壊するTPP(環太平洋連携協定)の推進にやみくもに突き進もうとしています。

 沖縄・米軍普天間基地の辺野古「移設」の日米合意をごり押しするとともに、日米軍事同盟のいっそうの「深化」を公言しています。

 これらは古い行き詰まった自民党政治そのものであって、政権交代に託した国民の期待を根底から裏切るものであり、国民との激しい矛盾をひろげざるをえないでしょう。

 他の政党はどうかといいますと、自民党も公明党もみんなの党も、消費税増税、TPP推進、日米軍事同盟の強化など、政治の中身では何の違いもありません。“悪政推進の翼賛体制″がつくられているというのが、今の国会の現状であります。

 こういうもとで、日本共産党国会議員団の役割はきわめて重要です。いまや古い自民党政治の忠実な執行者と成り果てた菅民主党政権と真正面から対決して、内政でも外交でも問題の核心をズバリ突き、政治の抜本的転換を求めて、大いにこの国会を堂々とたたかいぬこうではありませんか。(拍手)

あらゆる問題で批判とともに解決の展望を示す論戦を

 第二に、国会論戦では、「批判とともに展望を示す」、このことを心がけたいと思います。

 国民のなかに、政治と社会に対する深い閉塞(へいそく)感が広がっています。同時に、そこからの脱出を求めて真剣な模索が始まっています。それにこたえた論戦が必要です。あらゆる問題で、「日本共産党だったらこう解決する」「私たちが政権を担ったら、こうやって問題を打開する」、展望を指し示す、この仕事が大切になっています。この仕事ができるのも、日本共産党国会議員団をおいて他にないということを強調したいのであります。

経済危機打開――総合的な賃上げ政策を打ち出し、実行せまる

 たとえば、経済危機をどう打開するか。日本経済の最大の問題の一つが、働く人の賃金が下がり続けていることにある。これは立場の違いを超えて、広く指摘されています。こういう状況のもとで、「こんな賃下げ社会でいいのか」と正面から問いかけ、総合的な賃上げ政策を打ち出したい。非正規社員の正社員化、最低賃金の抜本的な引き上げ、中小企業への本格的な支援、解雇規制のルールの強化などを、「ワンパッケージ」で打ち出し、その実行を迫りたいと考えています。

TPP――自給率向上とは両立しない。「食料主権」に立った貿易ルールを

 TPPの問題について、この枠組みへの参加が食料自給率の向上とは絶対に両立し得ないこと――日本の農林漁業を破壊し、地域経済を破壊し、国土と環境を破壊し、何よりも国民への安定した食料供給を破壊する亡国の道だということを、全面的に明らかにしていきたい。

 同時に、今日の世界のもとで、公正で民主的な貿易ルールとはどういうものなのか、とくに食料については「食料主権」に立った貿易ルールの確立こそが、世界の流れになりつつあることを大いに示し、本格的な農業再生の道も示しながら、政府を追い詰めていきたいと思います。

「税と社会保障の一体改革」――政府の致命的弱点をつき転換求める

 政府は、「税と社会保障の一体改革」ということを押し出してきました。しかし、政府の議論には二つの致命的な弱点があります。

 一つは、「社会保障改革」といいながら、やっていることはどの分野をみても、社会保障の切り捨てばかりではありませんか(「そうだ」の声)。後期高齢者医療制度の問題、高すぎる国保料の問題、年金の問題、どの分野をみても、自公政権が続けてきた社会保障費削減のために制度改悪を繰り返す、この道の新たな執行者となっているのが民主党政権ではありませんか。

 そして、「税制改革」といいながら、まず出してきたのが、大企業と大資産家への減税のバラマキではありませんか。一方で社会保障の切り捨てを続け、一方で大企業と大資産家に減税のバラマキをすすめながら、消費税増税というのは論外だということを強く訴えていきたい。(拍手)

 いまやるべきは、削られた社会保障制度を元に戻し、拡充に転ずることです。大企業と大資産家に、もうけ相応の負担、応分の負担を求める本当の税制改革を行うことです。ここでも大きく対案を示しながら、相手の動きを追い詰めていきたいと思います。

沖縄の米軍基地問題――国際的道理に立った“外交力”で平和的環境を

 沖縄の米軍基地問題での今年の課題は、「基地のない沖縄」を願う沖縄県民の総意を、いかにして日本国民の総意としていくか。ここに党国会議員団の大きな役割があると思います。

 そのためにも、日本にかかわるさまざまな紛争問題を利用して、「だから日米安保の強化が必要だ、沖縄の基地もやむをえない」などという議論を打ち砕いていく必要があります。

 いま問題になっている紛争問題は、領土の問題にしても、北朝鮮の問題にしても、その解決を真剣に考えようとすれば、外交的・平和的解決しかありません(「そうだ」の声)。戦争による解決を望んでいる人はだれもいません。国際的道理に立った“外交力”によって北東アジアに平和的環境をつくっていくことこそ大切なのであって、軍事同盟を強化し“軍事力”に頼るというあり方からの根本的転換を求めていく。そういう論陣と一体に、沖縄のみなさんの苦しみに心を寄せ、「基地のない沖縄」への道をともに開いていこうではありませんか。(拍手)

国民のたたかいと連帯し、励ます論戦を行おう

 第三は、国民のなかで澎湃(ほうはい)として湧き起こっているたたかいと連帯した国会論戦を進めるということです。いま国民のなかから、この閉塞状況に怒るだけではなくて、自ら立ち上がり、たたかいによって閉塞を打ち破ろうという力強い動き、新たなたたかいの息吹が起こっています。

 たとえば、TPPに反対するたたかいは、JA=農協をはじめ、農林漁業者全体のたたかいとなり、消費者とも連携が広がり、国民的闘争となりつつあります。さらに、多くの地方自治体から反対の声があがっています。農林水産省のまとめでは、TPPに関する意見書――「参加反対」「参加は慎重に」と採択した地方議会は、道県議会で40、市町村議会で1075、あわせて1115の議会にのぼります。「地域主権」などというのだったら、まずこの地域の声を聞くべきだということを、強くいいたいと思います。(拍手)

 雇用の問題でも、私は、先日、全労連の新春の旗びらきに参加しましたが、大幅賃上げを目指すたたかいが力強く起こっていることを実感するものでした。それから、日本航空の不当解雇はどんなことがあっても許すわけにはいきません。ここで、あの不当解雇を許してしまったら、「整理解雇の4要件」という、これまでの労働者のたたかいでつくられた到達点が崩され、“首切り自由”の社会になってしまいます。空の安全、航空の安全が根底から脅かされる事態になってしまいます。これは日航の労働者だけの問題ではない。全労働者の問題であり、すべての国民の命にかかわる大問題なのです。日航による不当解雇撤回のために、国会議員団が力をあわせてがんばりぬく決意を申し上げたいと思います。(拍手)

 地方自治をめぐっても、全国各地の自治体で、高すぎる国保料の値下げを求める運動がさまざまな形で起こっています。住宅リフォーム助成を求める運動も随分広がりました。自治体ごとに多様ですが、地域で起こっている草の根のたたかいへの連帯もきわめて重要だと思います。

 国民のなかでいま力強く起こりつつある新しいたたかいの息吹をしっかり受け止め、しっかりと連携しながら、この国会をたたかいぬきたい。

いっせい地方選挙での勝利への貢献となる大奮闘を

 そして、この国会でのたたかいが、きたるべきいっせい地方選挙での勝利につながる、そういう奮闘をしたいと思います。

 いっせい地方選挙では、もちろんその自治体のあり方が問われますが、有権者からみれば、国政における党の値打ちも、重要な政党選択の要素となります。わが国会議員団が元気はつらつと、その真価を発揮した大奮闘を縦横無尽に行い、いっせい地方選挙での日本共産党の勝利への貢献にもなるような国会論戦をお互いに行うことを呼びかけまして、開会にあたってのごあいさつとさせていただきます。みなさん、ともにがんばりましょう。


「ワンパッケージ」で賃上げ政策を

2011-01-11 08:34:15 | 日本共産党政策・提言等

「ワンパッケージ」で賃上げ政策を

NHK番組 志位委員長が提案


 日本共産党の志位和夫委員長は、9日放送のNHK「日曜討論」各党代表インタビューに出演し、国民の生活を立て直して深刻な日本経済の低迷を打破するために、政治の責任で「ワンパッケージ」の賃上げ政策を実行に移すことを提案しました。


 志位氏は、日本経済の最大の問題は大企業の内部留保が244兆円に達して空前の「カネ余り」になる一方で、働く人の賃金(年収)が12年間で61万円も減り、家計・内需が低迷して経済成長が止まった国になっていることだと指摘。「この事態を打破するために、『ワンパッケージ』で賃上げ政策を実行に移すことを提案したい」と力をこめました。

 志位氏が提起したのは、(1)労働者派遣法を抜本改正して非正規社員を正社員にする(2)中小企業にきちんと手当てをしながら最低賃金を時給1000円以上に引き上げる(3)雇用の7割を抱える中小企業を本格的に支援して大企業の労働者との賃金格差をなくしていく(4)日本航空のような無法解雇をやめさせて解雇規制のルールを強化する―という4本柱。

 「政治の責任で賃上げを主導していくことを強く求めていきたい」と強調しました。

内政・外交―改革の展望語る

 志位氏は、“民主党政権に裏切られ、自民党にも戻れない”という深い閉(へい)塞(そく)感が広がる中、「米国・財界中心」の政治のゆがみを正せばどんな展望が開けてくるかを「大いに語っていきたい」と新年の抱負を表明。社会保障、税制、農業、外交などさまざまな分野で、日本共産党がめざす改革の展望を語りました。

 また、いっせい地方選挙について、「自治体の原点は『住民の福祉と暮らしを守る』ことにありますが、実際に起こっているのは自治体の独自の福祉の施策を切り捨て、大企業呼び込みのために莫(ばく)大(だい)な税金をつぎ込むことです。これを改めるために、共産党を大いに伸ばしていきたい」と決意を述べました。


志位氏が提起した賃上げ政策4本柱

▽労働者派遣法を抜本改正して非正規社員を正社員にする

▽中小企業にきちんと手当てをしながら最低賃金を時給1000円以上に引き上げる

▽雇用の7割を抱える中小企業を本格的に支援して大企業の労働者との賃金格差をなくしていく

▽日本航空のような無法解雇をやめさせて解雇規制のルールを強化する


2011年政治にどうのぞむか

NHK番組 志位委員長の発言

 日本共産党の志位和夫委員長は9日、NHK「日曜討論」の「2011年 各党代表に問う 政治はどう動くのか」に出演し、インタビューに答えました。聞き手は神志名泰裕解説委員。


2011年の戦略

政治のゆがみを正したら、どんな展望が開けてくるか大いに語りたい

 神志名泰裕解説委員 今年の(「党旗びらき」での)新年のあいさつでおやっと思ったのは、志位委員長が、政党の評価の基準は政府の悪政を批判する力ではないと話していました。表現は悪いが、共産党らしからぬ表現ではないかと思いましたが、どういう意味なんですか。

 志位和夫委員長 いま多くの国民のみなさんのなかに、民主党政権に裏切られた、かといって自民党に戻るわけにもいかないという、深い閉塞(へいそく)感が広がっていると思う。

 そういうもとですから、政治の現状に対する批判だけでは足らないと。いまの閉塞を打ち破る展望を示す力が問われている。

 私たちは、いまの閉塞の根っこには、外交でも内政でも、米国・財界中心の政治のゆがみがある(と考えています)。ここを正したらどんな展望が開けてくるか、共産党が政権を担ったとしたら何をやるか、これを大いに語っていきたいということを、新年の抱負として述べました。

 神志名 そういう意味なんですね。

 志位 はい。

通常国会への対応

小沢氏疑惑は証人喚問で、政治の中身をただす論戦で勝負する

 神志名 次に、通常国会の入り口の問題で、小沢一郎元民主党代表と仙谷さん(官房長官)らの問題があるが、共産党としては対応はいかがですか。

 志位 小沢さんの問題は、これは議決をしたら出席が義務付けられる、そして偽証したら罰せられる証人喚問で、きちんと真実を話してもらうということを強く求めていきたい。

 それから2人(仙谷由人官房長官、馬淵澄夫国交相)の問責決議の問題については、私たちがそれに賛成したのは、菅政権そのものの外交・内政の全体が、国民の利益に反している。その内閣の一員だからという理由からです。私たちは、菅政権に対して政治の中身を大いに国会で論戦して、その基本姿勢を正していくという、論戦で勝負をする。ですから、2人を辞めさせなかったら審議拒否という立場はとりません。

暮らしと生活の重点

こんな“賃下げ社会”でいいのか――「ワンパッケージ」の賃上げ政策実行を

 神志名 政策の問題ですが、暮らし・生活をどうするのかということが大きな課題ですが、なにを重点に取り組まれるか。

 志位 いまの日本経済の最大の問題を一言で言いますと、働く人の賃金がどんどん減り続けて、12年間で年収(平均)61万円も減っている。こんな“賃下げ社会”でいいのか。これは大問題だと思うんですね。その一方で大企業のため込み金、内部留保が244兆円まで積みあがって「空前の金あまり」になっている。その結果、家計、内需が低迷し、日本は「成長が止まった国」になってしまっている。

 この事態を打破するために、私たちは「ワンパッケージ」で、賃上げ政策を実行に移すべきだということを提案したいと思うんですね。

 神志名 賃上げですね。

 志位 賃上げ政策です。

 一つは、労働者派遣法を抜本改正して、非正規社員を正社員にする。

 二つ目は、最低賃金、中小企業にきちんと手当てをしながら、時給1000円以上に引き上げる。

 三つ目は、雇用の7割を抱えている中小企業への本格的な支援で、大企業で働く労働者との賃金格差をなくしていく。

 四つ目は、日本航空に示されているような無法解雇はやめさせて、解雇規制のルールを強化する。

 これを「ワンパッケージ」で打ち出して、そして賃上げを政治の責任で、政治が主導してやっていくということを、強く求めていきたいと思っております。

社会保障と税制改革

やるべきは消費税増税でなく、社会保障拡充、大企業・大資産家に応分の負担を

 神志名 社会保障と税制改革の問題で、菅首相が野党側との協議を呼びかけていますが。

 志位 社会保障といいますけど、実際に進んでいることが何かと言いますと、例えば後期高齢者医療制度の問題でも、差別医療という仕組みは温存したまま、負担増をもっとひどくする。あるいは高すぎる国民健康保険料が払えなくて命を落とす方が相次いでいるのに、それをもっと保険料を引き上げるという方向の号令をかける。切り捨てばかりです。

 それから財政が大変だと言いながら、法人税の1兆5000億円という規模で減税をやる。証券優遇税制を2年延長する。大企業と大資産家には減税のばらまきをやる。

 社会保障は削り、(大企業・大資産家への)減税のばらまきやりながら、庶民には消費税増税というのは、これはとても認められません。

 いまやるべきは、社会保障を削減から拡充に転換する。そして、大企業・大資産家への行きすぎた減税を正して、応分の負担を求める。この改革だと思います。

TPPへの対応

多くの国は参加していない――国民運動で阻止、食料主権を保障する貿易ルールを

 神志名 もう一つTPP(環太平洋連携協定)などの貿易の自由化の問題。それに関連して農業問題がありますが、どうですか。

 志位 これ(TPP)について、先ほどから聞いておりますと、「平成の開国」だと、「バスに乗り遅れたら大変だ」と、盛んに言っていましたが、まわりを見ますと、たとえば中国、韓国、ロシア、フィリピン、タイ、インドネシア、みんな参加していませんよね。

 それで、関税を撤廃するというのがTPPの仕組みですから、そういうことになりますと、たとえば(日本の)食料自給率は(現在)40%ですが、13%まで落ちてしまう。日本のお米の90%以上がつぶされてしまう。農業が破壊され、雇用が破壊され、地域経済が破壊され、国土と環境が破壊されるという事態になりますから、私たちはこれは絶対に反対という立場です。

 多くの農業者のみなさんだけでなく、消費者のみなさんも含めて国民運動でこれは阻止したい。そしていま食料主権という、自国の食料は自分でつくる権利をもつというのが当たり前。これが世界の流れになっていますから、それにのっとった貿易ルールをつくる。これを主張していきたいと思っています。

普天間基地問題

説得すべきは沖縄でなく米国――紛争は国際的道理に立った“外交力”で解決を

 神志名 外交では普天間基地の「移設」問題。これについてはどうでしょうか。

 志位 これは(昨年11月の)沖縄の県知事選挙で、私は「県内移設反対」と「普天間基地の撤去」という県民の総意はいよいよ揺るがないものになったと思うんですね。ですから、菅さんが説得すべきは沖縄ではなくて、米国政府を説得すべきであって、(普天間基地の)無条件撤去を求めていくというのが私たちの立場です。

 基地押し付けをしようという勢力は、尖閣の問題、あるいは千島の問題、朝鮮半島の問題などがあるから、“(日米)安保(条約)が大事だ、沖縄(の基地)はしょうがない”と、こういうふうに言うわけですが、こういう紛争問題は、軍事同盟という“戦争力”で解決すべき問題ではないと私たちは思う。やはり国際的道理に立った“外交力”こそ問われているんですね。9条を持つ国の出番だと思いますね。

選挙制度見直し

民意を反映する比例中心の制度に――衆院比例削減には反対

 神志名 2点、手短にお聞きしたいが、参議院の1票の格差の是正についてはどう対応しますか。

 志位 1票の格差の是正は当然必要になってきます。そのうえで選挙制度については、参議院も衆議院も民意を反映する比例代表中心の制度にしていく。これを衆議院の比例削減にリンクしていくというのは、これは民意を切り捨てる道ですから、反対です。

いっせい地方選挙

「住民の福祉と暮らしを守る」ことが自治体の原点――共産党を大いに伸ばしたい

 神志名 統一地方選挙は端的にいって何を訴えられますか。

 志位 自治体の原点というのは「住民の福祉と暮らしを守る」と、ここにあるわけですが、実際に起こっているのは自治体の独自の福祉の施策は切り捨てる。そして大企業呼び込みのための莫大(ばくだい)な税金のつぎ込み。これを改める。そのために共産党を大いに伸ばしていきたいと思っています。がんばります。

 神志名 ありがとうございました。

 志位 ありがとうございました。

しんぶん赤旗より


女性差別撤廃こそ改革の焦点

2011-01-09 23:36:49 | 日本共産党政策・提言等

ルールある社会へ

女性差別撤廃こそ改革の焦点


 「世界134カ国中94位」。日本の男女格差の国際比較の順位は先進国で最低ランクです。女性差別の改善の遅れは、日本の政治と社会のあり方が問われる問題であり、その是正は、21世紀の未来にかかわる課題です。

世界に逆行、この10年

 世界では、「男女平等は働きがいある人間らしい仕事の中心課題」(国際労働機関=ILO)と位置づけ、国連やILOのルールにたった政治と社会の努力がすすんでいます。とりわけヨーロッパでは、欧州連合(EU)の男女平等関連指令を力に各国が法整備をすすめ、改善をはかっています。日本では正規雇用でも女性の賃金は男性の6割台ですが、EU各国では、平均15%の男女賃金格差打開のための挑戦がおこなわれています。男女がともに子育てできる社会へ労働時間、育児休業の改善、保育所整備などの改善もすすんでいます。女性議員比率も、北欧は比例代表選挙制度と政党の努力で平均41・6%です。

 民主党政権は、「この10年に築きあげてきた成果」をステップに新たなとりくみをすすめる、といっています(岡崎トミ子男女共同参画担当大臣の年頭あいさつ)。

 しかし、21世紀のこの10年は、国連女性差別撤廃条約を批准しながら財界・大企業の利潤第一主義の立場にたつ政治のもとで抑え込まれてきた女性の権利と生活が、自公政権の「構造改革」路線のもとで、さらに深刻なものとなった時期です。

 女性の大学短大進学率は約56%となっていますが、一方では不況のもとでの深刻な就職難は女子学生により厳しい現状です。内定率は男子よりも4%も低い55・3%です。やっと就職しても、違法な出産解雇・妊娠解雇がまかりとおる職場で働き続けることは困難です。深刻な保育所の待機児童問題が生活も権利も脅かしています。

 母子家庭の貧困率は経済協力開発機構(OECD)30カ国のなかで最悪です。離婚したら女性は貧困に陥れられる国が先進国といえるはずがありません。

 女性の非正規労働者が女性労働者のなかで半数をこえたのが2002年です。派遣労働者の56・5%が女性です。年収200万円以下の7割を女性が占め(民間給与実態統計調査09年)、低賃金、無権利で働く多くは女性という構図は改善していません。

 もちろん男女雇用機会均等法や育児介護休業法の改正など、一定の前進もあります。この前進は、女性や国民のたたかいと国連などからの日本への厳しい批判と勧告が、政府の重い腰をあげさせ、動かした成果です。

人権、民主主義の党として

 今求められているのは、世界でも異常な社会から、女性が能力を発揮でき経済的にも自立し、男女がともに子育てでき、老後も安心して暮らせる社会への転換です。

 国連やILOの条約にもとづくルールある社会であり、日本共産党綱領がかかげる「ルールある経済社会」「憲法が定める民主主義の社会」をつくる方向です。

 日本共産党は、女性地方議員第1党の政党であり、戦前から人権、民主主義の前進のためにたたかいつづけてきた政党です。男女が平等に、生きがい働きがいをもてる社会めざす政治の実現のために、いっそう力をつくしていきます。

しんぶん赤旗より

閉塞打破する未来への展望語ろう

2011-01-06 08:06:20 | 日本共産党政策・提言等

閉塞打破する未来への展望語ろう

力あわせ いっせい地方選勝利を

党旗びらき 志位委員長のあいさつ


 日本共産党の志位和夫委員長が4日の「2011年 党旗びらき」でおこなったあいさつは次のとおりです。


写真

(写真)2011年党旗びらきであいさつする志位和夫委員長=4日、党本部

深い閉塞感のもとで、国民の真剣な模索が始まる

 みなさん、2011年、明けましておめでとうございます。インターネット中継をご覧の全国のみなさんにも、新春にあたって心からのあいさつを送ります。いっせい地方選挙は3カ月後に迫りました。この政治戦で必ず勝利をかちとる決意を、まずともに固めあいたいと思います。(拍手)

 昨年は、国民が民主党政権によせた期待が、幻滅に、そして怒りに変わった年となりました。だからといって自民党政治に戻ることもできません。こういうもとで国民はいま、政治と社会に対する閉塞(へいそく)感を深めています。外交でも、経済でも、日本の国際的地位の急激な地盤沈下がおこり、これに対しても多くの国民が前途に不安をいだいています。

 同時に私が強調したいのは、この閉塞感は、新しい政治をもとめる国民の真剣な模索と表裏一体のものだということです。戦後半世紀以上つづいた古い政治の枠組みがいよいよ最終段階に入った、しかしまだ新しい政治は起こってはいない、そのもとで閉塞を打破する真剣な模索が始まっています。昨年は、その新たな発展を予感させる動きが、さまざまな面でおこった1年でもありました。

 こうした情勢のもとで、新しい年を日本共産党の新たな躍進の年にするために、どのような取り組みが必要か。新年にあたって、私は、私たちの活動の発展の大きな方向として、つぎの三つの点をのべたいと思います。

閉塞の根がどこにあるかを明らかにし、打開の展望を大いに語ろう

 第一は、日本の政治と社会がこの閉塞状況から抜け出すにはどうしたらよいか、その展望を大いに語ることであります。

古い政治が壊れつつある時代に、新しい政治を切り開く力をもつ党に成長を 

 その前提となるのは、この閉塞状況の根がどこにあるかを、国民的な規模で明らかにしていくことにあります。

 なぜ民主党政権が公約を裏切る冷酷な社会保障切り捨てを強行しながら、大企業への1兆5千億円規模の減税のバラマキをすすめようとしているのか。なぜTPP(環太平洋連携協定)という日本の農林漁業、地域経済、国土と環境を破壊する道をしゃにむに進もうとしているのか。なぜ沖縄・普天間基地の問題で、「辺野古移設」という県民の総意に背く実現不可能な道にしがみついているのか。

 どれも単なる政権の一時的な失敗ではありません。個々の閣僚の資質の問題でもありません。「官僚依存」で「政治主導」が足らないからでもありません。「異常な対米従属」「財界・大企業の横暴な支配」――この「二つの異常」を特徴とする古い政治の枠組みそのものが、いよいよ立ち行かなくなった。ここに閉塞状況の根があることを、国民的な規模で明らかにしていくことが大切であります。

 そして、いま未来への展望――閉塞打破の展望を語ることの特別の重要性について、私は、強調したいのであります。

 かつても日本共産党が躍進をかちとった時期が何度かありました。1970年代前半、1990年代後半などの時期です。この時期は、自民党政治が矛盾を深めながら、なお彼らなりに政権を維持する力をもっていました。こういう時期には、「どの党が悪政への一番きびしい批判者か」――野党としての批判力が政党の評価の大きな基準となりました。わが党こそ悪政と正面から対決し、筋を通す党だということで、国民的評価が高まり、それを前面に押し出しながら、日本改革の方針を語り、私たちは躍進を果たしました。

 いまは、そういう時期とは違います。古い政治の枠組みがいよいよ最終段階に入り、土台から壊れつつある。そういう時代にあっては、政治悪への批判だけではたりません。「自民党も、民主党もだめだから共産党へ」といういわば「引き算式」の訴えではうまくいきません。日本共産党は、この閉塞状況をどう打開して、どういう日本をつくるのか。未来への展望を語る力がいま、私たちに問われています。端的にいえば、わが党が“政権を担ったら何ができるのか”、わが党は政権にまだ近くはないかもしれませんが、わが党が言っていることについて国民が“政権を担ったら何ができるのか”という目で見る時代となっている。それに正面からこたえた活動がいまこそ必要であります。

 「批判とともに展望を語る」――これは、昨年の参院選での私たちの政治論戦の最大の教訓であったことを、あらためて銘記したいと思います。

 外交でも、経済でも、地方政治でも、古い政治の根本を大胆に転換すれば、まったく違った展望が開けてくることを明らかにする活動に、全党の知恵と力を結集してとりくもうではありませんか。

 古い政治が土台から壊れつつある時代に、国民の真剣な模索にこたえ、新しい政治を切り開く力量をもつ党に成長する――これを今年の私たちの共通の目標としてともに奮闘しようではありませんか。(拍手)

綱領を学び、国民に広く語り、展望を語り合う運動の大波をおこそう 

 私たちは、国民に確かな展望を指し示す羅針盤をもっています。新しい綱領であります。私は、今年を、全党が綱領を学び、自らの言葉、生きた言葉で広く国民にその中身を語り、この閉塞を打ち破る展望を語り合う運動の大波を起こす年とすることを、心からよびかけるものです。

 昨年12月から「綱領・古典の連続教室」が開始されました。2万人を超える党員、民青同盟員が受講を申し込み、インターネット受信箇所などが5千を超える、かつてないとりくみが始まりました。「これで党を変えられる実感がわいてきた」「2万人がいっしょに学ぶことは感動的」などの声が寄せられていることはうれしいことです。これは党の中長期の発展を展望した大事業であり、私も講師の一人として最大限の力でがんばりますので、どうかこの大事業が実り多い成果をあげるために、最後まで多くのみなさんの参加と協力をお願いするものです。(拍手)

 「綱領を語り、日本の前途を語り合う大運動」「集い」は、ようやく開催のテンポがあがり、参院選後で、とりくみ支部17・5%、開催数4881回、参加者数8万239人となりました。綱領を正面から語り、自由に語り合ったところでは、実に面白い「集い」になっています。

 最近、北九州市八幡西区で開かれた「集い」では、町会役員や会社経営者など参加したほとんどが初めて共産党の話を聞く人たちでした。つぎつぎと出された質問は、「民主党は政権をとったら国民を裏切った。共産党は大丈夫か」、「共産党は、政権をとったらどういう外交をやろうとしているのか」、「共産党は、資本主義をどうしようとしているのか、財界や企業をどうするのか」、「ほかの政党はくるくる変わる。なぜ共産党は一貫して頑張れるのか」などでした。“共産党が政権を担ったら何ができるか、どうするか”という質問が相次ぎました。

 2中総決定では、綱領の生命力について、「経済危機をどう打開するか」、「財政危機打開の道」、「米軍基地と安全保障の問題」、「核兵器のない世界」などの角度から具体的に明らかにしました。尖閣問題、千島問題、朝鮮半島の問題など一連の外交問題についても、わが党は先駆的見解と提言を明らかにしてきました。どんな問題でもわが党が建設的方針を示せる根本に綱領の力がある。ここに確信をもって国民のなかで縦横に語り広げようではありませんか。

変革の最中にあるブラジルからのうれしいニュース 

 ここで、ホットなニュースを報告したいと思います。いま、ブラジル新大統領の就任式に出席するため、緒方靖夫副委員長が、ブラジリアに行っています。日本共産党とブラジル労働党との交流をきっかけにした、ブラジル政府からの招待によるものですが、政府の公式招待で大統領就任式に党代表が出席するのは、わが党にとって初めてのことであります。

 緒方さんは、1日、ジルマ・ルセフ新大統領と両手を取り合ってあいさつを交わし、祝意を伝えましたが、大統領は、「オー、ジャパン! ベリーグッド」「感謝します」「遠方からはるばるありがとうございます」と、大歓迎だったとのことです。新大統領は、軍政時代に投獄、拷問を受けた女性闘士として有名な政治家ですが、緒方さんによると「その手は温かく、柔らかでした」との報告でした。

 緒方さんから、みなさんにぜひ伝えてほしいという話があります。中南米・カリブ海地域の30カ国から56の政党が加盟する中南米・カリブ海政党常設会議(COPPPAL)というフォーラムがあります。民主主義、民族自決権の擁護、公正で対等な国際秩序づくりなどを掲げているフォーラムです。その代表のグスタボ・モレノさんは、昨年12月にプノンペンで開催されたアジア政党国際会議(ICAPP)にも参加しており、そこで私たちとも会っています。緒方さんはモレノ代表とブラジリアで再会し、「世界は狭い」と喜び合ったとのことですが、そのさい朝鮮半島の情勢が話題になり、モレノ代表はこう言ったとのことでした。

 「プノンペンのICAPP総会での日本共産党の委員長の発言は非常に重要だった。こうした対立する問題にどう対処すべきか、ということをきちんと示した政治演説だった。あの発言は会議の成功に貢献したと思う」

 私は、プノンペンの会議の発言で、北朝鮮の軍事的挑発行為を厳しく退ける立場を表明しながら、関係国による緊急の対話と交渉の実現を訴えました。この発言を、遠くラテンアメリカで平和の国際秩序づくりにとりくんでいる国際的な政党会議の代表が共感をもって注目・評価してくれた。綱領が明らかにしているように、紛争があっても戦争にしない。外交的・平和的解決に徹する。これこそ世界の流れだということを実感させるうれしいニュースであり、報告しておきたいと思います。(拍手)

 いま日本の政治と社会が陥っている閉塞状況を打ち破る、希望と展望を語れる党は、日本共産党しかありません。みなさん、ここに自信と誇りをもって、「大運動」「集い」にとりくみ、私たちの綱領の生命力を、何十万人、何百万人の国民に語り、広げようではありませんか。(拍手)

国民のあらゆる「大義あるたたかい」に連帯し、たたかいで展望を開こう

 第二は、国民との結びつきを広げ、より良い明日をめざす国民のあらゆるたたかいに連帯してたたかうことであります。

 いま日本各地で澎湃(ほうはい)として起こりつつあるたたかいのどれもが、自らの切実な要求を実現するとともに、「この国のあり方」を大本から問う、大義あるたたかいになっていることに、私は注目したいと思います。いくつかの焦眉の課題をのべるものです。

人間らしい雇用――大幅賃上げ、不当解雇反対は、大義あるたたかい 

 一つは、人間らしい雇用を求めるたたかいです。

 日本経済の最大の問題が、長年にわたって賃金が減りつづけていることにあることは、いまや立場の違いを超えて共通の声となっています。

 昨年11月、連合主催の会合で、富士通総研のエコノミストが「来年の春闘は4%の賃上げを目指せ」と題して講演をおこないました。そこでは、「10年以上も賃金が下がり続ける国は先進国の中で唯一日本だけである。その結果は内需の低迷、勤労者の労働意欲の低下など経営側にとっても好ましいものではない。企業は200兆円もの現金をため込みながら、成長のための投資や、適切な分配は忘れられている」とズバリ指摘し、「経営と労働の真摯(しんし)な議論」を求めています。財界のシンクタンクが労組の集会で「賃上げ」を訴える。これも、大幅賃上げが日本経済全体の立て直しのための大義あるたたかいであることを示す出来事だと思います。“こんな異常な賃下げ社会でいいのか”を国民的大問題にし、正規も非正規も、民間も公務も、すべての労働者・国民が連帯して、大幅賃上げをめざすたたかいを大いに発展させようではありませんか。(拍手)

 非正規雇用労働者の不当な解雇・雇い止めとのたたかいも重要な局面となっています。「派遣切り」に抗して、5千人をこえる労働者が労組を結成・加入してたたかいに立ちあがり、全労連の集約によるとその労働組合数は227、約70件の裁判が今日たたかわれています。その多くが、派遣先企業の責任をほとんど問わない現行派遣法のもとで、派遣先に安定した直接雇用を求めるたたかいであり、いわば「道なき道」を切り開き、働くルールをつくる先駆的なたたかいであります。このたたかいが今年、大きなヤマ場を迎えます。私は、労働者派遣法の抜本改正のたたかいと一体に、この勇気ある闘争を、労働組合、民主団体と共同して、全力をあげて支援することをよびかけるものです。(拍手)

 日本航空は、パイロットと客室乗務員の165人を、こともあろうに12月31日付で解雇しました。国も関与した再建機構が、「整理解雇4要件」という天下公認のルールを蹂躙(じゅうりん)し、解雇を強行したことに、私は、強く抗議します。「不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」が結成され、この無法行為を、全労働者にかけられた攻撃、国民の命と安全を危険にさらす攻撃として、不当解雇撤回の闘争が開始されました。わが党は、この大義あるたたかいの一翼を担い、ともに奮闘する決意を表明するものであります。(拍手)

社会保障――憲法25条にのっとった国づくりか、公然と投げ捨てるか 

 二つ目は、社会保障の充実をめざすたたかいです。

 民主党政権は、自公政権時代につくられた社会保障費削減路線の「傷口を直す」という公約を投げ捨てただけでなく、逆に「傷口を広げ」、そこに塩をぬりこむような冷酷な政策に転換しました。医療、介護、年金、障害者福祉、生活保護などあらゆる分野で、社会保障費削減のために制度改悪を繰り返すという、自民党政治と同じ道にかじを切りました。

 憲法25条の生存権に立って、「社会保障の増進は国の責任」という大原則にのっとった国をつくるのか、それをいよいよ公然と投げ捨てるのか、まさにここでも問われているのは「この国のあり方」であります。

 たとえば、高すぎる国民健康保険料の問題は、全国どこでも大問題となっています。滞納世帯は445万世帯、正規の保険証が取り上げられた世帯は152万世帯にも及びます。全日本民医連の調査では、「悔しい手遅れの死」が年間47人にもなったとのことです。ところが民主党政権は、国保の「広域化」を推進するためとして、市町村がおこなっている一般会計から国保会計への繰り入れをやめ、「国保料引き上げ」に転嫁せよとの通達を出しました。さらに2018年度には国保を都道府県単位にするとしています。これが破局的な保険料高騰を招くことは火を見るよりも明らかであります。この方針は2003年に小泉内閣が打ち出した方針そのものであり、民主党政権はいまや「小泉医療構造改革」の公然たる継承者になるところまで堕落しているのであります。

 後期高齢者医療制度の問題でも、政府が決定した「新制度」は、引きつづき75歳以上を「別勘定」にして都道府県単位の国保に囲い込むという差別医療を温存したうえ、所得の少ない方への保険料値上げ、70~74歳の窓口負担の2割への引き上げなど、自公政権でも手をつけられなかった負担増をはかるものとなっています。公約を投げ捨てただけでなく、「新制度」なるものを国保の「広域化」の突破口にする――二重に国民を愚弄(ぐろう)する姿勢は、断じて許すわけにはいきません。

 高すぎる国保料を引き下げよ、後期高齢者医療制度をすみやかに撤廃せよ、国は憲法25条の責任を果たせ。この旗を掲げ、広い共同のたたかいをすすめようではありませんか。(拍手)

 「社会保障財源」として消費税増税を狙う動きが日程にのぼりつつあります。「財源というなら、大企業減税をやめ応分の負担を、軍事費の思い切った削減を」の旗を高く掲げ、消費税増税反対のたたかいに意気高くとりくみたいと思います。

TPP――「この国のあり方」を根本から問うたたかい 

 三つ目は、TPP(環太平洋連携協定)の問題です。

 例外なき関税撤廃をすすめるTPP交渉に反対し、日本農業再生を求める声が、怒濤(どとう)のように日本列島で広がっています。私も参加したJA全中、全漁連、全森連、消費者団体などが開催した、TPP反対11・10緊急集会で印象的だったのは、その共同の国民的広がりとともに、参加者のみなさんが、このたたかいを「この国のあり方」を問う大義あるたたかいと位置づけていたことでした。緊急集会の「特別決議」はつぎのような格調高い言葉で結ばれています。

 「わが国は、今、たしかに『歴史の分水嶺(れい)』に立っている。地球環境を破壊し、目先の経済的利益を追求し、格差を拡大し、世界中から食料を買いあさってきたこれまでのこの国の生き方を反省しなければならない。自然の恵みに感謝し、食べ物を大切にし、美しい農山漁村を守り、人々が支え合い、心豊かに暮らし続け、日本人として品格ある国家を作っていくため、我々はTPP交渉への参加に断固反対し、更なる国民各層の理解と支持を得ながら、大きな国民運動に展開させていく決意である」

 わが党は、この精神と立場に全面的に連帯し、大きな国民運動の力でこの企てを葬り去るために全力をあげるものであります。(拍手)

沖縄問題――軍事同盟という“戦争力”か、道理に立った“外交力”か 

 四つ目は、「基地のない沖縄」、独立・平和の日本をめざすたたかいであります。

 沖縄県知事選をつうじて、「県内移設反対」「普天間基地撤去」の県民の総意は、いよいよ揺るがぬものとなりました。今年の課題は、この沖縄県民の総意を、いかにして日本国民の総意にしていくかにあります。

 これは、世界のなかで日本がどういう進路を歩むか、その選択を問うたたかいでもあります。基地押しつけ勢力は、尖閣問題、朝鮮半島問題、千島問題など、日本を取り巻く紛争問題をあげて、「日米安保の強化が必要だ。沖縄の基地はやむをえない」と説教します。しかし、これらの解決に必要なのは軍事同盟という“戦争力”でしょうか。国際的道理にたった“外交力”こそ必要ではないでしょうか。東南アジアやラテンアメリカでつくられている地域の平和共同体を見ても、紛争の平和解決こそ21世紀の世界の本流ではないでしょうか。

 憲法9条を持つ国の政府でありながら、外交力には熱意も関心もなく、軍事的対応だけに熱中する。この異常さこそ問われなければなりません。

 私たちは、日米安保条約の解消、対等・平等・友好の日米関係への転換という将来の展望を高く掲げつつ、憲法9条を生かした平和外交によって東アジアに平和的環境をつくっていく努力を重ね、それと一体に「基地のない沖縄」をめざす県民の総意を、日本国民の総意とするためにあらゆる力をつくす決意であります。

 いま国民のなかに起こっているどのたたかいも、「この国のあり方」を問う、大義あるたたかいです。みなさん、今年を、国民がみずからの切実な願いを掲げてたたかいに立ちあがり、たたかいを通じて、閉塞を打ち破り、展望を見いだす年にするためにともに力をつくそうではありませんか。(拍手)

国民からみて、頼もしく温かい、強大な党をつくろう

 第三は、国民からみて、頼もしく温かい、強大な党をつくることです。

 2中総決定は、党勢の新たな上げ潮のための「五つの挑戦」をよびかけました。いま強大な党をつくることは、わが党の死活にかかわる大問題であるとともに、政治と社会の閉塞状況のもとで、国民の真剣な模索にこたえる力量をもつ党に成長するという国民的意義をもつものであります。私たちは、全国に、素晴らしい経験をたくさんもっていますが、きょうは二つの支部の経験を紹介したいと思います。

いすゞ自動車の職場支部――「みんなの声を力」に賃上げ実現の先頭に 

 一つは、神奈川県のいすゞ自動車の職場支部の賃上げのたたかいです。

 いすゞ自動車は昨年2月、営業利益を50億円の赤字見込みと発表し、いすゞ労組は春闘で「一時金(年間)5カ月」を要求したものの、「4カ月」にカットすることで妥結しました。しかし、いすゞはその直後の4月、営業利益を110億円の黒字に修正。さらに課長以上の賃金カットを元に戻し、「5カ月」の支給を決めました。「なぜ部課長だけが5カ月? 不公平だ」「利益の一部を社員に還元してくれ」などの疑問や不満が広がりました。いすゞは期間工や派遣労働者1400人を解雇し、その後の生産回復にさいしても要員を増やさず、長時間労働が深刻化していました。

 こうした職場の声を代弁して奮闘したのが、JMIUいすゞ自動車支部と、工場門前で配布された職場新聞「こえちか」――「みんなの声を力に」の意味――でした。昨年11月の「こえちか」では、「だまされた! 110億円の黒字なのに 冬のボーナスで5ヶ月(年間)取り戻せ」「今年の一時金(ボーナス)組合員は年間4・0ヶ月! なんと課長さん、部長さんたちは5・0ヶ月?これほんと?」と、起こっている事実を知らせました。これは吸い込まれるように労働者の手に渡り、大反響をよびました。1週間後、会社は組合員には0・2カ月、雇用延長者には生産協力金4万円を出すと発表しました。昨年12月の「こえちか」では、「冬のボーナスで『特別協力金』出させる やったネ! 0・2ヶ月の割増だァ!」と成果を知らせました。第一歩ですが、いすゞに利益を還元させる快挙です。ここには、職場の「みんなの声を力」にして不屈のがんばりでその実現の先頭に立つ、「頼もしく、温かい党」の姿があります。全国の職場でこういうたたかいを広げたいと思います。(拍手)

三重県・鳥羽市の地域支部――「正月から福の神、ござった」

 いま一つは、三重県・鳥羽市の党の地域支部の国保値上げ撤回のたたかいです。

 鳥羽市では、昨年10月末に国保の運営協議会があり、1人あたり2万円値上げという方針を打ち出しました。それが11月28日の党の支部会議でわかった。ちょうどこの支部会議では「結びつき・要求アンケート」で市民の暮らしの実態を出し合おうという会議でした。「これはたいへんだ。反対運動に立ちあがろう」と決めました。さっそく12月1日付「鳥羽民報」――党の地域新聞で大増税案を明らかにしました。「国保1人2万円も増税! 市民の悲鳴が聞こえますか」「生活苦になお追い打ち」という見出しです。世論が沸騰し、役所に抗議電話が殺到しました。

 そうすると何と12月4日に市長が、突然、党支部の事務所に来訪し、開口一番「国保税の値上げ議案を撤回します。先ほどの緊急課長会議で決定しました。ご迷惑をおかけしました」と陳謝したというのです。苦渋の決断だったと思いますが、立派な市長の決断ですね。市民からは、「共産党のおかげで助かった。共産党は福の神ですわ、正月から福の神、ござったようですわ」との声が寄せられたとのことです。

 こうした経験は、全国にたくさんあると思います。いま多くの国民が、閉塞状況のなかで新しい政治を模索しています。そうした動きにこたえる力量をもった「頼もしく温かい、強大な党」をつくろうではありませんか。今年を、党建設での力強い前進が開始されたと記録される年にするためにがんばろうではありませんか。(拍手)

いっせい地方選挙勝利へ――三つの基本姿勢にたって奮闘を

 最後に、目前に迫ったいっせい地方選挙について訴えます。参議院選挙後の中間地方選挙の結果と教訓にたち、つぎの三つの基本姿勢にたって奮闘することを訴えたいと思います。

激しさと厳しさの新たな様相を正面からとらえる 

 第一は、激しさと厳しさの新たな様相を正面からとらえることです。

 参院選後の中間地方選挙の結果は、わが党は1県、55市、40町村に199人が立候補し、175人が当選しました。議席占有率は8・51%から8・49%とわずかですが減らしました。得票の合計は前回比で93・5%、得票を前進させた選挙区は全体の31%です。率直に申しますが、この流れの延長線上では、いっせい地方選挙で勝利にとどきません。この流れを上げ潮へと、何としても変えていくための大奮闘が必要です。

 ここには、激しい党派間闘争が刻印されています。とくに都市部を中心とした選挙区では、メディアによる「民主、自民の対決が焦点」という報道が強められ、「わが党を選択肢から除外する」という長期にわたる攻撃が、地方選挙においても、わが党が前進するうえでの圧力、障害となって作用しています。

 選挙戦の激しさ厳しさを正面からとらえ、参院選の比例票を、大幅に増やし、大きく押し返す奮闘をやりぬくことが、勝利にとってどうしても必要であります。

最後に勝敗を決するのは、党の自力にかかっている

 第二は、最後に勝敗を決するのは、党の自力にかかっているということです。

 それは昨年12月12日投票の茨城県議選の最大の教訓の一つでありました。水戸市で激戦を制し現有議席を確保した重要な要因は、党員拡大と党費納入の努力によって、党費納入者の数を4年前から170・8%へと大きく前進させたこと、機関紙読者でも、前回比で日刊紙97・0%、日曜版97・4%と、前回時回復に近づいて選挙をたたかったことにありました。一方、議席を失ったつくば市では、みんな大いに奮闘しましたが、職場の退職者が多数生まれるなどの困難もあり、機関紙読者が日刊紙・日曜版ともに80%台に後退したもとでのたたかいでした。

 昨年12月26日投票の東京・西東京市議選は、定数2減、激烈な党派間闘争のもとで日本共産党は4人全員当選を勝ち取りました。ここでは、10月1日時点で日曜版読者が前回比80%まで後退していたことを「この現状では勝利なし」と直視し、大量宣伝、対話と支持拡大と一体に、執念をもって拡大にとりくみ、1カ月で100人近い読者を増やしたことが、僅差で競り勝つ力となりました。最後まで前回時突破をめざし奮闘することが、最後の底力につながったことは重要な教訓であります。

情勢の激動がはらむ党躍進の可能性、条件をくみつくそう

 第三に、やるべきことをやりきれば新しい飛躍をおこせる、党躍進の可能性、条件が存在していることに広く目をむけて、大いに打って出るということです。

 茨城県議選の筑西地区では、市民病院を守る運動、TPP反対のたたかいなどで保守層との共同が広がり、得票を、参院選比例得票比で353・5%にのばし、1998年の参院選比例得票比でも170%という過去最高を獲得し、当選まであと476票に迫る文字通りの大善戦となりました。保守層の方々が広く選挙に参加し、支持拡大も700人もの党外の人たちがとりくんでくださいました。私たちも応援にいきましたが、保守層の方々が必勝のハチマキを締めて、陣太鼓が打ち鳴らされる。そういう住民がともにたたかう選挙になりました。そういう劇的変化がおこる可能性をはらんでいるわけです。

 参議院選挙の比例票を「たたかいの出発点」とリアルに認識しつつ、それを固定的に見ないことも大切です。たたかいようによっては、力関係を変えることができます。この間の中間地方選挙におけるわが党の得票は、参院選比例得票比でみますと161・5%です。他党は、民主党は38・6%、自民党は97・6%、公明党は93・7%、みんなの党は43・8%、社民党は63・9%です。わが党が比例得票を2倍以上にのばした選挙区が31あり、そのうち3倍以上が6選挙区ある。全国どこでも、主体的な奮闘いかんでは、比例得票を2倍、3倍以上に伸ばし、政党間の力関係を大幅に変化させる可能性と条件は存在している。ここに私たちは大いに目を向けて、がんばりぬくことが必要です。

 国政でも、地方政治でも、古い政治にしがみつく勢力と国民との矛盾は深くなっています。閉塞感も深いが、真剣な模索が開始され、広がっています。情勢を大局的につかみ、情勢のはらむ条件を残らずくみつくし、いっせい地方選挙では必ず勝利を勝ち取ろうではありませんか。そのことを最後に訴えて、年頭にあたってのあいさつといたします。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)

しんぶん赤旗より


日本共産党・大阪府委員会の教育政策提案

2010-12-07 14:45:23 | 日本共産党政策・提言等

子どもと教育を守り、すべての子どもの成長・発達を保障する教育へ  
――憲法と子どもの権利条約を生かして


2010年12月2日  日本共産党大阪府委員会


21世紀を生きる子どもの成長・発達を保障する教育への府民の期待は大きく、今日、教育に対する政治と社会の責任は重大です。
 この間、長年にわたる教育関係者と日本共産党が共同した運動が政治を動かし、公立高校授業料無償化や大阪での35人学級(小学校1・2年生)など教育要求を実現してきたことは、特筆すべきことです。
 しかし民主党政権と橋下府政は、全国いっせい学力テストの継続と対応などに見られるように、ゆきすぎた競争教育を子どもと学校に押し付け、教育をゆがめています。このなかで広がる貧困が子どもと教育に深刻な影響を及ぼしています。
 すべての子どもの成長・発達を保障するためには、憲法と子どもの権利条約に立脚し、教育の条理を踏まえた教育が必要です。
子どもと教育への政治の責任を果たすため、私たちは、次に述べるような重点的な教育政策の提案を行い、府民の切実な教育要求の実現にむけて府民のみなさんと力をあわせてがんばります。あわせて、子どもと教育を守るための討論と共同を呼びかけます。

少人数学級の実現をはじめ教育条件の整備・拡充をすすめる
少人数学級・30人学級の実現、教育条件の拡充にむけて
 少人数学級・30人学級は、すべての子どもにゆきとどいた教育を行ううえで必要な教育条件で、府民と教育関係者の強い要求です。少人数学級の教育効果は、すでに教育行政を含む教育関係者が提起しているところです。
 長年の教育関係者の運動が国政を動かし、30年ぶりに小・中学校の学級定数を引き下げる計画案が示されました。国の責任で少人数学級・30人学級を早期に実施するよう強く求めます。また、高校や特別支援学校の学級定数を引き下げることが必要です。
大阪では、学校関係者の運動により小学校1・2年生の35人学級が継続されました。来年度から小学校3年生と中学校1年生へ拡大することが求められます。
国に対して義務教育国庫負担金の国負担率を3分の1から2分の1に戻すことを求めます。養護教諭の複数配置、スクールソーシャルワーカーなど専門職員を増やします。中学校給食を実施します。
安心・安全の学校へ、小・中学校の警備員配置、学校耐震化を推進します。小・中学校の普通教室へのエアコン設置をすすめます。


すべての希望する子どもに高校教育の機会を保障する
前年度の公立高校入試結果をうけて「大量の不合格者が出ることが懸念」されるなか、2010年度の公立高校入学枠の大幅拡大を求める学校関係者の運動が府政を動かし、公立7割・私立3割を分担したうえで、公立高校の入学定員が960人上乗せされました。
 教育の機会均等の実現へ、すべての希望する子どもに高校教育の機会を保障することが大切です。高校進学希望者全員入学を展望し、必要な条件整備を行います。


特別支援教育・障害児教育を拡充する
 障害のある子どもが教育から排除されず、豊かな教育を保障することが大切です。特別支援学校・学級などに在籍する子どもの数は増え続けています。特別支援学校での間仕切り教室や長時間通学などの問題は深刻です。劣悪な教育条件を整備することが急務です。
 長年の地域での学校関係者の運動が府政を動かし、2010年度に府内4校の特別支援学校(分校)が開校しました。特別支援学校の増設、障害種別の学級設置など特別支援学級の新増設、すべての小中学校での通級指導教室の設置、通常学級の30人以下学級をすすめます。医療的ケアを必要とする子どものために看護師の配置をすすめます。


公立学校の非正規教職員の正規化をすすめる
 国と府の教育予算削減のもと、非正規教員が増大し全教員数の約15%を占め、教育条件を不安定なものにしています。新学期に学級担任が発表できないなど異常な事態です。学校教育に必要な教員は正規採用とすべきです。
少人数学級・30人学級をすすめ教職員定数を増やし、教職員の正規化をはかるとともに、非正規教職員の劣悪な処遇の改善をすすめます。

教育のすべての段階での教育費負担の軽減・無償化をめざして
授業料無償化の私立高校全体と大学への段階的な拡大
 教育費負担の軽減・無償化を求める国民の運動が国政・府政を動かし、公立高校授業料の無償化が2010年4月から実施されました。府立高校の空調使用料(エアコン代)も不徴収です。私立高校の授業料は、大阪府では国の制度に上乗せされ年収350万円未満の世帯で実質無償化が実施されました。2011年度からは年収610万円未満の世帯への拡大が検討されています。実施されれば私立高校新入生の約半数が無償化の対象となります。
 これらは、憲法に保障された教育を受ける権利の具体化として重要な意義をもちます。授業料無償化を私立高校全体に広げます。「学費の段階的無償化」を定めた国際人権規約
の留保撤回を国に求め、大学学費を計画的に引き下げます。学費減免制度を拡充します。
国公立大学運営費交付金の削減をやめ増額すること、私立大学への国庫助成の増額を求め
ます。
憲法に保障された学問の自由・大学の自治を守る立場から、橋下府政による府立大学の
学部「再編」押し付けに反対します。大学改革は大学関係者の議論と合意で行われるべきです。大阪市立大学の夜間学部学生募集を再開し、夜間学部を存続します。


就学援助の拡充、給付制奨学金の創設をすすめる
 府民の負担する教育費には、授業料以外に入学金、制服・体育用具、学用品、生徒会・PTA会費、修学旅行費、通学定期代など多額の費用がかかります。
授業料に続いて、これらの教育費の軽減・無償化にむけて、小・中学校での就学援助の拡充、高校と大学での給付制奨学金の創設、有利子奨学金の無利子化と卒業後の年収300万円以下の場合の返済猶予制度を確立します。


私学助成(経常費助成)の国基準への回復・増額を
 大阪府はこの間、私学助成(経常費助成)を国基準から大幅に削減し、さらに削減することが計画されています。私学助成の大幅削減は私学経営を圧迫し、教育条件に大きな影響を与えます。大阪の公教育を担う私学の役割から、私学助成(経常費助成)の拡充が必要です。私学助成を国基準に回復・増額します。私学助成制度に市場原理を持ち込む私学助成配分方法の改悪に反対します。

すべての子どもに基礎的な学力を保障するために
すべての子どもに基礎的な学力を
 すべての子どもに基礎的な学力を保障することは、学校教育の基本的な任務です。自然や社会のしくみがわかる知育、市民道徳の教育、体育、情操教育などバランスのとれた教育が大切です。学力保障に一番有効な施策である少人数学級の実現が求められます。
 学習指導要領を抜本的に見直すとともに押し付けをやめ、子どもの状況や学校・地域の実情に応じた教育課程を自主的につくることが必要です。子どもをふるいわける習熟度別学習の押し付けに反対します。
不登校など教育問題にかかわる教育相談の窓口を拡充します。


憲法に保障された教育の自由・自主性を守り発展させる
 橋下府政は、改悪教育基本法の具体化として、「『大阪の教育力』向上プラン」を策定し、全国いっせい学力テスト対策など数値目標の達成や特定の教育内容・教育方法を学校に押し付けています。
憲法に保障された教育の自由・自主性が守られてこそ、学校での教育活動が豊かに発展します。教育への市場原理の持ち込みや教育内容への不当な介入は、教育をゆがめ子どもの成長・発達を妨げます。「『大阪の教育力』向上プラン」は抜本的に見直します。
教職員の協力を妨げ、教育をゆがめる「評価・育成システム」をやめます。
市町村への教職員人事権移譲の押し付けに反対します。
「日の丸・君が代」の強制に反対します。「同和教育」は完全に終結します。


全国いっせい学力テストの廃止、高校「多様化」の抜本的見直し
 民主党政権のもと「抽出方式」で実施された全国いっせい学力テストは、実際には7割(大阪9割)の学校が参加し、競争主義的な性格は変わっていません。全国いっせい学力テストは、その対策のための学習が強制され、子どもの学力形成からみて有害です。
全国いっせい学力テストの廃止を求めるとともに、大阪府のいっせい学力テスト(2011年度)を中止します。学力調査は抽出調査で十分です。
 この間、大阪府政は府立高校統廃合と一体で高校「多様化」を押し付け、総合学科や普通科総合選択制などの高校が開校されました。そのうえで橋下府政は、2011年度から進学指導特色校などをつくり、ゆきすぎた競争教育をさらに激化させようとしています。
高校教育での学科の再編や新設などは、教育行政が強制するのではなく、高校関係者の議論と合意により行われるべきです。高校「多様化」は抜本的に見直します。

憲法と子どもの権利条約を生かし、子どもの成長・発達を保障する教育へ
 これまでに述べたように、府民の切実な教育要求実現にむけたとりくみを進めるとともに、私たちは、次のような教育政策の抜本的な転換を求めます。
貧困をなくし子どもの教育を受ける権利を保障する
 大阪の子どもをめぐる貧困は深刻さを増しています。子どもの相対的貧困率は全国平均で14.2%(2007年調査)です。学校現場からは、“朝食をとれない”“十分な学用品が買えない”などの子どもの実態が報告されています。貧困は子どもの生存を妨げ、成長・発達に深刻な影響を及ぼします。子どもは子どもらしく保護されなければなりません。国連子どもの権利委員会は、「子どもの貧困を根絶するために適切な資源を配分すること」を日本政府に勧告しました。
 貧困をなくすことは、子どもの教育を受ける権利、成長・発達を保障する土台です。雇用、中小企業、社会保障など経済政策の転換を求めます。
高校生、学生の新卒者就職難を打開します。
 教育による「受益者」は社会全体という立場で、子どもの成長・発達に必要な保育や教育の費用は公的負担とし、保護者負担の軽減・無償化を進めます。


世界でも異常な競争的な教育制度を見直す
 国連子どもの権利委員会は、「高度に競争的な教育制度」が子どもの発達にゆがみをもたらしており、「大学を含む学校システム全体を見直すこと」を日本政府に勧告しました。
競争的な教育制度は、1960年代以降、財界の強い要求を受けて歴代の自民党政権が推進し、今日の民主党政権に引き継がれています。橋下府政は、「地域主権改革」を先取りし地方自治を破壊しつつ競争的な教育制度を強権的に進め、教育をも破壊しようとしています。
高校学区の縮小や、高校・大学の入試制度の抜本的改革など競争的な教育制度の見直しをすすめます。教育関係者や専門家、府民の検討の場をもうけ改革に着手します。
競争的な教育制度と教育の国家的統制を進める改悪教育基本法(2006年)を再改正するための府民的討論を行います。


府民の切実な教育要求を実現し、教育政策の転換へ
 日本共産党は綱領で、日本社会が必要とする民主的改革の内容の一つとして、「教育では、憲法の平和と民主主義の理念を生かした教育制度・行政の改革をおこない、各段階での教育諸条件の向上と教育内容の充実につとめる」と述べています。
 私たちは、こうした綱領をもつ党として、21世紀に生きる子どもの成長・発達を保障するため、府民の切実な教育要求を実現するとともに、憲法と子どもの権利条約に立脚し、教育の条理を踏まえた教育政策の転換にむけ力をつくします。