goo blog サービス終了のお知らせ 

かえるネット木津川南

大阪市南西部で活動する日本共産党の青年後援会のブログです。

市田書記局長の代表質問 参院本会議

2011-01-29 19:12:55 | 日本共産党政策・提言等

2011年1月29日(土)「しんぶん赤旗」

市田書記局長の代表質問 参院本会議


 日本共産党の市田忠義書記局長が28日、参院本会議で行った代表質問は次の通りです。


大企業の巨額なため込み金を賃金引き上げに回し、国内経済活性化の起爆剤に

写真

(写真)代表質問に立つ市田忠義書記局長=28日、参院本会議

 私は日本共産党を代表して菅首相に質問します。

 いま日本経済の最大の問題は、経済の閉塞(へいそく)状況のもとでひとり大企業の手元にだけ空前の資金が滞留していることであります。ためこみ利益・内部留保はいまや244兆円の巨額に達し、現金・預金や有価証券など使い道のない手元資金は62兆円にものぼります。一方、派遣切りや賃下げ、下請け単価たたきなどで、民間の賃金は、ピーク時とくらべ30兆円、2008年からの1年間に、1人当たり23万7000円も落ち込みました。

 この巨額な資金の偏在を是正すること、使い道がないままため込まれている有り余る資金を社会に還流させることこそ経済政策の中心にすえられなければなりません。

 その点で、いま春闘のさなかですが、賃金引き上げは、当然の要求であり、それは働く人々の暮らしをよくするだけではなく、ため込まれた巨額な資金を、消費を通じて市場に還流させ、国内経済を活性化させる起爆剤になります。総理の認識はいかがですか。

「社会の主役」・中小企業への国の財政支援は政治がすべき緊急の課題

 政治が果たすべき課題の大きな柱のひとつは中小企業への支援であります。

 昨年、政府は「中小企業憲章」を閣議決定しました。そこでは、中小企業について「経済を牽引(けんいん)する力であり、社会の主役である」と位置づけ、「政府が中核となり、国の総力を挙げて」中小企業施策をすすめる、と宣言されています。企業数の99%、雇用の7割を中小企業が占めています。

 ところが政府の予算案をみると、中小企業関係予算は今年度とくらべてわずか58億円増の1969億円にすぎません。一方、在日米軍関係費は、いわゆる思いやり予算1858億円、在日米軍再編経費など1331億円、あわせて3189億円、中小企業予算の実に1・62倍にもなります。これではまるで「社会の主役」は在日米軍と言われても仕方がないではありませんか。

 中小企業の経営を脅かしているのが、不当な単価の切り下げや一方的な契約打ち切りなど、大企業の横暴です。それを正すには、個々の企業の努力では不可能であり、共通のルールと行政の厳正な指導が不可欠です。ところが予算案は、下請け取引の適正化に関する費用は、わずか7億円、しかも今年度と比べて1億円減額されています。これでは大企業の横暴に泣かされる中小企業は増えても決して少なくなることはありません。主役にふさわしく予算を大幅に増やすべきであります。答弁を求めます。

 賃金引き上げのためには、最低賃金を、現行の、全国平均の時給730円から、1000円以上に引き上げることが、政治のなすべき緊急の課題であります。そのためには下請け単価の引き上げとともに、中小企業への国の財政支援が不可欠であります。

 ところが、概算要求段階で62億円だったものが、これでもすずめの涙程度ですが、50億円に減額されました。内需拡大の柱として、フランスでは、最低賃金を引き上げた企業に社会保険料の企業負担分を3年間で2兆2800億円減免しました。アメリカでも、最低賃金引き上げと一体で、中小企業減税のため5年間で8800億円の予算を組んでいます。こうした例に学んで、思い切った措置を講ずるべきではありませんか。

 「仕事が欲しい」という中小企業の声にこたえるために、いま全国200近い自治体で住宅リフォームへの助成制度が広がっています。実施した自治体では、助成額の10倍から20倍をこえる経済波及効果が生まれていると報告されています。国としても、自治体がおこなっているこうした制度への支援を強化すべきだと考えますが、いかがですか。

 中小事業者にとって命綱ともいえる「景気対応緊急保証制度」については、国会でもたびたび議論がかわされ、制度の重要性については共通の認識にいたっています。この3月で制度を打ち切るべきではないと考えますが、総理の見解をうかがいます。

社会保障を切り捨てながら消費税増税を検討――こんな無理・無体はない

 総理は、税と社会保障の一体改革を進めるといわれました。しかし、政府が実際に現にやっていることは社会保障の切り捨てばかりではありませんか。

 たとえば、高すぎる国民健康保険料。保険料を納めることのできる世帯はいまや8割台となり、滞納世帯は445万、保険証を取り上げられた世帯は152万に及びます。

 総理は、「観光立国に向けた医療滞在ビザ」を創設したと述べましたが、外国の富裕層に豪華な医療提供を自慢するぐらいなら、お金がないために必要な医療も受けられず、不安にさいなまれている人々に、国庫負担増による国保料の負担軽減をこそ行うべきであります。

 介護保険制度がはじまって10年がたちました。さまざまな問題がありますが、一点だけただしておきたいと思います。特別養護老人ホームの待機者の数は、1999年には11万人でした。ところが、10年後の2009年には42万人に、実に4倍にふくれあがりました。その間、高齢者をめぐるさまざまな悲惨な出来事が多発するようになりました。その原因は、高齢化の進行もありますが、国庫補助金の廃止が追い打ちをかけたことは明らかであります。増設の手だてをただちに講じることを強く求めます。

 “財政が大変”と言いながら、使い道に困っている大企業には法人税を減税し、大金持ちには証券優遇税制を存続する、そして社会保障を切り捨てながら、社会保障のためという口実で庶民には消費税の増税を検討する。こんな、無理・無体なことはありません。

 いまやるべきは、社会保障の切り捨てから拡充への転換であり、財源というなら、ゆきすぎた大企業、大資産家減税をやめ、税金は負担能力に応じて払う、思いやり予算など軍事費を削る、税金の山分けである政党助成金を廃止する――こういう方向こそ追求すべきではありませんか。

農林水産物を完全自由化して自給率を高めた国はない――TPPへの参加をやめよ

 次に、TPP(環太平洋連携協定)への参加問題についてです。

 TPPはすべての関税をなくし、自由化に例外がないのが最大の特徴です。農水省の試算でも、食料自給率は40%から13%にまで落ち込み、農林水産物の生産額は4・5兆円減少し、関連産業も含め、雇用は350万人も減少するとされています。

 総理は施政方針演説で、自給率の向上には一言も触れず、農産物の「輸出につなげ」ると述べられました。国民の食料を国内でどれだけ供給できるのか、それが4割から1割台に落ちていいのかが問われているときに、なんという発言でしょう。農林水産物の輸入を完全自由化して自給率を高めた国は世界に例がありません。あまりにも無責任ではありませんか。

 規模を拡大すれば「競争力ある農業」が育つというのは全くの幻想です。すでに、EU諸国の平均的経営を上回るまでに規模拡大してきた北海道の畜産・酪農でも、輸入自由化や価格低下の影響を受け、経営危機が広がり、離農者があとを絶たない現実が、それを裏付けています。総理はこの現実をどう考えるのですか。

 食料は極力自国でまかなう「食料主権」という考え方は、いまや世界の流れです。国の独立や国民の生存に責任を持つ政府なら、当然その立場に立つべきであります。

 TPPへの参加はやめ、食料の外国依存から抜け出し、関税など国境措置を維持・強化し、各国の食料主権を保障する貿易ルールを確立すること、規模の大小を問わず、安心して農業にはげめる条件を国の責任で整えること、具体的には生産コストをカバーする価格保障を軸に、農業の多面的機能に配慮した所得補償制度を組み合わせることこそ、日本農業の再生の道であることを指摘して、質問を終わります。



大企業のため込み金を賃上げ・中小企業へ

2011-01-29 13:04:35 | 日本共産党政策・提言等

2011年1月29日(土)「しんぶん赤旗」

大企業のため込み金を賃上げ・中小企業へ

市田書記局長が代表質問 参院


 日本共産党の市田忠義書記局長は28日の参院本会議で代表質問に立ちました。経済、社会保障、農業の各分野で閉塞(へいそく)状況を打破する政策を示し、政治の転換を求めました。(代表質問


TPP参加やめ食料主権保障の貿易ルールを

写真

(写真)代表質問をする市田忠義書記局長=28日、参院本会議

 市田氏は、大企業のため込み金が244兆円に達する一方、民間労働者の賃金は派遣切りや賃下げ、下請け単価たたきなどで2008年からの1年間に1人当たり23万7000円も落ち込んでいる事実を示しました。「ため込まれている資金を社会に還流させることこそ経済政策の中心にすえられなければならない。賃上げは暮らしをよくするだけでなく、国内経済を活性化させる起爆剤になる」と主張しました。

 菅首相は「もう少し賃金が上がっていくことが望ましい」と答えたものの、抜本的な引き上げ等については言及しませんでした。

 市田氏は「政治が果たすべき課題の大きな柱のひとつは中小企業の支援だ」と強調。中小企業関係予算が1969億円に対し、在日米軍への「思いやり予算」と米軍再編経費で3189億円にもなることを示し、「『社会の主役』は在日米軍と言われても仕方ない」と批判。予算の拡充、公正な取引ルールの確立、最低賃金の時給1000円以上の引き上げ支援、緊急保証の継続などを求めました。菅首相は、最賃引き上げについては現状の不十分な対策を紹介するにとどまりました。

 市田氏は、高すぎる国保料のため納めることができる世帯が8割台にとどまり、特別養護老人ホームの待機者が42万人に達している実態を示し、「大企業には減税をし、社会保障を切り捨てながら、社会保障のためという口実で庶民には消費税の増税を検討する。こんな無理、無体なことはない」と批判。財源と言うなら大企業や大資産家に応分の負担を求めるべきだとただしました。

 TPP(環太平洋連携協定)参加については、EU諸国の平均的経営を上回るまで規模拡大をしてきた北海道の畜産・酪農で経営危機が広がっていることを示し、「規模を拡大すれば『競争力ある農業』が育つと言うのはまったくの幻想だ」と批判。首相は「国内農業と両立させる」などと繰り返すだけでした。市田氏は「各国の食料主権を保障する貿易のルールを確立すること、価格保障を軸に所得補償制度を組み合わせることこそ、日本農業の再生の道だ」と強調しました。



ちょっと長いですが・・・代表質問全文です

2011-01-28 19:46:24 | 日本共産党政策・提言等

志位委員長の代表質問 衆院本会議


 日本共産党の志位和夫委員長が、27日の衆院本会議でおこなった代表質問は次の通りです。


写真

(写真)代表質問に立つ志位和夫委員長=27日、衆院本会議

 私は、日本共産党を代表して、菅総理に質問いたします。

 質問に入る前に、各地に被害をもたらしている鳥インフルエンザ問題で、政府が防疫体制の徹底、農家への補償などの対策に万全を期すよう求めるものであります。

 一昨年の政権交代で国民が民主党政権に寄せた期待は、幻滅に、そして怒りへと変わっています。私は、いくつかの国政の基本問題で菅政権の問題点をただすとともに、今日の閉塞(へいそく)状況を打ち破る方策を提案するものです。

経済危機の打開――総合的な賃上げ政策によって家計・内需主導の経済成長を

こんな異常な「賃下げ社会」でいいのかが問われている

 まず日本経済の危機をどう打開するかについてです。今の日本を覆う閉塞感の根源に、働く人の賃金が長期にわたって減り続けているという問題があることは、立場の違いを超えて広く指摘されていることです。民間の賃金は、ピーク時の1997年から年収で平均61万円、総額で30兆円も減りました。年収200万円以下の「働く貧困層」は1100万人まで増えました。今春就職予定の大学生の就職内定率は68・8%と過去最悪です。その一方で、大企業の内部留保――ため込み金は増え続け244兆円に達し、現金、預金など手元資金だけでも62兆円と「空前のカネ余り」になっています。

 こんな異常な「賃下げ社会」でいいのかが問われています。一方で働く人の貧困の拡大、他方でごく一握りの巨大企業への富の蓄積――これがGDP(国内総生産)の6割を占める家計消費と内需を冷え込ませ、日本の経済成長を止めてしまっているのです。総理、ここにこそ日本経済の抱える最大の問題があるという認識はありますか。

 国連貿易開発会議(UNCTAD)の最新の報告書は、日本を名指しして、輸出競争力を理由に人件費を抑える従来の手法から、賃上げを通じた内需拡大と雇用創出への転換を求めました。賃上げを通じて、日本が家計と内需主導の健全な経済成長を実現することは、国際的要請ともなっているのです。総理は、国連機関のこの提起をどう受け止めますか。答弁を願いたい。

総合的な賃上げ政策を「ワンパッケージ」で実行に移せ

 この問題を、労資の問題と、政治が傍観していることは許されません。私は、「賃下げ社会」から脱却するために、政府がつぎのような総合的な賃上げ政策を「ワンパッケージ」で実行することを、提案するものです。

 第一は、労働者派遣法の抜本改正、有期労働の規制強化、均等待遇のルールの確立などによって、非正規社員を正社員にすることです。低賃金で不安定な非正規雇用の拡大こそ、「賃下げ社会」の最大の要因であることは、政府の『労働経済白書』も認めています。「雇用は正社員が当たり前」のルールを確立すべきだと考えますが、いかがですか。

 第二は、最低賃金を時給千円以上へと大幅に引き上げることです。そのためには、中小企業への支援の抜本的拡充が必要です。欧米では最賃引き上げのために年間数千億円もの予算を組んでいます。ところが、政府の「最低賃金引き上げに向けた中小企業への支援事業」はわずか50億円、あまりにお粗末ではないですか。中小企業への支援の抜本的拡充と一体に、時給千円以上を本気で目指すべきです。国や自治体が発注する事業での「官製ワーキングプア」をなくす公契約法を制定すべきです。答弁を求めます。

 第三は、雇用の7割を支えている中小・零細企業への本格的な支援で、大企業で働く労働者との賃金格差をなくすことです。いま、中小・零細企業の労働者の賃金は、大企業の5割から7割にまで落ち込んでいます。大企業による中小・零細企業への際限ない「単価切り下げ」などが、そこで働く労働者の賃金を押し下げているのです。大企業と中小・零細企業との公正な取引のルールをつくり、労働者の賃金格差をなくすことを、産業政策の大目標の一つにおくべきではありませんか。

日航の「整理解雇」の強行――「4要件」を蹂躙し、「空の安全」を脅かす

 第四は、違法な退職強要、解雇、雇い止めをやめさせ、解雇規制のルールを強化することです。

 この点できわめて重大なのは、日本航空が、経営破綻を理由に、1万6千人もの人員削減を強行したうえ、昨年末に165名のパイロットと客室乗務員の整理解雇を強行したことです。この整理解雇は、日航が1460億円もの利益をあげていること、すでに自ら設定した人員削減目標を超過達成していることだけを見ても、判例で確立している「整理解雇の4要件」を乱暴に蹂躙(じゅうりん)するものであることは明白です。

 さらに、世界100カ国以上、10万人の民間パイロットで組織する国際操縦士協会は、日航が、病欠などを整理解雇の基準としたことについて、「このあしき前例が出来上がれば、乗員は体調不良にもかかわらず、職を守るために乗務に就かざるを得ない危険な状況が発生しかねない」と、安全性への深刻な懸念を表明しています。

 総理は、19日、日航の稲盛会長と会談し、「私が期待した以上の成果を上げた」と称賛しました。日航の整理解雇は「整理解雇の4要件」を満たすものだと考えているのですか。「空の安全を危険にさらす」との世界のパイロットの声にどう答えるつもりですか。わが党は、総理が、無法な整理解雇を中止するよう日本航空を強く指導することを求めます。見解をうかがいたい。

TPP参加に反対、「食料主権」にもとづく貿易ルールを

 つぎにTPP(環太平洋連携協定)について質問します。総理は、施政方針演説で、「平成の開国」を掲げ、TPP交渉参加にむけた協議を表明しました。

 総理は、「アジアの成長をわが国に取り込む」などとのべ、その方策としてTPPを位置づけています。しかし、韓国、中国、タイ、インドネシアは、TPPと一線を画す姿勢をとっています。アジアでTPP交渉に参加している国は、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、マレーシアだけであり、そのすべてが日本とFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)をすでに締結している国です。したがって日本にとってTPP参加の意味あいは、米国とのFTAということになるのではありませんか。

「自給率50%」と「関税ゼロ」がどうしたら両立するか

 そのことによって失うものは何か。まず何よりも国民への食料の安定供給です。TPPとは、農産物も含めてすべての品目の関税をゼロにする協定です。「関税ゼロ」となれば、食料自給率は40%から13%に急落し、コメ生産の90%が破壊され、農林水産物の生産は4兆5千億円も減少する。これは他ならぬ農水省がおこなった試算です。政府は、昨年3月に、食料自給率を40%から50%に引き上げる「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定しています。「自給率50%」と「関税ゼロ」がいったいどうしたら両立できるのですか。具体的に説明していただきたい。

 「大規模化」ですか。しかし日本で最も平均耕地面積が広い北海道と比べても、アメリカは10倍、オーストラリアは約150倍という広さであり、どうやって競争するというのですか。「戸別所得補償」ですか。しかし農産物だけで4兆1千億円もの生産減による減収を、すべて所得補償で補うのですか。その財源をどこから持ってくるのですか。どれも現実を全く無視した暴論ではありませんか。

 「自給率50%」と「関税ゼロ」は、絶対に両立不可能であり、TPP参加は、農林水産業を破壊し、関連産業を破壊し、地域経済を破壊し、国土と環境を破壊し、そして国民への食料の安定供給を破壊する「亡国」の道だと考えますが、いかがですか。

日本の経済主権をすべて米国にゆだねることになるのではないか

 もう一つ失うものがあります。それは日本の経済主権です。1月20日付で政府がまとめた「TPPに関する各国との協議」と題する報告書があります。そこには、TPPに参加するには、「全ての交渉国の同意」が必要であり、米国については「議会の同意を取り付けることが必要」だと明記されています。これから参加する国は、米国の要求を一方的にのむしかなくなるのです。TPPは、食料だけでなく、金融、保険、医療、国の公共事業への参入、看護師などの労働力の自由化も、交渉内容とされていますが、これらにかかわる日本の経済主権をすべて米国にゆだねることになるのではありませんか。これを「売国」の政治といわずして何というのか。

 日本共産党は、「開国」どころか、「亡国」と「売国」のTPP参加には絶対に反対です。経済の世界化がすすむなかで、貿易の拡大はもとより当然の流れです。しかし、食料、環境、雇用など、市場まかせにしてはならない分野まで自由化一辺倒であってはなりません。とりわけ食料については、世界の大きな流れとなりつつある「食料主権」――自国の食料は自国で生産するという立場にたった貿易ルールの確立こそ強く求められています。そのことは地球的規模での食料不足と飢餓が広がるなかで、いっそう切実です。総理の見解を求めます。

消費税増税は論外、社会保障拡充、大企業・大資産家への応分の負担こそ

 総理は、施政方針演説で、「社会保障改革とともに、消費税を含む税制抜本改革」をすすめると表明しました。

公約違反の社会保障削減――拡充へと転換する意思はあるか

 しかし「社会保障改革」といいますが、菅政権が現にすすめていることは何でしょう。自公政権時代につくられた社会保障費削減の「傷あとを治す」という公約を投げ捨てただけではなく、逆に、「傷口を広げ」、そこに塩をすり込む冷酷な政策を、あらゆる分野で押しつけることではありませんか。

 後期高齢者医療制度の問題で、政府が決定した「新制度」案は、75歳以上を形式だけは国保や健保に戻しつつ、引き続き現役世代とは「別勘定」にするというものです。これでは、民主党が総選挙で即時廃止すると公約した「国民を年齢で差別する仕組み」がそのまま残るではありませんか。

 さらに「新制度」案には、自公政権ですら手をつけられなかった所得の少ない人への保険料軽減措置の縮小、70から74歳の窓口負担の2割への引き上げも盛り込まれています。これも、窓口負担や保険料負担の維持・軽減という民主党の総選挙公約に真っ向から反するものではありませんか。差別温存、負担増拡大の「新制度」案は撤回すべきです。後期高齢者医療制度は即時廃止し、老人保健制度に戻して差別の根を断ち、国庫支出を増額して、誰もが安心してかかれる医療制度への改革をはかるべきです。総理の答弁を求めます。

 高すぎる国民健康保険料の問題も、全国どこでも大問題です。滞納世帯は、445万世帯、正規の保険証が取り上げられた世帯は152万世帯におよび、お金の心配で医者にかかれず命を落とす悲劇が後を絶ちません。

 政府は、保険証取り上げなどの非道な制裁、預金・給与の差し押さえなど、生存権を侵害する取り立てを強化していますが、08年度の国保料の収納率は80%台に下落し、最低を記録しました。どんなに厳しい制裁や取り立てでも収納率向上に役立たない――保険料が高すぎて払いたくても払えないのです。それならば、自公政権が減らしつづけてきた国庫負担を増やして国保料を引き下げる――これが国保制度を持続可能にする唯一の方法であり、民主党もかつては公約してきたことではありませんか。

 ところが民主党政権がおこなったことは、市町村がおこなっている一般会計からの国保会計への繰り入れをやめ、「国保料の引き上げ」に転嫁せよという通達を出すことでした。いま、市町村が独自におこなっている繰り入れの総額は3700億円に達し、それをやめれば国保料はさらに1人平均1万円もの値上げになります。高すぎる国保料にさらに追い打ちをかける通達はただちに撤回すべきです。国庫負担を増やして国保料値下げに踏み切ることを、強く求めるものです。

大企業減税のバラマキがどうして「雇用と投資」につながるか

 他方、「税制改革」といいますが、菅政権が最初に手をつけたことは何か。法人税の税率を5%引き下げ1兆5千億円もの大企業への減税のバラマキをおこなうこと、証券優遇税制の2年間延長による大資産家への減税をつづけることです。総理は、これが「雇用と投資」につながるかのようなことを言っていますが、その保障はどこにあるのですか。具体的に示していただきたい。「空前のカネ余り」にある大企業に減税しても、内部留保がさらにつみあがるだけではありませんか。

 一方で社会保障の切り捨てを続け、他方で大企業への減税のバラマキをおこないながら、消費税の増税など論外というほかありません。いまとりくむべきは、社会保障を削減から拡充に転換すること、大企業・大資産家への行き過ぎた減税をただして応分の負担を求めること、米軍への「思いやり予算」をはじめ軍事費に縮減のメスを入れる改革ではありませんか。

米軍基地と日本外交――“戦争力”でなく、国際的道理に立った“外交力”こそ

 最後に米軍基地と日本外交の問題です。総理は、沖縄・普天間基地の問題について、「辺野古移設」の日米合意をあくまで推進する立場を表明しました。しかし、「県内移設反対」「普天間基地の閉鎖・撤去」という沖縄県民の総意は、もはや揺らぐことはありません。それは、仲井真知事が「県内はすべてバッド」と否定していることからも明らかです。総理は、本気で「県内移設」が可能だと考えているのですか。県民の意思はもはや変わることはないことを率直に認め、日米合意を白紙に戻し、無条件で普天間基地の返還を求める立場に、いまからでも立つべきではありませんか。総理が説得すべきは沖縄ではありません。米国政府こそ説得すべきなのであります。

 これは世界のなかで日本がどういう進路を歩むか、その選択を問う問題でもあります。基地押しつけ勢力は、尖閣問題、朝鮮半島問題、千島問題など、日本を取り巻く紛争問題をあげて、「日米安保の強化が必要だ。沖縄の基地はやむをえない」などと言いつのります。政府は、「動的防衛力」などと自衛隊を米軍とともに海外に展開する軍隊に変質させ、今後5年間で23兆5千億円にのぼる軍備増強をすすめようとしています。しかし、日本を取り巻く紛争問題の解決に必要なものは軍事同盟という“戦争力”でしょうか。国際的道理に立った“外交力”こそ必要ではないでしょうか。

 そして、日本政府は、そうした“外交力”を発揮してきたといえるでしょうか。尖閣問題でも、千島問題でも、歴史的事実と国際的道理に立った外交交渉をやってきたといえるでしょうか。朝鮮半島の問題でも、対話と交渉による解決のために、憲法9条をもつ国にふさわしい外交努力を果たしてきたといえますか。対米従属、軍事偏重、外交不在こそ、日本外交の姿ではありませんか。

 ここでも転換が求められています。日本共産党は、憲法9条を生かした平和外交によって東アジアに平和的環境をつくる努力を重ねつつ、日米安保条約を解消し、対等・友好・平等の日米関係への転換という目標を高く掲げて奮闘する決意を表明し、質問を終わります。



閉そく打開の展望示します

2011-01-28 12:37:25 | 日本共産党政策・提言等

2011年1月28日(金)「しんぶん赤旗」

経済危機 TPP 社会保障 米軍基地

閉そく打開の展望示す

衆院本会議 志位委員長が代表質問

日航「整理解雇」中止させよ


 今の日本を覆う閉塞(へいそく)状況をどう打ち破るか――。日本共産党の志位和夫委員長は27日、衆院本会議で代表質問に立ち、経済・外交の基本問題で菅政権の姿勢をただすとともに、閉塞状況を打破する展望を正面から示しました。 (代表質問全文)


写真

(写真)代表質問に立つ志位和夫委員長=27日、衆院本会議

 志位氏は、今日の日本社会の閉塞感の根源に賃金が長期に減り続けている問題があるとして「異常な『賃下げ社会』でいいのかが問われている」と指摘。国連貿易開発会議(UNCTAD)も、日本に対し“輸出競争力を理由に人件費を抑える従来の手法から、賃上げを通じた内需拡大と雇用創出への転換”を求めており、「日本が家計と内需主導の健全な経済成長を実現することは国際的要請ともなっている」と強調しました。その上で政府が、「総合的な賃上げ政策」をワンパッケージで実行すべきだと提案しました。首相は、従来の施策をくり返すだけでした。

 志位氏は165人のパイロットと客室乗務員の「整理解雇」を強行した日本航空の無法を告発。判例で確立している「4要件」を蹂躙(じゅうりん)し、安全も脅かすとして、強力な中止指導を求めました。首相は「司法の場で判断される。お答えは差し控えたい」と無責任な態度を示しました。

 環太平洋連携協定(TPP)の問題では、志位氏が、食料自給率が13%に急落するという農水省の試算を示し、政府目標の「自給率50%」となぜ両立できるのかと迫りました。首相は自給率についてなんら答えることができませんでした。

 志位氏はTPPへの参加には米国の同意が必要となり、食料だけでなく幅広い分野で日本の経済主権を米国に委ねることになると指摘。「亡国」と「売国」の政治には絶対反対と表明するとともに、食料は自国で生産するという「食料主権」の立場にたった貿易ルールの確立こそ求められていると語りました。

 首相のいう「税と社会保障の一体改革」について、志位氏は「一方で社会保障の切り捨てを続け、他方で大企業への減税のバラマキを行いながら、消費税の増税など論外だ」と批判。取り組むべきは、社会保障の削減から拡充への転換であり、大企業・大資産家に応分の負担を求め、軍事費を削減する改革だと提案しました。首相は、公約破りの社会保障切り捨てに、なんら反省を示さず、大企業減税を正当化しました。

 志位氏は、領土問題など日本を取り巻く紛争問題を理由に日米安保の強化や沖縄の米軍基地の必要性を説く勢力を批判。解決に必要なのは“戦争力”ではなく、国際的道理に立った“外交力”だと力説し、憲法9条を生かした平和外交を求めました。


提案のポイント

 ○総合的な賃上げ「パッケージ」の実行

  (1)非正規労働者の正社員化

  (2)最賃を中小企業への支援と一体で時給1000円以上へ引き上げ

  (3)中小企業を支援し賃金格差をなくす

  (4)解雇規制のルールを強化

 ○TPP参加に反対、食料主権にもとづく貿易ルールを

 ○消費税増税は論外、社会保障拡充、大企業・大資産家に応分の負担を

 ○“戦争力”ではなく国際的道理に立った“外交力”で東アジアの平和を



NHK「日曜討論」

2011-01-25 18:36:43 | 日本共産党政策・提言等

2011年1月24日(月)「しんぶん赤旗」

NHK「日曜討論」

穀田国対委員長の発言


 日本共産党の穀田恵二国対委員長が、23日のNHK番組「日曜討論」でおこなった発言を紹介します。


改造内閣―民主党政権は自民とうり二つ

 冒頭、菅第2次改造内閣への与謝野馨経済財政相の起用が議論となり、民主党の安住淳国対委員長は、与謝野氏について「社会保障全般の深みのある議論の軸として歓迎している」「自民党から『たちあがれ日本』へ行ったときは厳しい批判はなかった」と弁明しました。

 穀田 いまの菅政権は、国民が「政治を変えたい」と思った願いを裏切りました。政権交代後、わずか1年半で民主党政権は自民党とうり二つだということが明らかになった。その象徴が与謝野さんの入閣だと思います。(一昨年の)総選挙で民主党は4年間は消費税を上げないといいました。ところが当時、自民党の主要な閣僚だった与謝野さんは増税の旗振り役をやりました。(与謝野氏を)菅政権の要にすえて消費税の旗振りをさせて恥じないところに、民主党内閣がいかに自民党化したかの象徴があります。そこを追及していきたい。

 同時に外交問題では、いま民主党が日米軍事同盟路線に舵(かじ)を切り、深化させる方向にいっています。沖縄の米軍普天間基地(宜野湾市)の辺野古(名護市)移設という「日米合意」を実行することで県民の総意を踏みにじろうとしている。これを糾弾したいと思っています。

2011年度予算案―大企業に減税、庶民に増税

 続いて、2011年度予算案が議論となり、民主党の安住氏が来年度予算案の「修正」に言及。自民党の逢沢一郎国対委員長は「政権与党が国会が始まる前に修正に言及するのは絶対の自信作でないことを明らかにしている」としつつ、「われわれの主張をできるだけ法案に盛り込むかたちで成立を期していく」と応じました。

 穀田 (来年度)予算案を考える場合に、いまの国民の暮らしの現状はどうかというところに思いを致さなければならないと思います。

 労働者の場合、年間の収入は前年に比べて24万円も下がっている。学生の就職内定率は68・8%で過去最低。農業に従事している人たちは、(米価暴落で)コメをつくっても飯が食べられない。中小企業は仕事がない。こういう現状の暮らしの応援をどうするかが問われています。

 ところが、いま資本金10億円以上の大企業は、内部留保だって244兆円も積み上げていて、金余り現象といわれる実態です。そういうところには法人税減税で5%減税して助けてあげる。さらには(大資産家に)証券優遇税制で、民主党が野党の時代に大金持ち減税だといったことをやる。そして消費税を庶民には押し付けてくる。こういう(菅内閣の)逆さまなやり方を、私たちは明らかにして、その転換を展望して対峙(たいじ)していきたいと思います。

一体改革―実態は社会保障改悪と消費税の増税

 この後、菅内閣のすすめる社会保障と税制の一体改革が議論となり、たちあがれ日本の片山虎之助参院幹事長が「消費税を考えなければいけないのは(民主党と)似ている」と発言。社民党の照屋寛徳国対委員長が「持続可能な社会保障とは何か、熟議をつくそう」と述べ、みんなの党の山内康一国対委員長も「改革はわかる」と応じ、民主党の安住氏が「片山、照屋、山内氏も(社会保障の)持続可能性が難しいという認識は一緒」と歓迎。公明党の漆原良夫国対委員長も、超党派の議論を呼びかけていると発言しました。これを穀田氏は次のように批判しました。

 穀田 (菅内閣は)社会保障と税制の一体改革といっていますが、社会保障については改悪だらけですよ。与謝野さんは年金の支給開始年齢を遅らせることまで言及しました。医療でいうと、国保(国民健康保険)料は高すぎる。介護(保険料)についても払うに払えない事態が生まれています。

 一方、財政が足りないといって法人税減税で1兆5000億円もばらまく。大資産家に対しては証券優遇税制をやる。結局、どうなるかというと、社会保障は削る、一方で(大企業などに)減税のばらまきをする。そして、最後は消費税増税で庶民に負担を負わせるやり方自身に大きな問題点があると思います。ですから、(社会保障と税制の)一体改革じゃなくて、社会保障は改悪、消費税は負担という政治をいま狙っている。私どもはこれを明らかにしていきたいと考えています。

小沢一郎元代表の問題―証人喚問で真相と政治的道義的責任を明らかに

 最後に民主党の小沢一郎元代表の衆院政治倫理審査会への出席拒否と証人喚問が論点となり、安住氏は、小沢氏の政倫審出席拒否について「遺憾」としつつ、「証人喚問は1人の議員の身分にかかわる話。予算委員会の審議で理事会を中心に議論を」と発言。社民党の照屋氏は「強制起訴でも、無罪になるかもしれない。軽々に進めてはいけない」と小沢氏を事実上、擁護しました。

 穀田 この問題は、国会の役割は何かということです。国会は疑惑の真相を究明する(役割があります)。(小沢一郎元代表の資金管理団体の)4億円の原資は何であったか、公共事業の受注との絡みで献金が行われていたのではないか。つまり、国民の税金が政治家に還流し、政治がゆがめられたのではないかという疑惑の解明が国会に求められているんですね。この真相究明とあわせて、政治家の政治的道義的責任を明らかにすることが求められているんです。

 政倫審は弁明の場で、非公開で意味をなさないのは明らかです。ですから、(国会に)来ないといっている人を来させようと思ったら、強制力のある証人喚問を行う議決をして、民主党がOKといえば来れるわけです。(小沢氏に)来ていただいて、うそをついてはならないところで(開催)できる証人喚問しかないと思います。

 (小沢氏の)処分をどうするかは民主党の問題であって、国会での説明責任を果たさなければならないことは消えるものではありませんから、証人喚問をやらない理由にはなりません。問題は、民主党が処分を決めるというなら、きちんと証人喚問をOKすると決めればいいんですよ。