彼にとって、私たちの父なる神の美しい世界は、単に貨幣を探す場所にすぎなかった。

ある日、ひとりの少年が道を歩いていて、一枚の金貨が落ちているのを見つけた。
彼は成人したが、歩くときいつも、貨幣が落ちてないかと地面を見ながら歩く癖がついてしまった。
彼は、道のわきの美しい木や花を、決して見なかった。
また、紫色の丘、麗しい谷、壮大な山を、決して見なかった。
彼にとって、私たちの父なる神の美しい世界は、単に貨幣を探す場所にすぎなかったのである。
山頂をめざして　カウマン夫人著より