サーカスな日々

サーカスが好きだ。舞台もそうだが、楽屋裏の真剣な喧騒が好きだ。日常もまたサーカスでありその楽屋裏もまことに興味深い。

絶妙なタイトル/池田晶子(哲学家)/46歳

2007年03月03日 | 毎日がメメント・モリ

「14歳からの哲学」池田晶子さん死去 46歳、腎がん

2007年3月2日(金)22:20
  • 朝日新聞

 27万部のベストセラーになった「14歳からの哲学」で知られる文筆家の池田晶子(いけだ・あきこ、本名伊藤晶子=いとう・あきこ)さんが2月23日、腎臓がんのため死去した。46歳だった。葬儀は近親者ですませた。


 慶応義塾大哲学科卒。専門用語を使わず、わかりやすく哲学を考えるエッセーで若い読者に読まれ、「14歳からの哲学」は中学校の道徳の副読本にも使われている。他の著書に「14歳の君へ」「知ることより考えること」など。昨夏、病気がわかり入院、いったん退院したが、今年1月に再入院した。亡くなる直前まで、週刊誌の連載執筆を続けていた。

哲学を専攻する女性というのは、滅多にいない。池田晶子は、古書の紙魚に囲まれた哲学の世界を、「哲学する」ということはこんなに楽しいことなのよ、とPOP化した人だったと思う。女性の哲学・思想化という意味では、日本ではどちらかというと、高群逸枝を嚆矢とするフェミニストの流れか、森崎和江ら地方の土着思想の流れか、というように勝手に思い決めていた僕にとって、なんとなく教科書的な読み方をしていたように思う。だからどちらかというと、豊穣な女流文学や随筆家の作品の方が愛していたように思う。むしろ、若い日のスーザン・ソンタグの論稿などは、颯爽としてラディカルで、海外の女性論者に傾倒した時期もあった。ただ、池田晶子は、そんな僕などのスノッブな読書を笑い飛ばすように、哲学することの快楽を説いたのである。

いつも、書店で、彼女の書籍を手にとるとき、とてもタイトルのつけ方がうまい人だなあ、と思っていた。「14歳からの哲学」なんてとてもいい題名だ。村上龍も松岡正剛も吉本隆明も「○○歳の~」という著書があるが、池田晶子に準じたわけではあるまいが。
主要著書のタイトルをwikiから引用しました。ね、いいタイトルでしょ。「睥睨するヘーゲル 」なんてゾクゾクしますね。


  • 最後からひとりめの読者による埴谷雄高論(河出書房新社1987年
  • 事象そのものへ! (法蔵館1991年
  • メタフィジカ! (法蔵館、1992年
  • 考える人 口伝西洋哲学史 (中央公論社1994年
  • オン! 埴谷雄高との形而上対話 (講談社1995年
  • 睥睨するヘーゲル (講談社、1997年
  • 残酷人生論 あるいは新世紀オラクル (情報センター出版局、1998年)
  • 2001年哲学の旅 (新潮社2001年
  • 帰ってきたソクラテス (新潮社、2002年
  • ロゴスに訊け (角川書店、2002年)
  • ソクラテスよ、哲学は悪妻に訊け(新潮社、2002年)
  • 14歳からの哲学―考えるための教科書 (トランスビュー2003年
  • あたりまえなことばかり (トランスビュー、2003年)
  • 新・考えるヒント (講談社、2004年
  • 41歳からの哲学 (新潮社、2004年)
  • さよならソクラテス (新潮社、2004年)
  • 勝っても負けても 41歳からの哲学 (新潮社、2005年
  • 人生のほんとう (トランスビュー、2006年
  • 知ることより考えること (新潮社、2006年)

本人が編集者とのトラブルで絶版にしちゃった処女作「最後からひとりめの読者による埴谷雄高論」を探し出して、ぜひ読んでみたいと思います。天国で埴谷さんと、時間を気にせず、哲学問答をしてください・・・合掌!


 



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