高校を舞台にガールズバンドの奮闘をさわやかに描いた青春人間ドラマ。出演は『ほえる犬は噛まない』『TUBE』のべ・ドゥナ、『バトル・ロワイアル』シリーズの前田亜季、『ローレライ』の香椎由宇、そしてロックバンドBase Ball Bearのベーシスト・関根史織。監督は『リアリズムの宿』の山下敦弘。ハイティーンの女の子たちの心の微妙な心の揺れや高揚を繊細に描き出す。[もっと詳しく]
単なる「学園ドラマ」がなぜ、僕たちに元気をくれるのだろう。
いったいなぜ、この単なる学園映画に、50歳を過ぎた僕まで、元気にしてくれるような要素があるのだろう。
観終わった僕は、しばらく、「リンダ リンダ」の歌詞を頭にめぐらせながら、そう思ったものだ。
「ブルーハーツ」の名曲、「リンダ リンダ」。
ブルーハーツがメジャーデヴューしたのは、1987年である。
「ミュージックステーション」などで、パンクバンドらしく歌っていた甲本らをよく覚えている。
この主人公の女子高校生たちの生まれた頃だろう。
しかし、やはり、「リンダ リンダ」をはじめ、いくつか挿入されている彼らのロックパワーによるものなのだろうか?
もっとも注目される若手監督ともいわれる。
高校時代から短編を作り始め、長編としては「どんてん生活」(1976年)「ばかのハコ船」(2002年)「リアリズムの宿」(2003年)を経ての4作目となる。
1976年生まれの若き秀才山下敦弘監督の、映画作りのうまさによるものなのだろうか?
「バトル・ロワイアル」でも好演したドラム・響子役の前田亜紀、現役女子高校生バンドの一員でもあるベース・望役の関根史織、「平成の原節子」などと少し洋風の美貌を形容されるキーボードから急造のギターに転じた恵役の香椎由宇。
この3人の等身大の女子高校役ぶりに好感をもったのだろうか?
4人ともそれぞれの味をだしてましたね。
ひょんなことからバンドのボーカル役に指名されたソン役のペ・ドゥナ。
「ほえる犬は噛まない」「子猫をお願い」「TUBE」「復讐者に憐れみを」作品ごとに、あらたな魅力を提出している。
その韓国人気女優のペ・ドゥナが、日本の学園を舞台にした低予算映画に留学生役で出演した。そして、日本語がトンチンカンなそのぶんだけ、コメディエンヌとしての魅力を発揮できた。
その、融合に、感嘆したのだろうか?
舞台はどこにでもありそうな高校として設定されている芝崎高校。
「ひいらぎ祭」は、もうすぐだ。
オリジナルソングを歌うバンドは、しかしギターの萌が指を負傷、そのことでボーカル凛子とも仲違いになり、バンドは解散状態。
しかし、偶然聴いたブルーハーツの曲をコピーしようと決め、また偶然通りかかったソンをボーカルに誘うことで、ともかく急造バンドの特訓が始まったが・・・。
体育館、理科の実験室、部活の部屋、下駄箱、プール、屋上・・・。
どこにでもある高校。そんな舞台装置が出てくると、一挙に、その時代にワープしてしまう。
その時代。 真面目さと不真面目さ。熱血と冷淡さ。執着と淡白さ。おしゃべりとだんまり。ご機嫌と不機嫌。仲間意識と孤独癖。自意識と自己放棄。相反するような感情が、どちらも共存する。
自分で自分がわからない。だから、確かめようとする。きわめて、不器用に。息苦しさがたまっていく。どこに、暴発するのか、わからない。けれど、干渉されるのはいやだ。そして・・・。
僕は、一挙に、高校時代に戻った。
僕も4人組でバンドをしていた。バンドのひとりが、受験を理由にバンドを降りた。
夏休み。県大会も地区大会も通過した。全国大会への招待状が来ていたのに。
僕は、馬鹿野郎という言葉を押さえ、最後の公演を終えて、解散した。
バンドを降りたメンバーの恋人が一学年下で、ピアノをやっていた。
彼女は、バンドを続けたがったが、僕は、断った。
誰にでもある、青春時代の楽しくそして苦い記憶が、僕にも、一挙に甦った。
急造バンドは、徹夜の練習に疲れて、目覚めると発表会の時間が近づいている。
外は大雨。びしょぬれになりながら、彼女達は疾走する。
仲間は、体育館で、間をつないでくれている。
息を切らせて、びしょぬれの制服姿で、彼女達は、それぞれの位置につく。
ボーカルのソンはドキドキして、みんなを振り返る。
ギターの恵、ベースの望、みんながうなずく。
「私たちは、ここで、こうして、歌いたいのよ!」
ドラムの響子が、力いっぱいペダルを叩き始めた。
そのリズムは特徴的で、観客には何の歌かすぐわかる。
期待が高まる。ソンは歌い始める。観客も歌い始める。僕も、口の中で、歌い始める。
「ドブネズミみたいに美しくなりたい・・・」
ペ・ドゥナは、とぼけた留学生を好演!
ああ、そうだ。僕も、ここで、こうして歌いたかったんだ。
歌うには、元気が要る。
いつもそうだった。エネルギーを貯めなければならない。
ちゃんと、ぶつけるために。
この映画が僕に元気を与えてくれたひとつの理由が、分かった気がした。
そうですね、オバカ映画に居直ってるようなのが多いですね。困ったものです(笑)
僕もこの映画を観て高校生時代を思い出しましたよ。こんなにしゃかりきに練習したことはなかったですけどね。
日本映画は若者を主人公にするとオバカ映画になってしまうことが多いのですが、この映画はその点しっかりと女の子たちの悩みや不安、そして懸命さとはじける若さを描いていました。傑作というほどではないですが、大いに好感の持てる映画だったと思います。
学園ものって、クローズゼロとかビーパップハイスクールとか、学園腕力格闘技みたいな世界になるとヤンキーの男子が中心になりますが、リンダリンダみたいな世界だと、やっぱ、女の子のほうが、圧倒的に元気あるね。
映画的なリズムでは矢口君のタッチが好きですが、中身ではこちらですかね。
中学を出て男女関係について勉強する大事な3年間を男子校で過ごした僕は、中学より一段と踏み込むはずの高校の男女の付き合い方が全く解らず、この作品のそれが実際と比べてどんなものなのか、ピンと来ないのでありますね(笑)。
まあ逆に勉強になった、ということで。
撮影はわが群馬の高校で行われたようです。
高崎・前橋の高校だったかな。
僕の母校ではなかったですけどね。
あの頃は、恥ずかしくなるほど、バカだったわけですけどね(笑)なんか、いまより、すっきりしている。
彼女たちのあの不器用さに、自分のあの頃を思い出してしまいました。
ご機嫌と不機嫌。
頭よりも感情が強かった頃。
いつしか頭の方が強くなってしまうんですよね。
ああ、そうですか。
ペ・ドゥナは「復讐者に憐れみを」の彼と、結婚じゃなく、一時期、同棲していたようですね。
また、ペ・ドゥナ嬢には、結婚歴はありませんよ。
ペ・ドゥナはいいですねぇ。
で、新作ですが、へんな怪獣出てくる「グエムルの怪物」。
試写会で観たけど、うーん、これは、さ・い・あ・く!(笑)
今更ですが、やっと観ることができてよかったです。
心に残る映画でしたよね。
ペ・ドゥナの新作が楽しみです。ではでは。。
名無しになっていますよ!(笑)
そうね、こういうケースよくあるけど、レンタル屋に希望出せば、取り寄せてくれるのかな?あるいは、パッケージを買えということなのかしらねぇ。
トラックバック&コメントありがとうございました!
山下敦弘監督作品って、なかなかレンタルビデオ屋さんに置いてないんですよね。
だから、この作品とくりいむレモンしか観た事なりません。
他の作品も観てみたいなー。
そういう思い入れの有無ということが、あるでしょうね。
ペ・ドゥナさんは、とっても買っている女優さんですが、作品ごとにあらたな魅力を見せてくれます。
この映画も、彼女のキャスティングは、大成功だったと思います。
この作品、高校時代にバンド活動をしているかいないかで、
かなりテンションが違うみたいですね。
しょうがないでしょうけど…。
その事を抜きにしても、個人的には微妙な作品でした。
「ペ・ドゥナ」と言う女優さんを知ったのが収穫でした。
ちょっと、暇していたので、発作的に(笑)
びっくりしたでしょう。
ときどき、発作がおきますので、ご容赦のほどを!
数が多いので、一番面白く読ませていただいた「リンダ リンダ リンダ」にコメントを書かせていただきます。
高校時代にバンドをなさってたんですね。僕も音楽部に入っていましたが、これは基本は合唱部でした。いずれにしても自分の高校時代を思い出さずにはいられない映画でしたね。
「エネルギーを貯めなければならない。ちゃんと、ぶつけるために。」この表現すごく気に入りました。映画の内容とも重なる言葉なのでとてもインパクトがあります。
先に送ったコメントのタイトルに間違ってアドレスを書いてしまいました。お手数ですがひとつ前のコメントを消してください。
よかったですね!!
高校時代を思い出しました!!
思い出ばっかりじゃだめなんですけどね(>_<)
今を精一杯楽しみたいですね。。
今度は、i-podに、この映画の「サントラ盤」を!
そういう意味では、この映画は、戦後世代の数十年ぐらいが共通する感覚がある、「国民的ドラマ」といっちゃ大げさだけど、そんな気がする。
ちょうど、「always三丁目の夕陽」が、体験していない若い世代まで懐かしさを感じたように、その逆バージョンのような気がしますね。
みなさんそうなんですね。ぼくもこの映画で学生時代のバンドを思い出しました。ブルーハーツは時を越え、世代は違えどそれぞれの青春時代に音楽を刻み付けていくのでしょうね!
このけだるそうな4人ですが、並ぶと、とっても絵になりますね。
近そうで遠い学園祭までの日常の切り取り方が秀逸でしたね。
女子高生の4人ならびの美しさ、そして、カメラの視線がそこにいるかのようで非常に良かったです♪
ハイ!私も高校時代にタイムトリップしてしまった一人です(笑)
この映画を見た後はずーっとブルーハーツ口ずさみまくりでした~。
この映画、はまった人、大いんやねぇ。
みんな、青春、思い出したかしらねぇ(笑)
女子高生とロックの組み合わせが
わたしには抜群にはまりました
では~
ラストの「祭りの後のわびしさ」というのも切なくてヨカッタですねぇ。
そして何より、ブルーハーツの音楽の素晴らしさ!!
僕は、日本アカデミー賞の主演女優賞を送って、あげたいよ。
等身大の彼女たちに好感が持てました。
日本語も覚束ないソンちゃんが
バンドに迎え入れられることによって
留学生から仲間になっていく過程が
心地よかったです。
僕の人生では、「なかったこと」になってるんですが(笑)。
高校のとき、LP盤(なつかしい)を製作し、ラジオのDJまがいもしてました。
青春は、なんでも許される。
TB、コメント、どうもありがとうございました♪
それでもって、映画的余韻がしばらくたつと、あの青春の日々から、「○○年たったんだなあ」と、遠い目をしてしまうんですよね(笑)
あるいは、こういう経験があるとか、
いや、部活でバンドやってなくても
文化祭の屋台のにおいまで伝わってきそうな映画で
懐かしいとかあるあると思った人は
ハマるのではないでしょうか。
映画のよしあしよりも自分の青春をオーバーラップ
させてしまいました。(・・・はーオバちゃんだわ)
こんにちは。封切はずいぶん前ですからね。僕は、みそこねて、DVDで観ました。いまからでも、上映館あれば、見に行きたいですね。
>crystal0127さん
落ち込んだとき、この映画で、元気がもらえそうですね。
>現象さん
昔はだけどバンドをやる人間、もっとつっぱっていましたね。映画の彼女達は、フツーなんだけど、やっぱ、どこか1点、頑固なところがあって、そこがいいな。
>rubiconさん
いまは、26歳ぐらいですかね。結婚もして、離婚もして。この映画では、一番若くみえましたけどね。役者はすごい。日本のファンも広げたでしょうね。
>もさん
しみじみ映画も好きなんですけどね。これは、率直に、元気になりましたね。
>natariさん
バンドは、ほとんどが、20歳過ぎるとやめてしまいますからね。なんか、なつかしさはありますね。もう一度、やりたい気持ちも、ほとんどの人が、持っているかもしれない。
この映画はなかなかなつかしのツボに入る作品でしたよね。
自分もバンドを少しかじってたので見ていて元気になりました。またいらしてくださいね。
こちらからもTB返しさせていただきます。
リンダ、リンダ、リンダ~思い出すとつい口ずさみたくなりますよね!
ペ・ドゥナさんの実年齢を知って、仰天しました
青いがゆえのもどかしさを交えてつつすがすがしい作品でした。
バンドやりたかったなぁと、
バンドブームに乗り遅れた昔の記憶が思い出されます。
夏に観たい映画です。
また、DVDで観たいと思っています。
元気をもらうために!
こちらにコメントさせて頂きますね。
この映画の記事を書いたのは随分前なのに、いまだに時々コメントやTBを頂いたりします(ごくごくたまにですが)。
それだけ観た人の心に深く染みている何かがあるということなんでしょうね。
スポ根ではないのに、見ている側が、はらはらして、応援したくなる。本人達、クール(笑)
無駄に熱くないのに、何故彼女らをこんなに
応援したくなってしまのか。ブルーハーツの荒
々しくも等身大の歌詞がすっごい心に響いてき
てしまいました!
「復讐者に憐れみを」では、全裸でラブシーンを披露ながら、たったひとりのアナキストを演じ、そして、復讐の対象になり、リンチされる役柄。
この作品とは180度違うけど、どこか、奇妙なつっぱしりをしてしまう、ファナティックな気質が、似ているのかなぁ。
どう観たのかなあ?日本の高校は、平和で、まったりしているなあ、とか(笑)
何度みても、きっと、なにかが疼く作品ですね。
このリンダ×3は韓国でも上映されたらしいですよ。
韓国通のおともだちが言ってました。
それなりにウケたらしいですね。
な~んか、この一種まったりとした空気感が
良くてね~
近々、またレンタルして観る予定です。
こんどは自宅のホームシアターでゴロゴロしながら(笑)
なんかそんなスタイルで観るのが正しいような映画にも
思えちゃって
へへへ。。。
コミュニケーションがなかなか噛みあわない。そういうもどかしさ。せつなさを、表現していたと思います。
>cyazさん
誰が、キャスティングしたんでしょうね。いい、発想でした。
>うぞきあさん
軽音楽同好会って、ありましたねぇ。だいたい、そこから、フォークとロックとJAZZの方向が、出てくるのですね。
私も高校時代は、軽音楽同好会に所属していました。
いつの時代も、かわらないものですね。
私も懐かしさから、元気をもらったような作品でした。
自分の学園祭のステージとそれに備えて練習していた若いころをこの映画に重ね合わせて観てました!
ドゥナちゃんがいいポジションにいてくれたことがこの映画のキーになっていました^^
それで、あの最後の『リンダ リンダ』がよけい際立ちますね。
青春って・・私もこの映画から元気をもらいました。
好きです。ソンさん。
また、映画を見たくなって来ました。笑