喜久家プロジェクト

日本一細長い半島、四国最西端「佐田岬半島」。 国内外からのボランティアとともに郷づくり「喜久家(きくや)プロジェクト」。

心の中にあるおじいちゃんの家

2017-02-16 | 感動
わたしの家は、ふたつある。


ひとつは自分の家。

もうひとつは、おじいちゃんの家。


お母さんとケンカした時、

わがまま言いたい時、

何もかも嫌になった時、

わたしは、もうひとつの家に行った。


おじいちゃんは、好き勝手に

突然やってくる孫娘を

いつでも笑顔で迎えてくれた。


わたし、おじいちゃんの笑顔に

何度も救われていたんだよ。



もうお別れだけど、

これからも心の中にある

おじいちゃん家に会いに行くからね。



愛されていた日々が、

守られていた日々が、

これからもわたしを

支えてくれる。




     「大きなのっぽの古時計」

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おじさんを偲び、カミュ・ナポレオンを飲む

2017-02-16 | 感動
 昨年、平成28年2月16日のブログをのぞいてみた。

「2月14日の日曜日、姉の義父に久しぶりに会った。
2年前、お伊勢参りの帰りに松山の家におじゃまして以来。

 大好きなおじさんだ。
鹿児島県枕崎出身の船乗り。
長い間、貨物船の船長として働いた。

 骨太の体格で、鍛えられた体は元気そのもの。
船乗りだが荒っぽいところは全くなく、物静かで笑った時の笑顔がとてもやさしい。
 時おり口から出る鹿児島なまりが、大学時代の親友を思い出させてくれるようで、
そんなところも大好きなところ。

 80歳を越えて、少し元気はなくなったものの、
おじさんの良さは変わらずにじみ出ていた。

 1時間ほどして帰るときに、
「よかったらこれ飲んで。
同じ船乗りで外国航路専門の弟から、40年前にお土産にもらったもの。
うちは誰も飲まないからどうぞ。」


 そんな貴重なお酒を私に。
とまどったが、ありがたくいただくことにした。

 豪華な箱を開けて感動。
ビンではなく、ブック型の陶器にナポレオンのデザイン。
しかも遊び心で、栓がナポレオンの帽子になっている。



 早速、家に帰り一杯。
んー。口あたりがやわらかく、まろやか。
これが長い時間が作り出す熟成の味だろうか。



 おじさんの気持ちも含め、
心もお腹も幸せで満たされた。

 毎晩の楽しみが増えた。
日々の暮らしの小さな幸せ。

 案外、幸せってとびっきりのことよりも
こんなものなのかもしれない。」

 
 このナポレオンはあまりに貴重な物だったので、まだ飲み切っておらず残しておいた。

 おじさんは、今年平成29年1月9日、静かに息を引き取られた。
 
 その2週間ほど前の年末12月23日にお見舞いに行ったときは十分話もできた。
 孫たちの成長や奥様との旅行話、ふるさと枕崎のことを
うれしそうに話されていた。

 10日に通夜。
そして11日が告別式。
 納棺のため、私の父と朝早く家を出た。
天気がとてもいい朝だった。



 葬儀場の入り口を入ると大きな柱時計がかかっている。
まるで亡くなった方の人生を刻んできたかのような、大きなのっぽの古時計。
おじいさんの時計だ。



 受付のそばには、おじさんが好んで着ていた深緑のダウンジャケットがかけられていた。
 奥様と仲良く撮った写真。
半世紀以上をつれそったご夫婦。


 
 午後1時から厳かに告別式が営まれ、
夕方、荼毘にふされ、天に昇って行かれた。
 船長だったおじさんは、舵をとり、天国へ船出した。


 今夜、おじさんの孫娘もも(私からすると姪)が、我が家に泊まることになっている。
おじさんを偲び、おじさんからいただいたあのナポレオンを一緒に飲みたいと思う。
 
                 岬人(はなんちゅう)
 
 
         
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