何気ない風景とひとり言

寺社&石仏巡り、小さな旅、散策...ふと目に留まった何気ない風景...切り取って大切な想い出に!

浄眞寺-(2) (東京)

2018年08月03日 | 寺社巡り-東京

【東京・世田谷区】浄土宗所依の経典である観無量寿経の説相によって伽藍配置がなされ、西面する穢土(此岸)を表す本堂に対面して浄土(彼岸)の世界を表す三仏堂(中品堂・上品堂・下品堂)が横並びで建つ。 三仏堂にはぞれぞれ三体、計九体の印相の異なる丈六の阿弥陀如来像が祀られている。 このことから「九品仏」が浄真寺の通称となっている。 九体の阿弥陀如来像が鎮座する阿弥陀堂は京都の浄瑠璃寺にも見られる。

三十三観音堂から参道に戻って仁王門に進むと、金剛柵の奥に鎮座する仁王像が迎えてくれる。 「紫雲楼」と呼ばれる重厚な仁王門、そして仁王門近くに建つ約300年前建立の鐘楼、いずれも組物や精緻な彫刻が実に素晴らしい。
仁王門をくぐり、心を躍らせながら右手の本堂後方にある「サギ草園」に....柵から身を乗り出して「サギ草園」を覗き込んで、茫然自失! 可憐な白い花が咲き誇っているはずだったが....目を凝らして探して葉の中に二輪だけ見つけた。 説明板には「花期は7月中旬から9月上旬で、地域によって違う」とあるが、8月上旬なのに残念だった。
気を取り直して三仏堂に向かう。 三仏堂には三体ずつ、多くの化仏をつけた金色の舟形光背を背負う丈六の阿弥陀如来像が鎮座している。 阿弥陀如来像の螺髪はいずれも鮮やかな青色だが、中国の寺院では青い螺髪の如来像が鎮座していることが多いので、これが本来の如来像のお姿なのだろう。
三仏堂の上品堂と中品堂の間の少し奥まったところに「阿育王塔」という三重塔が鎮座....大きな軒反りと均整のとれた石塔は印象に残る素晴らしいものだが、殆どの参詣者は素通りなので少し寂しい気がした。

入母屋造銅板葺で三間一戸の仁王門(紫雲楼)....寛政五年(1793)建立で、上層に「紫雲楼」の扁額

軒廻りは二軒繁垂木、上層の組物は三手先(二手目と三手目は尾垂木)、中備なし、また上層には格狭間入り桟唐戸と連子窓があり、逆蓮頭親柱勾欄付廻縁を設けている
 
廻縁を支える腰組は三手先で中備あり....中備は頭貫上は脚間に彫刻がある/一戸の中央の虹梁に精緻な虎と龍の彫刻が乗る
 
楼門で凄みを効かせる阿形吽形の仁王像....楼上には阿弥陀如来と二十五菩薩を安置している

仁王門の右脇に佇む4基の駒型青面金剛庚申塔....一番奥の石柱には「玻璃摩権現」と刻む

入母屋造銅板葺の鐘楼....宝永五年(1708)の建立

軒廻は二軒扇垂木、組物は三手先で中備は台輪上の中央に詰組と両側に蟇股

木鼻と飛貫に獅子・龍・兎・虎・鳥・花などの精緻な彫刻が施されている....梵鐘は深沢村の谷岡重頼が父母の菩提のために寄進したもの
 
本堂後方に造営されている「サギ草園」....浅い池に浮かぶ小島にサギ草が植えられている/「サギ草園」の傍にある「サギソウ(鷺草」の説明板

「サギ草園」の全景....手前の小島に白い花が二輪だけ咲いている
 
参道脇に佇む五重の塔燈籠....初層軸部は後補のようだ/前庭に佇む石灯籠....笠から上は古そうで、火袋から下は後補とみられる
 
本堂傍に聳える都天然記念物の「九品仏の銀杏」/本堂の擬宝珠勾欄付切目縁を支える縁束と床下の亀腹....縁束の陰影と青モミジの美しいコラボ

本堂前にある天保年間(1830~1844)造立の仏足石....中央に千福輪相(法輪)が刻

寄棟造銅板葺で小棟造りの本堂(龍護殿)....元禄十一年(1698)の建立

正面五間で中央間は両折両開で格狭間を入れた桟唐戸、内側に明障子....「龍護殿」の扁額
 
内陣に鎮座する法界定印(禅定印)を結ぶ釈迦如来坐像/本堂の回縁から眺めた庭園内に建つ宝形造銅板葺の五社殿

本堂に対面して南側に建つ寄棟造銅板葺の下品堂(左)....三仏堂はいずれも元禄十一年(1698)の建立

寄棟造銅板葺の上品堂(中)

上品堂に安置されている弥陀定印を結ぶ三体の阿弥陀如来坐像....多くの化仏をつけた金色の舟形光背を背負う

上品堂と中品堂の間に立つ三重層塔は「阿育王塔」
 
阿育王塔は天保年間(1830~1844)造立....阿育王は紀元前三世紀のインドの王で仏教を国教とし、慈悲の教えにより国を統治した

本堂に対面して北側に建つ寄棟造銅板葺の中品堂(右)

開山と歴代上人の御廟....正面の無縫塔は「珂碩上人之塔」
 
前庭の亀甲積基壇上に立つ石塔...宝塔(上部)と五輪塔(下部)を組み上げた形に見える/地蔵堂に鎮座する地蔵尊像....花頭曲線の入り口から拝観
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