けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

秀逸な橋下市長のサンフランシスコ市議会への公開書簡

2013-08-24 23:58:40 | 政治
今更・・・とウンザリする方もいるかも知れませんが、橋下大阪市長の反撃のニュースにみる学習についてコメントしてみたい。

8月22日の産経ニュースの中で全文が公開されていたので読んだのだが、これがなかなか良くかけた文章で、公開書簡というアプローチがまた良いところをついていると思う。この経緯については大阪市のホームページの下記のURLで橋下市長の言葉で語られている。

大阪市ホームページ「サンフランシスコ市議会へ公開書簡を送付しました

もともと、サンフランシスコ市議会で採択された非難決議が大阪市宛てに送られてきたのだから、これに対して回答を返すことでキャッチボールが成り立つはずである。しかし、韓国系のロビイストからすれば非難決議を出させた時点で目的は達成されたので、この大阪市からの返信などは黙殺するのが好都合である。サンフランシスコ市議の中で、本気で橋下市長のことを非難しようと考える議員などいないから、普通の返信であればあまり話題にならずにゴミ箱行きで終わりである。だからこそ、公開書簡という形で黙殺されずに、その返球をきっちりとグラブで受け取ってもらうために、この様な形式を選んだのであろう。
この公開書簡を読むと、幾つかの特筆すべきポイントがある。以下にそれを整理してみたい。

まず第1のポイントとして、この書簡には引用文献として二つの英語で記載された資料が添付されている。ひとつは「元慰安婦の方々への内閣総理大臣のおわびの手紙」であり、アジア女性基金などの活動との絡みで「総理大臣自らが、元慰安婦の方々にお詫びの手紙を綴っている事実」を示し、その証拠としてこの手紙を引用し、この全文を読んだ方に如何に日本が誠意ある謝罪をしてきたかを示している。さらに、所謂河野談話である「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話」についても引用し、その内容を紹介している。これは何を意味しているかといえば、橋下市長の慰安婦に関する考え方を相手に理解してもらう前に、日本という国が、如何にここまで真摯に歴史に向き合い、韓国や中国、アジアの国々に謝罪をしてきたかが書かれている。これは、キャノン・グローバル戦略研究所の宮家邦彦氏が繰り返してきたことだが、完全にロビー活動で洗脳されている人々に慰安婦問題に関する日本側の主張など聞かされても聞く耳は持たないから、本丸から少し離れたところで相手の誤解を解く努力が必要となる。相手が違和感を感じずに聞いてくれ易いのは日本の謝罪外交や歴史問題に対する努力であり、これを早い段階で相手にぶつけたことは大きい。大体、アメリカ人が本気で慰安婦問題を議論などする気は毛頭ないのだから、その本丸をいきなり突くのは賢明ではない。

次に第2のポイントは、アメリカ人的な発想からすると、世の中には「慰安婦問題を徹底的に非難する人(つまり誇張する人)」と「慰安婦問題を正当化する人(慰安婦はなかったという人)」のふたつの立場が対立し、その戦いの中で橋下市長は後者の「慰安婦問題を正当化する人」に分類していたのではないかと思う。韓国系のロビイストからすれば、「慰安婦問題を正当化する日本はけしからん!」と吹聴している訳だから、橋下市長がこの後者に該当していたらこの書簡をその時点で捨てられてしまっても仕方がない。これに対し、橋下市長は自分のスタンスを「慰安婦問題の正当化と誇張の両方を拒否」する立場と位置付け、だからこそ「歴史的検証を進める必要性」を説いている。これは、かっての日本外国特派員協会での記者会見の際にも明確に示していたが、それをより分かり易い形で明確化した点でポイントが高い。
次に第3に、反日運動という政治的動機に慰安婦問題が悪用されている可能性を示すと共に、それが日米韓の外交関係への悪化につながっていることを説明している。常識的に考えて、アメリカ国内に慰安婦像を設置するというのは論理的な説明に苦しむ問題である。過去のブログ、「ニューズウイーク(5/28号)の「韓国の自滅外交」から学ぶ」にも書いたが、アメリカは韓国と日本が仲たがいしていることに対して非常に迷惑に感じているのは事実である。その背景に「反日運動」があるのは理解した上で、それが「人道問題」だと信じるから非難決議まで行うのであるが、政治的な活動に人道問題を悪用しているとなれば、ウンザリしているアメリカとしては「もう、これ以上関与するのはよそうか・・・」という気持ちにもつながるから、その点をしっかりと明言することには意味がある。

次に第4に、以上の理性的に読み取る心の準備が出来た頃合いを見計らって、人権としての戦場の性の問題を本気で取り組むのであれば、日本という国家・国民を標的にしたネガティブ・キャンペーンではなく、世界中の戦場での性の問題に取り組むべきだと冷静に指摘している点である。特に重要なのは、この中で韓国軍が特にベトナム戦争で行ってきた悪事についても指摘している点であろう。韓国系の主張はあくまでも慰安婦像は女性の人権抑圧の象徴だとしているが、その点に橋下市長は理解を示したうえで、韓国だけが被害者ではないという事実を突きつけて、ウンザリぎみのアメリカ人に韓国系の主張の偏りを悟らせる仕組みを組み込んでいる。

そして最後が秀逸なのだが、日本が戦後に行ってきた取り組みを紹介する中で、最近は自衛隊は国連の平和維持活動に参加しているが、「わが国の自衛隊は、派遣先で一度も人を殺したことはなく、また他国の国連要員によって引き起こされた性的搾取や虐待といった問題もありません」と締めている。

勿論、ナチスの残虐行為と慰安婦とが全く別物であることを説くことも忘れないが、全体的には抑えて感じで前向きな活動を一緒にしていきましょうというアピールが前面に出ている。

最後に大変面白い事実を述べて示させて頂く。5月27日の日本外国特派員協会での記者会見に対しては、翌日の新聞でケチョンケチョンに叩いたはずの朝日新聞や毎日新聞でのこの記事の扱いを見ると、全くのニュートラルな事実報道に徹していて、揚げ足を取ろうとはしていない。正直、これでは揚げ足を取れないと各新聞社は感じたのかも知れない。ないしは、新日鉄住金の裁判の話題があってからは、アメリカ国内で韓国の嘘がこれ以上まかり通らない様にと自制を効かせたのかもしれない。

どちらにしても、事実としては日本側の捻じ曲がった報道で邪魔されずに、ボールはストレートにサンフランシスコに飛んでいくことが出来た。どんなボールが返ってくるかが楽しみである。

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