石牟礼道子全句集 『泣きなが原』を読む。(2015年5月30日初版1刷)
心に残る句を引用させて頂きます。
角裂けしけもの歩みくるみぞおちを
死におくれ死におくれして彼岸花
祈るべき天とおもえど天の病む
にんげんはもういやふくろうと居る
樹液のぼる空の洞(うろ)より蛇の虹
椿落ちて狂女がつくる泥仏
さくらさくらわが不知火はひかり凪
水子らの花つみ唄や母恋し
花びらの水脈(みお)越えてゆく蛇の子が
ポケットに含羞を入れ逝きしかな
坂道をゆく夢亡母(はは)とはだしにて
ひがん花 棚田の空の炎上す
蝋梅の身じろぐほどや冬陽ざし
うつし世の傷口いえず冬の稲妻
稲妻やいつひらきたる夜の梅
立春の空くろぐろと牡丹雪
またひとつ断念したり冬椿
存在の闇深くして椿落つ
わが耳のねむれる貝に春の潮
うなだれて向日葵らみなねむりいし
心に残る句を引用させて頂きます。
角裂けしけもの歩みくるみぞおちを
死におくれ死におくれして彼岸花
祈るべき天とおもえど天の病む
にんげんはもういやふくろうと居る
樹液のぼる空の洞(うろ)より蛇の虹
椿落ちて狂女がつくる泥仏
さくらさくらわが不知火はひかり凪
水子らの花つみ唄や母恋し
花びらの水脈(みお)越えてゆく蛇の子が
ポケットに含羞を入れ逝きしかな
坂道をゆく夢亡母(はは)とはだしにて
ひがん花 棚田の空の炎上す
蝋梅の身じろぐほどや冬陽ざし
うつし世の傷口いえず冬の稲妻
稲妻やいつひらきたる夜の梅
立春の空くろぐろと牡丹雪
またひとつ断念したり冬椿
存在の闇深くして椿落つ
わが耳のねむれる貝に春の潮
うなだれて向日葵らみなねむりいし