(663)「高レベル放射性廃棄物、海底下を処分場候補に検討
1月26日 TBS NEWSi」 (削除されました)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2688442.html
●「高レベル放射性廃棄物」の処分場が見つからず、困りに困ってついには海底とは――
ふざけるな!と言いたい。
そもそも「処分」など出来るものではないので、「保管」なのでは?
気の遠くなるような10万年もの間、毒性が薄れていくのをひたすら保管し
続けるしかないのだ。
これまでも宇宙に持って行くとか、モンゴルやオーストラリアの砂漠にとか、
無責任極まりない話を聞いたことがある。
以前、「報道ステーション」が特集した「高レベル放射性廃棄物」の問題を、
2015年3月12日の私のブログに載せています。その一部を引用します。
>2015年3月11日「報道ステーション」で、核のゴミの最終処分について特集していた。
世界で唯一の高レベル放射性廃棄物の最終処分場であるフィンランドのオンカロ。
地震や火山の心配がなく、地層の良さから最適地といわれてきた。
そのオンカロでさえ、地層に亀裂が入り、地下水に悩まされている。
岩塩の地層に処分したドイツでも、岩塩層に地下水が入り、想定外の汚染が始まっている。
(引用ここまで)
つまり、どんなに最適地と思われている場所でも、水が大敵なのだ。
1年、2年保管するのとは訳がちがう。10万年にわたって保管し続けなければならない。
科学的知識に乏しい私にだって、海底に保管することの異常さは理解できる。
一部の政治家や官僚、そして科学者は【今】しか考えていないようで、
「行き当たりばったり」に対処している印象を受ける。
未来の人たちにこんなツケを払わせてまで、電気料金が年間1万円前後安いという理由で、
電力会社を選びますか?それで未来の人たちに顔向けができますか?――と言いたいです。
電力会社を選ぶ目安として、何によって発電した電気であるのかを明記するよう求めます。
今、読んでいる山本義隆著「私の1960年代」でも、「高レベル放射性廃棄物」を取り上げて
います。山本さんは物理学を専攻された科学史家で、元東大全共闘代表だった方です。
私は60年代の学生運動が知りたくて読み始めたのですが、この書は東大闘争に留まらず、
学問がいかに政治や軍事や産業界に利用されて来たのかを、様々な資料を使って明らかにして
います。まさに後世に遺すべき歴史書だと思います。その中から、
「高レベル放射性廃棄物」と「軍学協同・産学協同・官学協同」の一部を、
引用させて頂きます。
(1)実際問題として岸(信介)は、安保改定をふまえて比較的早期の憲法改正による再軍備と
軍事力の強化を目指していたのであり、そればかりか、すでに1957年に
現行憲法下でも核武装は可能であると発言しています。
1958年の正月、総理大臣になってから初めての正月に岸は、伊勢神宮などへの
参拝ではなく、東海村の原子炉を視察しています。
そして、原子力発電は「平和利用」と言っても「軍事利用」と紙一重であり、
「平和利用」という形で原子力開発を進め、産業規模で核技術を習得し
核分裂物質を備蓄していけば、おのずと核兵器保有の能力は
ついてくるという、そういう〈潜在的核武装〉路線をはじめて
明らかにしているわけです。
・・・将来的に核武装する可能性をオプションとして保有し、
それを外交カードとして使うと言っていたわけです。
(原子力発電にこだわるのは電気のためだけではなく、〈潜在的核武装〉の可能性を
残して置きたいというのが本音なのだろう)
(2)金儲けという点では、日本の高度成長は1954年末に始まる神武景気から74年の
石油ショックまで実に20年近く続き、それは世界史的に見ても稀有な出来事
なのですが、その高度成長の始まりを支えたのが朝鮮特需、
そしてその後半を支えたのがベトナム特需なのです。
66年から71年までの間にベトナム特需で日本の企業には
毎年10億ドルの金が入っていました。ベトナム特需がなければ、
「奇跡」と言われた日本の高度成長はあんなに長いあいだ続かなかったのです。
ようするに、戦後の日本の「平和と繁栄」は朝鮮とベトナムの人たちの流した血で
贖(あがな)われていたのであり、沖縄を米軍政下に委ねたことでありえていたのです。
(戦争になると金が儲かる――こうした意識を持ち続けている人たちが、今もいるのだろう)
(3)しかし、ほとんど唯一の原子力工学としての原子力発電では、扱っている対象としての
原子核は、いくつもの陽子と中性子が化学反応のエネルギーでは
とても壊すことのできない
強い力で結合しているものであり、その分裂や崩壊により生じるエネルギーも、
化学反応のエネルギーの100万倍の大きさを有しています。したがって、
正常の運転でもかならず生じる廃棄物、つまり原子炉内での核分裂反応後に残る
「死の灰」をふくむ「使用済み核燃料」はもとより、核分裂に使用される濃縮ウランを
取り出した後に残される劣化ウラン、定期点検のさいに生じる汚染水、そして使用後の
廃炉それ自体(とくに汚染の烈しい炉心部分)も、すべて人体に危険な放射性であり、
しかも人為的に、つまり物理的ないし化学的処理で、無害化するすべは
事実上ありません。
特に重要な、2万数千年という長い半減期で高エネルギーのα粒子を放出し続ける猛毒性
プルトニウムを含む使用済み核燃料のような高レベルの放射性廃棄物は、
自然に無害化するまで10万年のオーダーで人類に影響のない形で
保管しなければならないわけです。
しかし、そのような超長期にわたる安全な保管法は確立されていないし、したがって
保管場所のあてもありません。このひとことで、原子力発電が未熟な技術だと
いうことができます。
ガラスが長い期間安定であるという理由で、高レベルの放射性廃棄物を
ガラス固体化にし、地下に埋設するという方法が考えられていますが、
本当のところそれがどれだけ安定で安全であるのかは、誰にもわかっていません。
構造地質学者の書によれば「日本は地殻変動の激しい国」なのです。地形学や地質学の
立場からは、陸地は安定大陸と変動帯に二分され、前者の「安定大陸」は地殻変動も
少ないのですが、「日本をはじめとして、現在も活発な地殻変動のある変動帯では、
火山爆発や地震が頻発し、土地の隆起や沈降で地形は急峻になっており、
勾配が大きいので水の浸食力も強く」とあり、この点から見ても、
放射性廃棄物の長期にわたる保管に日本が適していないことがわかります。
とくに、年平均の降水量はヨーロッパが約800ミリメートルであるのにたいして
日本は1800ミリメートルで、このこともあり日本は地下水系が豊富で、・・・
そのことは同時に、日本の深度地下が放射性廃棄物の保管にきわめて不適で
あることを意味します。実際、福島の事故現場でも地下水に悩まされていることは、
すでによく知られています。
北海道幌延には、高レベル放射性廃棄物の埋設処分技術を研究する深地層研究センターが
あり、実験段階の現在すでに地下350メートルで湧き出る多量の水に
悩まされています。
地下水系がどこでどのようにつながっているのかは不明ですから、
もしもどこか一点で放射線に汚染されたならば、その影響がどのように伝播し
拡大してゆくのか、まったく見当がつかないことになり、悲惨な状態になりかねません。
(北海道幌延に高レベル放射性廃棄物の埋設処分技術を研究する深地層研究センターがあること
さえ知りませんでした。マスコミは是非、特集を組んで実態を報道して欲しいと思います)
②につづく
1月26日 TBS NEWSi」 (削除されました)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2688442.html
●「高レベル放射性廃棄物」の処分場が見つからず、困りに困ってついには海底とは――
ふざけるな!と言いたい。
そもそも「処分」など出来るものではないので、「保管」なのでは?
気の遠くなるような10万年もの間、毒性が薄れていくのをひたすら保管し
続けるしかないのだ。
これまでも宇宙に持って行くとか、モンゴルやオーストラリアの砂漠にとか、
無責任極まりない話を聞いたことがある。
以前、「報道ステーション」が特集した「高レベル放射性廃棄物」の問題を、
2015年3月12日の私のブログに載せています。その一部を引用します。
>2015年3月11日「報道ステーション」で、核のゴミの最終処分について特集していた。
世界で唯一の高レベル放射性廃棄物の最終処分場であるフィンランドのオンカロ。
地震や火山の心配がなく、地層の良さから最適地といわれてきた。
そのオンカロでさえ、地層に亀裂が入り、地下水に悩まされている。
岩塩の地層に処分したドイツでも、岩塩層に地下水が入り、想定外の汚染が始まっている。
(引用ここまで)
つまり、どんなに最適地と思われている場所でも、水が大敵なのだ。
1年、2年保管するのとは訳がちがう。10万年にわたって保管し続けなければならない。
科学的知識に乏しい私にだって、海底に保管することの異常さは理解できる。
一部の政治家や官僚、そして科学者は【今】しか考えていないようで、
「行き当たりばったり」に対処している印象を受ける。
未来の人たちにこんなツケを払わせてまで、電気料金が年間1万円前後安いという理由で、
電力会社を選びますか?それで未来の人たちに顔向けができますか?――と言いたいです。
電力会社を選ぶ目安として、何によって発電した電気であるのかを明記するよう求めます。
今、読んでいる山本義隆著「私の1960年代」でも、「高レベル放射性廃棄物」を取り上げて
います。山本さんは物理学を専攻された科学史家で、元東大全共闘代表だった方です。
私は60年代の学生運動が知りたくて読み始めたのですが、この書は東大闘争に留まらず、
学問がいかに政治や軍事や産業界に利用されて来たのかを、様々な資料を使って明らかにして
います。まさに後世に遺すべき歴史書だと思います。その中から、
「高レベル放射性廃棄物」と「軍学協同・産学協同・官学協同」の一部を、
引用させて頂きます。
(1)実際問題として岸(信介)は、安保改定をふまえて比較的早期の憲法改正による再軍備と
軍事力の強化を目指していたのであり、そればかりか、すでに1957年に
現行憲法下でも核武装は可能であると発言しています。
1958年の正月、総理大臣になってから初めての正月に岸は、伊勢神宮などへの
参拝ではなく、東海村の原子炉を視察しています。
そして、原子力発電は「平和利用」と言っても「軍事利用」と紙一重であり、
「平和利用」という形で原子力開発を進め、産業規模で核技術を習得し
核分裂物質を備蓄していけば、おのずと核兵器保有の能力は
ついてくるという、そういう〈潜在的核武装〉路線をはじめて
明らかにしているわけです。
・・・将来的に核武装する可能性をオプションとして保有し、
それを外交カードとして使うと言っていたわけです。
(原子力発電にこだわるのは電気のためだけではなく、〈潜在的核武装〉の可能性を
残して置きたいというのが本音なのだろう)
(2)金儲けという点では、日本の高度成長は1954年末に始まる神武景気から74年の
石油ショックまで実に20年近く続き、それは世界史的に見ても稀有な出来事
なのですが、その高度成長の始まりを支えたのが朝鮮特需、
そしてその後半を支えたのがベトナム特需なのです。
66年から71年までの間にベトナム特需で日本の企業には
毎年10億ドルの金が入っていました。ベトナム特需がなければ、
「奇跡」と言われた日本の高度成長はあんなに長いあいだ続かなかったのです。
ようするに、戦後の日本の「平和と繁栄」は朝鮮とベトナムの人たちの流した血で
贖(あがな)われていたのであり、沖縄を米軍政下に委ねたことでありえていたのです。
(戦争になると金が儲かる――こうした意識を持ち続けている人たちが、今もいるのだろう)
(3)しかし、ほとんど唯一の原子力工学としての原子力発電では、扱っている対象としての
原子核は、いくつもの陽子と中性子が化学反応のエネルギーでは
とても壊すことのできない
強い力で結合しているものであり、その分裂や崩壊により生じるエネルギーも、
化学反応のエネルギーの100万倍の大きさを有しています。したがって、
正常の運転でもかならず生じる廃棄物、つまり原子炉内での核分裂反応後に残る
「死の灰」をふくむ「使用済み核燃料」はもとより、核分裂に使用される濃縮ウランを
取り出した後に残される劣化ウラン、定期点検のさいに生じる汚染水、そして使用後の
廃炉それ自体(とくに汚染の烈しい炉心部分)も、すべて人体に危険な放射性であり、
しかも人為的に、つまり物理的ないし化学的処理で、無害化するすべは
事実上ありません。
特に重要な、2万数千年という長い半減期で高エネルギーのα粒子を放出し続ける猛毒性
プルトニウムを含む使用済み核燃料のような高レベルの放射性廃棄物は、
自然に無害化するまで10万年のオーダーで人類に影響のない形で
保管しなければならないわけです。
しかし、そのような超長期にわたる安全な保管法は確立されていないし、したがって
保管場所のあてもありません。このひとことで、原子力発電が未熟な技術だと
いうことができます。
ガラスが長い期間安定であるという理由で、高レベルの放射性廃棄物を
ガラス固体化にし、地下に埋設するという方法が考えられていますが、
本当のところそれがどれだけ安定で安全であるのかは、誰にもわかっていません。
構造地質学者の書によれば「日本は地殻変動の激しい国」なのです。地形学や地質学の
立場からは、陸地は安定大陸と変動帯に二分され、前者の「安定大陸」は地殻変動も
少ないのですが、「日本をはじめとして、現在も活発な地殻変動のある変動帯では、
火山爆発や地震が頻発し、土地の隆起や沈降で地形は急峻になっており、
勾配が大きいので水の浸食力も強く」とあり、この点から見ても、
放射性廃棄物の長期にわたる保管に日本が適していないことがわかります。
とくに、年平均の降水量はヨーロッパが約800ミリメートルであるのにたいして
日本は1800ミリメートルで、このこともあり日本は地下水系が豊富で、・・・
そのことは同時に、日本の深度地下が放射性廃棄物の保管にきわめて不適で
あることを意味します。実際、福島の事故現場でも地下水に悩まされていることは、
すでによく知られています。
北海道幌延には、高レベル放射性廃棄物の埋設処分技術を研究する深地層研究センターが
あり、実験段階の現在すでに地下350メートルで湧き出る多量の水に
悩まされています。
地下水系がどこでどのようにつながっているのかは不明ですから、
もしもどこか一点で放射線に汚染されたならば、その影響がどのように伝播し
拡大してゆくのか、まったく見当がつかないことになり、悲惨な状態になりかねません。
(北海道幌延に高レベル放射性廃棄物の埋設処分技術を研究する深地層研究センターがあること
さえ知りませんでした。マスコミは是非、特集を組んで実態を報道して欲しいと思います)
②につづく