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「Play back 」 「 きみの鳥はうたえる」

2020-06-06 10:53:04 | ④映画、テレビ、ラジオ、動画
日本映画専門チャンネルで、【いま、映画作家たちは 2020】を特集している。
三宅唱監督の「Play back」と「きみの鳥はうたえる」を観る。
1984年生まれの監督ということだが、観終わった後に静かな感動があった。

(1)Play back
端正な甘いマスクをした、昔の映画スターを思わせる男が主人公だ。
そう感じたのは、全編モノクロだからか。
しなやかにスケボーを乗り回し、ときおり人懐っこい表情を見せる。
映画は多くを語らないので想像するしかないのだが、どうも記憶がキーワードのようだ。
彼と彼を取り巻く人たちが、高校時代にタイムスリップしたり、現在に戻ったりする。
また同じ場面を時を経てPlay backすることにより、「ああ」と納得がいったりする。

男は俳優として声優として、それなりに名前が売れているようだ。
だが体の変調からか仕事に不都合が生じているようで、その埋め合わせをする
マネージャとおぼしき男の電話対応が面白い。
謝ったり時間を変更したりする時の対応が、まさにマネージャそのものなのだ。
男が検査を受けているところをみると、何やら深刻な病気を抱えているようだ。
それで記憶が飛ぶのだろうか。

この男の顔や体、身のこなしなど全てが魅力的なのだ。
特にスケボーをする姿など、彼を見ているだけで2時間が経ってしまった。
最後のテロップで村上淳と知り驚いた。村上虹郎のお父さんだった。





(2)きみの鳥はうたえる
この作品も三宅唱監督である。
本屋でバイトをしていてセフレの関係にある男女と、男とアパートをシェアしている
男の3人の物語だ。柄本佑(えもとたすく)、石橋静河、染谷将太。
お互いに考えを述べるわけではなく、感情を伝えるわけではなく、3人は一緒に遊ぶ。
実に楽しそうに酒を飲み、ビリヤードをし、ライブに行く。

柄本が演じる男が、なんともいい加減なのだ。仕事はさぼるし、やる気はないし、
臭そうだし、キスをする時にやたらと音を立てるし、何を考えてるのか分からないし、
怖いし。こんな男と別れて、誠実でやさしい染谷と付き合っちゃえば、と老婆心ながら思う。
女の心の変化を表わすのに、染谷から借りたTシャツのにおいを嗅ぐシーンは見事だ。
だが、ラストは王道だった。

それにしてもこの女優はただ者ではない。
普通のことを、普通に演じるほど難しいことはない。
のびやかに、あっけらかんと楽しんで演じている。
石橋静河、あとで調べて驚いた。
石橋凌と原田美枝子の子どもだった。納得です。
柄本佑も両親、弟、妻・・・が役者の芸能一家だ。
彼のいろいろな映画やテレビドラマを観てきたが、どれも素晴らしかった。
でもこの役だけは、嫌いになりそうなくらい嫌な役だった。

2世、3世の政治家は弊害ばかりが目立つが、
芸術家のDNAは確実に引き継がれていると思った。
(そうでない人も多いとは思いますが)






(3)燕 Yan
木村大作監督のように、撮影技師だった人が監督をするケースはある。
新聞によると、この映画の監督(今村圭祐)も気鋭のカメラマンということだ。
「新聞記者」の撮影を手がけ、米津玄師のミュージックビデオ(Lemon)の
撮影を手掛けている。
1988年生まれ、これから若い才能が発揮できる日が待ち遠しい。

※燕 Yanの監督の名前を書き忘れました。大変失礼しました。






(4)Drill & Messy
私は以前、短歌結社「塔」に所属していた。
私が辞めてから主宰になった方が吉川宏志だ。
吉川さんに次の歌がある。
「わが家にて性のシーンの撮られしを初めて知りぬ箪笥が黒い」

吉川さんの息子である吉川鮎太が、映画を撮るようになったことを知った。
才能のある人で賞を取っていた。
分野は違ってもこれからが楽しみだ。



(画像はすべてお借りしました)


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