今日のうた

思いつくままに書いています

これからの政治に望むこと

2020-08-30 05:02:28 | ②一市民運動
2020年8月28日、安倍氏は辞任を表明した。
長い長い7年8ヶ月でした。やっとやっとの思いです。
何度も書きますが、私は第二次安倍政権(2012年12月)以前は、
政治に全く関心がありませんでした。
だがこれ以上この国を歪められることは、子や孫のためにも黙って
いられない、との思いから「一市民運動」なるカテゴリーを作って
自分の考えを発信してきました。
そして執拗な攻撃でパソコンが壊されるまで続きました。

政治に無関心でいることや、自分なりのやり方で声を上げないことは、
政権に白紙委任することになるということを
骨身に沁みて解りました。
声を上げられなくなったら、国は終わりです。
どなたが次の政権の座に就くのかは分かりませんが、もっと風通しのよい、
国民との間に、たとえ細くとも信頼関係が築ける人がなって欲しいです。
今の政権の延長線上にあるような内閣では、せっかくの日本が変わる機会を
逸してしまいます。

歪んでしまった現在の国の有り様、そしていつ収束するか分からない
新型コロナウィルス、これらを考えると、これまでのような繁栄は
望むべくもありません。
イベント政治は要らない、国民の一人一人が飢えることなく生活できるよう
地道な政治を望みます。
坂道を転げ落ちる状態で政権を担当することになるのですから、
どなたが総理大臣になっても、性急に結論を出すのではなく、
長い目で見守りたいと思います。

独裁国家になる一歩手前で「変化」が生じ、本当によかったです。
これで枕を高くして眠れます。
そして安倍政権がしたこと、しなかったことを、是非検証して欲しいです。
「安全保障法制」や「特定秘密保護法」、「共謀罪」法などを成立させた
ことで、国民の生活が精神面などを含め、どのように変わっていったのか、
外遊でいくら税金を使い、どういう成果があったのか、
こういったことを是非とも検証してください。

新型コロナウィルス感染対策で、政権は主だった活動をして来ませんでした。
野党の要望があれば、憲法に保障されている「国会を開く」ということすら、
いまだにできていない状況です。それを何を今さら
「政治空白を避けるために両院議員総会による議員総会で」と
言うのでしょう。これだけ地方が疲弊しているのだから是非、
全国の党員・党友が参加し、
国民の目にみえる総裁選を実施してください。


選挙を行う前から菅氏で決まり、という空気が流れている。
これでは変わるどころか、これまでと全く同じではないか!
自民党にとっては、まさに今が正念場だと思うのだが・・・。

結局、私の糠喜びでした。自民党は変わりません。
若手議員が気の毒です。こうなったら・・・。


総理大臣になるとこんなことまで、しようと思えば出来てしまう。
このことを嫌というほど思い知った7年8ヶ月でした。
それなのに国民には選ぶ権利が全くない!
以前作った私の短歌です。
   直接の選挙に首相を選べざる民の哀しみ あをきオレンジ

小選挙区制といい、内閣総理大臣の選出方法と言い、国民の声がもっと
反映されるような選出方法に改める必要がある、と私は考えます。


最後に、安倍氏の出現で政治・経済・社会を勉強するようになったこと、
この一点だけは感謝します。

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人間

2020-08-25 11:52:02 | ④映画、テレビ、ラジオ、動画
1962年公開、近代映画協会製作「人間」を観る。
「裸の島」と同じく、脚本・監督は新藤兼人、主演の殿山泰司、乙羽信子の
二人に佐藤慶、山本圭が加わり、濃密な人間ドラマが繰り広げられる。
内容を表わすのに登場人物の名前ではなく、役者の名前を
使わせてもらいます。

伊豆大島を行き来している魚船の船長・殿山泰司は、1泊2日で荷を運ぶ
予定だった。それに甥の山本圭と、隣の島にアワビを売りに行く乙羽信子、
小遣い稼ぎに船を手伝うことになった佐藤慶の4人が乗るが、急な嵐に巻き
込まれる。燃料は流出し、舵取りも出来なくなり、漂流することになる。
自分たちの位置すら分からず、行き交う船も見当たらない。
わずかな食料でいつ終わるともしれない4人の漂流生活が始まる。

食料はたちどころに無くなる。どこかにこっそり隠しているのではないか
との疑心暗鬼から、殿山・山本、乙羽・佐藤との間に諍いが生じる。
漂流して30日が経ち、空腹は極限に達する。そして
佐藤が乙羽に、若い山本を殺して喰うことを提案する。

戦争を描いた映画、「ゆきゆきて、神軍」や「野火」は人肉食を扱っている。
南方で亡くなった太平洋戦争の戦死者は、戦いで亡くなるよりも
飢餓や病気で亡くなる人の方が多かったのだ。
この映画は戦争を描いたものではないが、やはりこのことを扱っている。
極限まで追い詰められると、人間はなんだってする。

殿山泰司扮する船長はあまりの空腹に、戦時中に見た兵士が人肉を食らう
場面を思い出す。
こうした人間の本質を描くために、新藤兼人は極限の状況を作り出した
のではないだろうか。
飢餓の恐ろしさを嫌というほど見せつけられた。

乙羽が太ももを露わに、男勝りの海の女を見事に演じている。
2組に分かれての諍いの後に、甲板の方には殿山と山本が、そして
佐藤と乙羽は船底へと棲み分けするようになる。
暗い船底に血気盛んな男女がいて、一度は拒絶されたものの、その後は
何も起きない、というのが私にはどうにも不自然に思えた。
こうした極限状態でも、極限状態だからこそ、
人間は本能を抑えられるのだろうか。

最後に殺人を犯した二人は、罪の呵責から命を落とすことになる。
重い内容で、タイトルが「人間」というのも分かる気がした。  (敬称略)



(画像はお借りしました)



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歌手 友川カズキ

2020-08-21 14:09:52 | ⑤エッセーと物語
朝日新聞の文化・文芸「語るー人生の贈りものー」で友川カズキを知る
私と同じ70歳。職業は、歌手・詩人・画家・役者。
若い頃の写真を見ると、人懐っこく、真っ直ぐな目をしている。
こんな目をした人は最近ではあまり見かけない。
そしていろいろな人に愛されてきた人のようだ。
興味が湧いたので調べてみた。

秋田出身で大島渚・中上健次・ちあきなおみにも愛されたそうだ。
YouTubeで「生きてるって言ってみろ」と「死にぞこないの唄」を聴く。
魂が震えるのではなく、魂が揺さぶられてしまうほどの強烈な歌だ。
聴き手の存在を脅かすほどの凶器(狂気ではない)を持った歌だ。

YouTUbe「生きてるって言ってみろ」
       ↓
https://www.youtube.com/watch?v=6njISdzp7J8

YouTube「死にぞこないの唄」
      ↓
https://www.youtube.com/watch?v=RssR_ckdDX0


ちあきなおみが彼に惚れ込んで歌を作ってもらったそうだ。
1977年のNHK紅白歌合戦で歌ったようだが、私は聴いていない。
あまりの迫力に、NHKもびっくりしたのではないだろうか。
ウィキペディによると、白組司会者が「なんとも気持ちの悪い歌ですねえ」
と、番組の中で言ったという。
歌を聴いての感想は人それぞれだが、友川がこのことを43年経った今も
語っているのだ。こうした自分の感想を押し付けるNHK司会者の発言は、
浅慮・傲慢という他はない。

その「夜へ急ぐ人」の歌詞の一部を引用させて頂きます。

 勇気で終わる恋もありゃ
 臆病で始まる恋もある
 かんかん照りの昼は怖い
 正体あらわす夜も怖い
 燃える恋ほど脆(もろ)い恋   (引用ここまで)


彼はジャニス・ジョプリンや岡林信康が好きだそうだ。
私もワイヤレススピーカーなるものが手に入ったので、心置きなく
毎日ジャニス・ジョプリンを聴いている。
学生時代に「ジミヘン」と言われていたものが、ジミ・ヘンドリックだ
と知り、こちらも聴いている。
魂が揺さぶられる音楽はすばらしい。
また、友川カズキの映画「どこへ出しても恥ずかしい人」が
上映されているようだ。こちらも是非、観てみたいものだ。  (敬称略)

YouTube ちあきなおみ「夜へ急ぐ人」 (映像が鮮明ではないです)
      ↓
https://www.youtube.com/watch?v=zCBV9IcSxIk


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STRAY SHEEP

2020-08-09 15:11:34 | ③好きな歌と句と詩とことばと
70歳にして生まれて初めて、米津玄師のCD「STRAY SHEEP」を予約した。
届くまでの約2ヶ月間は、しばし憂き世を忘れさせてくれた。
早速聴いてみると、音楽の世界が拡がりを見せ、完成度の高い作品だ。
特に「カンパネルラ」と「PLACEBO+野田洋次郎」は音楽がずっと
頭の中で響(な)っていて、口ずさみたくなる。
米津は宮沢賢治に影響を受けたと語っているが、「カンパネルラ」は
彼へのオマージュだ。MV(ミュージックビデオ)も素晴らしい。

私が好きな「Flamingo」や 「TEENAGE RIOT」が入っていた。
この2曲だけは彼自らがアレンジしている。
その他に番組とタイアップした曲がいくつか入っているが、
どれも成功している。
要望に応えて作るのは、さぞかし苦労が多いと思うし、
それをこなすのは並々ならぬ才能だと思う。
だが私は、彼の内から湧き出るような曲が好きだ。

たとえば、「ひまわり」は「TEENAGE RIOT」の延長線上にある曲だと
思うが、こうしたひりしりした痛みを感じる曲が、私は好きだ。

これまでもラブソングは数多く聴いてきたが、その中でも
「カナリヤ」は究極のラブソングだと思う。
若さからの繊細で柔らかな感性で作られていて、聴きながら泣いてしまった。
ラブソングで泣いたのは初めてだ。
普遍性のある曲として、ずっと歌い継がれていくだろう。
私はチューリップ・財津和夫の「青春の影」の次の歌詞を思い出していた。
「今日から君はただの女 
 今日から僕はただの男」

米津は昨日(8月8日)のテレビ対談で次のように語っていた。

「(今はコロナで)不要不急が叫ばれているが、それを判断する鍵を
 人に委ねてはいけないと思う」     (引用ここまで)

今も、音楽を含む芸術や娯楽に救われている人が大勢いることだろう。
こうしたものに価値を見出せない国は、文化国家とは言えない。
またこのことを政治家が理解できないのであれば、あまりにもお粗末だ。
この非常時に、文化や芸術に予算をつけない国があろうとは!
高齢者で持病のある私は、日々コロナに怯えつつ、音楽や映画、小説などに
救われながら生きている。

追記1
YouTubeで、「STRAY SHEEP Radio」を聴いた。
米津がこのアルバムに入っている曲を中心に、独りで語るラジオ番組だ。
私のような凡人でも生きにくい世の中なんだから、繊細で感受性の強い彼は
さぞや生きるのがしんどいのでは、と聴きながら思った。
世の中の様々な出来事をよく知っていて、それを自分のこととして
深く考える。更にはどうしたらいいのか考え抜く。
こうして生まれた曲も、誰かを傷つけてしまうのではないかと悩む。

自分は永久に苦しみ続けるしかないと腹をくくった、と語っていた。
たとえそこから逃れて晴耕雨読のような生活を選んでも、
自分はそれでは満足できない。
もっとイージーな曲作りをしたのでは、自分が飽きてしまう。
苦しみながら作り続けるしかないようだ。
才能があることは、ある意味、苦しみと同義語なのかもしれない。
それにしてもいつも思うのだが、彼は豊富な語彙を用いて自分で考え、
自分の言葉で語っている。
孤独な時間がこうした土壌を築き上げたのだろうか。
孤独であるからこそ、お互いに解り合える。
(2020年8月29日 記)

追記2
是枝裕和監督「カナリヤ」のMVが、YouTubeで観られます。
田中泯さんが出ています。
自分が思い描いていたイメージとは違いましたが、
美しいMVです。

https://www.youtube.com/watch?v=JAMNqRBL_CY

(2020年11月19日 記)

追記3
アルバムの中では「カナリヤ」が一番好きで、何十回となく聴いている。
YouTubeにも感動的なコメントが多数、海外からも寄せられている。
あるカップルの物語が10代、30代(?)、70代と3代に分けて
描かれていて感動的だ。
特に30代と思われるカップルがベッドの上で戯れるシーンや、
最後に米津が空を見上げるシーンはとても美しく描かれていて、大好きだ。

だが、私には何か違和感があった。
MVは音楽がメインだと思う。
MVはあくまでも音楽のイメージを膨らませるもので、
映像に独自の物語が必要なのだろうか。
音楽を聴いた人が、それぞれの物語を自由に作り上げて
いけばよいのではないだろうか。
MVが一つの物語に誘導しようとしているように感じる。
これではMVというより、是枝ワールドになってしまうのではないだろうか。
特にさびの次の部分で、私はなんど泣いたか分からない。
ここでも映像が曲のじゃまをしているように感じる。

「いいよ あなたとなら いいよ
 もしも最後に何もなくても 
 いいよ いいよ いいよ」

私は是枝作品が好きだし、「カナリヤ」の映像も素晴らしい。
だが、ひとつの曲の中で語り過ぎているように思う。
ひとつの映画は多くて数回しか観ないが、MVは一日数回観ることもある。
そうなると、その度に物語をなぞることになる。

映画「真実」を観た時も、素晴らしい作品だが
物語を語りつくしているように感じた。
映画もMVも、もっと観客に委ねて欲しいと、僭越ながら思った。
(2020年11月22日 記)

追記4
2021年6月にリリースされた「Pale Blue」のMVは
素晴らしいものだった。
「Lemon」、「馬と鹿」、「カンパネルラ」には高校生と思われる集団の
群舞(?)が出てくるので、作者のサインのようなものだとは思っていた。
だが私が一番好きなMV「Flamingo」、それに「カンパネルラ」と
「Pale Blue」までもが山田智和の作品だったとは。
30代前半、底知れぬ才能を感じる。
(2021年6月7日 記)





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ひこばえ

2020-08-07 16:47:50 | ③好きな歌と句と詩とことばと
重松清著『ひこばえ』を読む。
朝日新聞に連載されていたことは知っていたが、読んだことはなかった。
以前、彼の小説『とんび』をTBSがドラマ化し、内野聖陽と佐藤健が
親子を演じていた。
幼少期を演じていた子役があまりにも可愛く、母親を早くに亡くして
親子が健気に生きている姿に、なんど涙したか分からない。

『ひこばえ』は、小2の時に別れて音信不通になった父親と、主人公が
55歳の時に対面する。父親は引き取り手のいない遺骨になっていた。
そこから、殆ど記憶のない父との思い出探しが始まる。
細やかな記憶を手繰り寄せ、少しずつ父との思い出がよみがえってくる。
人情の機微を描くのが実にうまい。この小説でもなんど涙腺を
刺激されたことか。

だが下巻になると少しずつ息苦しさを感じるようになった。
お金にだらしのない父親が、どこでもトラブルを起こしていたことが分かる。
離婚理由も、お金に対するだらしのなさが原因だった。
その父親を周りの人たちは、無償の愛で受け容れていたことも分かる。
登場人物の多くが善人なのだ。
それにあんなにお金にだらしのなかった父親が、500万ものお金を通帳に
残していた。決して子どもたちに遺したのではなく・・・。

父親は優しい人たちに囲まれて最期は幸せだった。
私がへそ曲がりなのかもしれないが、父親の周りの人たちや主人公の周りの
人たちがみないい人過ぎて、不自然なものを感じ、ついていけなかった。

それと一つ気になったのは、「ひこばえ」という言葉の多用だ。
明鏡国語辞典によると、ひこばえ=木の切り株や根元から生え出る若葉。
「孫(ひこ)生え」の意、とある。
生命体としてのみならず、いろいろなものが子や孫に受け継がれて
いく意味に使っている。
主人公がその都度、「これもひこばえ」、「あれもひこばえ」と指摘する。
読者が「ひこばえ」と気づく余地を残しても
よかったのではないか、と思った。

心に残った言葉を引用させて頂きます。

「悲しさには、はっきりした理由やきっかけがあります。病気で言えば、
 急性のものです。でも、寂しさは慢性なんです。
 ふと気づくと、胸にぽっかり穴が空いていて、いつの間にかそれが
 当たり前になって、じわじわ、じわじわ、悪化していって・・・・・・」

「親子っていうのはたいしたもんだ。親が死んでからも子どもには
 思い出が増えるんだ。いまみたいに」

「・・・・・・はい」

「いなくなってから出会うことだってできるんだ、親子は」   
 (引用ここまで)

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