今日のうた

思いつくままに書いています

どこかおかしい!

2014-11-29 08:55:29 | ②一市民運動
最近の新聞やツイッターを読むと、何かおかしなことが、
今の日本で起きていると感じる。

「黒い絆 ロスチャイルドと原発マフィア2」で引用したが、「より新しい、
より安全だと思わせる原発」を作る動きがあるそうだ。

2014年11月28日の朝日新聞によると、
日本原子力研究開発機構が「高温ガス炉」と呼ばれる新しい原子炉の研究再開を目指して
いるという。発電前の熱で水を分解し、水素を製造するそうだ。
【次世代の原子炉】とかで、【炉心溶融を起こさない原子炉】だという。
来年度予算の概要要求では、昨年予算の6億円を大幅に上回る16億円を計上した。
10月に開かれた文科省原子力科学委員会では、安全性を強調することや水素製造の
実現性への疑問が委員から出た。

研究に携わる岡本孝司教授・・中国やインドネシアで研究が進み商用炉の計画がある。
              これまでの研究成果を生かすため、早く動かすべきだ。
委員の和気洋子教授・・・・・3・11以降の日本が直面する安全に対する感受性からすると
              違和感が拭いきれない。
この記事の隣には、福島第一原発2号機の使用済み燃料プール(使用済み587、
未使用28の計615の燃料体を保管)の冷却が止まったとの記事があった。
原因は調査中。 (2014年11月28日 記)

2014年11月27日の毎日新聞によると、
自民党がNHKと在京民放テレビ局に対し、選挙報道の公平中立などを求める要望書を
渡していたことが27日分かった。街頭インタビューの集め方など、番組の構成に
ついて細かに注意を求める内容は異例。編集権への介入に当たると懸念の声も
あがっている。詳細は右下のブックマーク「毎日新聞 自民党がテレビ局の
選挙報道に細かく公平性を要請」に入れましたので、興味のある方はご覧ください。

ブックマークに入れた「毎日新聞 自民党がテレビ局の選挙報道に細かく公平性を
要請」は削除されました。(2014年12月9日 記)

2014年11月28日の毎日新聞によると、早速・・・
テレビ朝日系の討論番組「朝まで生テレビ!」(29日未明放送)で、出演する予定
だった評論家の荻上(おぎうえ)チキさんら政治家以外のパネリストが、局側の意向で
出演を取りやめていたことが28日、わかった。各党の議員と文化人らで衆院選に
ついて討論する予定だったが、「中立、公平性の担保」を理由に、荻上さんらが
出演を断られたという。
荻上さんによると、21日に出演を依頼されたが、27日になってテレビ朝日の
番組スタッフから電話があり、各党議員と荻上さんらゲスト数人という出演者の
構成について「ゲストの質問が特定の党に偏る可能性などがある」との理由で、
議員のみの出演に変えると伝えられた。
番組スタッフからは「局の方針と(人選した)番組制作側の方針が一致しなかった」
と説明されたという。ほかに、タレントの小島慶子さんの出演も取りやめになった。
荻上さんはテレビ朝日の判断について「残念だ。他のゲストが最近のネット上の話題など
を質問することで、司会者1人の番組とは違った視点が生まれるメリットもあったはず。
議員だけを招けば公平になるとは思わない」と苦言を呈した。

2014年11月29日の朝日新聞によると、 
安倍晋三首相が次の衆院選の争点と主張する経済政策「アベノミクス」を支持する
大企業を中心に、自民党への献金額が大幅に増え、野党時代の12年から42%増えて
いた。13年の自民党本部の政治資金団体「国民政治協会」への企業・団体献金は
計約19億5400億円。2千万円超の大口献金をした企業・団体も12年の
9から23に増えた。2009年の衆院選で「企業・団体献金の禁止」を掲げた
民主党は10年を最後に民間企業からの献金はなく、13年は連合からの100万円の
寄付のみ。他に13年に企業・団体献金を受けた政党本部は生活の党の
300万円のみだった。

★2013年国民政治協会への献金額上位の企業・団体(カッコ内は2012年)

 (1)日本自動車工業会ー    8040万円(6030万円)
 (2)石油連盟ー          8000万円(5000万年)
 (3)日本電機工業会ー     7700万円(5000万年)
 (4)トヨタ自動車ー        6440万円(5140万円)
 (5)日本鉄鋼連盟ー       6000万円(4000万円)
 (6)キャノンー           4000万円(2500万円)
 (6)不動産協会ー         4000万円(1500万円)
 (8)住友化学ー          3600万円(2500万円)
 (9)新日鉄住金ー         3500万円(3200万円)
 (10)三菱重工業ー        3000万円(1000万円)
 (11)日産自動車ー        2900万円(2050万円)
 (12)東芝ー            2850万円(1400万円)
 (12)日立製作所ー        2850万円(1400万円)
 (14)野村ホールディングスー  2800万円(500万円)
 (15)大和証券グループ本社ー 2500万円(700万円)
 (15)ホンダー            2500万円(1800万円)

大手企業は個別の議員にも献金をしている。少なくとも、国内上場企業延べ約310社が
計約1億5300万円を献金した。うち8割の約1億2300万円を、今月の解散時点で
現職だった自民党の衆院議員と現職参院議員計122人の団体が受け取っていた。
かつての利益誘導型政治につながる「先祖返り」が懸念されている。

円安・株高で、自動車と証券会社が献金額を大幅にアップした。
これでは、何のための「政党交付金」だろう。
「政党交付金」は、「政党助成金」とも呼ばれている。
企業・労働組合・団体などから政党・政治団体への政治献金を制限する代償として
1994年に政党助成法を含む政治改革四法が成立し導入された。

政党交付金の総額は、最近の国勢調査の人口に250円を乗じて得た額を基準として
国の予算で決まる。2013年の日本の人口は1・273億人である。
1・273×250円=318・25億円 から2014年度の政党交付金、
総額320億円を割り出したのであろう。
国民一人一人が、250円を納めていることになるのです。
赤ちゃんも払っているのだから将来、安心して暮らせるように使ってください。

★各党の政党交付金の内訳は  
(カッコ内は2015年度見込み 合計320億1400億円)

 自民党= 157億8366万円 (170億4900万円)※8%増の過去最高額
 民主党= 66億9288万円 (76億6800万円)  
 日本維新の会= 32億9488万円 (26億6400万円)
 公明党= 26億4万円 (29億5200万円)
 みんなの党= 20億1337万円
 結いの党= 3億4899万円
 生活の党= 7億4872万円 (3億3100万円)
        ※生活の党と山本太郎となかまたちと改名
 社民党= 4億2914万円 (4億7000万円)
 新党改革= 1億265万円 (1億400万円)
 共産党= 0(0)
 日本を元気にする会=     (1億1900万円)
 次世代の党=            (5億6100万円)
 太陽の党=             (9300万円)

「政党交付金」は、「政党・政治団体への政治献金を制限する代償」として作られた
のだから、従来通り献金を受け取っている自民党は、返還すべきなのではないですか。
これでは二重取りです。

安倍政権発足後に打ち出された経済施策には、東日本大震災の復興財源に充てる
復興法人増税の打ち切りや、企業がずっと派遣労働者を受け入れられるようになる
労働者派遣法改正案(条文の誤りにより廃案)など、企業に有利なものが目立つ。
6月には現在34・62%の法人実効税率を数年で20%台に下げる方針を決めた。
1%下げると、税収は約5千億円少なくなる計算だ。

献金を受ける企業の税率は甘くして、その分を国民からは厳しく取り立てるのでは、
国民は納得できない。格差はますます拡がるばかりだ。

自民党がマスコミに圧力をかける
 ↓
マスコミはスポンサーには逆らえない
 ↓
スポンサーである大企業は自民党に献金する
 ↓
自民党は大企業の言いなりになり、国民の意見は反映されない
 ↓
それでもマスコミは強く反論できない(どういうわけかNHKも)

これで民主国家といえるのだろうか。
特定秘密保護法が施行されていない現在でもこのありさまだ。
施行されたら・・・と考えただけでも怖ろしい。
「特定秘密保護法」は、2014年12月10日に施行される。
選挙期間を4日残しての施行である。このことにより選挙運動が委縮しないか心配だ。

また、いくら株価が上がっても、景気がよくなったわけではない。
私たちの年金が株に運用される比率が上がり、株価操作の一役を担っているのだ。
株で儲けているのは、高齢者を中心に国民の10%前後に過ぎない。
(あとはアメリカのヘッジファンドか)
だが、株価が下がれば私たち国民の年金も目減りするのだ。

2014年11月19日の東京新聞より、伊東光晴氏の言葉
「日経平均株価は、第二次安倍内閣発足時の1万円台から6千円以上値上がりし、
 『アベノミクス効果』と宣伝している。
 だが、その要因は『外国ファンド資金の日本への流入にある』。
 外国ファンドはリスク分散のため、米国、欧州とその他の地域に資金を投じている。
 『リーマン・ショックで落ち込んでいた米国と欧州の株価が回復し投資枠を超えた
 ため、2012年6月ごろから日本株が買われるようになった。
 アベノミクスとは何の関係もない」

 
完全失業率が改善し有効求人倍率が高くなったといっても、
有効求人数の6割は非正規社員が占めている。
雇用が増えたといっても、2年で増えた約100万人の内訳はこうだ。
パートや契約社員などの非正社員は123万人増え、逆に正社員は22万人減った。
しかも増えた約100万人のうち、7割が65歳以上だ。
人数の多い「団塊の世代」が高齢化したのを背景に、働く高齢者が2年前の356万人
から424万人に増えたためだ。(朝日新聞デジタルより)

消費税増税や円安で、原材料を輸入に頼る中小企業や国民の暮らしは、
確実に苦しくなっている。
生活のためやむなく、働きに出ることになった主婦や高齢者もいると思う。
ほとんどの女性は、輝くために働いているのではない。
安心して暮らせる社会、安心して働ける社会、安心して結婚できる社会、安心して
子供を育てられる社会、安心して年を取ることのできる社会、安心して・・・
気の利いた修飾語など要らないのです。

お金持ちと大企業ばかり得して、庶民が切り捨てられる国は、どこかおかしい!
国民は「おかしい!」という思いを、選挙でしか示せないのです。


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追記

2014-11-25 16:15:36 | ②一市民運動
「黒い絆 ロスチャイルドと原発マフィア4」に追記を入れると余りにも長くなるので、
別投稿にします。

追記1
政府の地震調査委員会は、2014年11月22日に起きた「長野県神城(かみしろ)
断層地震」は、活断層の糸魚川ー静岡構造線の北部に位置する「神城断層」が動いた
可能性が高いと発表した。
糸魚川ー静岡構造線は全長約150キロ。地震調査委が、M7以上の地震を起こす恐れが
あるとして警戒を促す全国110の活断層の一つ。
中部の牛伏寺(ごふくじ)断層などが地震を起こすと、内陸地震として最大級のM8級に
なると予測している。鈴木康弘名古屋大教授は、「余震の範囲が南に延びていかないか
注意が必要だ」と指摘した。(11月24日朝日新聞朝刊より)

南には何があるのか。
浜岡原発は、その糸魚川ー静岡構造線の断層帯の上にある。
他にも東海地震や南海トラフ巨大地震の想定震源域の真上に立つ。非常に危険な原発だ。
2014年3月4日の「河北新報」の社説が、浜岡原発の危険性を指摘しています。
ブログの一番右下にあるブックマークに入れましたので、是非、ご覧ください。

●ブックマークから、2014年3月4日の「河北新報」の社説は削除されていました。
(2015年4月24日 記)

社説でも指摘しているが、原発の運転を停止していても危険性が無くなるわけではない。
福島第一原発4号機は停止中であったが、想像を絶する危険な状態だった。
廃炉が完全に終了するまでは、ずっと危険な状態がつづく。

「都市問題」2008年8月号、石橋克彦氏の「原発に頼れない地震列島」を
ブックマークに入れましたので、是非、ご覧ください。

2005年8月16日、宮城県沖地震(M7・2)の際に、女川(おながわ)原発が
耐震設計の基準となる地震動を上回る揺れに見舞われた。
そして2008年には石橋氏の提言があった。なぜこれらが福島第一原発に
活かされなかったのか。石橋氏は最後に、こう提言している。
「『原発がなくなると第二の夕張になる』という不条理な不安感に覆われている
 原発漬けの立地自治体に対して、原発全面依存経済からの脱却と地域の再生・自立を
 支援する法的・財政的枠組の整備が欠かせない」

原発が停止しても危険は無くならないし、廃炉が完了するまでには何十年もかかる。
国が押し進めてきた政策なのだから、最後まで国は責任を負う義務があると思う。
そうすれば原発の停止や廃炉がもっと進むのではないだろうか。           
(2014年11月24日 記)

追記2
2011年5月23日、参議院行政監視委員会での石橋克彦氏の質疑応答を、
ブックマーク「2011年に行われた原発に関する質疑応答と講演」に入れました。
2011年にはこんなに活発に行われていたのかと、改めて思いました。
短い時間ですが、日本の原発というものが、いかに功利的で、いかに出鱈目であった
かがよく理解できました。
他に類のない日本独特の「地震付き原発」をこれからどうしていくのか。
集団的自衛権や特定秘密保護法と一緒に、是非、今回の選挙の争点にして欲しいです。
これ以上、「不作為の大罪」を犯し続けないためにも、お願いします。

●限度数の関係で、上に書きました「石橋克彦氏の質疑応答」をブックマークから
 削除しました。
 下のURLをコピペしてGoogleで検索すると観ることができます。

http://oriflameweb.pp.ua/video.php?v=5pQsQ9DIFT4">http://oriflameweb.pp.ua/video.php?v=5pQsQ9DIFT4
(削除されました)
(2015年10月9日 記)

このページでは他にも、2011年に行われた小出裕章氏や広瀬隆氏、飯田哲也氏
などの講演を視聴することができます。是非、ご覧ください。
(2011年4月29日、広瀬隆氏の「終焉に向かう原子力」の講演を聴きました。
 冗談を交えながら、恐怖に震えながらのお話に、あっという間の1時間26分でした。
 日本列島発生のメカニズムや、地球規模のプレートの動きなどとても解りやすく、
 いかに日本列島が危ういものであるか、なかでも浜岡原発の位置する場所が
 危ういものであるかが、よく解りました)
(2014年11月25日 記)

追記3
2011年といえば、5月6日に菅直人元首相が浜岡原発に対して
「浜岡原子力発電所のすべての原子炉の運転の停止」を要請している。
2014年02月14日、中部電力は政府要請で運転を停止した浜岡原発4号機の
再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。

2014年、自民党の衆院選公約には、次のようにように明記されている。
「原子力発電は重要なベースロード電源である。
 原子力規制委員会が認めた場合は、その判断を尊重し、原発の再稼働を進める」

わずか3年半で、福島第一原子力発電所の事故が無かったことのようにされようと
している。中部電力浜岡原発4号機が再稼働されるのを、黙って観ていていいの
だろうか。川内原発や高浜原発など、たくさんの原発が3・11前のように
再稼働されてもいいのだろうか。

子どもへ、またその子どもへ、またその子どもへ、その子どもへ、またその子どもへ
そしてその子どもへ、その子どもへ、さらにその子どもへ、そしてその子どもへ・・・・
10万年以上も放射能を出し続ける、大量の「高レベル放射性廃棄物」を遺して
よいのだろうか。
いつ原発事故が起きるかわからない恐怖を抱えながら、暮らすことになってよいの
だろうか。子ども達から安全な空気や水や土地を奪い、大量の「核のゴミ」と多額の
借金を遺してよいのだろうか。

今までの生活を、みんなが少しずつ我慢して、みんなで知恵を出し合って、
原子力発電所を動かさざるを得ないような【連鎖】を断ち切るのは、今しかないと思う。

私は3・11が起きるまでは、世の中のことに無関心でした。
政治も経済も、国際情勢も、原発も、軍事も、全て他人事でした。
福島第一原子力発電所から200キロ離れたわが町が、まさかホット・スポット
(周囲より放射能や化学物質濃度の高い部分・地域)になろうとは、夢にも
思いませんでした。風向きによっては、あるいは降雨によっては、日本中どこでも、
ホット・スポットになり得るのです。
「明日は我が身」だということを忘れないでください。
そうなってからでは遅いのです。

私は持病があり、デモや集会には行けません。
また問題意識を共有する仲間もいません。
未消化な知識をかき集めて、こうして発信することしか出来ません。
でも何とかしなきゃという思いでいっぱいです。

無党派層の棄権で、自民党圧勝という予想が出ています。
師走のこの忙しい時に・・・という思いは誰にでもあると思います。
「忙しいから選挙には行かない」では、安倍政権の思う壺です。
また自民党は、不利になる報道を控えるようにと、マスコミに圧力をかけた
そうです。こうなったら2年間の思いの丈を、選挙にぶつけましょう。
期日前投票は以前よりもやり易くなり、ご自分の都合のよい時に投票できます。

お読みくださる方がいらっしゃることが、何よりの力です。
本当にありがとうございました。
(2014年11月26日 記)


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黒い絆 ロスチャイルドと原発マフィア 1

2014-11-16 12:05:02 | ⑤エッセーと物語
狭い日本になぜ54基もの原子力発電所が存在し、国民がどんなに反対の声を
上げても無くす方向にはいかないのか、私はずっと疑問に思ってきました。
陰で大きな力が働いているのではとは思っていましたが、それがどんなものかは
解りませんでした。

『黒い絆 ロスチャイルドと原発マフィア 狭い日本に核プラントが54基も存在する理由』
(鬼塚英昭著 成甲書房)を読んで、そこには国を超えたとてつもない巨大な利権と人脈、
そしてそれぞれの思惑が絡まり合っていることが判りました。
原発はいったん始めてしまったら麻薬と同じで、止めるには一筋縄ではいかないということを
思い知らされました。

どれだけ理解できたかは自信がありませんし、書かれていることが全て正しいかどうかは
私には分りません。私が理解した範囲で、本に書かれている気になる言葉を
ピックアップしていこうと思います。この本の初版が2011年5月30日ですので、
現在とは若干の違いがある箇所があります。

まずロスチャイルド家とは何なのか。この本で私は初めて知った。ウィキペディアによると
「18世紀後半にフランクフルトのゲットー(ユダヤ人隔離居住区)出身の
 マイヤー・アムシェル・ロートシルクが銀行家として成功したことに始まる。
 現在、ロスチャイルド家が営む事業は主にM&Aのアドバイスを中心とした投資銀行業務と
 富裕層の資産運用を行うプライベート・バンキングが中心である」

どこにも原子力との関係を示す記載はない。
この本には次のように書かれている。
私はまず、ヴィクター・ロスチャイルド(1910~1990)について書くことにする。
どうしてか?彼こそが"原発マフィア"の中でも最も大きな力を持っていたからである。
しかし、いかなる原爆の本を読んでも、日本を問わず、欧米においても、
一行たりとも全くその姿を見せたことがない。
彼は闇の中にほぼ完全に隠されている。しかし、彼こそが原子爆弾を、そして
原子力発電所を創造した男なのである。

原子爆弾を製造すべく、アメリカは「マンハッタン計画」を立てる。この計画は、
1939年8月2日に、アルバート・アインシュタインがフランクリン・ルーズベルト
大統領に書簡を送って、原爆製造にアメリカが着手するようになった、というのが現代史の
定説とされている。
しかし、ヴィクターこそが原爆製造の"主役"であることは全く知られていない。
すべてが謎につつまれている。

ヴィクターはイギリス陸軍の飛行機を乗りまわし、あらゆる国々でウラン探しを続けた。
広島と長崎に原爆が落とされた後、当時のウラン鉱山の約80パーセントが
ヴィクターの手に落ちていた。第二次世界大戦が終了すると、ヴィクターは、
ウランの大量販売に乗り出すのである。

・・原爆がアメリカの軍事戦略の中心となっていく。こうした風潮のなかで、
原子力の平和利用としての原子力発電所が誕生してくるのである。
私たち日本人は、大きな"平和利用"としての原子力、すなわち核分裂を考えているが、
平和利用とは軍事産業の一分野なのである。どうして原子力発電にアメリカは
力を入れるようになったのか。
核分裂から電力を取り出して、工場や一般家庭に送電するのは二次的目標なのである。
それは今日でも変わらない。真の目的はプルトニウムを大量生産し、原爆製造、
そして水爆製造をするためであった。製造後に大量に出てくる劣化ウランで爆弾を造り、
世界各地での戦争を演出し、数十万、あるいは数百万単位で人々を殺害するためであった。

1991年、アメリカ軍はクウェートとイラクで94万4000発もの
劣化ウラン弾を発射した。
国防総省は戦場に最低でも320メートルトンの劣化ウランを残してきたことを認めている。
湾岸戦争の従事者に関するある調査では、彼らの子供が目の欠損や血液感染、呼吸器の問題、
くっついた指といった重い障害をかかえて生まれる可能性が高いと報告されている。

「原爆製造の父」であるロバート・オッペンハイマーの言葉
「物理学者たちは罪を知っている。我々は自分の手を汚した。原爆は麻薬だ。原爆は軍事的に
 意味のない兵器だ。それは大爆発ー非常な大爆発ーを起こすだろうが、
 戦争では役に立つ兵器ではない」

・・ここから「平和のための原子力」という言葉が生まれてきた。日本人は、
特に原子力発電を推し進める原発マフィアたちは、この言葉を今日でも使い続けている。
アメリカはこの「平和のための原子力」という言葉を盛んにピ-アールした。
こうして「恐怖の原子力」というイメージが消えていった。
この言葉を世界中の政治家たちがこぞって使い始めたのである。
シュトラウス(ルイス・L・シュトラウス、原爆エージェント)が勝利し、
オッペンハイマーが敗北した。「核拡散」こそが、原子力の平和利用であるとされた。

ヴィクター・ロスチャイルドはウラン鉱山の80パーセント近くを支配していた。
彼はさらに世界中のウラン鉱山を探査するのである。アフリカ大陸に的が絞られた。
南アフリカの金山からウランが出た。そして今、ロスチャイルドは、
オーストラリアに世界最大のウラン鉱山を持つ。

日本に目を向けてみよう。佐野眞一の言葉
「A級戦犯で死刑になった人は7人ですが、A級戦犯容疑者として拘留され、
 後に不起訴となって出てきた人はそれよりずっと多い。正力松太郎もそうです。
 彼は読売グループの総帥にして日本プロ野球の生みの親なわけですが、
 じつは戦前には警視庁刑務部長を務めた大物官僚で、戦時中も大政翼賛会総務や
 貴族院議員を務めていたんですね。終戦後はA級戦犯容疑で
 巣鴨プリズンにも入っていたという人物です」

CIAから暗号名「ポダム」を与えられていた正力は、輝かしい日本の未来を願い、
CIAから1千万ドルの小切手を貰って日本テレビを創り上げ、かわりに、
3千万の人々の反原爆運動を「毒をもって毒を制する」方法で、原子力利用を
工作したというわけである。

正力の戦略は原子力利用への熱望を育てることに成功していく。被曝があるからこそ、
期待が高まる。
オセロゲームで、黒のコマを一気に白に変えるような見事な手腕で、
正力は大衆社会の原子力への期待を煽りに煽り、それを一身に受け止めて衆議院議員に
初当選を果たし、かつて学術会議で議論された軍民を総括するアメリカ原子力委員会と
同じ名前の組織を作って良いのかという問題を一切考慮することなく、
強引に原子力委員会を設置して、自らその初代委員長に着任、
科学技術庁長官として入閣を果たした。

読売新聞は、1955年元旦、「原子力平和使節団招待」という社告を第一面に掲げた。
「原子力は学問的にみても、とっくに技術開発の段階さえ終わり、工業化と経済化への
 時代、それも輝くばかりの未来柱を暗示する時に来ている。
 広島、長崎、そしてビキニと、爆弾としての原子力の洗礼を最初にうけたわれわれ
 日本人は、困難を押し切ってもこの善意により革命達成の悲願に燃えるのは当然だ」
2につづく                          (敬称略)

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黒い絆 ロスチャイルドと原発マフィア 2

2014-11-16 12:04:03 | ⑤エッセーと物語
中曽根康弘はその著書のなかで、「これがわが国における"第三の火"のスタートに
なった」と書いている。中曽根が原子力予算案を提出したのは、アメリカが極秘裡のうちに
ビキニ環礁での水爆実験を行ってからまだ2日後のことだった。
ここから浮びあがってくるのは、中曽根がビキニの核実験をひそかにアメリカ側から
知らされた上で、あえてこの日に原子力予算をぶつけてきたのではないかという
疑惑である。さきに述べたように、読売がこの水爆実験をスクープするのは、3月16日
のことだった。もし読売のスクープが出たあとであれば、当時の国民感情からいって、
この予算案は通るどころか、上程することすらできなかったはずだった。

1954年、中曽根が原子炉建設費として提出した2億3千5百万円に対し、
「どうしてこの予算額なのか」と質問された際、中曽根は「ウラン235から決めた」と
言っている。中曽根はこのとき、「科学者たちが全く動こうとしないので、
自分が彼らの顔に札束を叩きつけて彼らの目を覚まさせた」と発言している。
日本の学者はそれ以降、札束を顔に叩きつけられて、原子力が危険なことを
言わなくなった。

槌田敦『原発安楽死のすすめ』より引用
「このアイゼンハウアの演説には裏があった。当時、アメリカでは原爆をつくりすぎていて、
 ウラン濃縮工場を操業短縮するという『軍事利用の危機』に陥っていた。
 その事情はソ連も同じである。そこで、この軍事工場で生産される過剰ウランを
 原子力発電所で消費することにより、軍事工場を操業短縮しないでも済むように
 しようとした。これが米ソ両国による『平和のための原子力』だったのである」

シュトラウスはヘンリー・キッシンジャーを同伴させて、中曽根に「原子力平和利用」を
日本に命じたのである。中曽根は正力松太郎とともに、アメリカのために、
決して日本のためでなく働くように強要されたというわけである。
かくて日本列島に核兵器工場=原子力発電所が林立することになった。

核物質の危険性はすでに知られていた。都築正男がその先駆者であった。
だが、原爆は秘密裡に造られたのである。前述したヴィクター・ロスチャイルドの強制力が、
チャーチル首相、ルーズヴェルト大統領を動かして。マンハッタン計画を知っていたのは、
アメリカでは、ルーズベルト大統領、スティムソン陸軍長官、グローブス将軍、
モーゲンソー財務長官と、物理学者たちであった。
トルーマン副大統領も、ウィリアム・リーヒ提督、マッカーサー、アイゼンハワーらの
司令官も全く知らされていなかった。マンハッタン計画に従事した数万の人々も、
自分たちが何を造っているのかを知らされていなかった。
このマンハッタン計画とその後の原爆実験で、アメリカでは広島・長崎をはるかに
上回る数の人々が被曝して、今も苦しんでいるのである。
(マンハッタン計画は、私のブログの放射性廃棄物~終わらない悪夢~ 
 2014年8月23日のエッセイにも出てきます)

1950年代に入ると、水爆製造の時代に入った。
アルバート・アインシュタインは、次のように警告していた。
「莫大な資力が軍部の手のうちに集中し、若者の教育を軍国化し、市民とくに公職に
 ある者の忠誠心を問う警察権力の監視が、日増しに顕著になっている。
 そして、固有の政治思想をもつ者に対する威嚇がひどくなり、ラジオ、新聞、
 学校を通じて、一般公衆が偏った方向に啓蒙され、さらに軍事機密保守の協調によって、
 一般の人々が得る情報が、大幅に制限される傾向にある」

(まるで現在、あるいは近未来のことを警告しているようだ)

広瀬隆『危険な話』より
「みなさんはこの文章をどこかで聞いたことがあるはずです。
 -これらの被ばく量は、私たちが自然から受ける放射能100ミリレムに比べて、
  ほとんど変わらない安全な量です。また、医療に使われている放射能より、ずっと
  低いものです。高い山に登ると、240ミリレムの放射線を受ける場所がたくさん
  あります。人間の体のなかにも、もともと放射線を出す物質が入っています。
  しかも私たちが目標としているのは、この数字ではなく、ネバダの実験場の外で
  住民が受ける放射能を、ゼロにすることです」  ー原子力エネルギー委員会
  
 どうですか、この文章は、私たち日本人がいま電力会社から受け取るパンフレット
 そのままではないですか。ほら、週刊誌などのPRでよくこの文章をグラフにしたものを
 見るでしょう。あれは実に、30年前にアメリカ人がネバダの風下住民に配った
 パンフレットから、そっくりそのまま内容を頂戴して絵に描(か)いたものだったのですね」

(どこまで怠慢で傲慢で、無責任で、国民を愚弄しているのだろう)

『福竜丸』の著者ラルフ・E・ラップの言葉
「核兵器のほんとうに驚くべき破壊力が示されたのは、福竜丸の甲板であった。
 核爆発地点から百何十キロも離れたところに居た者でさえ、核爆弾にそっと音もなく
 触れられて死ぬことがあるのだと知れば、人間が核爆弾を手にするのは、
 世界はあまりにも小さすぎるということが、否でも応でも判るはずだ」

この福竜丸の被曝を知り尽くしたシュトラウスは、1954年の春、アメリカ中を
巻きこんだ水爆実験の影響をめぐる論争の真っ只中で、次のように公言したのであった。
「放射線が少し増えたとしても、人間、動物、作物に害を与えうるレベルよりもはるかに
 少ない」
「医療用のX線のような放射線源や"自然放射線"と比較し、核爆発から出る放射性降下物は
 人間の遺伝構造に重大な害を与えない」

東京電力や関西電力は、このシュトラウスの主張する「無害論」をパンフレットにして
ごく最近まで、東日本大震災のすぐ直前まで大量にバラまいていたのである。
正力松太郎はシュトラウスの甘言を受け入れて、彼の代理人であり続けた。
(3・11の後に)フランスのサルコジ大統領が日本にやってきたのも、
GEのトップが東京電力本社にやってきたのも、水素爆発した原発を"見せ物"化して、
「より新しい、すなわち、より安全だと思わせる発電所を造れ」と、日本政府と東京電力を
説得するためであった。
 
彼らは正力松太郎の"毒を持って毒を制する"ことこそが、日本人を洗脳する一番よい方法だと
知り尽くしている。多くの原発マフィアたちが海外の権力者の力を借りて、「もう一度、
新しい原発を」「より安全な原発を」と騒ぎ出す日は近いのである。

プルトニウムについて
私たちを今悩ませるのは、原子力発電所から出てくるプルトニウムである。このプルトニウム
問題が解決できず、アメリカはついにスリーマイル島の原発事故以降、
原発の建設を中止するようになる。

このスリーマイル島の原発事故は「レベル5」とされている。福島第一原発事故は
「レベル7」。
「ウラン資源を有効に利用し、原子力発電の供給安定性を高めるため、長期的に安全性及び
 経済を含め軽水炉によるウラン利用に勝るプルトニウム利用体系の確立を目指すこととする。
 すなわち、使用済み燃料は再処理し、プルトニウム及び回収ウランを利用していくとの
 考え方『再処理ーリサイクル路線』を基本として、これに沿って着実、かつ、段階的に
 開発努力を積み重ねることにする」 (原子力開発利用長期計画)

これが日本の原子力開発の一貫した方針である。しかし、プルトニウムという
「地獄の魔王」が、使用済み燃料として大量に生まれてくる。原子爆弾(水素爆弾を含めて)
に利用できるが、再処理=リサイクルされたことはない。
すなわち、世にいう「高速増殖炉」によるプルトニウム利用はほぼ不可能なのである。

では、どうしてプルトニウムは危険なのか。
「100万個のなかの1個のアルファ線が体内に入ると決定的な突然変異の原因になる可能性
 がある。したがって、いかなる量のプルトニウムでも癌を生み出す可能性がある」と
いうことである。

ひとたび体内にプルトニウムのアルファ粒子が入ると、その半減期は2万4千65年である。
その半分が別の元素になるまでの時間はさらに2万4千65年となる。福島原発事故で
プルトニウムが出てきたことは、たとえ少量であっても2万4千65年は
消えることはないということだ。
私はあの原発事故でプルトニウムがかなり大量に出ているものと思っている。
最も危険なのがプルトニウムであると知る必要がある。しかし、新聞もテレビも、
たった一度だけプルトニウム放出を報道したが、後は一切報じていない。

ヴィクターとユダヤ資本家、金融マフィアたちは、次から次へと御用科学者を培養していった。
そして、ついに「原子力ルネッサンス」の時代がやってくる。その切り札こそが
地球温暖化というエセ科学であって、一流と称される科学者たちを買収して
全世界に流行させたのである。
私たちは21世紀に入って、ウランを制する者が世界を支配する世界を迎えた。否、その
言葉は正確ではない。迎えようとしていた。そこに、福島第一原子力発電所で
大爆発が起こったのだ。                     (敬称略)
3につづく                                     

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黒い絆 ロスチャイルドと原発マフィア 3

2014-11-16 12:04:02 | ⑤エッセーと物語
中曽根康弘が原子炉建設費として提出した2億3千5百万円の予算案は、
その後どうなったのか。
あのウラン235をもじった予算案が予算委員会を通過した翌日、新聞、ラジオはいっせいに
反発したのであった。「どうせ原爆を造る気だろう」「無知な予算だ」
「学術会議に黙ってやった」・・・。
それでも共産党をのぞく四党は押し通した。私はアメリカが強力な圧力を加え、
日本政府、政党を脅した結果だとみている。突然の「原子力の平和利用」が日本国民の
知らないところで、中曽根康弘によって開始されたのである。

この予算がつき、正力松太郎が衆議院議員に初当選し、初代の科学技術庁長官、
そして原子力委員会の委員長になる。正力と中曽根の二人組が、原子力発電所を
強引に日本に造っていくのである。
正力と中曽根は共同で、次々と法案を提出しては通過させていく。原子力委員会設置法、
核原料物資開発促進法、原子力研究法、原子燃料公社法、放射線障害防止法、そして
科学技術庁設置法が、矢継ぎ早にできていった。この間、役人は一切関与していない。
中曽根は衆議院の専門委員と法制局の参事を使っただけで、中曽根を中心とする一部の
国会議員だけでの議員立法の形で法案が提出され、成立していったのである。

ここで、私たち日本人は知らなければならない。まず、法律が制定され、日米原子力協定が
調印されて、東京電力と関西電力が動き始めたということである。これは何を意味するのか。
原子力発電所は最初から国家が建設し、維持し、管理するという特殊なシステムが完成し、
これにアメリカが強制的な力を発揮したということである。
東海村はもとより、福島第一原発も、第二原発も、東京電力の事業というよりは、
国家事業であったことを私たち日本人は知らねばならない。

(政府が際限もなく東京電力救済にお金を使う仕組みが、ここにあったのだ)

中曽根内閣は1983年12月18日に「平和問題研究会」を発足させたが、そのリーダーは
瀬島龍三であった。委員会は同じ日に報告書を出した。中心は日米安保体制であったが、
原発についても触れている。
「原子力の中核的役割にかんがみ、核燃料サイクルの確立、新型動力炉の開発などを
 積極的に進める必要がある」
核燃料サイクルの確立・新型動力炉の開発とは、「プルサーマル」のことである。
原発から出てくるプルトニウムを再処理することこそが、「平和問題研究会」の
主要なテーマであったことが分かるのである。

青森県六ケ所村にプルトニウムをもっていくことを決定したのは中曽根康弘である。
日本は、否、世界はまことに運がよかった。あの3・11巨大地震がもう少し
北の震源で起きていたら、プルトニウムが爆発し、世界は滅ぶところであった。
アメリカも、世界権力を狙う連中もみんな、みんな、滅び去ってしまうところであった。

すべてはウラン235から採用された2億3千5百万円の予算案から始まった。
維持することも不可能、解体することも不可能な原発が54基も存在する日本。
こんな日本をつくったのは、正力と中曽根だけではない。多くの利権を漁る連中が、
この日本という国を喰いつぶしたのである。

(政治家が日本国中に必要のない空港をたくさん造らせ、それがJALを窮地に陥らせた
 ことに相通じるものがある。非難されるのは企業だけで、その大本となった政治家は
 常に責任を問われることはない)

 
私は、日本人はどこかで大きな間違いを犯し続けていると思っている。第二次世界大戦で
日本が敗北したのに、その真の原因が隠されたままではないか。
今回の3・11巨大地震でも、起きるべくして福島第一原発の大事故が起きたのに、
その真の原因を探ろうとする動きは見えてこないのである。
私はその真の原因を読者に知らせるべく、降りかかるであろう苦難を百も承知で
追及の旅に出ている。

ベルギー領コンゴのみならず、カナダでも豊富なウラン鉱脈が発見された。
南アフリカでは金山の副産物として大量のウラン鉱石が生産された。
アメリカ西部諸州でも大規模なウラン鉱山が発見された。さらにオーストラリアでも・・・。
これは何を意味するのか。大量の鉱石の産出が、【原発を必要とした】のである。

政府は原子力関連投資への特別償却や減税措置を含む大規模な助成策をとった。
原子力の利点だけを、東電も関電も大々的に宣伝した。CIAが1千万ドルの資金を出した、
あの正力松太郎の日本テレビがその先兵となった。瀬島龍三は他のテレビ局にも圧力を
かけ続けた。「原発は危険だ」というニュースがテレビで流れることはなかった。

(NHKをはじめとするテレビ局や新聞社の委員・理事・参与・重役・社長・会長などと、
 原発との関係が実名で書かれている。3・11以降のマスコミの対応は、
 ここに起因していたのか)

広瀬隆の本より
「新潟県柏崎市に建設されている『柏崎刈羽原子力1号』は世界最大クラスの原子炉である。
 この工事は、1984年12月に運転開始、総建設費3753億円の予定で6年前に
 着工されたが、運転開始が2年近く遅れ、すでに建設費は計画より2割以上も水増しされ、
 4543億円に達している。
 土建業界では、工事費の3%を政治家に払う、と言われている。
 これだけで136億円が政治家の懐に入っても、不思議ではない。(中略) 
 【一号炉】、と力をこめて書くのは、この柏崎に予定されている原子炉が、
 合計7基にのぼるからである。

2000年代に入ると、ロスチャイルド傘下のRTZは世界各国とウラン契約を結びだした。
しかも長期契約である。アメリカ、フランス、イギリスが、RTZ(表向きはあくまで
オーストラリア政府とではあるが)と大量輸入契約を結んだ。それを見た日本もオーストラリア
とウラン購入契約を結んだ。・・・中国も原発燃料用ウランを大量に発注した
(2006年4月)。
追ってインドもオーストラリアと契約をした。
RTZが他国のウランよりも安く、しかも、甘くて使いやすいイエローケーキを提供したから
日本は飛びついたのだ。

作者は東芝の社長宛てに手紙を出す。
「あなたは、大昔からオーストラリアに住む原住民アボリジニーを知っていますか。
 彼らはウラン鉱石が地表に近かったり、露出したりしているところを「病気の国」と呼んで
 いました。彼らは直感力を信じていました。アボリジニーたちは
 「母なる大地の胎内に眠らせておけ」と、ウラン鉱の近くを避けて生きてきました。
 しかし、オーストラリアの大地を自由に歩きまわり、ながいながい悠久の歴史を生きた
 彼らは、イギリスからきた白人たちに殺害されていきました。
 かろうじて生き残った彼らはウラン鉱の中で、その近くで生きています。
 ウラン鉱山からイエローケーキを取り出した後の尾鉱といわれる放射性物質が
 彼らを24時間、襲っています。私は彼らの中に日本の未来の悲劇を見ます。・・・」

柏崎刈羽での原発事故が発生したとき、「低レベル放射性廃棄物が入ったドラム缶
約400本が横倒しになった」と書いた。間違いなく、これがDUの入った缶なのである。
年間7000トンほどのDU,すなわち劣化ウランが日本の原発から出てくる。
毒性が非常に強く処置に困るからドラム缶に入れているだけにすぎない。

DUは、人体にとって、「トロイの木馬」だと言えるかもしれません。
なぜなら、体内に入りこんだDUは、やがてその作用によって、重い疾患や、
逃れがたい死をさえ引き起こしうるからです。
劣化ウラン弾の使用に起因するこれらの極微小粒子は、破壊不能であり、何よりも
生体不適合なのです。肺から血液、胃、肝臓に移り、ついには精液の中に入ります。
環境を汚染し、私たちの健康に取り返しのつかない影響を及ぼすのです。

DUを兵器としたために、イラク、アフガニスタン、ボスニア、コソボで住民たちに
悪性リンパ腫、脳腫瘍、肝臓ガン、血液のガンが多発している。呼吸器障害、関節痛、
全身倦怠感に苦しむ住民も激増している。

この劣化ウラン弾が、沖縄・嘉手納の在日米軍基地に40万発
(湾岸戦争での全使用量の半分)が保管されていると、2006年8月2日付の
「毎日新聞」が報じている。
劣化ウラン被曝国が
劣化ウラン弾を禁止しろといくら叫べども、アメリカ、フランスなどの国は無視続けている。
これが、彼ら"原発マフィア" たちが唱える「環境にやさしい原発」の正体である。
4につづく                           (敬称略)

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黒い絆 ロスチャイルドと原発マフィア 4

2014-11-16 12:03:57 | ⑤エッセーと物語
私は、日立がGEと組んでいると先に書いたが、2011年4月4日、
GEのCEO、ジェフリー・イメルトが来日した。2011年3月末にはフランスの
原発メーカー最大手、アレバのトップも来日している。アレバは何を狙っているのか。
アレバと提携関係にある三菱重工の幹部は「目的は廃炉ビジネスだ」と指摘している。

RTZは、フランスという国家を巻き込み、ウラン資源国のカナダ、南アフリカ、
オーストラリアのウランをフランスに提供することにした。フランスは原発を
国有化した。そしてヨーロッパのエネルギーの支配者となった。三菱重工を組織の
中に取り入れたアレバは、フランス国家が90%の株を所有することを知る
必要がある。RTZはかくてフランスを巨大な原発国家に仕上げた。

イギリスが世界最初に原子力を平和利用化した。すなわち、原発を最初に造った。
1956年、商業用4基が運転を開始した。翌1957年、余ったプルトニウムを
再処理しようとし、原子炉で大火災が起きた。このことは軍事機密とされた。
大火災が発生したイギリス北西部、アイリッシュ海に面するセラフィールドは、
この大火災により、小児白血病が10倍に増えた。イギリスは日本に原発を
売り込むと同時に、東電などの各社の使用済み核燃料を受け入れている。
しかし、1964年、核燃料再処理施設を運転開始して以来、大量の放射性物質を
含む原液を海に放出し続けている。東電はそれでもイギリスに再処理を
委託し続けてきた。

ついに2005年、再処理施設でウラン・プルトニウムが配管から大量に流出する
事故(「レベル3」)が起こった。日本の原発から出るプルトニウムを引き受けた
フランスとイギリスから、大量のプルトニウムが日本に帰ってくる。原発最大手の
RTZは、そのために、オーストラリアに巨大な核廃棄物処理施設を造っている。
今、新・原発ルネッサンスの時代を迎えようとしている。
イギリスの海は、福島の海の比ではない。汚れっぱなしだ。フランスの海も
汚れっぱなしだ。アメリカを見よ。あの汚れちまった大地を。

アメリカはオーストラリアとの大量のウラン購入契約をした。しかし、アメリカでは
福島第一原発事故を受けて、予定していた原発建設の中止が相次いでいる。
だから購入したウランは、核兵器製造に使わざるをえない。原発マフィアたちは
新しい戦術を展開するにちがいない。
アメリカ、イタリア、スイス、そしてドイツが原発から撤退しそうである。
フランス、中国、そして日本は、原発から撤退できなくなっている。

どんなに悲惨な事故が起きようとも、国際金融マフィアが完全に支配する原発の
新設は続けられる。日本はもし、静岡・浜岡原発で予期せぬ事故が起きたら、
国家として成り立たなくなる。
しかし、東芝も、GEと組んだ日立も、フランスのアレバと組んだ三菱重工も、
次々と原発をいろいろな所に、そう、いろいろな所に、世界中に造りまくると
意気まいている。もし、フランスのアレバが、福島第一原発の廃炉の利権を得れば、
アレバと三菱重工に兆円単位の金が入ることになる。世界が原発で滅びようとも、
世界を支配しようとする原発マフィアは、かえってそれを願っているのかもしれない。
私たち日本人は大変な時代に生きている。
そして何も知らされずに、ただひたすら、世界の善意なるものを信じている。

(安倍政権がインドやトルコ・UAE、ヨルダン、ベトナムなどに原発を輸出しよう
 としているのは、これだったのか。
 反原発とは、こんなえたいの知れない巨大な力と向き合うことだったのか)

日本の原子力政策は、大多数の国会議員には触れることのできない内閣の専権事項と
なっています。担当大臣すら実質的には役所にコントロールされている。つまり、
経産省や内閣府の原子力委員会など"原子力村の人々"が政策の方向性を事実上
すべて決め、政治家だけでなく原発を抱える地方自治体には何の権限も与えられて
いないのです。

(特定秘密保護法が施行されると、ますます秘密裡に進められてしまうのでは
 ないだろうか)

・・日本では、東芝、日立、三菱重工の力が強く働いていると私は思う。彼らは
日本に原発をどんどん造るよう、国際原発マフィアから、たえず脅されていると思う。
日本の首相も経産省もこの力の言いなりなのだ。
オーストラリア政府から(現実にはRTZから)大量のウラン購入を続けなければ、
約束違反に問われる。日本の3つの原発メーカーと、9つの電力会社は
一蓮托生の運命にある。

2011年4月18日、毎日新聞編集委員、山田孝男の論説から引用
「中部電力の浜岡原子力発電所を止めてもらいたい。安全基準の前提が崩れた以上、
 予見される危機を着実に制御する日本であるために。急ぎ足ながら三陸と福島を
 回り、帰京後、政府関係者に取材を試みて、筆者はそう考えるに至った。
 福島に入った私の目を浜岡に向かわせたのは佐藤栄佐久・前福島県知事だった。
 郡山に佐藤を訪ねて「首都圏の繁栄の犠牲になったと思うか」と聞いたとき、
 前知事はそれには答えず、こう反論した。
 「それよりネ、私どもが心配しているのは浜岡ですから。東海地方も、東京も、
  まだ地震が来てないでしょ?」

 浜岡原発は静岡県御前崎市にある。その危うさは反原発派の間では常識に
 属する。運転中の3基のうち2つは福島と同じ沸騰水型で海岸低地に立つ。
 それより何より、東海地震の予想震源域の真上にある。
 福島のあおりで中部電力は浜岡原発の新炉増設の着工延期を発表したが、
 稼働中の原子炉は止まらない。代替供給源確保のコストを案じる中電の視野に
 休止はない。ならば国が、企業の損得や経済の一時的混乱を度外視し、
 現実の脅威となった浜岡原発を止めてコントロールしなければならないはずだが、
 政府主導の原発安全点検は表層的でおざなりである。

 向こう1000年、3・11ほどの大地震や津波がこないとは言えないだろう。
 列島周辺の地殻変動はますます活発化しているように見える。そういうなかで
 GDP至上主義のエネルギー多消費型経済社会を維持できるかと言えば、
 まず不可能だろう。・・・
 危機は去っていない。福島の制御は当然として、もはやだれが見ても危険な
 浜岡原発を止めなければならない。原発社会全体をコントロールするという
 国家意思を明確にすることが先ではないか。」

"原発震災"なる言葉を生み出し、かねて警鐘を鳴らしてきた地震学者の石橋克彦
の言葉「最悪の場合、(中略)放射能雲が首都圏に流れ、1千万人以上が避難
 しなければならない。日本は首都を喪失する」
「在日米軍の横田・横須賀・厚木・座間などの基地も機能を失い、国際的に大きな
 軍事的不均衡が生じる・・・」

私は日本の首都喪失だけでなく、日本という国そのものが喪失する可能性があると
思っている。大地震が来て、浜岡原発がメルトダウンするとき、国家の機能が
すべて失われて、工業国日本が消えて、放射能に永遠に汚染された広大な国土だけが
残る。関東一円の数千万人が、住む場所と仕事を失う。もはや彼らは原発難民となり、
日本国中を差別されながら流浪する民となる。

(原子力発電所建設が国主導で行われたことを考えても、一企業に任せるのではなく、
 国主導で 浜岡原発を廃炉にして欲しいと切に願う。
 これだけ危険性が分かっているのに国が何もしないのは、怠慢どころか
 犯罪だと思う。それとも自分たちが政権にある間だけ安全ならいいというの
 だろうか。この本が出版されて3年半が経ち今まで無事でいられたことが、
 むしろ奇跡だといっても過言ではないと思う)

では、私たち日本人は今、何をすべきか。私たちの将来が、それもごく近い将来が
真っ暗闇だということを知るのである。すべては、そこを出発点としなければならない。
静岡県を見よ。御前崎市を見よ、そして浜岡原発を見よ、と私は言いたい。

小出裕章は、「これから起こる原発事故(2007年『別冊宝島』)の中で、
次のように浜岡原発について書いている。
「浜岡原発4号機が大事故を起こし、事故発生から7日後に避難した場合、最大で
 5万4千742人が急性障害で死亡する。もし巨大地震の揺れに耐え切れず、
 浜岡にあるすべての原子炉が大事故を起こし、事故発生から7日後に避難した場合、
 最大で29万7千883人が急性障害で死亡する」

そして2011年4月4日号、「週刊プレーボーイ」の中で、小出は原発事故から
身を守る方策として、重要度の高い順に次のようなものを挙げている。
(1)原子力発電所を廃絶する。
(2)廃絶させられなければ、情報を公開する。
(3)公開させられなければ、自ら情報を得るルートを作る。
(4)事故が起きたことを知ったら、風向を見て直角方向に逃げる。
   そして可能なかぎり、原子力発電所から離れる。
(5)放射能を身体に付着させたり、吸い込んだりしない。
(6)すべて手遅れの場合には、一緒にいたい人とともに過ごす。

これらの動きが浜岡原発から、御前崎市から、そして静岡県から衝き上がるとき、
関東一円の数千万の人々が、本当の危機感を彼らと共有するとき、その危機感が
日本中の人々を動かすとき、「がんばろう、日本」と「原発反対」のスローガンが
生きてくる。だが、そんな動きは少しもない。私たちは空しい日々を一日、また一日と
送り、第二の福島の悲劇を迎えることになる。
「がんばろう、日本」
「原発反対」
そんな言葉を叫ぶだけでいいのか、日本よ。
日本は浜岡原発の大事故を、首都壊滅の日を、きっと近い将来迎えるにちがいない」

(これらを考え過ぎ、心配し過ぎ、あるいはたわ言と片付けていいのだろうか。
 何も策を講じなければ、遅かれ早かれ起こり得ると、私は思う。
 あれだけの大事故を起こしても、選挙での関心はきわめて低い。
 いくら景気がよくなっても、原発事故が起きれば全てを失ってしまうのだ。
 桜島の噴火の予測ができず、住民の避難計画も不十分なまま、
 川内原発を再稼働してよいのだろうか。
 地球をこれだけ汚し、人々の生活を根こそぎ奪い、病や死に追いやる原子力という
 ものの怖さを、今こそ真摯に考える時なのではないだろうか。
 自戒をこめて、騙されないためには、まずは 【 知ること 】 だと思う)
                               (敬称略)

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曳舟

2014-11-16 12:01:43 | ③好きな歌と句と詩とことばと
吉川宏志さんの第四歌集『曳舟』より

憎みつづけし男なれども単色の写真となりて我を見下ろす

人体に溶けている塩 燃やされて塩はいずこに還るか知らず

棺はこぶ黒き車にわが身体(からだ)映りおりしがうごきゆきたり

ねむの木の莢(さや)垂れている山の間(ま)にながれこむなり秋空の青

撲(う)ちし子が花壜のごとく揺れたるを二、三日ほど記憶しつづく

てのひらを頬にあてれば感情の生まれて遠く山鳩が鳴く

顔のうらがわをなみだのながれると言いし人あり夜が静かだ

てのひらを雨がつついているようなさびしき逢いのいつまでつづく

とんとんと紙を揃えるリズムにて雀は跳ねる冬の日なたに

くちなしは尿(ゆまり)のいろに枯れており妻のねむりし家に帰れば

夏の墓洗えばすぐに湯となりてながれゆくかな草生(くさふ)のなかに

暗黒のなかに聞きおり昼間見し砂地を海が這いのぼる音

身体(からだ)から剥がれるように夏逝くと思いしころはただ若かりき

あるときは妻の部屋への幕として子は立ちており氷菓舐めつつ

輪をつくる指はしずかに宙にあり彫られしときのままのかなしみ

天井に水の光の揺れいるを幼く病みし我は見たりき

生卵もちて走れるむきだしの憎悪を見ればむしろ明るし

ゆうぐれの地面に蝉は死にており蕊(しべ)のごとくに上を向く脚 (蝉は旧字)

帰りたや若かりし日に ふなうたは舟を離れて水の上ゆく

靖国を焼け あけがたの耳のなか羽蟻のごと落ちてくる声

燃えてゆく太柱(ふとばしら)よりぶくぶくと無数の青き霊が湧き出す

じゅうじゅうと遺書は燃えゆき血で書きし文字が泳げり炎のなかを







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佐藤通雅さんの歌 2

2014-11-10 19:15:20 | ③好きな歌と句と詩とことばと
佐藤通雅さんの第八歌集『予感』より

紙縒(こより)とはやさしはかなき文具なり屈(くん)じをる日の春の文机

庄内に入るころほひの無人駅天つくばかり花の大桐

美しき誤算をうたひ生き急ぎ死に急ぎたる昔日あはれ

餌を欲れる鯉はまろらな口あけてたとへやうなき洞(うろ)をみするも

ところてん酸(す)きをすくひて流しこむ心細れるときはうましも

水底に肌(はだへ)さらさら倒木の眠りをるなり湖をのぞくに

けふはここでをはりにしようと筆先で草の芽ほどのしるしをいれる

死ぬるとは口閉ぢ眠ることなのだ白布は顔の凹凸なぞる

栞紐ゆうらりはさみ書(ふみ)閉づる寝ぬるにも礼(ゐや)美しくする

ある日街のベンチに憩ひをりたるに空をつぎつぎ翔びゆく柩

自律病む神経(しん)なだめむと今日も行く枯れ枝の綾を透きて水の面

人の生(よ)はつぎつぎ記憶より消えてゆくわれすらやがてわれより消えむ

いつしかに葉群は影を濃くしたり過去世へうつるものみなはやし

やうやくに暑はかたむきていできたるころころ子らのこゑはよきもの

台風のあめかぜはアニメのやうでありドヒャーッと玻璃戸を打ちて鎮まる

水の面に波のいたれば白鳥は首の白よりまづ崩れたり

そのことをいつてはならぬぎりぎりをふつかみつかはゆきつもどりつ

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ユスフ三部作 「卵」「ミルク」「蜂蜜」

2014-11-02 06:31:16 | ④映画、テレビ、ラジオ、動画
ユスフという詩人の半生を描いたトルコ映画。監督はセミフ・カプランオール。
「卵(2007年)」、「ミルク(2008年)」、「蜂蜜(2010年)」の三部作。

寡黙な映画である。人びとは無口で、ひたすら生きている。
谷川俊太郎さんの次の言葉が、「蜂蜜」の特長を表している。
(「蜂蜜」は、ベルリン国際映画祭金熊賞受賞)

 言葉はためらい 言葉は沈黙する、
 そんな静けさから生まれたこの映画は、
 魂に向かって開かれた透き通る窓。

三部作だが、時間は逆行している。
一切の説明はない。
「卵」でわからなかったことが、「ミルク」や「蜂蜜」で明らかになったりする。

「卵」・・・中年になったユスフが、母の葬儀に5年ぶりに帰る。
      そこで母は、アイラという少女と暮らしていたことを知る。
      繊細なユスフと、凛としたアイラが素晴らしい。
      プロットは平坦だが、ふたりにグイグイ引き込まれる。
      ひかえめなふたりのしぐさに、いつしかふたりを見守っている。
      ユスフを演じるネジャット・イシュレル、アイラを演じる
      サーデット・イシル・アクソイがなんとも神秘的で魅力にあふれている。
      この三部作では、私は一番すきだ。
      ラストシーンでは食器をガチャガチャさせながら、ふたりは食事をしている。
      遠雷が聴こえる。
      エンドロールが流れても、食器のふれあう音と遠雷はつづいている。やられた!

「ミルク」・青年ユスフが、母と二人で牛乳屋をして暮らしている。
      詩へのあこがれ、母との生活における不協和音、将来に対する不安、
      恋、そして病。
      思春期のユスフのこころの揺れを描いている。
      画面から、エンジンの臭いや牛乳・チーズの匂いがする。そして遠雷。

「蜂蜜」・・ユスフ少年は、山の中で父と母と暮らしている。
      先の二作とは趣がすこし異なる。
      まさに映像の詩とよべるほど美しい。
      
      風の音、鶏の声、虫の音、卵をまぜる音、冷んやりした空気、葉のそよぎ、
      みずうみ、空、雲、木洩れ日、樹のきしみ、一枚の葉が地に落ちるまでの時間、
      水面にうつった月をかきまぜ、月が形をとりもどしゆく時間、水のせせらぎ、
      近くで遠くで鳥のさえずり、森の暗闇、台所仕事をする母のスカートの揺れ、
      耳を刺す金属音、そして遠雷。

      光をおさえた室内は陰影があり、フェルメールの絵画のように美しい。
      なんでこんなに映像がきれいなのだろう。
      おさえ気味の赤やオレンジがふんだんに使われている。
      土の色がやわらかい。

      観客はこうした空間に放り出され、分らないままひたすら待ちつづける。
      五感をすまし、待つことで時間を共有させられる。
      音や色や空気や匂い、そしてしずかな時を感じる。これが詩というものなのか。
      やがて父の死がしずかに語られる。

      
      居心地のよい時間だった。
      ただ、詩はもう少しみじかくてもよいのではないかと思った。
      他の二作品に比べ、時間がやや長く感じられた。

短歌では「説明的」という批評を受けることがよくある。
「説明的」という言葉がどうもわからない。
この映画を観て、その意味がすこし解った気がする。
分かってもらおうという、状況説明やせりふがない。

 卵を落とし撮影カメラに命中するシーン(この変換は見事だ)
 水鳥の羽をむしる母の笑み
 少年がきらいな牛乳を自ら飲むシーン など

これらのシーンは多くを語っている。




(画像はお借りしました)
    
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