今日のうた

思いつくままに書いています

初恋・地獄篇

2020-07-15 04:54:00 | ④映画、テレビ、ラジオ、動画
以前にも書いたが、年を取ると好きなものはより好きに、
嫌いなものはより嫌いになってゆく。
特にあの政治家がテレビに出ようものなら、一人だとチャンネルを替えるが、
連れ合いが一緒だと席を立たずにはいられなくなる。
神経が剥き出しになってしまう感覚なのだ。

嫌いなものを挙げたらきりがないので、好きなものを挙げます。
私の一番信頼しているキャスターは金平茂紀さんです。
その彼が、「私を作った3本の映画たち」を書いている。
2本は観たのだが、「初恋・地獄篇」はまだだったので借りることにした。
寺山修司・羽仁進脚本、羽仁進監督で1968年の作品だ。
私は羽仁進の映画をあまり観たことがないので分からないが、
いかにも寺山というシーンがいくつかあった。

主人公の男は7つの時に父が亡くなる。そして母も男と出ていく。
その後、養父母のもとで暮らし始める。
だがこの養父が男の子に性的いたずらをする。
養母は見て見ぬふりをする。
青年になった男の楽しみは、小さな女の子と公園で遊ぶことだ。
それも邪険な考えの大人に通報されてしまう。
そしてついに養父の性的虐待に逆らったことで、彫金の仕事も家も失う。

主人公の女は集団就職で東京に出てきたが、お金のために
ヌードモデルをしている。
ヌードスタジオでは裸になるだけではなく、マド・サドや変態ショーなどで
邪悪な大人に傷つけられる。
こうした社会の底辺を生きる二人が出会う。
初めて入った旅館での男の行いが痛々しい。

男役の高橋章夫といい、女役の石井くに子といい、この二人にしか
出来ない役だ。
大人になりきらない、寡黙でいつも怒っているような男。
童顔なのに豊満な体の女。
そして男と遊ぶ小さな女の子は、まるで岸田劉生の「麗子像」のようで
不思議な雰囲気を醸し出している。

女の子のなぞなぞの答えが分からずに、男は女に聞く。
「キャベツをむくと芯がでる。ではタマネギをむくと何が出る?」
答えを知って男は初めて笑う。
文通のための切手を交換するなど、やっと二人に幸せが訪れると思いきや、
初めて結ばれるその直前に、男は邪悪な大人によって殺される。

天狗のお面、かくれんぼ、男の子の性器、母親が出ていく際に
少年とキスをするシーンなど、寺山を思わせるシーンがいくつかあった。
それにしても初恋とは、なんとヒリヒリしているのだろう。

緑魔子のファンなので、一緒に「非行少女 ヨーコ」を借りる。
降旗康男監督のデビュー作で、1966年の作品だ。
こちらも輪姦されたり、父親に迫られたりして田舎にいられなくなった女が、
東京に出てくる。
そしてハイミナール(睡眠薬)中毒になってゆく。
「ラリる」という言葉があるが、当時は大麻でも覚せい剤でもなく、
睡眠薬の過剰摂取だったのには驚いた。
石橋蓮司がおかま役で、寺山修司がちょい役で出ている。

広辞苑によると、不良は品行が悪いこと、非行は法律や社会規範に
反した行為をいうとのことです。

※ラジオで面白い曲をやっていました。
 「【OBK-RECORDS】 あがた森魚・緑魔子ー昭和柔侠伝の唄」
              ↓
https://www.youtube.com/watch?v=irABYHEKvEA







(画像はお借りしました)

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2 コメント

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昭和柔侠伝の唄 (ブルーはーと)
2020-07-17 20:27:30
お邪魔します。あがた森魚と緑魔子の「昭和柔侠伝の唄」は「電気ブラン」とともに脳みその芯に沁みついている歌で、つい、一言書きたくなって。ああ、あの頃私は若くてダサかったな~。
返信する
懐かしい歌 (梅田 啓子)
2020-07-18 05:55:36
ブルーはーとさん、コメントをありがとうございます。あがた森魚さんは、「幸子~の幸は~」の歌しか知りませんでした。今聴くと、心に沁みますね。「電気ブラン」も有名でしたね。飲んだことはありませんが・・・。
あの頃・・・思い出すと、穴があれば入りたいくらいです。それでも一番懐かしく、一番愛おしいです。
ブルーはーとさんのブログを、毎日楽しみにしています。そしてエネルギーを頂いています。
返信する

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