僕の好きな解法を紹介しよう。
問題
a>0,b>0,a+b=1 のとき,1/2,2ab,a2+b2 を小さい順に並べよ。
この問題の解き方は何通りか考えられる。
その中で,僕が好きな解法を紹介しよう。
まず,b=1-a>0 などから,0<a<1,0<b<1 であることに注意しておこう。
さて,-1/2<h<1/2 を満たす実数 h を用いて
a=1/2+h,b=1/2-h
と表せることから,
2ab=2(1/2+h)(1/2-h)=1/2-2h2,
a2+b2=(1/2+h)2+(1/2-h)2=1/2+2h2
なので,h2≧0 であることより,
2ab≦1/2≦a2+b2
となることがわかる。
このやり方は結構好きなのだが,a, b, c の3文字になったりすると途端に威力が下がるような気がするのだが,どうだろうか。
a+b=1 という条件により,a,b の自由度が2-1=1になることから,その自由度を担うパラメータ h をうまく導入する,というのが上の解法のポイントなのだと思うが,a,b,c の3文字だと,a+b+c=1 という条件のみだとすれば自由度は 3-1=2 となり,h,k の2文字が必要になる(あるいは普通に c=1-a-b などとおいて c を消去すればよい)。
さて,3文字の場合,どんな問題を作ればよいのか,まずはそこから悩むことになる。
なんとなく次のようなことはできないか,と考えてみよう:
問題プライム
a+b+c=1 なる正の数 a,b,c について,
1/3,9abc,3(a3+b3+c3),ab+bc+ca
を小さい順に並べよ。
ちなみに,a=b=c=1/3 のときすべて等しくなるように係数 9 だの,3 だのをかけてみた。
こういう大小問題では,比較の組合せを減らすために,具体的な数値を a, b, c に代入したりしてあらかじめ予想を立てることが大事である。
それはアルキメデスの教えでもあるのだ。
例えば a がほとんど 0 で b と c がほとんど 1/2 であるような極端な状況を想像すれば,
9abc≦1/3≦ab+bc+ca≦a3+b3+c3
となるだろうことが推定される。
あとはこの予想が正しいことをどうにかして示せばよい。
実はまだ僕自身がこの問題を解いていないので,今回はここまでとしよう。