三角関数の重要な特徴である周期性に注意を払ってもらおうとして,演習の授業でついうっかり不用意に次のような問題を出してしまった。
問題の問題
f を実数全体で定義された,定数関数ではない実数値関数とする。
0 ではないある実数 T が存在して,すべての実数 x に対して
f(x+T)=f(x)
が成り立つとき,f を周期関数といい,このような性質をみたす T を f の周期という。
f が周期関数であるとき,正の数の周期のうちで最小のもの(それを基本周期という)が存在することを示せ。
実はこれは任意の周期関数について成り立つ性質では『ない』,というのがまずいところなのである。
しかし,僕もただでは転ばない。問題のある問題はさまざまな新しい問題を生み出す豊かな土壌でもあるのだ。この ill-posed な問題から派生した2つの問題を掲げておこう。
問題1. 上の問題がまずい理由,すなわち,『正の周期のうちで最小のもの』が存在しないような周期関数の例をひとつ挙げよ。
問題2. f が連続関数であるという仮定を付け加えれば上の問題は well-posed な問題になること,つまり連続な周期関数は基本周期をもつことを示せ。
どちらの問題も大学生にとってはかなり難しい問題である,と思う。
今回の件で痛感したのは,自分が周期関数についてほとんど何も知らなかったということである。
そして,周期関数というのはなかなか取り扱いが難しいことがわかった。
ひとつ賢くなった気分である。
周期関数は数学のみならず物理や工学で重要な役割を果たすので,非常に深く研究されているだろうと思うのだが,周期関数の理論を詳しくまとめたテキストはあるのだろうか?
図書館で探せばいいのだが,たぶん読むのにかなり苦労しそうな気がするので,あまり深入りするのもなぁ,と,探す前から躊躇してしまったりして。
問題の問題
f を実数全体で定義された,定数関数ではない実数値関数とする。
0 ではないある実数 T が存在して,すべての実数 x に対して
f(x+T)=f(x)
が成り立つとき,f を周期関数といい,このような性質をみたす T を f の周期という。
f が周期関数であるとき,正の数の周期のうちで最小のもの(それを基本周期という)が存在することを示せ。
実はこれは任意の周期関数について成り立つ性質では『ない』,というのがまずいところなのである。
しかし,僕もただでは転ばない。問題のある問題はさまざまな新しい問題を生み出す豊かな土壌でもあるのだ。この ill-posed な問題から派生した2つの問題を掲げておこう。
問題1. 上の問題がまずい理由,すなわち,『正の周期のうちで最小のもの』が存在しないような周期関数の例をひとつ挙げよ。
問題2. f が連続関数であるという仮定を付け加えれば上の問題は well-posed な問題になること,つまり連続な周期関数は基本周期をもつことを示せ。
どちらの問題も大学生にとってはかなり難しい問題である,と思う。
今回の件で痛感したのは,自分が周期関数についてほとんど何も知らなかったということである。
そして,周期関数というのはなかなか取り扱いが難しいことがわかった。
ひとつ賢くなった気分である。
周期関数は数学のみならず物理や工学で重要な役割を果たすので,非常に深く研究されているだろうと思うのだが,周期関数の理論を詳しくまとめたテキストはあるのだろうか?
図書館で探せばいいのだが,たぶん読むのにかなり苦労しそうな気がするので,あまり深入りするのもなぁ,と,探す前から躊躇してしまったりして。
定数関数はもちろん周期関数といえますが,周期は 0 を除く任意の実数ですので,そもそも最小周期はありません。
そうすると,自然に次のような疑問に行き当たるのではないでしょうか:では,定数関数でない周期関数には必ず(正の)最小周期(ここでいう基本周期)があると言えるだろうか?
こうした考察が,ここで紹介している問題を思いついた背景にあったのです。