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主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

やはり同一人物だった。

2013-04-18 20:57:28 | 情報系
情報理論の父と呼ばれる Claude Shannon.

その記念碑的な論文である,"A Mathematical Theory of Communication"(1948年,ちくま学芸文庫に『通信の数学的理論』と題する邦訳あり)の最初の2ページだけ読んでみたのだが,そこでは情報量の尺度として対数スケールを用いる理由がいくつか挙げられている。さらに,情報量の尺度として対数を用いる考えは Hartley が 1928年の論文で指摘していると述べられていた。

ところで,最近僕は電子回路にはまっており,特に発振回路に興味を強く抱いている。コイルとコンデンサ,そしてトランジスタを使用する発振回路の一つに Hartley 型の発振回路と呼ばれるものがあるのだが,もしやと思って Hartley について検索してみた。予想は見事に的中した。発振回路の Hartley と情報理論の Hartley は同一人物だったのである。Ralph Vinton Lyon Hartley (R. V. L. Hartley) というらしい。

電磁波の存在が確認されて以来,電波を用いた通信によって,遠方や広範囲にわたって大量の情報をやり取りできるようになった。それに伴い,効率のよい通信方式やノイズに強い変調方式,あるいはノイズを除去する復調方式など,さまざまな理論が考案され,信号理論や通信理論が形成されていったと思われる。そのように現場から発生した理論を発展させたのは,現場の技術者や電気工学者であったろう。Shannon と Hartley はまさにそうした電気工学者たちだったようである。

回路理論,通信工学,情報理論は,今ではそれぞれが広大な学問領域であるため,大学等で教えられる際には別々の科目として取り上げざるを得ない。しかし,それらはもともと一つの有機体をなしているのであるから,基礎的な仕事を成した人の多くは,どの分野にもまたがって何がしかの足跡を残しているものであろう。今回僕が気づいたのはそのほんの一例に過ぎない。こうしたことをきっかけに,通信理論と回路理論という,あまり接点があるように思えなかった二つの分野が急速に接近するように感じられるという体験は,一学びの徒としては何ものにも変えがたい楽しみである。

ちなみに,ここ一週間ほど夢中になっているのは AM ラジオであるが,ぼちぼち受信するだけという受け身な状態から,電波を送信する方法を考案しようと,立場を転換しつつある。そのように受信機や送信機の回路を設計しようと考えると,通信理論と回路理論が自然と結びつくことになる。このように考えると,ハードとソフトが分かちがたく結びついているという当たり前のことに改めて気づく。

さらに,僕は日ごろ数学を教えているので,それらの数学が現場でどう使われているのだろうか,などという,あまりフツーでない立場からも眺めることができるので,興味は尽きない。
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