大森英樹氏の『幾何学の見方・考え方』(日本評論社)を久々に発掘したので,さわりだけでも読んでみようと試みた。
第一章に述べられた大学での数学の学び方に関する氏の意見は大変興味深い。これは面白いので昔この本を手に取った時にそこだけ読んだ。今回読み返してみてもやはり面白い。
そこから先へと進もうとして,昔挫折した理由を思い出した。射影幾何の解説が始まるのだが,文章を読んでもこちらの頭がうまく働かず,読み進むのが困難になってしまうのである。
もう少し我慢して読んでもいいのだろうが,これを機に射影幾何にもう少し本腰を入れて取り組もうかとも考えた。
何か月か前に,電車のレールの枕木の間隔をどう絵に描くべきか,といった疑問を抱いた話をブログに書いたような気もするが,それはともかくとして,そういう問題意識はずっと胸の中でくすぶっていたので頃合いかもしれない。
それとはまったく別の話だが,集合の理論を代数的に扱った理論はないかと,最近目にして気になっていた "universal algebra" という単語で検索していたところ,Russel とともに数学の原理に関する野心的な著作を著した Whitehead が universal algebra に関する本を書いていることが判明した。ついでに Whitehead は射影幾何についてもパンフレットを出している。まあ,そういうことを言い出せば Hilbert も幾何のみならず論理学の著作を出しているわけだから,大数学者たるもの,様々な方面において重要な著作を著していても不思議ではないが,今回に限っては妙な縁を感ぜずにはおられない。
ともかく,一番自分に向いたやさしそうな初等的な入門書に出会うまでしばらく探索を続けようと思っている。
実のところ,数学専攻の人向けの本よりも,コンピューターグラフィックスの解説書なんかの方が適当かもしれないと,ひそかに考えている。