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知られざるもう一つの宗教弾圧/『>権力に抗った薩摩人 (南方ブックレット1)』

2009-10-10 00:27:00 | 歴史
権力に抗った薩摩人 (南方ブックレット1) (南方ブックレット 1)
芳 即正
南方新社

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 江戸時代のキリシタンに対する弾圧は、歴史上、広く知られている。しかし、薩摩藩による真宗弾圧と、それに抗った「かくれ念仏」の事は、あまり知られていないのではないか。僕自身、本書でその事実を知った。南九州の鹿児島県と宮崎県の一部に当たる地方で行われていた宗教弾圧と、それにもめげず、二百余年にもわたり信仰を守り通してきた人々に関する事実は、もっと歴史的にも、宗教的にも掘り起こされ、知られるべき事なのだろう。
 薩摩藩が、一向宗(浄土真宗の信者自身は使わない呼び名である)に対する宗教弾圧を何故始めるようになったかは、はっきりしたことは分からないという。しかし、著者による諸説に対する検討が行われている。

 弾圧の中では、天保の摘発は人口の四分の一、14万人にものぼった。この時の、弾圧の原因としては、薩摩では有名な家老調所笑左衛門による財政改革が指摘されている。薩摩藩内の信者からの西本願寺への相当額の金銭上納に対する取り締まりにあったようだ。薩摩藩による激しい弾圧・拷問の様子が紹介されているが、その残酷さには目を覆いたくなる。
 なお、鹿児島県は、一世帯あたりの切り花購入額が日本で最も高いといわれている。かくれキリシタンのマリア観音のように、様々の偽装が行われていた。柱を削り、そのくぼみに御本尊を隠したりした。しかし、そのような事は、藩の役人にすぐ知られることとなり、人々が堂々と念仏を唱えることが出来るのは、墓の前であった。先祖供養の形で信仰を続けた。鹿児島県人が墓を大事にする理由も、歴史の中に理由があった。


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