何カ所かの札所で一緒になった可愛い遍路犬。
人間と同じ白衣を着て、読経の間も飼い主のそばでじっと「おすわり」で待っている。
このワンちゃんを見た人は、お互いに「可愛いねえ」と笑顔に変わっていく。
なんとも心和ませてくれる遍路犬。
最近の遍路は、昔と違って悲壮感はなくなったと言う。
「目的探し」「自分を変えるため」などのために歩く若い人が増えたらしいが、
乗り物利用ではなく歩き通すには、相当の覚悟と意志と努力が必要だろう。
遍路一人ひとりが抱えている想いは、はたから見るだけではない解らない何かがあるのだろう。
遍路したからと言って、すぐに大きな変化はないかもしれないが、
その想いを抱えて歩いている自分を自覚するだけでも、少しの進歩があるのかもしれない。
遍路同士には、お互いに深い部分には触れないという暗黙の心遣いが流れていて
お互いに挨拶する笑顔が優しく感じる。
こういう温かさが心に沁み、くじけそうになった時に力となり、背中を押してくれるのかもしれない。
温かさと言えば、途中で頂くお接待にも、力を頂いた。
清滝寺への歩き遍路を終え、駐車場に戻ってきた私に、
売店の奥さんがコンペイトウを「お接待」と差し入れてくれた。
小さな袋のコンペイトウだけれど、大きな「感謝」の気持ちで一杯になった。
ありがとう