風に誘われて

あの山から、あの海から、私を呼ぶ声が聞こえます。
風が「行こう!」と誘います。
風に誘われて、さあ立ち上がろう!!

晩秋の郷里へ

2016-12-23 | 小さな旅
九州の郷里へ帰省。
来年の春に97歳の誕生日を迎える母は元気で迎えてくれた。


母の趣味である書道の最近の作品。
母らしい勢いのある字から元気ぶりが伺える。
有難いことだ。

                        

母の用事をしながら実家で過ごした3週間弱。
途中、幼なじみの家に数日間のお泊り。


友人の家の玄関に咲いていた「ジュズサンゴ(数珠珊瑚)」
深みのあるピンクが美しい。
毎年のように来ているのに、こうして「数珠珊瑚」をじっくり眺めたのは初めてなような・・・
「毎年咲いているよ」と友人は言うが、いつもは庭にいる大きなワンちゃんに吠えられて慌てて家に入っていた
けれど今年は吠えられることが少なくなって、庭にいる時間が長くなったせいで目に入ったのかも・・・


友人が作ってくれる食事は、いつも豪華版で、これはある日の朝食。
トマトジュース、ナッツと苺を入れたヨーグルト、山芋のすりおろし、辛子めんたい、黒豆、数の子、
サラダに目玉焼き、お味噌汁、そして食後にカプチーノ

2人とも体重減に頑張らなければならないのに、
あれも食べさせたい、これも食べさせたいと、せっせと作ってくれる。
有難くもあり、困ったことでもあり・・・

でも来年会う時までお互いに体重減を約束
きっとだよ~

                    
   

帰りの飛行機からは、富士山が美しく眺められた。
今回は結構長く帰省していたので母の用事もたくさん出来たし、友人達との時間もたっぷり持てた。
温かく迎えてくれる郷里の全てに感謝しながら、このご褒美のような富士山に感動した帰路だった



友人と小倉デート

2016-12-21 | 小さな旅
九州・小倉に、(私よりちょっと)若い友人2人がいる。
今日は彼女たちと小倉でデート。

 
まず、小倉城庭園でのお茶会に参加。
友人が足袋代わりの白ソックス、懐紙、菓子切、扇子などを用意してくれていたので用意は万端ではあったが、
私はお茶会なんて半世紀ぶりのこと。
おまけに、いきなり濃茶ですと!
隣に座った友人の真似をして何とか乗り切った
ふーー

 
緊張のお茶席が終わってから庭園を眺めたが、今まさに紅葉の真っ盛り。
ここは下屋敷(御遊所)跡を復元した庭園で、典型的な江戸時代の武家の書院を再現しているらしい。
美しい眺めと久しぶりのお茶席の体験は、正座のしびれと共に忘れられない思い出となった。

                


小倉のお茶会のあとは、門司港に移動。
出光美術館で出光コレクションの陶磁器を鑑賞したあとは、レトロ地区を散策。


 
三井物産の社交場として建てられた「旧門司三井倶楽部」と、レンガ造りの「旧門司税関」
門司港は、駅も港もレトロな雰囲気が漂っている。

                        

    今日のディナーは、友人が経営しているイタリアン・レストランで   

 
サラダと、手作りのフレッシュチーズ
チーズが半端ない美味しさ
「作り方は企業秘密?」と訊いたら、「いえ、教えてあげるよ」と嬉しい言葉が
いつか北海道で、美味しい牛乳で作ってみたい


 
パスタ2種は、クリームソースとトマトソース
私の好きなクリームソースが美味しくて、最後の最後までパンでソースを絡めて完食



デザートは、洋梨のコンポート
八角やクローブの香りが効いている。
お腹いっぱいなのに、このコンポートも丸ごと全部、お腹に収めた。

ごちそうさま~

店内は、いつも写真で見せてもらっているので初めての感じがしないし、親類の家に来たみたいで寛げる。
それに、プロの顔でテキパキと動く彼女の違う一面を見られたのも嬉しかった。

女性3人に友人のご主人も加わって、美味しい食事と楽しい会話 
北海道で知り合ったご縁が、こうして毎年のように会えることの有難さ。
温かい空気に包まれた幸せな時間を、ありがとう 


農家体験 柚子胡椒を作る

2016-12-19 | 小さな旅
辛くて香りが良い「柚子胡椒」は、我が家ではなくてはならない調味料。
郷里に帰った時は、いつもお土産に買って帰るが、今回はその作り方を教えてもらった。

材料
 柚子の皮と青唐辛子を同分量(柚子の割合を増やすと香りがよくなる)
 塩 柚子皮+青唐辛子の20~30%
 ビニール手袋 (ビニール手袋をしておかないと手に辛みがついて、
            これで目でも擦ろうものなら大変なことになる


 
 青唐辛子と塩を混ぜて、フードプロセッサーで粉砕


 
 柚子の皮を剥いて、フードプロセッサーで粉砕


 
 全て合わせて、ミキサーで粉砕

冷凍庫で保存すれば結構持つし、香りも飛ばない。
いままで「柚子胡椒」は買うものと思っていたが、これからは自分で作れそう


小鹿田(おんた)の里を歩く

2016-12-17 | 小さな旅
 
日田の街から車で30分ほどの山あいにある「小鹿田の里」
「小鹿田」と書いて「おんた」と読む。
ここは300年ほど前から始まった「小鹿田焼」の窯元の集落で、
今もなお10件の窯元が作品を作り続けている。

私は20代の頃から何度か足を運んでいて、小鹿田焼の器もいくつか持ってはいるが、
夫は一度も行ったことはない。

いつも使っている器が生まれた里の・・
鄙びて、静かで・・
ちょっと時代に取り残されたようでいて・・
強い意志を貫き通している一徹な空気が流れている・・
そんな場所に夫を連れて行った。

                   

この前に此処を友人と訪れたのは15年ほど前だっただろうか。
随分前のことだが、集落の様子は以前のまま。


変化と言えば、一番奥まった場所に「小鹿田焼資料館」が4年前に建てられたということだけのような気がする。
それに、この「小鹿田資料館」では小鹿田焼の全てが分かるので、是非ここもお勧め
(特に、鑑賞ビデオは忘れないで観て欲しい)


 小鹿田焼が出来るまで 


 集落近郊で採取した土を、川の水を利用した唐臼(からうす)で20~30日をかけて粒子状に粉砕。
小鹿田の唐臼は猪脅しのような仕組みで、先端の杵を上下に動かして臼の中の陶土をつく。
「ギィー……、ゴトン」と響きわたる唐臼の音は、静かな山里に響いて心地いい音だ。



 水と混ぜて泥状にし、何度も濾す。



 陶土の水分を更に抜くために天日に干したり、窯の上に乗せて適度な硬さにする。



 ろくろを使って成形。


 
 各窯元の庭で天日乾燥させ、その後に飛び鉋、刷毛目、櫛描きなどの手法で小鹿田焼独特の紋様をつける。


 
 施釉と素焼きを経て、登り窯で焼く。

 
伝統的な紋様の完成作品
現地で完成品を写すのを忘れてしまったので、我が家の日常使いのお皿を写した。
素朴で、温かみがあって、飽きのこない器だ。

                   

小鹿田焼は、代々長子相続で弟子を取らなかったので、伝統的な技法がよく保存されている。
また、作品に個人銘を入れることなく、お互いに品質の良さを守り続けた。
こんな窯元仲間の絆の強さも、町から離れた山深い場所で支えあって生活してきたからこそだと感じた。



天領の町 日田

2016-12-15 | 小さな旅
大分の日田は、江戸幕府の直轄地「天領」だった。
しかも統括する郡代も置かれていたのは天領の中でも全国で4か所(関東・美濃・飛騨・日田)のみだったということでも、
当時いかに日田が重要視されていたかがわかる。

ただ大分県と言いながらも地理的には福岡県に近く、交通の便も福岡とのほうが便利がいいので、
今回は福岡・柳川から足を延ばすことにした。

                                

日田の宿は鵜飼いで有名な三隈川に面しているものの、
今(11月)は鵜飼いの時季ではないので鮎は食べるのみ。


その鮎、宿で出されたのはお腹が上を向いた何とも不思議な姿 
怪訝な顔をしている私に、仲居さんが
「通常のようにお腹を手前に焼くのでは折角の美味しい脂が外に出てしまうので、
こちらではこの焼き方と盛り付けをしています」との説明。
なるほど、所変わればいろいろだな~と納得。

                            

泊った次の朝、暖かいお天気に誘われ川べりに出ていたら、
女将が「亀山公園の紅葉が綺麗なので散歩は如何?」と勧めてくれた。

 
亀山(きざん)公園になっている小さな島には橋が架けられて散歩には格好の場所。
公園の名称の由来は亀のような形をした山なので「亀山(きざん)」

歩くのが好きでない私だが、お天気が良いし、
いい頃合いの紅葉に誘われて頂上にある神社まで一気に上った。


神社は日隈(ひのくま)神社と言い、
拝殿には大久保利通が書いた「龜翁山」、西郷隆盛の書いた「日隈神社」の扁額があるそうだ。


                          

朝食を済ませた後は、重要伝統的建造物群保存地区に指定されている「豆田町」へ


天領時代の屋敷・庭園・古美術を公開している「草野本家」は国指定重要文化財として公開されているが、
あいにく今日はお休みだったので入り口だけ

 
廣瀬淡窓の旧宅は豆田町の中にある。
淡窓が創設した私塾「咸宜園」が近くにあったので、
豆田町あっての咸宜園、咸宜園あっての豆田町として発展したのだろう。


 
近代日本最大規模の私塾「咸宜園(かんぎえん)」
「咸宜園」の名前の由来は、咸く宜し(ことごとく、よろし)という意味で、
門下生一人ひとりの意志や個性を尊重する教育理念を塾名に込めたらしい。

入門時には学歴・年齢・身分を問わない「三奪法(さんだつほう)」により全ての門下生を平等に扱ったり、
「月旦評」という成績表を作成したり、
門下生を塾の運営に参加させたり、
独特な教育法で評判となり、全国から向学心に燃える多くの若者が集まったそうだ。
(ここで学んだ門下生は、閉塾まで5000人を越したそうだ)


「咸宜園」はゆっくり見学したいと最後に残していた場所なのに、急遽お願いした説明ガイドさんの話が長くて、
建物をゆっくり見学できないまま、説明も途中で終わった
(終わったと言うよりも帰りのバス時間が迫って、説明途中で失礼した)
それからバス停まで2人で走った、走った
つい質問することが多くて、話が弾んでしまったことも時間オーバーになった原因。
柳川も時間に追われ、日田も同じく時間切れ。
これからは時間に余裕持たせるか、質問は最後にしなければ・・・

北原白秋の生まれた町 柳川

2016-12-13 | 小さな旅
水郷の町・柳川は、北原白秋が育った町であり、夫の祖父が生まれ育った町でもある(らしい)。
夫が祖父から聞いていたことは
「柳川では白秋の家の近くに住んでいた」と言うこと。

白秋は明治18年生まれと言うが、多分、祖父も同じくらいの生まれではないかと・・・
近所であれば、幼い頃には一緒に遊ぶこともあったのかもしれない・・・
などと、想像を膨らませる私だが、
私以上に、その昔に思いを馳せているのは夫のはず。
昔から時折「一度行きたい」と言ってたことを思い出し、行ける時に行っておこうと急に思い立った。

                                

有明海に流れる川を利用したお堀が、今なお残っている柳川。
その堀を小舟に乗る川下りを体験。

  
青い空や柳が映り込んだ川(堀)の中を手漕ぎの船で進んでいく心地よさ。
緩やかに進むので川からの眺めをゆっくり眺められるのもいいし、静かなのがいいな~


 
川幅の広い場所もあれば、こんな小さな橋の下をくぐる場所もある。
「手は中に入れて、かがんで下さい」の船頭さんの言葉で、一斉に体を小さく屈める。
松月文人館から御花までの1時間半の舟遊びを堪能した。

                        

 
町のあちこちで目にした綺麗な飾りは「さげもん」というらしい。
1本の紐に布で作った細工物を7つ付け、それを7本ぶら下げる。
7×7で合計49種類の細工物。
全て細工が違うので見ていて楽しいし見飽きない。

これは雛の吊るし飾りで、柳川では女の子が生まれると、雛壇は父方の実家から、さげもんは母方が用意するとか。
お雛様の横に「さげもん」が飾っていると華やかで綺麗だろうな。

                        

 
昼食後は、前もって予約していたガイドさんと待ち合わせ、白秋生家など、白秋にまつわる場所を案内していただく。
が、私達はその後、大分県の日田まで行く予定になっていたので時間に余裕がなく、
最後のほうは歩くコースを短縮したりの急ぎ足になってしまった
やはり旅程は余裕を持たせるべきと反省 

                        

祖父母はもちろん両親とも亡くなった今、昔の話を聞ける人はいないので、
祖父がどこに住んでいたかを探すすべは全くない。
結局、祖父に関することは何も得られなかったが、ここ柳川に来て、町の空気を吸い、
町の中に祖父の面影を探しながら歩くだけでも夫は満足したのではないだろうか