J OKAYAMA ~岡山スポーツの桃源郷へ

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研修会・勉強会19

2022-01-03 00:01:33 | 総合型地域SC・地域振興

 リスペクトコラムです。
 すいません、随分前の情報です。シャレンなどウェビナーないかなと探していたところ、確かツイッターだったと思いますが、見かけたので迷わず申込み、11月に参加しました。当ブログでブログ開設当時からの永遠のテーマ、総合型地域スポーツクラブに心惹かれました。Jリーグは元々ドイツのスポーツシューレをお手本にし、当時の川淵チェアマンが進めてきたもの。30年が経とうとしている今のJリーグはすっかり商業主義が浸透し、Jリーグ百年構想の意義は薄れてきたように映ります。ただ、当ブログは開設17年目に入ろうが、日本にスポーツシューレができる事が夢である事には変わりません。このブログの意味付けの一つでもあります。もっと早くレポを挙げれば良かったのですが、結構時間がかかります。お許しあれ。
   
【講演内容】
 講演会『ドイツのスポーツ文化を考える ~ブンデスリーガからJリーグ・シャレンまで』
 主催   上智大学ヨーロッパ研究所
 協力団体 上智大学公認サークル「シャクル」
 日時   2021年11月19日(金)19:15~21:00
 講師   釜崎 太(明治大学法学部教授)
      鈴木 順 (公益社団法人日本プロサッカーリーグ 社会連携室 室長)
 司会   小松原 由理 (ヨーロッパ研究所所員、上智大学准教授)
 開催方法    zoomによるオンライン講演会
 対象   上智大学生、教職員、一般
 引用:上智大学公式HP
   
 ドイツ、シャレン、そして鈴木さんの名前があったので迷わず申込みました。大学講義をオンラインで視聴できるというのも良かったですね。上智大の学生さんと一緒に講義を視聴するというのも貴重な体験。今回のウェビナーは2部構成。1部は鐘崎教授のドイツの総合型スポーツクラブの事例、第2部はJリーグ鈴木室長のJリーグ・シャレンについてのでした。長くなるので、今回の記事は2部構成でお届けしたいと思います。まずは第1部。
 大学時代を思い出しながら、講義を聴きながら必死にメモする。同時にスクショで何枚か内容をキープする。それらを混ぜて、途中途中にコメントを入れて記事にしたので、一部読みにくいかもしれませんが、ご容赦ください。
   
【「ドイツの市民社会にみるスポーツクラブの役割 -ブンデスリーガの事例を中心に-】
1)ブンデスリーガのどこがすごいのか
 ①プレーレベルが高い   ②ビジネスの成功(2番目の史上規模、Jリーグの3倍)
 ③世界一の動員数(Jリーグの2倍以上、下降傾向)→不満は商業主義にある。 ④経営の安定→有数の安定リーグ
2)ブンデスリーガの特徴
 ①公益とビジネス(利益)
 ・プリカ ・託児所 ・視覚障がい者向け放送 ・ファン自身の能動的関与 ・公共交通機関の無料化(公的資金の投入)
 ②伝統とビジネス、弱者層と富裕層への配慮
 ・黄色い壁は1,000円程の激安の立見席
 ・長さ102mの立見席。暗黙のルール
  「ヒルズボロの悲劇」以来、欧州大会で禁止。労働者階級がつくり出していた雰囲気を守るために残す。3日間かけ
  て座席に転換。
 ・利益の大半はVIPルームや年間シート売上より
 ③ナショナルとローカルの混在
  シャルケの事例。元々の母体は炭鉱者のチーム。1904年は選手もサポーターも炭鉱労働者。クラブで年1回、選手が
  炭鉱労働者を体験。あの内田氏もシャルケ時代に経験。

3)ドイツのスポーツクラブとブンデスリーガ(Jクラブが運営する総合スポーツクラブとの違い)
 ①ブンデスの各クラブは総合型地域スポーツクラブの一部門
 ②Jリーグにはスポーツ振興のために総合型地域スポーツクラブが存在
  湘南、札幌、新潟をはじめ多くの総合型地域スポーツクラブ
 ③大きく異なるのは
  ・クラブハウスの社交 →地域を作る。日本に地域はあるのか?
  ・日本ではJクラブと総合型地域スポーツクラブは別組織
  ・ドイツは総合型を運営するNPO法人がプロクラブの議決権を持つ
   
→プロクラブを運営する企業が、NPO法人の活動を支援。
 ④NPBやJリーグのクラブはすべて株式会社の単独経営。
  ・企業の議決権は株主≒お金持ち(経済の原理)営利目的だから。
 ⑤ドイツのクラブはNPO法人はで公益目的→税金による支援。
  ・議決権は会員総会での1人1票≒民主主義の原理
  ・年間1万円程度の会費で会員に。数万~数十万の会員
  ・選挙や総会に集まるのはほぼ地元の人々 →実質的な議決権は地元住民
 ⑥SVヴェルダー・ブレーメンの構造
  ・ブレーメンは6種目の総合型地域スポーツクラブ
  ・その中のプロサッカー部門を企業が運営。
  ・その企業の議決権は、地域住民が活動する総合型地域スポーツクラブを運営するNPO法人に。
  ・会員の選挙で選ばれたNPO法人の理事がプロサッカークラブを運営する企業の理事を兼ねる。
4)ドルトムントにみる市民の自立性
 ①以上の仕組みのもとで、ファンや会員の自立性が発揮される。
 ②ファン(支援部門の会員)達が自らプロチームのスタジアムの隣に博物館を造る。NPO法人の仕組みと自立性。
 ③チケットを持っていれば、公共機関の乗車がすべて無料
 ④スタジアム専用のプリペイドカード
 ⑤ヘッドホン →専用の実況(視覚障がい者向け)
5)非営利法人(スポーツクラブ)の自立性
 ①テニスの土地は市から買ったのでクラブ所有
  サッカー場は市から無料でゆだねられる。
 ②テニス部門の理事長へのインタビュー
  「かつては土のグランド。自分達で芝に改修した。テニス場もグランドも自分達で手を入れてきた。だから市も認め
  ざるをえない」→自律の精神

 ③スポーツクラブ
  「テニスコートの増設に決定的であったのは、テニス部門からクラブの理事長が選ばれたこと」
 ④小さな村モイツフェルド
  人口6,000人、会員1,011人、村の6人に1人が参加、サッカー、テニス、体操&遊戯の3部門、31チーム
 ⑤小さなスポーツクラブでも企業からの支援
 ⑥人工芝の管理に関わるスポンサー募集プロジェクト
 ⑦設立年にちなんだ「クラブ1961」1961€(26万円)の支援
  店頭でスポンサーとして宣伝する権利や年1回のグランド使用権など6項目
 ⑧12社の地元企業と2人の個人スポンサードで合計約360万円以上
  →非営利法人が自立し、地域住民の声を集約し、対等以上に交渉でも支援し、獲得。
 ⑨会員総会と選挙
 ⑩クラブハウスでの社交 →地域形成の役割、日本には無い
 ⑪テニスコート8面、サッカーグランド1面
6)本当はどこがすごいのか
 ①現代において「市民社会」の有無は、国の豊かさに結びつく。日本の現在地は?
 ②今こそブンデスをはじめ、ドイツのスポーツクラブの背後にある現実、川渕氏以上に学ぶべき必要のある時代。
  ドイツ:市民社会の中心に位置し、重要な役割を担っている
      総会、議論、選挙、自律、プロテスト、企業や行政との交渉
  日本: 市民社会は存在せず、その必要性への意識も希薄
 ③市民社会を育てる契機はあるし、諦める必要も無い。Jリーグ革命は第一歩。その前進に資するためのドイツの事例
  をもっとリスペクトすべき。

 ④楽しければいいか?儲かればいいか?プロだけが振興されればいいか?
 ⑤ドイツから何を学ぶか? 本当のすごさは、売上高や観客動員数やスタジアムではなく、ブンデスとドイツのスポー
  ツクラブが市民社会の中心として機能している点。

 ⑥市民とは、政治や経済に影響を与える集団を形成する人々。交渉、議論、プロテストの仕方をスポーツクラブで学
  ぶ。市民社会が機能していない日本では・・・

  
 そういうブンデスリーガですが、それでもファン・サポーターから商業主義と批判されたようです。放送権の関係からか月曜の試合興行があったようですが、ファン・サポーターから抗議を受けて、減るか辞めるかになったのかな。また、バイエルン・ミュンヘンのように、実はネーミングライツが導入されているプロリーグでもあります。ただ、じゃあ日本もという話にはなりません。その国その国の特徴や社会的ルール、国民性もあるので、簡単には言えません。
 お手本としたブンデスリーガは世界一の観客動員力があります。ホームグロウン制度も導入され、総合型スポーツクラブ=スポーツシューレが機能する世界的にも理想的なプロリーグです。'93年のJリーグ開幕に向けて、当時の川淵チェアマンがJリーグ百年構想として制度を導入しました。それまでの企業スポーツから地域スポーツに変革が起こりましたが、今回の講演内容を見ると、まだまだドイツのレベルには程遠いようです。
 当ブログでは、最近のJリーグで、個人オーナー主体の商業主義を進めるMLSのを模範とするアメリカ派、川淵チェアマンの流れをくむドイツ派が存在すると(個人的に)見ています。2ステージ制騒動の時にはアメリカ派が目立ったようですが、騒動は終結。そして、またアメリカ派の意見が見え隠れしているように感じます。今の流れでは総合型地域スポーツクラブを実践する札幌さんの野々村社長がチェアマンになるのではないかという見方があり、それならば良かったと思っています。

 '93年のJリーグ開幕時の事、川淵さんがナベツネ氏とドンパチやっていた時代を知っている読者の方は少なくなったかもしれませんが、これがJリーグの本流である事、引き続き目指すべき道である事を今回の記事で感じ取ってください。今回のウェビナーで個人的な気づきもありました。なぜJリーグ・シャレンにNPO法人という存在が強いのか。なるほどドイツの流れからなのかと自分なりに納得しました。Jリーグ・シャレンはしっかりドイツ派の流れに乗って、Jリーグ百年構想の実現に向けて奮闘されているのですね。次は第2部です。                                                      
シャレン(Jリーグの社会連携)関連: /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /  /
#がんばろう日本 #ThankYouHealthcareWorkers #ThankYouCaregivers

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