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勝率5割のゲーム

2017年04月15日 | 重禾
たまには数学っぽい更新を(笑)

じゃんけんとかコイントスとか、一般に勝率5割になるゲームをするとします。しかしそのゲームを10回やったとして、確率的には5勝5敗になるはずなのに感覚的には中々ピッタリとはなりませんよね。実は勝率5割のゲームを10回した時、丁度5勝5敗になる確率は10C5×0.5^5×(1-0.5)^(10-5)で、約24.61%(Cはコンビネーション)。つまり4回に1回程度しかならないのです。この計算式を一般化すると、「試合数C勝数×勝率^勝数×(1-勝率)^(試合数-勝数)」ですが、まあ勝率5割ならもっと単純に、組み合わせを数えて0.5の試合数乗をかければいいですな。これを使って同様に全ての勝敗を計算すると、以下のような正規分布になります。
10勝0敗・・・0.10%
9勝1敗・・・0.98%
8勝2敗・・・4.39%
7勝3敗・・・11.72%
6勝4敗・・・20.51%
5勝5敗・・・24.61%
4勝6敗・・・20.51%
3勝7敗・・・11.72%
2勝8敗・・・4.39%
1勝9敗・・・0.98%
0勝10敗・・・0.10%
たった10回のゲームでも、10連勝するというのは1000に1つの奇跡だということが分かりますし、例えば7回以上勝ったら合格とする場合、単純に上から4つを足して17%くらい起こり得るということが分かるわけですね。4~6勝に留まる確率は66%ですからほぼ3分の2はこの結果に落ち着きます。まあ17%程度なら、運が良ければ起きなくはない事象だと言えるでしょう。

で、何が言いたいかというと、囲碁の話題だったりします(笑)
自分は現在初段~2段くらいの実力ですが、ネット囲碁の段位というのは絶対評価ではなく、「私は初段だ」と自己申告している人同士が対局して、ある程度の勝率を上げる必要があります。初期登録の申告級は任意なので、当然過小申告や逆もあり、結構どの段級でも勝ったり負けたりするわけですが、そういうイレギュラーも加味し、「総合してこれくらい勝ち越せば上に進んでもOK」という相対評価になっているのですね。まあ対局者はある程度選べますけど、勝ちが多くなると今度は自分が敬遠されてしまいますから、やはり自分より強い人との対局も避けられません。勝率5割は行くもののそこから勝ち越すのは結構難しく、特に昇段まであと2勝くらいになるとやたら強い人と当たって負けるということもよくあります(笑)
東洋囲碁というサイトでは、級位者は15戦で10勝以上(67%)勝てば良いのですが、初段からは20戦14勝以上(70%)が必要になります。パーセンテージだけ見れば僅か3ポイントの違いですけど、これが体感だとかなり違うので、何か分かりやすいモノサシはないものかと考えた結果、この計算式を応用することを思いついたのです。つまり、完全に勝率5割でランダムに勝つ「勝率5割君」がいて、彼が偶然昇段(昇級)に値する結果を出す確率はどれくらいあるかを考えれば、昇段級の難しさが計れるのではということですね。面倒くさい計算はエクセルに任せて(笑)結果だけはじき出すと、15戦で10勝以上する確率は15.09%、20戦で14勝以上する確率は5.77%であることが分かりました。つまり、偶然に頼ると段は級の2.6倍も上がりにくいというわけですな。この差なら納得・・・

最近は、野狐囲碁というサイトが人気のようです。トップクラスの棋士や最新AIの対局が毎日のように行われ、無料で観戦できるので、自分も先月から初段で登録して始めることにしました。しかしここは低位層の昇段級基準が東洋囲碁より緩く、何と3段までは19戦12勝以上(63%)で上がれてしまうようです。これなら「勝率5割君」だと17.96%と、東洋の1桁級よりも楽に上がれてしまう模様です。まだ2局しか打っていませんけど、基準が緩いためか東洋の同じクラスよりも若干弱く感じました。これは今年中に3段あるかも!?

ちなみに試合数が多ければ多いほど「偶然7割以上勝つ」ことは難しくなっていきます。試しに100試合で70勝以上する確率を計算してみると、何と0.0023%とほぼありえないことが分かりました。一方40〰60勝以内に落ち着く確率は96.48%もあります。確率とは数をこなすと中央値に収束する不思議な性質をもっているのですね。