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チュニジアテロと報道

2015年03月23日 | 時事
【チュニジア襲撃テロ】結城さんが手記 朝日記者の怒声に「ショック…」 国際報道部長が謝罪「重く受け止めおわびします」
また朝日か・・・と言いたい所ですが、何故彼女が社名を挙げて指摘したのか、この報道では如何せん経緯が見えてきませんね。

今回のテロ事件では20名以上の観光客が犠牲になり、日本人も3名亡くなって3名負傷すると言う痛ましいものでした。犠牲者の数と何の落ち度もない観光客を問答無用で歯牙にかけている点では、イスラム国の邦人殺害事件以上に残虐非道な無差別テロ行為です。そしてあの時もそうでしたけど、海外で起きた事件に対して、日本で報道される情報は余りにも限定的であり、また偏ったものになりがちだと言う問題点は未だに解決していません。実際、死者数も一時5名とか情報が錯綜していたようですしね。もちろん国内とは勝手が違い、情報網も圧倒的に少ないでしょうから、思うように取材できないのは仕方がないと言えばそれまでですが、その苛立ちを被害者にぶつけるのはどうかと思います。

この結城さんと言う方は負傷された3名のうちの1人ですが、いち早く取材ができたということで、日本でも大々的に報道されていました。自分もこのインタビューは見ましたけど、まさに襲撃にあった直後なのに、30代の女性が動揺もせずああも理路整然と語れるものなのかと感心した覚えがあります。手記で「何を話したか覚えていない。」「日本でどう報道されているか知らない。」と強調されているのは、この映像によって身元が判明し、後に自衛隊の医官だったことが報道されたことを言っているのでしょう。倒れている人の血を自分に塗りたくって偽装した話など、一般人には思いついても中々できそうもない冷静な行動力は、日頃の訓練の賜物かもしれません。自分などはむしろ合点がいき、さすが自衛隊だなあと思った次第ですが、どうやら自衛隊アレルギーを発症したマスコミの追加取材によって、旅行前に「海外旅行届け」を出していなかったことまで暴かれてしまったようです。
公務員は、災害時などに民間人を守る働きをしなければならないため、緊急出動に備えて常に連絡がつくようにしておくことが必要です。これは教員も例外ではなく、自分も中国に行った時は事前に「海外旅行届け」を申請した覚えがあります。まあ日程を貼り付けてハンコを押す程度のものですけど、許可制ですから1ヶ月も前に出さないといけないし、校長に「これは俺が許可しなければ行けないのだぞ。」とか脅されたこともあり、非常に煩わしいものだという印象を強くもっています。旅行会社から送られてくる日程表が間に合わない時もありますしね。まあ今は携帯で世界中どこにいても連絡がつきますから、もう既に存在意義を失っている制度ですけど、自衛隊などは特に厳しいようで、県外に出る際にも届けが必要なほどなのだとか。年休自体は権利ですし、その期間にどこへ行こうと勝手だと思うのですが、古の慣例を中々変えられない代物の一つですね。それでも規則なので当然従うに越したことはありませんけど、内緒で行こうとする気持ちも分からなくはありませんし、単純に間に合わなかったとか、申請が必要なことを知らなかったのかもしれません。まあ母親との私的な旅行ですし、上司も10日以上連続した年休が出されれば一応理由を聞くでしょうから、反対を押し切って強行したわけではなく、何か申請できなかった事情があったのでしょう。
こういう何カ国も回る海外クルーズはよく街角でポスターを見るので憧れますが、流石に仕事をしながら参加するのは普通なら不可能に近いでしょう。なのでああいう豪華客船の旅は60代以上が対象なのだろうと諦めており、今回結構若い方が被害に遭われているのは自分も少々意外でした。世間にはそういうやっかみがあり、また被害者が自衛隊員だったこともあってか、本来報道価値すらないように見えるこの「海外旅行届け」を出さなかった件について、ネットでかなり非難されているようです。事件から4日経ち、彼女も間接的にそういう話を聞いたのかもしれません。大使館の人に「インタビューがどう使われるかも分からない」と言われたという文面は、明らかにマスコミ不審に陥っていますからね。

朝日新聞は、何か事件があるとエピソードを物語のように書く癖があります。他の新聞を読んでいた人は、まずこの特徴的な書き方に驚くでしょう。今日の1面で例示すると、
「国際政治の表舞台で、中国が水面下の宣伝工作を繰り広げている。昨年11月6日夜、ワシントンにあるシンクタンクの幹部の携帯電話が鳴った。幹部は、東アジアの国際関係が専門。相手は、日頃から付き合いのある在米中国大使館の幹部だった。・・・」
限りある紙面の中で、「電話が鳴った」という情報は全く必要ありません。本当に伝えないといけないのは幹部が電話を取ったことでなく、その電話の中身です。しかし数行を割いてまでこの物語的描写を挿入することにより、読者が主人公視点でその後の記事を読めるようになる効果があるのです。この手法は記事に臨場感が出て感情移入しやすくなるのですが、記者の思い込みや都合の良い解釈が入り込みやすい諸刃の剣だと言えるでしょう。記者がその場にいたわけでない時点でフィクションなのに、取材を受けた人物はいつの間にか物語の主人公とされ、記者の想像で書かれた内容が事実にされてしまう恐ろしさを感じることでしょう。当然、勝手に主人公にされ、ありもしなかったストーリーを書かれるのはたまったものではありません。朝日新聞が事件の被害者についてこの手法を使いたがるのは、「死人に口なし」だからに他ならないと思われます。死者の残した「言霊」こそ、日本において最も影響力のある言葉になりますからね。
チュニジアの件も例に漏れず、20日には亡くなった方の物語が載っていましたが、この結城さんの記事は確認できませんでした。19日中にはもう彼女が自衛官だと分かっていたので、遭えて避けたのかもしれません。しかも21日には自衛隊の海外活動拡大について1面で非難していましたし、22日にはテロ犯人を「普通の若者」と擁護し出す始末。これでは「どう使われるか」を心配ない方がおかしいですね。犯人の1人が高校生だったらしいですから、明日からは少年法が適用され自粛されるでしょう。本当に腐っていますな。まあ現状を知らなくとも、自衛官であれば朝日新聞が普段自分たちのことをどう報道しているか十分に理解しているはずです。独占取材に応じれば都合の良いように物語化されてしまいますし、取材拒否すればしたで悪い印象で書かれてしまうでしょう。また朝日を断ってフジサンケイグループのみにインタビューに答えれば、それはそれで言われなき謗りを免れません。自衛官である自分が主人公の物語をでっち上げられたら、もしかしたら勝手にイスラム国事件と絡めて、自分がいたせいで襲撃されたことにされてしまい、最悪9条がどうのとか、自衛隊批判に使われてしまうかもしれません。専守防衛のために残された手は、この手記を「同時に」公表することしかなかったのでしょう。さりげなく名指ししておくことで先手を打ったわけですね。

ここまで経緯を紹介し分析してこその記事だと思うのですが、産経もまだまだ追及が甘いですな(笑)
コメント
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