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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

“アップのワダベン”、逝く

2011年01月20日 | 日々雑感

元NHK看板ディレクター、和田勉さんが亡くなった。

14日のことだ。

その演出作は「天城越え」「けものみち」「ザ・商社」など、テレビ史に残る、忘れられないドラマばかりである。

“アップのワダベン”といわれ、そのドラマをワンカットでも見れば、和田さんの作品だと分かるくらいだった。

「テレビは人間を見せるもの。人間の象徴は顔。その顔をアップで見せるんだ」

アップは和田さんの武器だった。

かつてドキュメンタリードラマ「夏目雅子物語」を制作した際、和田さんにインタビューをお願いした。

夏目雅子もまた、和田さんの薫陶を受けて自分の殻を破り、大きく成長した女優の一人だったからだ。

ドラマ「ザ・商社」での夏目雅子を語る和田さんは楽しそうだった。

「(夏目を)ヒロインに決めた時、彼女、私は胸がないけど、大丈夫ですか?って訊くんだよね。ペチャパイだっていうの。そんなこと、心配してるんだよ。お母さんのスエさんは胸があるのにね」

そう言って、例のガハハハという笑い声を響かせた。

あの「ガハハハ」も、もう聞くことはできない。

授業で、和田さんが昭和34年に手掛けたドラマ「日本の日蝕」を、一部だが、学生たちに見せた。

また、お元気な頃のインタビュー映像も。

こんなとてつもない作り手がいたことを、若い彼らにも伝えたかったのだ。


稀代のドラマ・ディレクター、和田勉。

享年80。

合掌。

大学4年生「3人に1人」は未内定のまま卒業か

2011年01月19日 | 大学

新聞各紙に「大卒の就職内定率68.8%」の文字が載った。

もちろん「過去最低」の数字である。

何しろ2ヶ月後に卒業式を控えた大学4年生の“3人に1人”は、4月からの就職先がないままなのだ。

本人はもちろん、親たちもまた不安だろう。

様々な分析があると思うが、ナマで学生たちを見ていると、意外と狭い範囲での就職活動という印象が強い。

分かりやすく言えば、多くの学生が「誰もが社名を知っている企業」を中心に職探しをしているのだ。

大企業、有名企業、もちろん結構である。

しかし、それで結果が出ないなら、別の道、別の価値にチャレンジすることも考えてみたほうがいい。

「大企業・有名企業じゃないけど、いい会社」「中小企業・無名企業だけど、いい会社」は実際にある。

そこでは人材を求めていたりもするのだ。


WEBエントリーという、キーボード一つで応募できる仕組みは確かに便利だ。

だから、自分とのマッチングも無視して、大企業、有名企業に気軽に応募してしまう。

某大手有名旅行会社の“受験生”は6万人(!)である。

私の故郷の町の人口より多い(笑)。

6万人から何十人かを選ぶ会社側も大変だが、ほとんどの学生は落ちるわけだ。

今どき、「100社も受けたのに落ちました」という学生はフツーにいる。

そう聞けば、誰もが「そりゃ厳しいね。氷河期だね」と思う。

だが、その100社全部が様々なジャンルの大企業、有名企業ばかりだったりするのだ。

もっと視野を広くしてもいいのではないか。

「中小企業・無名企業だけど、(アナタにとっての)いい会社」を探すこと。

そこには6万人の応募はない。

同じ選考でも、一人ひとりの学生(アナタ)と向き合ってくれるはすだ。




プチ国民的女優の「民放連ドラ」初主演

2011年01月18日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「テレビとはナンだ!」。

1月の前半はお正月と成人の日があったため、掲載は今週からとなります。

今年の初回に書いたのは、フジテレビ「CONTROL~犯罪心理捜査」。


松下奈緒の民放の主演ドラマ選びは正しかった

「ゲゲゲの女房」のヒット、「紅白歌合戦」の司会と波に乗る松下奈緒。

プチ国民的女優となった彼女の「民放連ドラ初主演作」選びは難しかったと思う。

だが、その選択は間違っていなかった。

先週から始まったフジテレビ「CONTROL~犯罪心理捜査」の松下は周囲も持て余す熱血刑事。

「凶行犯捜査課」分室のお飾り室長として偏屈な心理学教授(藤木直人)と組まされるが、この設定が実に上手い。

本当は捜査の第一線に立っていたい松下は、捜査課の面々から“預かり物”“お荷物”と思われている藤木のお世話係だ。

しかし、その藤木の心理学的アプローチは天才的。

被害者の両親が何かを隠していることを指摘し、事件の解決に結びつく。

今後も捜査陣が誤った方向へ走るのを尻目に、藤木と松下が思わぬ糸口を見つけていくはずだ。

このドラマ、基本的なストーリーがよく練られているのに加えて松下と藤木の人物像が好ましい。

二人の役者の個性(持ち味)が役柄に反映されているからだ。

おかげで特殊な立場なのに言葉や行動が自然な感じがする。

米国製ドラマの影響で「心理捜査」や「犯罪行動分析」をうたう警察ドラマが乱立する今期。

北川景子がFBI帰りの心理捜査官を演じる「LADY~最後の犯罪プロファイル」(TBS)のような“無理筋”もある中で、やはり光る1本だ。
(日刊ゲンダイ 2011.01.17)

日曜の夜21時に・・・

2011年01月17日 | テレビ・ラジオ・メディア

日曜の夜21時。

気になる番組が3本重なって困った。

NHKスペシャル『太平洋戦争70年 日本はなぜ戦争に向かったのか?』第2回。

TBS『冬のサクラ』第1回。

フジテレビ『スクール!!』第1回。

結局、2本を録画して、1本をリアルタイムで見た。

その1本がどれだったか、という話ではなく(笑)、こういう状況では「視聴率」だけでなく、やはり「録画率」も考慮すべきだと。

「視聴率」はリアルタイム視聴のみのカウントだが、そうもいかない視聴者は多いはずだ。

テレビビジネスを支えてきた視聴率だが、今年7月にフルデジタル化となれば、番組との接触の仕方が違ってくる。

録画率も高くなるはずだ。

これまでの視聴率一辺倒だと、ますます視聴者の現状と合わなくなっていく。

テレビ側が、いかに“リアルタイム視聴”の呪縛から逃れられるかが問題です。


NHKの次期会長に「JR東海」副会長

2011年01月16日 | テレビ・ラジオ・メディア

NHK経営委員会は、よほど“運ぶ人”が好きらしい。

小丸成洋委員長は「福山通運」の社長で、委員の中には「JR九州」の石原進会長がいる。

そして今度は、NHKの次期会長に「JR東海」の松本正之副会長(66)を選んだ。

“運ぶ人”だらけだ(笑)。

NHK内部には、まさに「内部昇格」の噂もあったが、結局、経営委員会の判断はこうでした。

19時のニュースで、小丸委員長が会見する模様が流された。

委員長の説明によれば、

松本氏が「NHKの改革を推進するために必要な、国鉄を改革し成功した実績を持っていること。改革を断行するために強いリーダーシップをもってJR東海という大組織を率いてきたこと」を評価。

「NHKという大きな組織を引っぱっていく力を持ち、公共放送としての使命と役割を発揮するには適切であると思った」そうだ。


・・・・言うまでもなく、JR東海は1987年の「国鉄分割民営化」によって誕生した。

小丸委員長の言葉の中にある「国鉄を改革し成功した実績」とは、この「分割民営化」を指すことになる。

まさかの「NHK民営化論」ですか?

NHK東日本とか、NHK東海とか、NHK九州なんていう「民間企業」になったりしないでしょうね(笑)。

確かにNHKは全国に及ぶ大きな組織だが、職員の数は約1万人。

数十万人の職員を抱えていた国鉄とは規模が違う。

それにNHKは当時の国鉄(日本国有鉄道)と違って「国営」ではない。

“国営放送”ではなく、“公共放送”だ。

「国鉄改革」の目的や方向性と、「NHK改革」のそれは決して同じではない。

目指すべき「改革」の意味さえ違うのだ。

そんなことは松本次期会長も分かっていらっしゃると思いますが、15日の記者会見では、こんなことも言っている。

「鉄道とNHKは公共性の面から基本的な価値観は同じだ」。

うーん、そうでしょうか(笑)。

ぜひ、「改革」の意味とともに、公共放送の「公共」の意味について、よく考えていただきたい。

ちなみに、松本氏が率いてきたJR東海という大組織が掲げる「経営理念」は以下の通り。

1. 健全な経営による世の中への貢献
2. 近代的で愛され親しまれ信頼されるサービスの提供
3. 明るくさわやかで活力のある社風の樹立



え? まんまNHKでも使える?

いや、そんな安易な(笑)・・・・



上智大&東大ゼミ企画 パネルディスカッション、開催される

2011年01月15日 | 大学

1月14日(金)に、下記のような「上映会&パネルディスカッション」が行われました。


上智大学&東京大学ゼミ企画 パネルディスカッション

「徹底討論 ドキュメンタリー、その問題提起力」
~映画『平成ジレンマ』上映をめぐって~


「戸塚ヨットスクール」の30年と現在を追い、社会、教育、報道の歪みを映し出すドキュメンタリー映画『平成ジレンマ』が、2/5(土)よりポレポレ東中野にて劇場公開( 1/29土より名古屋シネマテークにて先行上映)されます。

この公開を記念して、上智大学(音好宏ゼミ+碓井広義ゼミ)と東京大学(丹羽美之ゼミ)の企画・主催による上映会&パネルディスカッション「徹底討論 ドキュメンタリー、その問題提起力~『平成ジレンマ』上映をめぐって~」が開催されました。

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◎日時 1月14日(金)
17:00 開場
17:15 第1部『平成ジレンマ』本編上映スタート
19:00 第2部パネルディスカッション

◎場所 上智大学12号館1階12-102教室 

◎パネリスト 
齊藤潤一監督(東海テレビ/『平成ジレンマ』監督)
松原耕二(TBS報道局記者/「ニュース23クロス」メインキャスター)
大久保真紀(朝日新聞編集委員)
碓井広義(上智大学文学部新聞学科教授)

◎司会 
音 好宏(上智大学文学部新聞学科教授) 


(朝日新聞・大久保さん、TBS松原さん、齊藤監督)


(司会の音教授、フジテレビ横山隆晴プロデューサー)






・・・・このパネル・ディスカッションの模様は、近々ユーストリームで公開の予定です。

今週の「読んで書いた本」2011.01.14

2011年01月14日 | 書評した本たち

このところ寒くなったせいか、キャンパス内にマスクをした学生が目立つ。

マスクにスーツは就職活動中の3年生だ。

面接では「最近読んだ本の中で印象に残っているものは?」という質問が出たりする。

単に書名が聞きたいわけではない。

その本を通じて「自分」を語ってもらいたいのだ。

あなたなら、何と答えますか?(笑)


今週、「読んで(書評を)書いた」のは以下の本です。

島本理生
『アンダスタンド・メイビー』(上・下)中央公論新社

高橋敏夫
『井上ひさし 希望としての笑い』角川SSC新書

山口 瞳 中野朗:編
『追悼』(上) 論創社

辻原 登
『東京大学で世界文学を学ぶ』 集英社

倉本聰、林原博光
『富良野自然塾・倉本聰対談集  愚者の質問』日本経済新聞出版社

浦崎浩實
『歿-映画人忌辰抄』ワイズ出版 



* 書いた書評は、発売中の『週刊新潮』最新(1月20日)号に
  掲載されています。

明日、1月14日(金)朝のラジオ出演

2011年01月13日 | テレビ・ラジオ・メディア

明日14日(金)の朝、名古屋の「東海ラジオ」に生出演します。

というか、電話でのインタビュー出演となります。

番組は
「源石和輝 モルゲン!!」
(午前6時30分~午前9時00分)

パーソナリティは、源石和輝(げんいしかずてる)アナウンサーです。

私が登場するのは、番組の中の「モルゲンジャーナル」といって、「政治、経済、さまざまな事件から国際問題まで、今知りたいニュースを各分野の専門家や論客が解説する」コーナーだそうです。

テーマは「NHK会長人事の迷走」。

さあ、どんな話になりますか(笑)。

午前7時29分頃からの出演予定ですので、東海地方の皆さん、よろしくお願いいたします。

「勝者なき消耗戦」と書かれたテレビ

2011年01月13日 | テレビ・ラジオ・メディア

今週の『週刊ダイアモンド』(1月15日号)の特集は、「新聞・テレビ 勝者なき消耗戦」。

うーん、勝者なき消耗戦かあ。

どんどん追い込んでくるなあ(笑)。

・聖域なき大リストラの嵐
・フジと日テレが散らす火花!熾烈な視聴率の“質”の争い
・制作会社の人材の受け皿化で民放のノウハウ吸収するNHK
・弱者の犠牲でようやく成り立つ歪んだテレビ番組制作の裏側
・キー局との関係は崩壊寸前 赤字ローカル局の死屍累々


いやはや、いずれも「おっしゃる通り」である。

特に気になるのは制作会社の疲弊ぶり。

制作費という蛇口が締められて一番つらいのが、実際に番組作りを行っている制作会社だ。

3~4割もカットされた制作費となれば、やはり以前のような内容とそれなりの質は難しい。

予算削減→質の低下→視聴者のテレビ離れ→視聴率低下→スポンサー離れ→予算削減という“負のスパイラル”は今年も続いていく。

NHK経営委員会の迷走

2011年01月12日 | テレビ・ラジオ・メディア
(朝日新聞夕刊 2011.01.11)


これは一体どういう事態なのだろう。

NHKの次期会長人事である。


NHK会長人事、白紙に 安西氏、異論受け辞退

24日に任期満了を迎えるNHKの会長人事で、次期会長への就任を受諾していた前慶応義塾塾長の安西祐一郎氏(64)が11日、会長就任を辞退した。任命権をもち、就任を要請していたNHKの経営委員会が態度を一転させ、辞退を迫ったためだ。

いったん経営委の総意で決めた人事が、経営委側の意向で白紙に戻る異例の事態となった。
記者会見した安西氏は「経営委員会に対する不信は頂点に達した。会長就任を不本意ながら拒絶する」と語った。

辞退の理由については「いわれなき中傷を含む風評に依存して動く経営委員会であれば、会長に就任してもNHKをさらによいものにするのは困難であると判断した」と語った。

経営委は昨年12月の委員会で、小丸委員長が推薦した安西氏に会長就任を求めることを決めた。

ところが、12月27日に安西氏が受諾したあと、会長就任にあたって「交際費の使用」「副会長を連れて行く」「都内に部屋を用意する」の3条件がついたという話がNHK関係者の間に広まり、一部の委員が安西氏の起用に難色を示し始めた。

安西氏は5日に開かれた経営委の非公式会合に出席し、3条件を全面的に否定したが、委員との溝は埋まらなかった。

安西氏は記者会見で3条件について「条件を提示した事実は一切ない。仕事の環境について説明を求めたことはあるが、そのことが条件として曲解されたのであれば、曲解されること自体が問われるべきだ」と話した。
(朝日新聞 2011.01.11)



年末に、「慶應の安西先生でほぼ決まり」という報道に接した時、私は驚くと共に高く評価した。

政界や財界、官界とも一定の距離を保てるという意味で、アカデミズムからの起用、そして安西先生という選択は、今後のNHKにとってベターなものだと思ったからだ。

ところが、どこからか「就任の3条件」なるものが現出し、安西先生に対するネガティブ・キャンペーンが開始された。

「経営委員の中に、これを問題視するメンバーがいる」といった情報が流れたが、結局、当人への確認は最近まできちんと行われていなかったのだ。

そうこうするうちに、経営委員会は安西先生への「受諾撤回」を求める。

実に失礼なやり方だ。

依頼してくる時は「全会一致」と言いながら、内部はまとまっていなかったわけだし、“風評”で判断を覆した上に、本人に「受諾撤回」させようとするとは。

これでは、安西先生が「就任しても、まともな仕事など出来ない」と考えるのも無理はない。

NHKにとっても、視聴者にとっても、実に残念な展開となってしまった。

新聞では「一部の委員から異論が出た」というが、実際、誰が、どんな異議を唱えたのか、知りたいものだ。

ちなみに、NHK経営委員会の構成員は以下の方々である。


委員長
小丸 成洋
福山通運(株)代表取締役社長

委員長職務代行者
安田 喜憲
国際日本文化研究センター教授

委 員
石島 辰太郎
産業技術大学院大学学長

石原 進
九州旅客鉄道(株)代表取締役会長

井原 理代
NHK経営委員会委員(常勤)、香川大学名誉教授

大滝 精一
東北大学大学院経済学研究科教授

勝又 英子
(財)日本国際交流センター常務理事・事務局長

北原 健児
元(社)日本民間放送連盟専務理事

倉田 真由美
漫画家

幸田 真音
作家

竹中 ナミ
社会福祉法人プロップ・ステーション理事長

浜田 健一郎
(株)ANA総合研究所代表取締役社長



<参考>
このブログでの関連記事
「慶應義塾・安西先生、NHK会長に」(2010.12.30)
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/753f006088149520024a2d12c753783a



「成人の日」と山口瞳さん

2011年01月11日 | 本・新聞・雑誌・活字

10日は「成人の日」だった。

そういえば、2年生ゼミの学生の中には、成人式のために故郷へ向かったメンバーも多い。

我がゼミ生に限らず、新成人の皆さん、おめでとうございます。


「成人の日」と聞いて、例によって思い浮かべるのは、山口瞳さんが書いていたサントリーの新聞広告だ。

山口さんが亡くなったのは95年の夏。

この年の成人の日に、以下のような文章を寄せている。


今日から新成人になった諸君、おめでとう。
これで一人前だ。
酒も飲める。
大いにやろうじゃないか。

   (中略)

ただし、ひとつだけお願いがある。
酒場では静かに飲んでくれ。
一気飲みなんかで騒いだり暴れたりしないでもらいたい。
一日の疲れを癒すために
一杯のハイボールを飲みにきている
大人のサラリーマンもいるんだから・・・。
それがわかったら、まあいいや。
乾盃しよう。
今日は一日大いに飲んでくれ給え。



・・・・15年を経て、ハイボールも復活の兆し(笑)。

20歳になったから、成人の日を迎えたからといって、ひとは「大人」になれるわけじゃない。

しかし、「大人」を目指すことは出来ると思う。

一番の近道は、今日から山口瞳のエッセイを読み始めることだ(笑)。

「人生には、ルールはないが、作法(マナー)がある」。

ぜひ、いい「大人」に、プロの「大人」になっていってください。


横沢彪さんに、合掌

2011年01月10日 | テレビ・ラジオ・メディア
(今年も庭の梅の木に花が)


8日に、フジテレビ元プロデューサーの横沢彪さんが亡くなったそうだ。

横沢さんといえば、「THE MANZAI」「オレたちひょうきん族」「笑っていいとも!」。

80年代に、この3本で、それまでのフジテレビを、現在につながるフジテレビへと変えた功労者である。

そして、振り返ってみれば、この3本はフジテレビだけでなく、日本のテレビ全体をも、それこそいろんな意味で変えてしまったのだ。

まだ河田町にあったフジテレビの局舎や、それ以外の場所でも、何度かお会いしたことがある。

テレビのお話もさせていただいた。

でも、一番思い出すのは、下北沢の小さな劇場で小劇団の芝居を観終わって、外に出た時に顔を合わせた瞬間だ。

当時、かなり多忙だったはずの横沢さんが、こまめに芝居に足を運び、まだ無名の役者やタレントに目を向けていることに驚いたり、感心したりした。

30年前、この国のテレビを大きく変えた稀代のプロデューサー、横沢彪さん。

享年73。

合掌。

『アンストッパブル』は予想の数倍以上の面白さ

2011年01月10日 | 映画・ビデオ・映像

映画『アンストッパブル』を観た。

主演はデンゼル・ワシントン。

監督は、『トップ・ガン』以来、ほとんどの作品を観ているトニー・スコットだ。

ついこの間、兄上であるリドリー・スコット監督の『ロビン・フッド』を観たばかりだが、まあ、なんて凄い兄弟なんだろう(笑)。

まず言っちゃうと、『アンストッパブル』、予想の数倍以上の面白さでした。

せんじつめれば「暴走列車を止めようとする」というだけのお話を、よくぞこれだけ起伏に富んだ展開にできるものだと感心した。

「大量の化学薬品とディーゼル燃料を搭載した最新式貨物列車」がだんだん怪物に見えてくる怖さ。

そして、肝心の場面こそCGではなく実写、というトニー・スコット監督の心意気みたいなものがまた嬉しい。

かなり危険な撮影が随所にある。

複数のカメラの映像が、“トニー・スコット・マジック”ともいうべき編集の冴えで、憎らしいほど気持ちのいいシーンとして再構築されているのだ。

また、優れたアクション映画であると同時に、暴走列車(コースターっていうんだ)を止めようとするデンゼル・ワシントンとクリス・パイン(「スター・トレック」だよね)のヒューマンドラマにもなっている上手さ。

2人が、それぞれ私生活で抱えているものが徐々に明らかになり、その決着もしっかりとつけてくれる。

恥ずかしながら、ちょっと泣けました(笑)。

ほんと、映画って、見てみなくちゃ分からない。

おススメです。


日本テレビ「キム・ヨナ隠し撮り」と危機管理

2011年01月09日 | テレビ・ラジオ・メディア

日本テレビ「キム・ヨナ隠し撮り」騒動のその後。


バンクーバー五輪のフィギュアスケート女子で金メダルを獲得したキム・ヨナ(韓国)のマネジメント会社は7日、同選手が米ロサンゼルスで練習する様子を隠し撮りしたことを日本テレビの番組が認め、6日に謝罪文を送ってきたと発表した。

マネジメント会社によると、謝罪文は昨年12月26日に映像を放送した「真相報道バンキシャ!」のプロデューサー名で書かれ、承認を得ずに撮影したことを「深く謝罪する」とした上で再発防止の努力を約束した。同社は、こうした事態が再発した場合にはキム・ヨナに関連した「あらゆるインタビューと記者会見へのアクセスを禁止する」との立場をあらためて日本テレビ側に伝えたという。
(スポニチ 2011.01.08)



・・・・やはり「真相報道バンキシャ!」は隠し撮りをしていたわけだ。

では、この件の経緯と、昨年末の発覚の際に日テレがどう答えていたか、を振り返ってみよう。


バンクーバー五輪フィギュアスケート女子金メダルのキム・ヨナ(20=韓国)のマネジメント会社は28日、キム・ヨナが米ロサンゼルスで練習する様子を隠し撮りしたとして、日本テレビに抗議書簡を送るとともに、この映像を放映した番組の謝罪放送を要求したと発表した。同社によると、映像は26日の「真相報道バンキシャ!」で放送された。

同社は、同様な事態が再び起きた場合、日本テレビに対し、キム・ヨナに関連した「あらゆるインタビューと記者会見へのアクセスを禁止する」と警告。日本スケート連盟と国際スケート連盟に、同テレビへの制裁を要請するとした。

さらに今回の事態の影響で、来年3月に東京で開催される世界選手権への、キム・ヨナの出場に支障が生じた場合、「すべての責任を日本テレビ側に問う」とした。

マネジメント会社はこの映像について、撮影が許可されていない場所で、キム・ヨナから事前承認を全く受けず「盗撮」されたものだとし、日本テレビの行動を「非常識だ」と強く批判した。

日本テレビはスポニチ本紙の取材に「パブリックスペースで撮影しており取材に問題はなかった。抗議は受けたが、先方にも説明し理解していただいた」とコメント。

既に解決済みとの認識を示した。
(スポニチ 2010.12.29)



・・・・そう。発覚当時、日テレは「盗撮」自体を完全否定していたのだ。

「十分な内部調査を行う以前に、いきなり否定」という動きは、企業防衛の意識から出た行為なのだが、「危機管理」という意味では誤った選択・対応だった。

結果的には「虚偽」といわれてしまう。

「嘘」や「ごまかし」は事態をより悪化させるのだ。

こういう場合、「情報収集」「事実の確認」が最優先であり、まずそのことを伝えるべきだった。

その上で、「過ち」があったことが分かったなら、できるだけ早く「全面的な情報開示」を行う。

その際、経過・原因・再発防止策・責任の所在などを明らかにするのが正しい「クライシス・コミュニケーション」だ。

さて、日テレの場合、キム・ヨナ側への謝罪文の送付だけで終わりなのかどうか。


<このブログでの関連記事>
日本テレビ「バンキシャ!」のキム・ヨナ選手“隠し撮り” (2010.12.28)
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/0a1075580b14a1b9cdf868af5f71df78

日テレ・夏目三久アナウンサーの退社

2011年01月08日 | テレビ・ラジオ・メディア

『日刊スポーツ』(1月7日)などによれば、日本テレビ・夏目三久アナウンサーが今月末で退社。

しかも「有給休暇消化に入っており、このままテレビ画面には戻らず」とのこと。

我が家は「1億人の大質問 !? 笑ってコラえて ! 」のファンなので、夏目アナもお馴染みの存在だったのだが、残念です。

夏目アナをめぐる騒動があったのは09年の夏だから、もう1年半前。

アナウンサーという“人前に出る仕事”も、なかなか大変なのだ(笑)。

このブログでは、当時、以下の記事を掲載している。

『週刊新潮』で、「日テレ・夏目アナ」関連のコメント(2009年07月30日)
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/3e08833d22dbea7b54ce273cae5c9b20



夏目さんには、「おつかれさまでした」を。