碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

【気まぐれ写真館】 若葉の季節

2022年03月30日 | 気まぐれ写真館


実相寺昭雄監督、生誕85年

2022年03月29日 | 日々雑感

 

 

 

実相寺昭雄監督が

生まれたのは、

1937年(昭和12年)3月29日。

 

今日は、

生誕85年。

 

監督、

誕生日

おめでとうございます!

 

 

 


【気まぐれ写真館】 さくら、始まる

2022年03月28日 | 気まぐれ写真館


岡田恵和脚本「ファイトソング」 不器用な生き方へのエール

2022年03月27日 | 「毎日新聞」連載中のテレビ評

 

 

岡田恵和脚本「ファイトソング」

不器用な生き方へのエール

 

冬ドラマが続々とエンディングを迎えている。今期は「ミステリと言う勿れ」(フジテレビ系)が大いに話題となったが、隠れた佳作も存在した。たとえば「ファイトソング」(TBS系)だ。

注目ポイントは2つあった。まず、岡田恵和によるオリジナル脚本であること。もうひとつは、ヒロインが民放ドラマ初主演の清原果耶だったことだ。

児童養護施設で育った花枝(清原)は、空手の有力選手だったが挫折。しかも聴神経腫瘍で数カ月後の失聴を宣告されてしまう。そんな花枝が出会ったのが、自分の大好きな楽曲を手掛けたミュージシャン、芦田(間宮祥太朗)だ。

当時、どん底状態だった芦田はマネジャーから「恋愛でもして人の気持ちを知りなさい」と言われ、花枝に交際を申し込む。耳が不自由になる前の「思い出づくり」を決意する花枝。互いに期間限定の「恋愛もどき」のはずだった。

脚本の岡田は物語を大仰なエピソードで飾らず、2人のキャラクターと日常をじっくりと見せていく。その積み重ねが見る側の共感を呼びこんでいった。

また同じ施設で育った慎吾(菊池風磨)が花枝を好きで、その慎吾をやはり施設仲間の凛(藤原さくら)が好きだったりするのだ。

自分の恋ごころにブレーキをかける2人の姿がいじらしい。それがドラマ全体に漂う、もどかしさと切なさを倍加させていた。そして何より、登場人物たちに共通の不器用な生き方を見つめる、岡田の眼差しが温かい。

最終回、岡田が仕掛けたのは、互いに自分の思いを語る約8分間の長丁場だ。すでに音が聴こえなくなった花枝のために、芦田は音声を文字化していく。

「恋って、しなきゃいけないものではなくて。でも、やっぱり、人が人を好きになるのは素敵なことだと思う/自分が好きな人が、自分を好きになってくれるなんて、それはもう奇跡みたいなもので/俺は待ってる、花枝が俺を必要だと思ってくれるまで/今までで今日が一番好きです」

この静かで熱い言葉を受けて、花枝も本音を伝える。恋をすることで相手に甘え、弱くなっていく自分が怖いというのだ。さらに芦田が創り出す音楽を、自分は聴くことができない悲しさも。

もともと“ピュア度”の高い清原だが、今回のような「生きづらさを抱えたヒロイン」は最適解。病を背負ったこと、人を好きになったことで成長していく一人の女性を丹念に演じていた。

それはまた女優・清原果耶の成長のプロセスでもあり、見る側として立ち会えたことは小さな幸運だ。

(毎日新聞「週刊テレビ評」2022.03.26)

 

 

 


【書評した本】 『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』

2022年03月25日 | 書評した本たち

 

猥雑性とわくわく感 

ドンキ劇場の吸引力を探る

 

『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』

谷頭和希(集英社新書)

 

チェーンストアのドン・キホーテ、通称ドンキが苦手だという人は少なくない。  

ヤンキー系家族がドヤ顔のワンボックスカーで乗り付けるイメージ。「♪ドンドンドン、ドンキ、ドン・キホーテ」と歌う強烈なテーマソングが流れる店内。無秩序に見える商品配置。全体のごちゃごちゃした雰囲気も落ち着かない。  

その一方で、あの猥雑性と、わくわく感が堪らないという人も多い。店内をエンターテインメントの劇場に見立てることも可能だ。  

他のチェーンストアやデパートにはない吸引力があり、時々無性に行きたくなる場所かもしれない。  

谷頭和希『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』は、ドンキの不思議な魅力に迫る一冊だ。

新たな地域に進出する際、既存の建物を「居抜き」で使う。地域に溶け込むと同時に「ドンキらしさ」をアピールするには、ペンギンの巨大なオブジェが必要となる。  

またジャングル感を生み出すのが「圧縮陳列」だ。予期せぬ商品との出会いを演出している。さらに重要なのが店舗のありかたを店長に一任するシステムだ。チェーンストアの常識を打ち破る「権限委譲」が最大の武器となっている。  

結果的にドンキは地域の多様な文化を侵食する存在ではなく、むしろ「地域と連続性を持った祭り的な異空間」だと著者。

社会学から人類学までを導入しながら、ドンキやチェーンストアを介することで見えてくる、現代日本の深層を捉えようとした意欲作だ。

(週刊新潮 2022.03.24号)

 


NHK「バラエティー生活笑百科」 番組全体はマンネリかもしれないけれど…

2022年03月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

NHK「バラエティー生活笑百科」

番組全体はマンネリかもしれないけれど…

 

NHK「バラエティー生活笑百科」の放送が始まったのは昭和60年(1985年)4月。これまで37年も続いてきた。

しかし最近は、民放もNHKも一種の長寿番組終了ブームだ。2月に幕を閉じた「ガッテン!」に続き、4月早々にはこの番組もテレビから消えることになっている。

番組の基本構造はシンプルで、開始当初からほぼ変わっていない。扱われるのは、日常生活で発生しそうな法的トラブル。漫才コンビの相談に乗るという形で相談員が意見を述べ、最後に弁護士が解説してくれるのだ。

19日の放送分では、漫才の相方が自分たちの活動費を勝手に借金した揚げ句、コンビは解散。個人に全額返済の義務があるかで盛り上がっていた。

特別相談員である桂吉弥たちの無理筋な持論展開も“お約束”であり、番組名物だ。視聴者は笑いながら見ているうちに、実は夫婦や友人との間でも起こり得る、身近な話であることに気づくのだ。

確かに、番組全体はマンネリかもしれない。しかし、長年この「定食」の味を愛してきた、たくさんの視聴者がいるのも事実だ。その多くが中高齢者であることをもって、ばっさり切り捨てるのはもったいない。

TBSは、同じく中高齢視聴者が多い「噂の!東京マガジン」を、地上波からBS-TBSへと移動させている。そんな配慮が「皆さまのNHK」にあってもよかった。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2022.03.23)


【気まぐれ写真館】 自由時間

2022年03月22日 | 気まぐれ写真館


言葉の備忘録272 面白く・・・

2022年03月20日 | 言葉の備忘録

「コバトパン工場」の缶入りクッキー

 

 

 

面白くないけれど

タメになるということはない。

面白いから

タメになるのである。

 

 

開高健『知的経験のすすめ』

 

 

 


言葉の備忘録271 音楽って・・・

2022年03月19日 | 言葉の備忘録

路上で

 

 

 

音楽っていいですね。

そこには常に理屈や論理を超えた物語があり、

その物語と結びついた深く優しい個人的情景がある。

 

 

村上春樹 『村上ラヂオ』

 

 

 


木ドラ24「真夜中にハロー!」は深夜のプチオアシスだ!

2022年03月17日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

木ドラ24

「真夜中にハロー!」は

深夜のプチオアシスだ!

 

木ドラ24「真夜中にハロー!」(テレビ東京系)は、深夜のプチオアシスだ。仕事で疲れた夜など、ちょうどいい。

舞台は、ハロプロ(ハロー!プロジェクト)のファンであるマリコ(菊池桃子)が運営するゲストハウス。人生に迷っている宿泊客を、マリコは不思議な扉へと導く。

その扉の向こうは、なんとハロプロの楽屋だ。驚く宿泊客の目の前で、ハロプロのメンバーが歌とダンスを披露する。

しかも、その曲が宿泊客たちの悩みにマッチしているところがミソだ.

彼氏との結婚に踏み切れないキャリアウーマン(徳永えり)は、アンジュルム「大器晩成」に背中を押される。

また、誰かを好きになることに臆病な英会話講師(剛力彩芽)は、Juice=Juice「ロマンスの途中」から勇気をもらった。

歌もさることながら、そのダンスパフォーマンスの迫力はハロプロならでは。

聴く者の気持ちを揺さぶる音楽の力と同時に、アイドルという「ひとを元気にする仕事」を再認識させてくれる。

さらに、菊池桃子の存在感が凄い。アイドル雑誌「Momoco(モモコ)」が創刊されたのは1983年。

表紙を飾ったのは誌名の由来でもある菊池で、当時15歳の新人アイドルだった。元祖、和み系の笑顔とほんわかとした雰囲気は、今も変わらない。

アイドル界のレジェンドに会えるこのドラマ、今週は最終回を迎える。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは‼」2022.03.16) 


【気まぐれ写真館】 日中の暑さが消えて・・・

2022年03月15日 | 気まぐれ写真館

2022.03.15


『カムカムエヴリバディ』気になる「安子」の消息と「ラジオ講座」の行方

2022年03月14日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

 

『カムカムエヴリバディ』

気になる「安子」の消息と

「ラジオ講座」の行方

 

連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)の放送も、あと1ヶ月ほどになりました。
 
残りの期間で、時代的にどこまで描かれるのか、気になります。
 
そもそもこのドラマは、安子(上白石萌音)、娘のるい(深津絵里)、孫のひなた(川栄李奈)という3世代にわたる「100年の物語」をうたっています。
 
安子が生まれたのは、日本でラジオ放送が開始された、1925年(大正14年)。
 
1925年から物語が始まりましたから、文字通り「100年の物語」であれば、プチ近未来の2025年までが描かれる可能性があります。
 
もしそうなれば、「100歳の安子がアメリカから帰国!」なんていう場面も妄想してしまうのですが。
 
安子と「ラジオ講座」
 
今週は、その安子と「ラジオ講座」を思い出させるシーンがありました。
 
るいのお店に、外国人観光客がやってきて、これ(回転焼き)は何かと尋ねます。
 
その時、るいが流ちょうな英語で説明したのです。
 
「日本の伝統的なお菓子です。あんこが詰まっています」
 
これをすっと英語で言えるのは、なかなかのものです。
 
ひなたが「なぜ英語が出来るの?」と驚いたのも無理はありません。
 
るいは、小学生だったひなたがすぐに挫折した、ラジオ講座の「英語会話」を17年も聴き続けてきたことを明かします。
 
見ているこちらも、かつてラジオの前で楽しそうに英語講座を聴いていた安子の姿を思い出しました。
 
特に実在の講師、平川唯一(声・さだまさし)の温かい語りかけが、安子の励ましとなっていました。
 
戦時中は敵性語だった英語と親しんだことで、安子の人生は思わぬ展開を見せたわけですが…。
 
2025年のラジオ
 
放送開始から100年後となる、2025年のラジオは、そして「ラジオ講座」は、どうなっているでしょう。
 
気がかりなのは、昨年1月に発表された「NHK経営計画(2021-23年度)」です。
 
スリム化による構造改革を目指して、「保有するメディアの整理・削減」を宣言していました。
 
衛星波と共に、ラジオも「整理・削減」の対象となっているのです。
 
25年度に、ラジオを現在の3波(R1ラジオ第1/R2ラジオ第2/FM)から、2波(AM/FM)へと削減するというのです。
 
この場合、「R2ラジオ第2」が消える可能性が高いでしょう。
 
NHKは「民間放送のAMからFMへの転換の動きやリスナーへの利用実態調査の結果などを考慮」すると説明しています。
 
しかし、公共放送のラジオには独自の機能や役割があり、本来、民放と同様である必要はありません。
 
R2は、「語学講座」などの教育・生涯学習面や、防災面で有効な上に、大きなコストもかかってはいません。
 
改革自体が目的化された結果、BSやラジオなど扱いやすそうな部分を、整理・削減の対象とした印象が強いのです。
 
「ラジオ講座」の行方
 
ラジオ100年の歴史と、待ち受ける「ラジオ講座」の危機。
 
ならば、今回の朝ドラ『カムカムエヴリバディ』は、消えゆく運命にあるラジオ講座への「哀悼(あいとう)」なのか。
 
それとも、消してしまうことへの「贖罪(しょくざい)」だったりするのでしょうか。
 
いや、できればそれは、歴代のラジオ講座に携わってきた人たちと無数のリスナーに対する「敬意と感謝」であってほしい。
 
あと1ヶ月、「皆さま(エヴリバディ)のNHK」に注目です。

言葉の備忘録270 人生って・・・

2022年03月13日 | 言葉の備忘録

 

 

 

人生って、

折返し地点ってないと思う。

 

 

YOSHIKI

NHK「SWITCHインタビュー達人たち」

 

 

 


『カムカムエヴリバディ』川栄李奈が増加させる「吸引力」

2022年03月12日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

 

『カムカムエヴリバディ』

川栄李奈が増加させる「吸引力」

 
連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK)の第3部である「ひなた編」が、これまで以上に吸引力を増しています。
 
何より、川栄李奈さんが演じる「大月ひなた」が気になって仕方ありません。
 
「アンチ朝ドラヒロイン」の魅力
 
天真爛漫なひなた。その明るさは見ていてホッとします。
 
とはいえ、ひなたは子どもの頃から、地道な努力は苦手でしたし、壁にぶつかれば、すぐにくじけていました。ヘタレと言ってもいいくらいです。
 
しかも何を考えているのか、よく分からない(笑)。
 
前向きな主人公の「成長物語」とか、「自立物語」といったイメージの強い朝ドラで、こんなにボーっとした感じの無防備なヒロインは珍しい。
 
いや、だからこそ見る側は気になるし、応援したくなってくるのです。
 
思えば、この『カムカムエヴリバディ』と同じように、藤本有紀さんが脚本を手掛けた朝ドラ『ちりとてちん』もそうでした。
 
主人公の和田喜代美(貫地谷しほり)は、見ていて歯がゆくなるほどネガティブ思考で、これまたボーっとしていたものです。
 
藤本さんには、いわば「アンチ朝ドラヒロイン」を造形したい、もしくは挑んでみたい意思があるのかもしれません。
 
おかげで、ご都合主義ではない分、生身の人間、リアルな女性像が現出する。
 
そして突出した能力もさることながら、自分が好きなものがあることの幸せが示されていきます。
 
喜代美の場合は「落語」であり、ひなたにとっては「時代劇」です。
 
「女優・川栄李奈」の進化
 
川栄さんの演技にも注目すべきでしょう。
 
ひなたの生き生きとした喜怒哀楽は、役柄の中に自分を浸透させていく、川栄さんならではの業(わざ)だと言えます。
 
それは2018年のNHK広島開局90年ドラマ『夕凪の街 桜の国2018』でも発揮されていました。
 
舞台は敗戦から10年後、1955年(昭和30年)の広島です。
 
23歳の皆実(川栄)は事務員として働いています。
 
同僚の青年が思いを寄せるのですが、素直に受け入れることができません。それは皆実が被爆者だったからです。
 
家族を含め多くの人が犠牲となったのに、自分が生き延びてしまったことへの後ろめたさ。
 
やがて自身も原爆症を発症するのではないかという恐怖心。
 
皆実が幸せを感じたり、何かを美しいと思ったりした瞬間、彼女の中で原爆投下直後の光景がよみがえります。
 
皆実の独白によれば、「お前の住む世界はここではないと誰かが私を責め続けている」のです。
 
この難役に、川栄さんは自然体で臨んでいました。
 
あれから4年。さらに進化した「女優・川栄李奈」がここにいます。
 
祖母の安子(上白石萌音)とも、母のるい(深津絵里)とも異なるキャラクターのひなた。
 
しかし、芯の強さなどが継承されているのは確かです。
 
過去は現在につながっており、道をひらく人たちがいたからこそ今の自分がある。
 
そんなことを思わせてくれる「女性三世代・百年の物語」も、残りわずかとなりました。

11年目の「3月11日」午後2時46分 合掌

2022年03月11日 | 日々雑感

2022.03.11