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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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日本テレビ「キム・ヨナ隠し撮り」と危機管理

2011年01月09日 | テレビ・ラジオ・メディア

日本テレビ「キム・ヨナ隠し撮り」騒動のその後。


バンクーバー五輪のフィギュアスケート女子で金メダルを獲得したキム・ヨナ(韓国)のマネジメント会社は7日、同選手が米ロサンゼルスで練習する様子を隠し撮りしたことを日本テレビの番組が認め、6日に謝罪文を送ってきたと発表した。

マネジメント会社によると、謝罪文は昨年12月26日に映像を放送した「真相報道バンキシャ!」のプロデューサー名で書かれ、承認を得ずに撮影したことを「深く謝罪する」とした上で再発防止の努力を約束した。同社は、こうした事態が再発した場合にはキム・ヨナに関連した「あらゆるインタビューと記者会見へのアクセスを禁止する」との立場をあらためて日本テレビ側に伝えたという。
(スポニチ 2011.01.08)



・・・・やはり「真相報道バンキシャ!」は隠し撮りをしていたわけだ。

では、この件の経緯と、昨年末の発覚の際に日テレがどう答えていたか、を振り返ってみよう。


バンクーバー五輪フィギュアスケート女子金メダルのキム・ヨナ(20=韓国)のマネジメント会社は28日、キム・ヨナが米ロサンゼルスで練習する様子を隠し撮りしたとして、日本テレビに抗議書簡を送るとともに、この映像を放映した番組の謝罪放送を要求したと発表した。同社によると、映像は26日の「真相報道バンキシャ!」で放送された。

同社は、同様な事態が再び起きた場合、日本テレビに対し、キム・ヨナに関連した「あらゆるインタビューと記者会見へのアクセスを禁止する」と警告。日本スケート連盟と国際スケート連盟に、同テレビへの制裁を要請するとした。

さらに今回の事態の影響で、来年3月に東京で開催される世界選手権への、キム・ヨナの出場に支障が生じた場合、「すべての責任を日本テレビ側に問う」とした。

マネジメント会社はこの映像について、撮影が許可されていない場所で、キム・ヨナから事前承認を全く受けず「盗撮」されたものだとし、日本テレビの行動を「非常識だ」と強く批判した。

日本テレビはスポニチ本紙の取材に「パブリックスペースで撮影しており取材に問題はなかった。抗議は受けたが、先方にも説明し理解していただいた」とコメント。

既に解決済みとの認識を示した。
(スポニチ 2010.12.29)



・・・・そう。発覚当時、日テレは「盗撮」自体を完全否定していたのだ。

「十分な内部調査を行う以前に、いきなり否定」という動きは、企業防衛の意識から出た行為なのだが、「危機管理」という意味では誤った選択・対応だった。

結果的には「虚偽」といわれてしまう。

「嘘」や「ごまかし」は事態をより悪化させるのだ。

こういう場合、「情報収集」「事実の確認」が最優先であり、まずそのことを伝えるべきだった。

その上で、「過ち」があったことが分かったなら、できるだけ早く「全面的な情報開示」を行う。

その際、経過・原因・再発防止策・責任の所在などを明らかにするのが正しい「クライシス・コミュニケーション」だ。

さて、日テレの場合、キム・ヨナ側への謝罪文の送付だけで終わりなのかどうか。


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日本テレビ「バンキシャ!」のキム・ヨナ選手“隠し撮り” (2010.12.28)
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/0a1075580b14a1b9cdf868af5f71df78