碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

朝日新聞で、「ハケンの品格」について解説

2020年08月05日 | メディアでのコメント・論評

 

 

「ハケンの品格」増したほろ苦さ 

きょう最終回

 

13年前の人気ドラマの続編「ハケンの品格」(日テレ系)が5日夜10時、最終回を迎える。“スーパー派遣社員”の活躍を描き、平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は初回から2ケタをキープ。前作の売りだった「爽快感」を残しつつも、ほろ苦さが増したとの声も聞かれる。背景には派遣労働者が直面している現実がある。

主人公の大前春子(篠原涼子)は、気象予報士や1級左官技能士などあらゆる資格を持つという設定。前作に続き、今回も大暴れして他の派遣社員や会社のピンチを救うが、すっきりしない展開も多い。たとえば社員からセクハラされた派遣社員が春子に窮地を救われた後、「私、どうすればよかったんですかね」と尋ねると、春子は暗い顔で「わかりません、私はあなたじゃないので」などと返す。

契約が更新されない雇い止めの不安。休日が多いと月あたりの賃金が減るので食費を切り詰めないといけない。サービス残業や契約以外の仕事を指示されても断れない。社員食堂のカレーの価格が正社員よりも高い――。派遣社員の直面する現実が次々と描かれる。

労働者派遣は、派遣会社と雇用契約を結び、別の会社で働く間接雇用だ。総務省の直近の調査では、派遣社員は約142万人。ドラマで描かれるのは事務派遣といわれる分野で、圧倒的に女性が多い。

労働者派遣法の制定当初は、派遣労働者は「専門職」だという建前があった。だが、NPO法人「派遣労働ネットワーク」代表の中野麻美弁護士は、前作が放送された2007年は、皮肉にも専門職としての位置づけが小さくなり、より安い労働力として派遣先との一体化が進んだ時代だったと指摘する。

派遣法は15年、大きく改正された。改正以前は、専門的な仕事であればずっと同じ派遣先で働けるという建前があったが、今は派遣会社との雇用契約に期間がある場合、どの業種でも3年が上限だ。今年4月には、政府が掲げる「同一労働同一賃金」に関連する法律が施行された。派遣も対象だが、正社員と同じ待遇を求める権利が与えられたわけではない。ドラマでも「正社員と同じ仕事をすれば同じ賃金がもらえる」という派遣社員の希望が打ち砕かれる場面がある。

「前作は爽快で楽しめて、全部見た」と話す首都圏に住む派遣労働者の40代女性は前作の放送当時、正社員だった。今作は見ていない回がある。「『派遣はよそ者』『やりがいが無い』といった、派遣の立場をストレートに表現するセリフや場面がある。『派遣は正社員になれない人』という現実が描かれていて、昔と同じ気持ちではもう見られない」

こうした現実はドラマの世界観にも影響を与えている。テレビドラマに詳しいライターの田幸和歌子さんは、今作は時事ネタを盛り込むなど大企業や権力への批判のメッセージ性が強くなった一方、派遣社員が以前のように特別な存在として描かれなくなったとみる。「13年前に比べ、派遣のあり方に夢や希望を描きにくくなっているのでは」

元テレビプロデューサーでメディア文化評論家の碓井広義さんは、前作では強者として描かれた正社員も、今作では不安定な立場に置かれていると指摘。「以前は『弱きを助け、強きをくじく』として正社員を悪役にするわかりやすい展開で視聴者の留飲を下げたが、現代はそう単純ではない。そうした苦さもエンターテインメントに織り込み、物語に深みが増した」

この「苦さ」は制作者の意図したことなのか。脚本を担当する中園ミホさんは、今作の制作時に新型コロナウイルスの流行が重なったため、「意識的に明るく楽しいものを作ろうとした」と明かす。だが、前作から取材している派遣労働者に改めて話を聞く中で、待遇は改善されていないとも感じていたという。

周りを見ても、お金をかけて資格をとって頑張ったからといって給料が良くなってはいない。セクハラのエピソードも、告発した派遣社員は現実には次の就職先が減るだろうと考えると、どうしても爽快にはまとめられなかった。「なんとかすかっとする話にしようとしても、そこに着地させようとするとウソっぽくなってしまって、甘いハッピーエンドにはできない。それだけ世の中が厳しくなっているのかもしれないですね」【黒田健朗、編集委員・沢路毅彦】

(朝日新聞 2020.08.05)


言葉の備忘録172 この世をば・・・

2020年08月04日 | 言葉の備忘録

2020年8月3日 撮影

 

 

この世をば

わが世とぞ思ふ

望月(もちづき)の

欠けたることも

なしと思へば

 

菅原道長

 

 


【気まぐれ写真館】 富より健康

2020年08月03日 | 気まぐれ写真館


産経ニュースで、地方ラジオ局の「閉局」について解説

2020年08月02日 | メディアでのコメント・論評

 

 

閉局相次いだ地方ラジオ局 

ネット台頭、地殻変動の予兆か

 

新潟県と愛知県のラジオ局が6月末、相次いで閉局した。地域の文化を担う存在として親しまれてきたが、広告収入の減少で経営状態が悪化し、改善が見込めなかった。これまで在宅時間のお供や、災害時の情報源として、ラジオは大きな役割を果たしてきたが、聴取者の高齢化やインターネットの普及など、業界を取り巻く環境は大きく変わってきている。専門家は「ラジオというメディアの価値が今一度、問われている」と指摘する。  (文化部 三宅令)

大口スポンサーの撤退

「閉局を告げられたのは、発表の1週間前。突然のことで、びっくりして笑うしかなかった」

6月末に閉局した「新潟県民エフエム放送(FM PORT)」で、開局当初からパーソナリティーを務めてきた遠藤麻理さん(47)は、その日のことを振り返る。

同局は県内全域をエリアとする民間FM局。ほぼ全ての番組を自社制作し、地域に密着した放送局として親しまれていた。

「今年の12月で開局20周年だった。小さいときに母親と一緒に番組を聞いていた子が就職したことを教えてくれたりとか…。リスナーとの思い出は尽きませんね」と話す。

閉局は広告収入の減少による経営悪化が主な原因だ。大口スポンサーから今後の広告出稿を取りやめる意向が示されたことが、決定打になった。新型コロナウイルス禍で在宅時間が増え、これまで縁遠かった若年層も、ラジオを聞いてくれるようになったと感じていた矢先の出来事だった。

「ラジオの良いところは1対1の距離感。こういう時こそ、リスナーのそばにいたかった」

「娯楽の王様」競争の時代

名古屋市のFMラジオ局「Radio NEO(レディオネオ)」も6月30日、経営悪化を理由に閉局した。

「初めてラジオに自分の曲が流れたときは感動した。『自分たちも売れたなあ』って思ったものです」

デビューから半世紀の兄弟デュオ、ビリー・バンバンの菅原孝さん(75)と、進さん(72)はラジオが覇権メディアだった時代を知っている。

ラジオは戦前から昭和の庶民の娯楽だった。テレビの台頭でその地位を追われたが、深夜放送や高音質のFM放送などがブームとなり、独自の魅力を確立。平成7年の阪神・淡路大震災では、災害時の頼れる存在として注目された。

一方でリスナーの高齢化は進んだ。NHK放送文化研究所によると、1日のなかでラジオを聴く人が最も多い年齢層は、昭和50年は16~19歳だった。平成7年は50代が最も多く、27年は70歳以上となっている。

また、22年にインターネットでラジオ番組が聞ける「radiko(ラジコ)」がサービスを開始。放送域内のラジオはもちろんだが、全国のラジオも有料で聞けるようになったことで、以前よりも各局のコンテンツ力が試されるようになった。それまで、電波が届くその地域内での競争だったものが、ネット上では全国横並びでの競争となるからだ。首都圏のキー局に比べて資金力に乏しい地方局にとっては、一層厳しい経営環境となっている。

問い直される役割

総務省の統計によれば、各ラジオ局の放送地域を限定するという放送法の制度もあり、全国に約100局の民間ラジオ局(放送エリアが狭いコミュニティー放送局を除く)が存在する。

メディア文化評論家の碓井広義氏はこの100局について「今となっては多過ぎる」と指摘する。「ネットメディアの台頭もあり、(言論の多様性の確保を目的とした)マスメディア集中排除原則は緩和されつつある。今後、ラジオ局の統廃合が進むだろう」と話す。

相次いだ閉局は変化の予兆に過ぎない。「今後、広告収入だけのビジネスモデルでは限界がくる」として、「新たな収入源の模索と並んで、ラジオならではの魅力や果たすべき役割について、もう一度考えていく必要がある」と話した。

ネットの台頭による地方局の苦境は、テレビが置かれた状況も相似形の可能性が高い。長く覇者だった電波メディアの変化は始まったばかりだ。

(産経ニュース 2020年7月31日)


「半沢直樹」国民的ドラマへと成長

2020年08月01日 | 「北海道新聞」連載中の放送時評

 

 

<碓井広義の放送時評>

「半沢直樹」

国民的ドラマへと成長

 

7月後半、ついに日曜劇場「半沢直樹」(TBS-HBC)がスタートした。4月に始まるはずが、新型コロナウイルスの影響で大幅にずれ込んだのだ。前作の放送が2013年。なんと7年ぶりの続編である。

前作の最後では、大きな成果をあげたはずの銀行マン・半沢直樹(堺雅人)が子会社へと左遷されてしまった。今回の舞台はその東京セントラル証券だ。大手IT企業・電脳雑伎集団が、ライバルである東京スパイラルの買収をたくらむ。最初に相談を持ちかけたのは、銀行ではなく半沢のいる証券会社だった。

ところが、途中で親会社の一派がこの案件を横取りしようと仕掛けてくる。買収のアドバイザー契約は巨大な利益をもたらし、同時に半沢をつぶすこともできるからだ。新作の見どころの一つが、親会社である東京中央銀行との確執、いや壮絶な戦いだろう。

半沢が組んだのは、証券会社の生え抜き社員である森山雅弘(賀来賢人)だ。森山は、銀行からやって来る天下りや落ちこぼれを、「楽をして禄(ろく)を食(は)む」連中として敵視している。最初は半沢もその一人と思っていたが、信頼するに足る上司だとわかってきた。半沢も森山の能力を評価し、一緒に反撃に出る。

この森山や浜村瞳(今田美桜)といった若手社員の存在が第二の見どころだ。前作にも登場した渡真利忍(及川光博)のような同期の仲間だけでなく、世代や立場を超えた共闘がドラマのヤマ場を作っていく。

中でも森山を演じる賀来は、一昨年秋のドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ-STV)で演じた「金髪のツッパリ高校生」とはまるで別人。役者としての振れ幅の大きさに驚かされる。かつての友人で、スパイラルの社長となった瀬名洋介(尾上松也)と対峙(たいじ)する重要な場面でも的確な演技を見せていた。

おなじみの大和田取締役(香川照之)はもちろん、証券営業部の伊佐山部長(市川猿之助)、三笠副頭取(古田新太)など、濃い味付けのキャラクターと俳優の一体感がすさまじい。これが第三の見どころだ。

また、物語の中で明かされる企業買収の仕組み、特に銀行や証券会社の動きが興味深い。「組織対組織」「組織対個人」の暗闘を背景に、企業の中にいる人間の生態が巧みに描かれていく。そして何より、「正しいことを正しいと言えること」「世の中の常識と組織の常識を一致させること」を愚直に目指す、半沢直樹という男の姿がすがすがしい。それが国民的ドラマ「半沢直樹」最大の魅力だ。

(北海道新聞 2020.08.01)

 


【書評した本】 竹中功『吉本興業史』

2020年08月01日 | 今週の「書評した本」

 

 

「伝説の広報」が明かす

”お笑い商社”の紆余曲折

 

竹中功『吉本興業史』 

角川新書 990円

 

以前、旅番組の制作に携わっていた。出演した桂文枝(当時は三枝)師匠に、旅先で訊ねたことがある。所属芸人が「休みたい」と頼んだら、「ええよ」と言いつつホワイトボードのスケジュールをその場で全部消されたという話。「あれは本当ですか」と。師匠は「あり得ると思わせるのが吉本らしさですわ」と笑いながら答えてくれた。

竹中功『吉本興業史』で最も興味深いのは、組織を動かしているのが論理やシステムではなく、「人」であることだ。「吉本が好きな芸人」がこの会社に残り、会社は彼らの成長を「愛情をもって見守る」。そんな関係性が基本となっている。雇用関係というより、完全に「ファミリー」だ。

とはいえ、子どもの中から親不孝者や世間に迷惑をかける不良が出てくることはある。しかも昨年の「闇営業問題」などは、本人だけでなく、吉本興業という家庭が抱える特殊な”遺伝子”に起因しているかもしれないのだ。本書に記された、創業以来の紆余曲折の歴史がそう思わせる。

著者は5年前まで運営側にいた。「伝説の広報」と呼ばれた切れ者だが、吉本興業を指して一種の「生命体」だと言う。無機的存在ではなく、それ自体が命を持った生き物。環境や外界に適応し、時には自分に合うように周囲を変えながら生き続けていく。そのエネルギーの源は「笑いという商売」への執念だ。本書には、「私家版」の社史だからこそ書けた、異形の企業の過去と現在がある。

(週刊新潮 2020.07.23号)


「オロナミンC」新作CMの森七菜さんに注目!

2020年07月31日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム

 

 

大塚製薬 オロナミンC

「元気はつよいぞ。放送室からのエール」篇

「スマイル」に元気もらう夏

 

放送室といえば、忘れられないのが映画「20世紀少年」で描かれたシーンだ。

中学校の放送室を占拠したケンヂが、T・レックスの「20センチュリー・ボーイ」を校内に流して大騒ぎとなる。しかも、この放送がある少年の運命を変えたことも後々わかってくるのだ。

オロナミンCの新作CMの舞台は高校の放送室。床掃除をしていた女子生徒(森七菜さん)がふと窓から外を眺める。そこには、炎天下にたった一人でグラウンド整備をする野球部員の姿があった。

今年は新型コロナウイルスの影響で高校野球の甲子園大会も中止だ。しかし、少年は黙々とマウンドでトンボ(地ならしの道具)を動かしている。

突然、マイクに向かって「♪いつでもスマイルし~ようね!」と歌い出す七菜さん。ホフディランが24年前にメジャーデビューした時の曲「スマイル」だ。少年も「あ、生徒会長」と顔を上げる。

元気をもらった歌声と共に、いつかきっと思い出す、一瞬の夏。

(日経MJ「CM裏表」2020.07.27)

 

念のためですが(笑)、ホフディランはボブ・ディランとは別物で、日本の音楽グループです。

 


最終回を迎える『BG~身辺警護人~』の深化

2020年07月30日 | 「現代ビジネス」掲載のコラム

 

 

キムタクの演技も大好評…!

最終回を迎える『BG~身辺警護人~』の深化

 

今夜、木村拓哉主演『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)の最終回が放送される。第1シーズンから木村の演技もドラマの脚本も深みを増している。ラストも気になるところだが、そもそも「警護ドラマ」とは何か? メディア文化評論家の碓井広義氏が刑事・警備・警護ドラマの系譜を分析する。 

警備ドラマ」の原点となった『ザ・ガードマン』

刑事を主人公とした「刑事ドラマ」の歴史は古く、その数も膨大なものになる。しかし、刑事ならぬ警備員を主人公にした「警備ドラマ」ということになると、まず思い浮かぶのが『ザ・ガードマン』(TBS系)だ。  

昭和の東京オリンピックが開催された翌年、1965年の春に始まり、71年の冬まで続いた。7年近くで、全350話。当時、いかに人気を博していたかが分かる。  

物語の舞台は、民間警備会社の「東京パトロール」。日本初の警備会社で、実在の「日本警備保障」(現在のセコム)をモデルとしていた。  

高倉キャップを演じた宇津井健をはじめ、神山繁、中条静夫、稲葉義男、藤巻潤といった顔が懐かしい。警察以上の捜査力、いや「調査力」と「行動力」で犯人を追いつめていく様子にドキドキしたものだ。  

警備会社らしく、現金輸送車襲撃事件などは何度も作られたし、また夏場には怪奇・ホラー物と言うべき内容が放送された。  

今思えば、警備の仕事から大きく外れていたものも多かったが、そんなことは誰も気にしなかった。「警察以外の組織と人が悪に立ち向かう」という設定自体にインパクトがあったのだ。

人間ドラマとしての『男たちの旅路』

次に挙げるべき「警備ドラマ」は、山田太一脚本『男たちの旅路』シリーズ(1976~82年)だ。NHK「土曜ドラマ」史上というより、ドラマ史上の名作の一つと言っていい。  

警備会社のガードマンとして働く特攻隊の生き残り、司令補の吉岡晋太郎(鶴田浩二)の印象が今も消えない。部下である杉本陽平(水谷豊)、柴田竜夫(森田健作)、島津悦子(桃井かおり)たちとの世代間ギャップも、世代を超えた人間としてのぶつかり合いも、それまでのドラマにはなかった視点と緊張感に驚かされた。  

たとえば、77年放送の「シルバーシート」。杉本(水谷)と悦子(桃井)が担当していたのは「空港警備」だ。いつも構内で本を読んでいる本木老人(志村喬)を、他のガードマンたちは邪魔者扱いするが、2人は何かと気遣っていた。  

そんな本木がロビーで亡くなってしまう。彼が暮らしていた老人ホームを訪れ、本木の仲間たちと出会う杉本と悦子。だが数日後、その老人たち(笠智衆、殿山泰司、加藤嘉、藤原釜足)が都電を占拠し、立てこもる。  

彼らの言い分から浮かび上がる、「老いた人」を敬わない社会の理不尽と切なさ。警備ドラマというジャンルを超え、人間ドラマとしての深みに達したこの作品は、昭和52(1977)年度の芸術祭大賞を受賞した。

「身辺警護」という新たな現場『4号警備』

『男たちの旅路』から35年後の2017年春、同じNHK「土曜ドラマ」枠で放送されたのが『4号警備』だ。

民間の警備会社における区分で、1号警備とは「施設警備」のことを指す。2号は「雑踏警備」で、3号は「輸送警備」。そして、いわゆる「身辺警護」を行うのが4号警備だ。わかりやすく言えば「ボディーガード」である。  

主人公は警備会社「ガードキーパーズ」の警備員で、元警察官の朝比奈準人(窪田正孝)。そして年長者の石丸賢吾(北村一輝)だ。時に暴走してしまう朝比奈を、石丸が抑えたり、追いかけたりする形で物語が展開されていく。  

遺産相続がらみで盲目の男性を守ったり、ストーカーに狙われている女性を助けたり。またブラック企業といわれる不動産会社の社長(中山秀征)や選挙運動中の市長候補(伊藤蘭)が対象だったりと、2人は大忙しだった。  

いずれのケースでも、単なる身辺警護ではなく、警護すること自体が、相手が抱えている悩みや問題の解決につながっていく。しかもそれが、朝比奈自身や石丸自身が抱えている葛藤ともリンクしていた。

毎回読み切りで30分という短い時間だったが、窪田や北村の好演を支えた宇田学(『99.9-刑事専門弁護士-』など)の脚本は、テンポの良さと中身の濃さの両立を目指して善戦していた。  この『四号警備』によって、「警備ドラマ」から「警護ドラマ」への道筋が開かれたのだ。

警護ドラマの秀作『BG~身辺警護人~』第1章

木村拓哉主演『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)が登場したのは2018年。井上由美子のオリジナル脚本だった。  

井上は『GOOD LUCK!! 』(TBS系)や『エンジン』(フジテレビ系)など、木村の主演ドラマを何本も手掛けてきたベテラン脚本家。当時、久しぶりのタッグの舞台がテレビ朝日という点も注目を集めた。  

2015年に木村が主演を務めたのが、テレ朝の『アイムホーム』だ。このとき木村は、「他者の顔が仮面に見えてしまう」という不安定な立場と複雑な心境に陥った男を見事に演じてみせた。  

これで「俳優・木村拓哉」が確立するかと思いきや、次に主演した『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)が、脚本の凡庸さもあり、再び“キムタクドラマ”へと後退してしまったのだ。  

そして『BG』である。まず、刑事ドラマならぬ「警護ドラマ」としての骨格がしっかりしていた。  

同じボディーガードでも、警視庁のSPと違って民間警護人には捜査権がない。また銃などの武器も持てない。そのハンディをどう補い、いかにして対象者を守るのかが見所だった。  

木村は、かつての失敗をトラウマとして抱えながらも、体を張って(痛い目に遭いながら)警護の責任を果たす主人公、島崎章を抑制された演技で好演する。  

裏で支えていたのは井上脚本であり、『アイムホーム』も演出した七高剛監督である。さらに警視庁SPの江口洋介や警備会社上司の上川隆也なども、このドラマの成功に寄与していた。

深化した『BG~身辺警護人~』第2章

2年前の第1シーズンとの大きな違いは、主人公の島崎章(木村)が組織を離れたことだろう。警備会社を買収したIT系総合企業社長の劉光明(仲村トオル)が、利益のためなら社員の命さえ道具扱いする人物であることを知ったからだ。  

いわばフリーランスのBG(ボディーガード)となった島崎。最初の依頼人は業務上過失致死罪で服役していた、元大学講師の松野(青木崇高)だった。  

女性研究員が窒息死した事故の責任を問われた松野が、出所後は指導教授(神保悟志)に謝罪するために大学へ行こうとしており、警護を頼んできたのだ。  

しかも研究員の死には隠された事実があった。島崎は万全のガードを行いつつ、松野の言動にも注意を怠らない。チームによる警護から個人作業へ。そこから生じる島崎の緊張感を、木村が丁寧に表現していた。  

前シーズンでは警護する相手として政財界のVIPが多く、残念ながら物語がやや類型的になっていた。しかし、今回からは対象者の幅が広がっている。  

たとえば第2話、盲目のピアニスト(川栄李奈)の場合、彼女の身体だけでなく、彼女の折れかけていた「演奏する心」まで護(まも)っている。「警護」の意味が、より深まっているのだ。  

また第6話では、シャッター商店街でカレー食堂を営む女主人(名取裕子)を、立ち退きを要求する不良家主やその取り巻きからガードしていた。法的な問題もあり、最後には店を閉じることになるが、女主人から「私の大切な日常を護ってくれて、ありがとう」と感謝される。  

フリーになった島崎が開設した事務所に、前シーズンでは何かと対立してきた高梨雅也(斎藤工)を参加させたことも、テレ朝が得意な「バディ(相棒)物」に寄せた、巧みな仕掛けだ。設定の大胆な変更が「深化」として結実している。  

「刑事ドラマ」へのカウンターとして出発した「警備ドラマ」。それがさらに「警護ドラマ」へと発展し、現在の到達点として今回の『BG』がある。  

「相手が誰でも警護するのがプロ」と自負する島崎に対して、いわば宿敵である劉光明(仲村)自身が警護を依頼してきた。果たして島崎は、劉の何を護るのか。そしてドラマ全体の大団円をどう迎えるのか。最後まで目が離せない。

 


「MIU404」アンナチュラルの 最強トリオが放つ剛速変化球

2020年07月30日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

「MIU404」

アンナチュラルの

“最強トリオ”が放つ剛速変化球

 

タイトルの「ミュウ・ヨンマルヨン」は、第4機動捜査隊に所属する伊吹藍(綾野剛)と志摩一未(星野源)のチームを指すコールサイン。事件発覚後、すぐに展開される「初動捜査」という短期決戦が彼らの任務だ。

野性のカンと体力の伊吹。理性と頭脳の志摩。対照的でありながら、内部に葛藤を抱えることでは共通している、魅力的なキャラクターだ。

扱われる事件はさまざまだが、このドラマのキモは、いわゆる謎解きやサスペンスだけではない。事件を通じて2人が遭遇する、一種の「社会病理」を描くことにある。

たとえば、警察への「イタズラ通報事件」。駆けつけた警察官を相手にリレー形式で競走していたのは、廃部になった陸上部の高校生たちだった。背後にあるのは若者の薬物問題と、ひたすら組織(ここでは学校)を守ろうとする隠蔽体質だ。

また外国人による「コンビニ強盗事件」では、外国人留学生や研修生を安価な労働力として使い捨てにする、この国の闇に迫っていた。「みんな、どうして平気なんだろう」と言う伊吹。「見ないほうが楽だからだ。見てしまったら、世界がわずかにズレる」と志摩。綾野と星野のマッチングが生きている。

脚本・野木亜紀子、プロデューサー・新井順子、そして演出が塚原あゆ子という「アンナチュラル」の最強トリオが放つ、剛速の変化球だ。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2020.07.28)


しんぶん赤旗に寄稿した「テレビの荒野を歩いた人たち」の書評

2020年07月28日 | 今週の「書評した本」

 

「しんぶん赤旗」日曜版に、

「テレビの荒野を歩いた人たち」の書評を

寄稿しました。

 

草創期12人の体験回想記

「テレビの荒野を歩いた人たち」

ペリー荻野 著

新潮社・1760円

日本でテレビ放送が始まったのは1953年だ。しかし、それまではラジオしかなく、テレビ制作の専門家はいなかった。ラジオからの移籍組、映画や演劇、音楽界からの転身者も混在する、アメリカの西部開拓時代のような世界。まさに荒野だ。

あれから約70年。コラムニストで時代劇研究家でもある著者が、「テレビの開拓者たち」の体験談をまとめたのが本書である。

たとえば『渡る世間は鬼ばかり』などで知られるプロデューサーの石井ふく子(93歳)。TBSがテレビ放送を始めた時、嘱託として参加した。ドラマも生放送の時代で、しかも経験者は少ない。石井は手探りで新しいメディアと格闘する。

また惚れ込んだ小説をドラマ化したくて、原作者である山本周五郎の家に通いつめたりもした。時代が変わっても「私はやっぱり家族のドラマにこだわりたい。あたたかいドラマにしたいんです」と石井は言う。

青春ドラマという言葉もなかった1965年、その第1号となる『青春とはなんだ』を送り出したのが、日本テレビのプロデューサーだった岡田晋吉(85歳)だ。

「テレビは常に新しい人を好むと思っています」と語る岡田は、次の『これが青春だ』で新人の竜雷太を起用する。その後も『おれは男だ!』の森田健作、『われら青春!』の中村雅俊などがスポットを浴びていった。

本書には石井や岡田をはじめ、脚本家の橋田壽賀子(95歳)、作曲家の小林亜星(87歳)など12人が並ぶ。それぞれの回想が「草創期のテレビ」というジグソーパズルのピースとなり、テレビの「もう一つの自画像」を現出させていく。70年の間に、テレビは何を手に入れ、何を失ったのか。

(「しんぶん赤旗」日曜版 2020.07.26)


言葉の備忘録171 最良の・・・

2020年07月27日 | 言葉の備忘録

 

 

 

最良の

仕事の日より

最悪の

釣りの日のほうが

まだマシである。

 

 

やまさき十三・北見けんいち『釣りバカ日誌』#981

 

 


言葉の備忘録170 人間とか・・・

2020年07月26日 | 言葉の備忘録

 

 

 

人間とか人生とかの味わいというものは、

理屈では決められない中間色にあるんだ。

つまり白と黒の間の取りなしに。

 

 

池波正太郎 『男の作法』

 


NEWSポストセブンで、「新しいマンガ様式」について解説

2020年07月25日 | メディアでのコメント・論評

 

 

コロナ禍で読者も作家も変わった

「新しいマンガ様式」

 

新型コロナ感染者の急増で政府肝いりの「GoToキャンペーン」は迷走し、8月に入ってからも自粛ムードの“延長”が見込まれている。そうした自宅で消費するエンタメとして多くのファンを楽しませてきた「マンガ」の世界では、コロナ禍である変化が起きていた。

出版科学研究所の発表によると3月の書籍雑誌の推定販売金額は前年同月に比べ5.6%減となる中で、コミックスは約19%増加したという。『鬼滅の刃』(集英社)など人気作の台頭もあってかマンガの人気は衰え知らずだが、読み手の“様式”には変化があったようだ。

元上智大教授でメディア文化評論家の碓井広義氏はこのコロナ禍を機に、「“新しいマンガ様式”が浸透しつつある」と考察する。

「長らく出版不況と言われてきましたが、コロナ禍に入る前のマンガの世界は電子出版の売り上げが大幅に増えており、大きな“転換期”を迎えていました。今回の長い自粛期間はその動きを予想以上に加速させた。出版社が積極的に『無料配信』などを行ったことで、初めてデジタル書籍に触れた人も多く、日常の読書スタイルにも変化が起きたのです」

碓井氏の予測では、マンガのデジタル移行は「もう数年遅い」見込みだった。また、他のエンタメとは異なる独自のデジタル化が進んでいると指摘する。

大御所マンガ家の新連載にも“異変”

「コンテンツの世界で最初にデジタル化の波が訪れたのが音楽、その次が映画でした。それが今回のコロナで予想以上に早くマンガの世界にも普及してきた。ですが、マンガは映画とは少し違う流れになると思います。売り上げの数字を見てみると、直近は紙のコミックスの売れ行きも堅調です。つまり読者は『紙か、デジタルか』の二元論ではなく、柔軟な対応ができている。まさに『新しいマンガ様式』が急速に浸透していると言えるでしょう。

それはマンガは作品に連続性があり巻数が多いこと、表紙のデザイン性が高く“コレクション”としての商品価値が高いことが影響しています。今後も、紙の単行本を集めていく人とデジタルを購入する人が共存していく複層構造が続くのではないでしょうか」

そうした「新しいマンガ様式」と向き合っているのは、読者だけではない。作品を発信するマンガ家にも変化が起きている。

『好きです鈴木くん!!』などの人気作で知られる累計1800万部超の人気作家・池山田剛氏もその1人だ。これまで王道の学園モノを描いてきた池山田氏だが、7月20日発売の『Sho-Comi』(小学館)で発表した最新作『異世界魔王は腐女子を絶対逃がさない』では、これまでにない「ファンタジー恋愛」に挑んでいる。

池山田氏が始めて「王道ではない設定」を選んだのも新型コロナが影響していた。

「実は以前から、次の作品はファンタジーを描いてみませんか? というお話を編集部からいただいていました。ですが、これまで学園モノばかり描いてきた私がファンタジーを描けるのだろうか?と迷っていて……。そんな葛藤の中で新型コロナウイルスが猛威をふるい、全国の学校が休校、ニュースはコロナ一色になってしまいました。

私の母はとても真面目な人間で、暗い話題ばかりの生活に気が滅入っているようでした。どうしたらいいものか──と考えているうちに、昔、母が『冬のソナタ』にハマっていたのを思い出したんです。そこで今話題の韓国ドラマ『愛の不時着』を見てみたら?と伝えたところ、これが大当たり。すっかり目がキラキラと輝き出しました。その時に、『ああエンタメって大事だなぁ。夢のあるお話ってこんなに人を元気づけるんだ』と思ったんです。

そこで改めて“マンガ家として自分には何ができるのか?”と考えてみました。辛い現実が日々隣にある今こそ、私自身も“学園”という殻から飛び出して、夢のあるファンタジーの世界を描いてみようと決心することができたんです」

池山田氏だけではなく、大御所作家が新たなテーマへ挑戦する事例が目立つ。『BLACKCAT』『To LOVEる』などで『週刊少年ジャンプ』(集英社)の看板作家として活躍した矢吹健太朗もその1人だ。新連載『あやかしトライアングル』は第1話から主人公が男性から女性へと「性転換」するというかつてない展開を見せてネット上で大きな反響を受けた。

ネガティブな面ばかりに目がいく「新しい生活様式」だが、「新しいマンガ様式」は作り手も読み手も双方が新しいことに挑戦する良い転換期になっているのかもしれない。

(NEWSポストセブン 2020年07月23日)


上白石萌音の連ドラ初主演作『ホクサイと飯さえあれば』

2020年07月24日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム

 

『ホクサイと飯さえあれば』は、

上白石萌音の「連ドラ初主演作」!

 

上白石萌音主演の連続ドラマ『ホクサイと飯さえあれば』(2017年、毎日放送制作)が、再放送されることになりました。

23日にスタートしたのは、関西ではMBS(毎日放送)。関東ではTBSじゃなくて、tvk(テレビ神奈川)です。

「女優・上白石萌音」の軌跡

上白石萌音さんといえば、今年の1~3月に放送された、ドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS系)が思い浮かびます。

そんな萌音さんに、最初に注目したのは、いつだろう。多分、初主演の映画『舞妓はレディ』(14年、周防正行監督)だったと思います。地方出身の女の子が、京都に出てきて、「舞妓さん」になることを目指すというお話でした。

あか抜けない、田舎っぽい少女だった主人公の西郷春子が、だんだん洗練されていく。その姿が、往年の名作ミュージカル『マイ・フェア・レディ』でオードリー・ヘプバーンが演じたイライザと重なりました。そんな「地方出身娘」の春子に、上白石萌音(鹿児島出身)という女優がドハマリだったのです。

次が、映画『ちはやふる』(16年、小泉徳宏監督)。ここでは、広瀬すず演じるヒロイン、綾瀬千早の「かるた仲間」でした。都立瑞沢高校の「かるた部」の部員、大江奏の役です。

都立なので、もちろん奏は地方出身ではなのですが、和服好きで、おっとり屋さんで、古典おたくというキャラクターは、渋谷とか六本木とかを闊歩するタイプの「東京女子」とは、見事に一線を画していました。

そして、萌音さんの知名度を一気に上げたのが、同じ16年公開の劇場アニメ『君の名は。』(新海誠監督)です。2次元のヒロイン・宮水三葉(みやみずみつは)に、声優として命を吹き込んだのは、萌音さんの演技力のなせる業でした。

三葉は、豊かな自然に囲まれた、岐阜県糸守町に暮らす女子高生で、古くからある神社の巫女。本当は東京に憧れているのだが、ままならない環境。まさに「地方出身娘」そのものであり、そのやわらかい方言もどこか懐かしく、萌音さんと三葉は完全に一体化していました。

連続ドラマ初主演作『ホクサイと飯さえあれば』

『君の名は。』の翌年、「連ドラ初主演」となったのが、今回再放送される『ホクサイと飯さえあれば』(17年、毎日放送制作)なのです。

主人公は上京したばかりの超内向女子、ブンちゃんこと山田文子(あやこ)です。ホクサイという名の「ぬいぐるみ人形」と一緒に、北千住のアパートで暮しています。

無類の「ごはん好き」ですが、食事は断然「お家(うち)ごはん」のみ。自炊料理の食材を近所の商店街で手に入れ、自分で作るのが一番楽しいし、最も嬉しいという女子大生です。

しかも画面では、安くて、早くて、おいしい「ブンちゃん料理」を作るところは見せるのですが、食べているシーンは一切描かれないという、ちょっと変わった「DIYグルメドラマ」です。

このブンが、これまた、何ともいい味の「地方出身娘」で、一般的には「コミュ障」と言われそうな強い人見知りなのですが、自分の好きことには一生懸命で、一途で、健気でもあり、この後に登場することになるヒット作『恋はつづくよどこまでも』の七瀬につながっているのです。

というわけで、女優・上白石萌音の記念すべき「連ドラ初主演作」である『ホクサイと飯さえあれば』の再放送、大いに歓迎したいと思います。

 

 


「ディア・ペイシェント」はハートフルな医療サスペンス

2020年07月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

 

NHKドラマ10

貫地谷しほり主演「ディア・ペイシェント」は

ハートフルな医療サスペンス

 

ペイシェントとは患者や病人のこと。「ディア・ペイシェント~絆のカルテ~」の主人公・真野千晶(貫地谷しほり)は、半年前に大学病院から民間の佐々井記念病院に移ってきた内科医だ。「患者に向き合う医療」を目指していたが、現実は利益優先を掲げる元銀行マンの事務長(升毅)がリードする病院だった。

医師は「数をこなす」ことを求められ、患者1人当たりの診察時間は約3分。病院全体が常に満杯状態で、検査の予定もままならない。一方、医師は患者をS・M・Lに区分。Sは「スムーズ」。Mは「まだるっこしい」。そしてLは「低気圧」で、「台風」と化す可能性のある患者を指す。こうした細部の描写が医療現場のリアルを支えている。

このドラマ、決して派手な作品ではない。むしろ地味かもしれない。だが、第1話でがんの疑いのある妻(宮崎美子)への後ろめたさと不安から、居丈高になる夫(佐野史郎)が登場したように、患者側の事情や心理を丁寧に描いているところに好感が持てる。それに、千晶につきまとう謎の患者(田中哲司)の正体と今後の展開も気になる。

生真面目で仕事熱心な「医師」であると同時に、認知症の母親(朝加真由美)がいることで、「患者の家族」でもある千晶。その両面を繊細な演技で見せていく貫地谷が、やはりうまい。「ハートフル医療サスペンス」とでもいうべき一本だ。

(日刊ゲンダイ「テレビ 見るべきものは!!」2020.07.22)