碓井広義ブログ

<上智大学教授のメディア時評> 見たり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり・・・

書評した本: 中川右介 『1968年』

2018年11月20日 | 今週の「書評した本」


週刊新潮に、以下の書評を寄稿しました。


新たな切り口で「1968年」を再構築する一冊

中川右介『1968年』
朝日新書 983円

中川右介『1968年』は、新たな切り口で68年を再構築する試みである。

世界的な「闘争の年」と呼ばれたが、仏の五月革命も日本の学生運動も敗北していく。一方、現在の状況から見て、この頃に勃興したサブカルは「革命」として成就したと著者は言う。

本書では漫画を扱っているが「ガロ」系ではない。演劇も「アングラ」系ではない。多くの人に支持されたヒット作品が中心だ。それは支配的な「68世代史観」に対する反発であり、異議申し立てでもある。

音楽では、ザ・タイガース『君だけに愛を』やザ・フォーク・クルセダーズ『帰って来たヨッパライ』が流れる世間と、佐世保闘争や成田空港反対闘争に揺れる社会を交差させる。

またプロ野球では、現実のペナントレースと、漫画『巨人の星』の主人公・星飛雄馬の活躍が同時進行していったことに注目。1位巨人と2位阪神の死闘が、飛雄馬と花形満の「大リーグボール1号」対決と重ねられていく。

さらに映画でスポットを当てたのが『黒部の太陽』だ。最初の1年で733万人を動員し、配給収入は約8億円。石原裕次郎と三船敏郎は主演俳優であり製作者だったが、完成までの過程は俳優や監督を縛っていた「五社協定」との戦い、旧態依然たる映画界との闘争でもあった。

68年当時の著者は、学生運動とも前衛芸術とも無縁の8歳の少年だ。いや、だからこそ生まれた独自の評価軸が本書を支えている。

(週刊新潮 2018年11月1日号)

【気まぐれ写真館】 千歳市・柳ばしで、新「むかわ応援」定食

2018年11月19日 | 気まぐれ写真館

むかわ応援の新メニュー「きゅうり魚フライ定食」




HTB「イチオシ!モーニング」

2018年11月19日 | テレビ・ラジオ・メディア
















週刊新潮で、元NHK「登坂アナ」について解説

2018年11月19日 | メディアでのコメント・論評


セクハラ騒動の登坂淳一、
なりふり構わぬ姿 バラエティで下ネタも

かつてのお堅いイメージは、どこへやら。端正な公家顔から、NHK時代は“麿(マロ)”の愛称で親しまれた登坂淳一アナ(47)。フリーになって早々にセクハラ問題でミソを付けた。

復帰を目指し、なりふり構わずか、バラエティ番組では、なんと性に目覚めた時のことまで告白。これには、あのマツコ・デラックスも大仰天で……。

その“ぶっちゃけトーク”が飛び出したのは、10月29日の深夜番組「月曜から夜ふかし」(日テレ)でのことだった。放送記者が言う。

「全国の注目されないニュースを取り上げるという企画で、登坂アナがキャスターとして登場しました。ニュース原稿を読んだのですが、そこで登坂アナについての様々な質問も、番組側から投げかけられたのです」

例えば、今回の出演依頼を受けた理由について聞かれると、次のように回答。

「僕には選ぶ権利はございませんのでオファーを頂いたら出させていただこうと」

また、NHKを退職した際に門出を祝ってくれたかと聞かれれば、

「いやいやいや門出は……、門出はちょっと祝ってはくれないと思います」

さらに白髪が増えた事情も披露。すでに十分開けっ広げだが、何よりも驚かされたのは、“オ○ニー体験”を聞かれた時のことである。

「初ニーは、中イチニー」

登坂アナは、ニュース原稿を読むかの如く、何の躊躇もせずに打ち明けたのだ。これには、番組MCのマツコと関ジャニ∞の村上信五も慌てふためき、

マツコ「この潔さがいい方向に行ってほしいね」

村上「ちょっともう、きれてはったで」

NHK時代の姿とあまりにもギャップがありすぎて、2人のリアクションもぎこちなくなるほど、笑撃的な告白だったというわけだ。

いつまでも続かない

登坂アナと言えば、今年1月、NHKを退職してフリーに転向。4月からフジテレビの「プライムニュース イブニング」でのキャスター起用が決定していた。ところが、その矢先に7年前の札幌放送局時代に起こしていたセクハラ行為を週刊文春が報じたことで、御破算となった。

テレビ関係者によると、

「NHKを辞めて、収入は1億円近くになると言われていたのですが、それもパーとなりました。代わりに単発のバラエティ番組に出演し、セクハラの話題でイジられることが多い。再現VTRの役者をしたこともあります」

ただし、バラエティのギャラは1本当たり、10万からせいぜい20万円程度。人生設計は大きく狂ってしまったに違いない。

上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は、

「ご本人は、将来的にはキャスターとして復帰したいと思っているかもしれませんが、セクハラ騒動を起こしていたとあっては、正直、難しい。今は、下ネタOKのキワモノやヨゴレ扱いでもいいから、とにかく売り込みたいという考えなのでしょう。とはいえ、今のようにバラエティ番組からの依頼が、いつまでも続くはずはありません。現状のキャラを消費し尽くされてしまった時が心配ですね」


もはや元NHKアナウンサーの勲章は見る影もなく……。身から出たサビとはいえ、無我夢中のキャラが痛すぎる。

(週刊新潮 2018年11月15日号)

【気まぐれ写真館】 就任したばかりのHTB寺内達郎社長と

2018年11月18日 | 気まぐれ写真館

HTB北海道テレビ「イチオシ!」で、吉田羊さんと

2018年11月18日 | テレビ・ラジオ・メディア
ゲストの吉田羊さん、太賀さんと
















デイリー新潮で、「後藤久美子」について解説

2018年11月18日 | メディアでのコメント・論評


「後藤久美子」が23年ぶりに女優復帰 
演技力は?でも大御所から大人気のナゾを解く

第1作(1969年)の公開から来年で50周年ということで「男はつらいよ50 おかえり、寅さん(仮題)」が製作されることに。製作発表会見の場に、もちろん寅さん(渥美清[1928~1996])の姿はなく、主役は23年ぶりの女優復帰という後藤久美子(44)である。“おかえり、ゴクミ”状態で、彼女の人気は衰え知らずのようで――。

製作の松竹は「シリーズ第50作」と謳っているが、「男はつらいよ」って第48作「寅次郎紅の花」(1995年)が最後だから、本来、新作は49作じゃないの? という疑問はさておき――。
ゴクミが女優に復帰だそうだ。それもスイスのジュネーブで元F1ドライバーのジャン・アレジ(54)と悠々と暮らすゴクミの元に、“松竹の天皇”山田洋次監督(87)がわざわざ長文の手紙を送ってのオファーだったという。

「ジュネーブの自宅に山田監督からお手紙をいただきまして、『こういう作品を作りたい。それにはどうしても君が必要だ。どうにか考えてもらえないか』と。その長いお手紙を読んで、監督の『男はつらいよ』に対する大きな愛情、今作への情熱がひしひしと感じられ、引き受ける、受けないを、私が考慮する権利はないと。山田監督から呼び出されたら、二つ返事で向かうんです。ハイって」(ゴクミ)

山田監督をして「どうしても君が必要だ」と言わしめるゴクミのことを、若い方はご存知ないだろう。なにせ23年ぶりの女優復帰である。いまや長女でモデルのエレナ・アレジ・後藤(21)が、日本で芸能活動をしているくらいなのだから。

ゴクミとは何者なのか、芸能記者に解説してもらおう。

「小学生の頃からモデル活動をしていましたが、84年にオスカープロモーションのオーディションに応募して4万8000人の中から1位を勝ち取りました。女優デビューは86年、『テレビの国のアリス』(NHK)でヒロインをつとめ、翌87年の大河『独眼竜政宗』(同前)では主演の渡辺謙の奥方になる愛(めご)姫の少女時代を演じて、“国民的美少女”として人気に火がつきます。

オスカーは早速、この年から、“第2のゴクミを探せ”と“全日本国民的美少女コンテスト”をスタートさせます。のちに米倉涼子(43[92年・審査員特別賞])、上戸彩(33[97年・審査員特別賞])、剛力彩芽(26[02年・予選敗退])、武井咲(24[06年・マルチメディア賞およびモデル部門賞])らを生んだミスコンです。ゴクミがオスカーをモデル事務所から芸能事務所に発展させた立役者であることは有名な話。古賀誠一社長(76)のお気に入りで、女優活動を離れたいまもオスカー社員の名刺にウラには所属タレントのトップとしてゴクミがプリントされています」

さて、女優としてはどうだったのか。

「古賀社長は、オーディションからデビューまでの2年間、ゴクミに歌や演技の英才教育を施したと後に語っています。確かに大河をはじめドラマにも立てつづけに出演しましたし、デビュー映画『ラブ・ストーリーを君に』(88年)では日本アカデミー賞の新人俳優賞は受賞していますが、その後の受賞はなかったはずです。実際、いつまでたっても台詞は棒読みでしたし、“演技が上手い”という話は聞いたことがない。ただし不思議なことに、“ゴクミは芝居が下手”と酷評するのも聞いたことがありませんね」

論評されない演技力

山田監督が熱望する「男はつらいよ」にも、ゴクミは最多出演のマドンナ(相手は寅さんでなく、甥っ子・満夫のマドンナ役)である。とはいえ、アレジを追って渡仏する前年(95年)に出演した第48作「男はつらいよ 寅次郎紅の花」でも、相変わらず台詞は棒読みだった。

上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は言う。

「“女優・後藤久美子”なんて思っちゃイケない。“ゴクミはゴクミ”なんですから。確かに結婚前から、彼女の演技力云々が論評された記憶がありません。たとえ台詞が棒読みだろうと、演技が下手だろうと、それを補ってあまりある美貌が彼女の武器なんです」


そこに惚れ込んだのが、山田監督をはじめとする大御所たちだ。脚本家の倉本聰(83)もその一人だったようだ。ドラマ「火の用心」(1990年、日本テレビ)でゴクミを起用。倉本といえば、台本を一字一句変えさせないことで有名だが、ゴクミはそれを勝手にアレンジ。もちろん倉本はゴクミを呼びつけたが、内心、後悔していたとインタビューで答えている。その理由こそ、「だれだって、あの圧倒的な美少女に嫌われたくない……」(90年11月18日付日刊スポーツ)。さらに倉本は、「何年に1人という輝きを持っており、大女優になる」(90年8月3日付朝日新聞)とも……。

倉本脚本を勝手に変えるほどの気の強さも持ち合わせているゴクミだが、そこを気に入った坂本龍一(66)は、「ゴクミ語録」(角川書店)のプロデュースを買ってでたほど――。

「ゴクミ本人にその意思はなくとも、出逢ったおやじが勝手に好きになってしまう、天性のおやじキラーだったんでしょうね。その人気は全国的で、87年の新語・流行語大賞の流行語部門で“ゴクミ”が銅賞に輝きました。個人の愛称が流行語となったのは初めてでしょう」(碓井教授)

しかし96年、22歳のゴクミは、芸能界をあっさり捨ててアレジの元へ行ってしまったのだ。女優としての活動はわずか10年ほどだった。そのゴクミが帰ってくるわけである。

「男はつらいよ」全作を劇場で見ているという碓井教授が、こんな期待をする。

「シリーズの終盤では、寅さんは恋愛の指南役となって甥の満男(吉岡秀隆[48])と泉ちゃん(ゴクミ)の恋を見守る立場となり、結局、最後の48作では、加計呂麻島(鹿児島県)の海岸で、吉岡とゴクミが互いの気持ちを確かめ合って終わりました。ゴクミは実生活では、翌年にアレジと結婚(編集部註:婚姻手続きはとっておらず事実婚)するわけですが、振られた吉岡は、今度は倉本脚本のドラマ『北の国から'95 秘密』(フジテレビ)でシュウ(宮沢りえ[45])と恋に落ちます。ゴクミと人気を分けあったりえちゃんですが、彼女も貴乃花(46[当時・貴花田])との婚約破棄(93年)を経て、まだ激ヤセが報じられるなどしていた頃でした。

しかし、『北の国から2002 遺言』で、吉岡はりえちゃんにも振られ、今度は結(内田有紀[42])と出逢い、シリーズは終了する。その後、実生活では、吉岡は内田と結婚、そして離婚しました。現在、45歳のりえちゃんと43歳の内田は女優として復活していますが、そこへ44歳のゴクミが帰ってくる。どうせなら新しい『男はつらいよ』には、りえちゃんと内田も出してもらいたいですね。寅さんも、おいちゃん、おばちゃん、御前様、たこ社長も、みんないなくなっちゃってますから、彼女たちを登場させてもいいでしょう。とにかく帰ってきたゴクミに、おやじキラーとしての神通力がどれほど残っているのかにも注目したいですね」


(デイリー新潮 2018年11月11日)



愛すべき怪優「ムロツヨシ」と、ドラマ『大恋愛』の魔法

2018年11月17日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム


愛すべき怪優「ムロツヨシ」と
ドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』の魔法


「愛すべき怪優」としてのムロツヨシ

いきなりですが、ムロツヨシさんの話です。思えば、もうずいぶん長いこと、ムロさんに楽しませてもらってきました。

初めて意識したのは、「勇者ヨシヒコ」シリーズ(テレビ東京系)でしょうか。

7年前、2011年のシリーズ第1作『勇者ヨシヒコと魔王の城』で見た、魔法使いの「メレブ」が衝撃的でしたね。あの金髪。あのマッシュルームカット。演技なのか、地なのか、ただふざけているだけなのかどうかも不明で、とにかく画面にムロさんが出てくるだけでおかしかった。

それから13年のNHK朝ドラ『ごちそうさん』で演じた、ヒゲの建築家・竹元もヘンでしたね。また15年に公開された、ももいろクローバーZの映画『幕が上がる』(本広克行監督)では演劇部顧問の溝口先生役でしたが、生徒たちにまったく相手にされない様子が笑えました。

そうそう、16年の『勇者ヨシヒコと導かれし七人』で忘れられないのが、テレビ局をパロディのネタにした回です。

折れ曲がったバナナ(どう見てもテレビ東京のキャラクター「ナナナ」)の格好をした神「テレート」(柄本時生)が助っ人を引き受けるのですが、「ニッテレン」(どう聞いても日テレですね)に一発で粉砕されてしまう。その戦いの最中、メレブはずっと、「(日テレをあてこするのは)やり過ぎだよお~」と半分笑いながら、はやし続けていたのです。こんな役、ムロさんしか、できない。

そして、17年の堤真一主演『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)での刑事役も、やっぱりヘンテコでした。

いつも掛け合いの際の「間(ま)」が独特で、急に激高したり、逆に長く沈黙したり、さらにアドリブが入ったりと、その演技はいつも予測不能でスリリングなのが、ムロツヨシなのです。 


『大恋愛~僕を忘れる君と』のムロツヨシ

そんなムロさんが、金曜ドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)に出演すると聞いて、放送前から大いに興味を持ちましたが、一方で不安も感じていました。

まず、タイトルです。恋愛ドラマのメインタイトルが「大恋愛」ってのは、ふざけているのか、それともヤケクソなのか(笑)と思った次第。

また番組サイトでは「若年性アルツハイマーにおかされた女医と、彼女を明るく健気(けなげ)に支える元小説家の男」の物語だと紹介されています。

これって、「よくある病気モノなのか」とか、「韓流ドラマみたいなものだろう」とか思う人も多いはずで、大丈夫? とムロさんのために勝手に心配しました。それに、同じテーマの韓国映画にも、チョン・ウソンとソン・イェジンの『私の頭の中の消しゴム』(2004年)といった佳作もありましたし。

さらに出演者のこともあったんですね。戸田恵梨香さんは、どんなドラマでも的確に役柄を表現できる力を持つ女優さんですが、「主演作は?」と聞かれたら、すぐに答えられない。

いえ、『SPEC』シリーズ(TBS系)があるのはわかっているのですが、瀬文焚流(せぶみ たける)を演じた加瀬亮さんとの、ダブル主演という印象が強いのです。

戸田さんの「主演」で、なかなかいい作品だったものに、『書店員ミチルの身の上話』(13年、NHK)があるのですが、ほとんどの人は知らないと思います。

そんな戸田さんと、カルトドラマでの怪演は誰にもまねできないムロさん。そんな2人で、私もちょっと苦手な「病気系」の恋愛ドラマ? と心配したわけです。

しかし実際に始まってみると、そんなのはまさに杞憂(きゆう)でした。ヒロインの北澤尚(戸田)は確かに重い病いを抱えていますが、それは単なる恋愛の書き割り(背景)としての病気ではありません。ドラマとして、生きること、愛することを突き詰めて描くための設定になっているのです。


脚本家・大石静が連打する「言葉」の魔法

新人賞を取りながら、長く筆を折っている作家、間宮真司(ムロ)は、尚にとってようやく出会った運命の人です。しかし自身の病気を知ったことで、尚はうそをついてでも真司と別れようとしました。第2話ですね。

そんな彼女に真司が言います。自分には親も金も学歴も将来も、そして希望もなかった。「だから、尚が病気だなんて屁(へ)でもなんでもない」と。

続けて、「がんでも、エイズでも、アルツハイマーでも、心臓病でも、腎臓病でも、糖尿病でも、歯周病でも、中耳炎でも、ものもらいでも、水虫でも、俺は尚と一緒にいたい。一緒にいたいんだ!」

そんな真司の言葉を聞いた時の、尚の泣き笑いの表情が絶品でした。このシーンだけでも、ヒロインは戸田さんで正解だったことがわかります。

しかも尚は、そのまま流れでキスしようとする真司を押しとどめ、マジメな顔で「今じゃない」ときた(笑)。「今じゃない」って、すごいセリフですよね。

そして言われたムロさん、いえ真司も、「(えっ?)ここ、キスするところじゃないの?」と笑わせる。そのタイミングと微妙なニュアンスは、まさにムロツヨシにしか表現できないものでした。

そんな2人の演技を支えているのは、ベテラン脚本家の大石静さんがセリフに込めた「言葉の力」でしょう。

真司は小説家。言葉のプロです。つまり言葉が人を動かすことも、その怖さも知っているはずで、大石さんがムロさんに、いえ真司に、何をどんな言葉で言わせるかが、このドラマの勝負所でしょう。

また、第3話のラスト。過労からきた尿管結石で入院した真司に、尚は自分が負担をかけた、私はひどいことをした、とあやまります。

すると真司が応えるのです。「ひどいけど、好きなんだア。好きと嫌いは自分じゃ選べないから、好きになっちゃったら、どんな尚ちゃんだって、好きなんだから」

尚は感激して、真司に抱きつきます。そして言う。「好き、ゆういちさん!」

そうです。「ゆういち」とは、元婚約者で主治医の井原侑市(松岡昌宏)のことですよね。真司も、視聴者だって、それは病気が言わせたと知っていますが、やはり切ない。自分の言葉に気づいていない尚が、もっと切ない。

いやはや、まるで魔法のような言葉(セリフ)の連打。脚本界の大姐御、大石静さんの本領発揮です。

これからますます進行していく尚の病気。それも含め、尚を丸ごと受けとめようとするであろう真司。生きること、愛することをめぐる、たくさんの忘れられない「言葉」を聞くことができそうです。

朝日新聞で、日テレ「イッテQ」問題についてコメント

2018年11月16日 | メディアでのコメント・論評


Media Times
バラエティー、演出どこまでOK? 
イッテQ疑惑

日本テレビのバラエティー番組「世界の果てまでイッテQ!」に祭り企画の「でっち上げ」の疑いがあるとの報道を受け、各局の情報番組が大きく報じ、ネット上でも議論が盛り上がっている。バラエティーゆえに「でっち上げ」があっても問題ないと擁護する声も多いが「本当なら裏切られた気分」などの意見も。報道後の日テレの対応を疑問視する声も出ている。

■BPO、報告書提出求める

8日発売の週刊文春が、5月20日の放送でラオスの「橋祭り」に芸人が参加した企画を疑問視する記事を出すと、8日のフジテレビの情報番組「直撃LIVE グッディ!」は、40分にわたってトップでこの話題を放送。

本当に橋祭りが存在するのか意見を交わすなど、各局が連日、独自にラオス関係者への取材も交え疑惑を取り上げている。放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は9日夜、日テレに番組の映像と報告書の提出を求めたことを明らかにした。

ツイッター上では「やらせだったらショック」などの声が上がる一方「バラエティーなんてヤラセなのは前提では」「面白ければヤラセでもいい」「視聴者は織り込み済みで楽しんでいるのでは」などと訴える人たちも多い。

バラエティー番組ではどこまで脚色や演出が許されるのか。一つの考え方を示しているのが、2014年にBPOの放送倫理検証委が出した意見書だ。

このときBPOはフジのバラエティー番組「ほこ×たて」が架空の対決を放送したことについて重大な放送倫理違反があったと認定したが、一般論としては、「どこまで事実に即した表現をすべきかについての放送倫理上の判断は、ジャンルや番組の趣旨を考慮した幅をもつものになる」と説明。

判断基準は「出演者や視聴者をも含む人々の間において互いに了解された『約束』として築かれるもの」だと指摘している。

ケース・バイ・ケースでの判断が必要だとの指針だ。今回の場合はどうか。ジャーナリストの武田徹さんは、番組がこれまで芸人のイモトアヤコさんのエベレスト登頂企画で人気を博すなど「ドキュメンタリー性」を強く打ち出してきたことに注目する。「バラエティー番組ではあっても今回の場合は、その真実性を揺るがす問題に厳しい目が向けられるのは避けられないのではないか」とみる。

■日テレ「現地提案」に批判も

他の在京民放キー局の幹部は「イッテQの場合、ある程度の脚色は承知した上で楽しんでいる視聴者が多かったはず。今回の疑惑への反感はそれほど大きくないだろう」とみる。ただ、文春の報道後の日テレの対応には驚いたという。

同局が8日、「企画は、現地からの提案を受けて成立したもので、番組サイドで企画したり、セットなどを設置した事実はなく、番組から参加者に賞金を渡した事実もございません」との見解を出したからだ。

「現地のコーディネーターのせいにしているように読める。放送責任のあるテレビ局として絶対にやってはいけないことだ。看板番組に傷をつけないために守ろうとしたのだろうか」

元テレビプロデューサーの碓井広義・上智大教授(メディア文化論)も、「視聴者からみれば、エンドロールに名を連ねる以上、『現地』も番組制作陣の一員だ。人気番組だからこそきちんと検証し、視聴者が納得できるように説明する責任を日テレは負っている」と話す。
【真野啓太、河村能宏】

(朝日新聞 2018.11.10)

【気まぐれ写真館】 霜月の夕景

2018年11月15日 | 気まぐれ写真館
2018.11.15

週刊新潮で、ドラマ「僕坂」の加賀まりこさんについて解説

2018年11月14日 | メディアでのコメント・論評


「僕坂」で好演の加賀まりこ、
現実でも愛猫と生活 本人語る

「嵐」の相葉雅紀主演の連続ドラマ「僕とシッポと神楽坂」(テレビ朝日系)。動物病院を舞台に獣医の相葉、看護師の広末涼子らと、動物や飼い主たちとの心の交流を描く物語だ。

初回視聴率は6・6%、2回目は5・4%と、テレ朝の金曜23時15分からの枠としては、やや苦戦が続く。

10月26日放送の第3話には、加賀まりこが神楽坂の老舗扇屋の女将役で出演。夫に先立たれ子供もおらず、愛猫と暮らす孤独な女「千津(ちづ)」をしんみりと演じてみせた。

「相葉や広末に比べ、存在感は別格。加賀さんの貫禄を感じさせる回でしたね」

とは、上智大学教授(メディア文化論)の碓井広義氏。

「最後は唯一の家族であるネコに見守られ、眠るように息を引き取っていく。ほのぼのしたドラマの中、彼女の演技で、生と死のテーマが重くならず、でも訴えかける内容で“引き締まって”いました」

若い頃は“和製ブリジット・バルドー”との異名を取った彼女も74歳。昨年放送された倉本聰脚本の「やすらぎの郷」では、かつて大女優で、今では老人ホームで暮らす老女を浅丘ルリ子らと熱演し、話題となった。

「『やすらぎの郷』の出演が転機となったんでしょう。ありのままの自分を出せるようになり、生き生きとした美しさを感じさせるようになりました」(同)


実は加賀さん、実際でも神楽坂に長年住み、ネコを飼っている。

「だから演技も入りやすかったんですよ。ドラマで登場したネコも私が飼っている子にそっくり。ただ、今回のような寂しげなお婆さん役は、本当は苦手かな」

そう話すのはご本人。

「でも、今回のドラマで自分と重ねて感じたことは、“命”に対する思い、そして“死”に対して。今、飼っているネコは16歳。人間なら私と同じくらいか、年上。できるなら一緒、同時に逝きたいわね。私が先に逝った場合、一人残すのは心配。その気持ちは千津と同じ」

1回だけのゲスト出演ゆえ光る、いぶし銀の名演であった。

(週刊新潮 2018年11月8日号)

ドラマ「大恋愛」 ムロツヨシの底力発揮はこれから

2018年11月14日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評


ドラマ「大恋愛」で好評
ムロツヨシの底力発揮はこれから

ドラマ「大恋愛」(TBS系)は、若年性アルツハイマーのヒロインと彼女を支える男の物語だ。下手をしたら陳腐なドラマになるはずだったが、違った。

決定づけたのは、長く筆を折っていた小説家、間宮真司(ムロツヨシ)の“受けとめ力”である。彼の作品の大ファンだった女医の北澤尚(戸田恵梨香)。その情熱を真司が受けとめた。また病気が発覚し、尚が身を引こうとした時も、真司は「病気だなんて屁でもなんでもない。(中略)俺は一緒にいたいんだ!」と丸ごと受けとめる。

それでも尚の元婚約者で、主治医でもある井原侑市(松岡昌宏)の存在や、尚を支え切ることができるのかという不安や迷いもあり、真司から別れを告げる事態に陥った。

しかし先週、2人の間の誤解が解消され、ついに尚はウエディングドレスに身を包んだ。いやはや、ベテラン脚本家・大石静の手練手管によって、陳腐なドラマどころか、タイトル通りの大恋愛に進化しつつある。

功労者はやはりムロツヨシで、「勇者ヨシヒコ」シリーズ(テレビ東京系)の魔法使いとは真逆の役柄でありながら、どこか不穏な雰囲気を残しているのだ。予測不能なムロに敏感に反応した戸田が、ふだん以上の演技を見せるという相乗効果も生まれている。

結婚はしたが病状は進む。ヒロインはもちろん主演女優をも受けとめる、ムロツヨシの底力が発揮されるのはこれからだ。

(日刊ゲンダイ 2108.11.14)

産経新聞で、「番組関連本」について解説

2018年11月13日 | メディアでのコメント・論評


「ブラタモリ」シリーズ、累計100万部突破 
番組と出版社、ヒット“両得”



■ファンの購入見込み

出版不況といわれる昨今、NHK総合の紀行番組「ブラタモリ」の公式本(KADOKAWA)が、今秋発売された13、14巻で、シリーズ累計100万部を突破した。人気の理由は潤沢な番組写真と丁寧な編集。番組関連本の出版が続く背景には、テレビ局と出版社の利害の一致がある。(三宅令)
                  ◇
◆人気を上回る数字

「ブラタモリ」は、タレントのタモリ(73)が、さまざまな街を“ブラブラ”歩きながら土地の歴史や暮らしを紹介する人気紀行番組。毎週土曜午後7時半からNHK総合で放送されている。

地理学や地質学マニアのタモリの語り口が人気で、2桁の視聴率を切ることはまずなく、過去最高は平成28年6月4日放送の、お伊勢参りを特集した18・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。土曜夜の激戦区でトップ争いの一角を担っている。

出版の動向などを調査研究する出版科学研究所の久保雅暖(まさはる)研究員は、「本来、紀行・ガイド本は5万部売れれば大成功。番組人気を考えても、シリーズ累計100万部とは、かなり頑張っている」と評価する。

◆書籍化向きの番組

番組関連本の購入者は、もともと番組のファンであることが多い。「『ブラタモリ』の場合、特に読書好きの中高年にファンが多いようだ。その点も、公式本の売れ行きに追い風となっているのでは」と分析する関係者もいる。

番組の二次利用の窓口であるNHKエンタープライズによると、「もともと番組自体が書籍化に向いていた」という。番組関連本の多くは、放送用の動画から取り込んだ静止画を掲載するため、どうしても良質な画像が掲載できない。ブラタモリは番組の演出で写真を随所で使用するため、スチール(静止画)カメラマンを同行させており、「その写真を公式本に転用できた」という。

また掲載した地図に盛り込まれた情報などをQRコードを通じてスマートフォンで確認できるようにするなど、「編集にあたり、読者に番組を追体験してもらえるように気を配っている」(KADOKAWA担当者)。

◆出版社からも垂涎

久保研究員によると、番組関連本は出版社から見ると「番組自体の知名度があり、出版前から売れ行きを見込める“おいしい仕事”」だという。

一方、「テレビ局にとって番組関連本は、かつては番組PRのためだけに作られていたが、今は著作権料で収益が見込める事業のひとつ」と指摘するのは、上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)だ。

近年は書籍化やDVD化などを見込んで番組予算を組むことが当たり前となってきており、「制作現場にとっては、より番組作りに金を掛けることができ、経営的にも1つの番組で2度おいしい。今後も番組関連本の出版は進むだろう」と話した。


                  ◇
■根強い実用系 ドラマ公式本も

番組関連本で売れるのは「実用系テキスト」「知的エンタメ」「人気ドラマ」の3分野-。

番組関連本の歴史は、大正14(1925)年7月、東京放送局(現NHK)のラジオ番組「英語講座」のテキストから始まるとみられる。

定期購読者による安定収益が見込めたことから、テレビ番組の放送開始後、各局が料理や健康など多くのジャンルでテキストを刊行。
今も実用的な番組関連本は人気を集める。

近年は体験型の知的エンターテインメントが求められる傾向が強い。番組の内容を追体験しようと、「ブラタモリ」やクイズ番組「東大王~」などの公式本が流行する一因でもある。また「コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」など人気ドラマのノベライズも盛んだ。

「おっさんずラブ」公式本は、予約が殺到し、販売前から重版が決定。上智大学の碓井広義教授は「一種のファングッズとしての需要だろう」と分析している。

(産経新聞 2018.11.07)



「テレビ局のSNS活用」についてコメント

2018年11月12日 | メディアでのコメント・論評


ドラマ宣伝 若者に照準 
SNS活用/拡散力絶大 
テレビ局 可能性を実感

若者のテレビ離れが進む中、各局による会員制交流サイト(SNS)の活用がドラマの分野で広がっている。複数のSNSでアカウントを作るのは当たり前。工夫を凝らす挑戦からは、新たな可能性も見えてくる。

「カワイイすぎる」「応援してるだお」。今年、男性同士の恋愛を描き話題となったテレビ朝日の「おっさんずラブ」。吉田鋼太郎演じる部長が、愛する部下を隠し撮りしてインスタグラムに投稿する設定の「武蔵の部屋」に、ファンの熱いコメントがあふれた。

最盛期のフォロワーは約51万人。テレビ朝日は「ドラマが終わってからもSNSで盛り上がりが衰えず、放送終了後のグッズ販売など異例の展開も生んでいる」と驚く。

日本テレビは2017年放送の「過保護のカホコ」を宣伝するため、友達登録すると主人公を模した人工知能(AI)が受け答えをしてくれるLINE(ライン)のアカウント「AIカホコ」を開設。SNSなどで評判が広まり、友達は44万人、ラインのやりとりは計1億回以上に上った。

利用停止の際には「やめないで」と多くの声が上がり「AIカホコロス」も発生。宣伝部専門副部長の西室由香里は「現実とフィクションがボーダーレスになった」とみる。主な利用者は10~20代の女性で「テレビを見ない層への効果が大きかった」。AIを使ったSNSでの新たな計画も進む。

NHKは大河ドラマ、連続テレビ小説、その他のドラマで、それぞれアカウントを設ける。9月まで放送した朝ドラ「半分、青い。」では、ツイッターでリハーサルの様子など話題になりやすい素材を提供し、インスタグラムでは若い世代を狙った動画を多く使うなど、メディア特性に応じた展開を試みた。

ツイッターのフォロワーは最多約15万人、インスタグラムは約43万人にまで増加。広報プロデューサーの川口俊介は「放送後に情報を発信し、反応がニュースになるなど新しい情報の転がり方が生まれつつある。可能性が広がった」と話す。

他のテレビ局も「番組に対する興味を高めるのに最適なツール」(TBS)、「既になくてはならない存在」(フジテレビ)と高く評価。

上智大の碓井広義教授(メディア文化論)は「ネット動画の利用など視聴スタイルは変化しているが、面白ければ若者もドラマを見る。むしろ、連続ドラマでは次回の放送までをSNSがつなぐ形となり、良いとなったら拡散力がすごい」と指摘。

「テレビ局には、インターネットと一緒にドラマを育てていくという姿勢で臨んでほしい」と話している。


(共同通信発、河北新報2018.11.05ほか)

【気まぐれ写真館】 慶應義塾大学「児童文化研究会」同期会

2018年11月11日 | 気まぐれ写真館


かつての西校舎も近代的な建物に


大イチョウの存在感は変わりません


40年前も休講の有無などを確認していた掲示板




教員を「・・君」と呼ぶ慣習も同じです(先生は福澤先生のみ)






貫録の塾監局


改修工事中の旧図書館






朝倉文夫「平和来」1952年、ブロンズ




「三田の山」からの下山





同期のほぼ半分が集合 宮城や静岡からも