碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

札幌で、これから「イチオシ!」

2012年08月31日 | テレビ・ラジオ・メディア

札幌に到着。

今日はこの後、15時45分から、HTB「イチオシ!」に出演です。


新千歳空港に降り立つと、まず深呼吸。

やはり空気が違うのだ(笑)。

列車で札幌へ。



豊平川を渡れば、もう札幌駅。

こうしてずっと通い続けていると、今月も北海道に「帰ってきた」という感じになります(笑)。


さあ、生放送!



週刊文春で、「NHKニュースと沢尻エリカ」についてコメント

2012年08月31日 | メディアでのコメント・論評

発売中の「週刊文春」最新号で、沢尻エリカの「NHKニュース」出演についてコメントしています。


沢尻エリカを持ち上げる
NHK大越健介は「ニュースキャスター」失格

「自分で言うのもイヤなんですけど、(周りから)カワイイとか言われるワケじゃないですか。それがイヤでイヤで、私にはコンプレックスでした・・・」

スキャンダル女優のこんな戯言を、まるで金言のごとく取り上げたのは、NHK報道の看板「ニュースウオッチ9」。

日韓問題、反原発デモのニュースに次ぐ扱いで、大越健介キャスター(51)、話題の作品として「ヘルター・スケルター」を紹介し、インタビューで沢尻と蜷川実花監督に「女性にとって美とは」というテーマで語らせたのだ。

だが、いまジャーナリストが沢尻に聞くべきは「美」などではなく、過去の大麻使用をはじめとする薬物問題のことだろう。

小誌は5月31日号で、沢尻が前所属事務所から契約を解除された原因が、薬物検査による大麻の陽性反応だったことを報じた(現在は週刊文春WEBで公開中)。

誌面では、前事務所が沢尻に突きつけた契約解除の通知書を公開。翌週号では、夫の高城剛氏からも同様の証言を得たが、沢尻は今に至るまでダンマリを続けたままだ。

彼女こそ芸能界の薬物禍についても多くを知る重要な人物だが、その貴重な取材対象を前にしても、大越キャスターに切り込んでいこうとする姿勢は皆無だった。

のっけから「50歳のオジサンは(映画を見ながら)ドキドキしました」と沢尻におもねり、「同性から誉められるとすごく嬉しい」と語る沢尻に、「ボクが誉めるより?」。終始この調子で、ワガママ女優のご機嫌取りに必死だったのである。

放送を見た上智大学の碓井広義教授(メディア論)も苦言を呈する。

「いったい誰がNHKで沢尻のインタビューを見たいと思うのか。それでもやるというなら映画のPRではなく、薬物疑惑についても話をするべきでした。『お疲れじゃないですか?』などと沢尻を気づかい、肝心なことを聞かない大越さんを見て、キャスターとしての見識を疑いました」


当の大越氏を直撃すると、彼はこう弁明した。

「やりたかったのは沢尻さんの紹介ではなく、女性の美しさへの欲求というものに多少なりとも迫りたいという趣旨です。(薬物問題について聞かなかったのは)そういう趣旨じゃないからです」。

とはいえ、その趣旨である「女性の美」が後付けに過ぎないことは明らかだ。

NHKに先んじて、民放では16日に「NEWS ZERO」(日テレ系)が沢尻のインタビューを放送しているが、取材が行われたのはNHKと同じ日だった。

日テレ関係者が明かす。「所属のエイベックスから売り込みがあり、手を上げたのが日テレとNHK。薬物問題と離婚についての質問はエイベックスがNGを出し、踏み込めなかった」

つまり、インタビューは沢尻側のセッティングで行われ、沢尻と映画の“宣伝”に日テレとNHKが乗っただけなのである。

番組では毎回エンディングで「そのニュース、核心はどこだ」と視聴者に投げかけている。核心をつかんでいないのはNHKと大越キャスターではないのか。

(週刊文春 2012.09.06号)



井上真央「おひさま」2題

2012年08月30日 | テレビ・ラジオ・メディア

昨晩の「トッカン」も、つい見てしまった(笑)。

井上真央、ますます快調だ。

脇を固めるメンバーとの、芝居のバランス(間合い)もいい。


「トッカン」については今週の日刊ゲンダイに書いたわけですが、昨年、井上主演のNHK朝ドラ「ひまわり」についても、書いていたのを思い出しました。

以下、「おひさま」2題、再録です。



「おひさま」に寄せる期待

NHKの連続テレビ小説『おひさま』が始まった。舞台は信州の安曇野、そして松本市だ。松本の高校を卒業するまで信州で過ごした私にとって、嬉しいような、面映ゆいような、ちょっと不思議な気分だ。

実はもともと、地名としての「安曇野」は存在しなかった。松本から大町にかけての田園地帯は古来「安曇平(あずみだいら)」と呼ばれていたのだ。安曇野という言葉が広まったのは、一九六五年に臼井吉見さんの大河小説『安曇野』が出版されてからである。

新宿中村屋を興した相馬愛蔵・黒光夫妻、彫刻家の荻原碌山など、この地を“ふるさと”とする五人の仲間たちを通して、明治から昭和に至る激動の時代が描かれていた。

六九年には相馬黒光をヒロインにした『パンとあこがれ』というドラマも制作されている。TBSがまだ朝ドラを放送していた時代、ポーラテレビ小説の枠だ。脚本が山田太一、黒光役は新人の宇都宮雅代だった。

これから半年、『おひさま』は私たちにどんな“ふるさと”の姿を、主演の井上真央はどんな女性像を見せてくれるのか、とても楽しみだ。

しかし一方で、被災地の皆さんが今、目にしている風景を思うと胸が痛い。島崎藤村のいう「血につながるふるさと 心につながるふるさと 言葉につながるふるさと」の、一日も早い復興を願っています。

(東京新聞 2011.04.06)



昭和の困難な時代を描いた
朝ドラ「おひさま」に1つだけ注文

NHK朝ドラ「おひさま」は運の強いドラマだ。まず、主な舞台を昭和という過去に設定したこと。3月11日に東日本を襲った大震災は現実が想像を超えていた。ちゃちな筋書きのドラマなど吹き飛ぶインパクトだった。こんな時、主人公が鉄板焼きの次は同じノリでそば屋になると言われても、視聴者は困っただろう。

しかし、“過去のお話”なら心安らかに見ていられる。さらに、物語が昭和初期から始まる女性一代記というのもついている。ヒロイン・陽子(子役の八木優希、好演)が信州にやって来たのは昭和7年。先週末の放送では13年まで進んでいた。つまり、これから国全体が困難な時代に突入していくわけで、時節柄、登場人物への感情移入も容易だ。

加えて、主役に新人を持ってこなかったことも運がいい。確かに朝ドラは新人女優の登竜門でもある。だが、視聴者が下手くそな、いや初々しい演技のヒロインを応援できるのも平時ならでは。見る側の気持ちに余裕がない非常時の今、「天花」の藤澤恵麻や「ウエルかめ」の倉科カナ並みの素人芝居だとかなりつらい。その点、キャリア十分の井上真央なら大丈夫だ。

最後に一つだけ注文を。ドラマの中では昭和7年の五・一五事件も13年の国家総動員法施行も、その前年の蘆溝橋事件さえ何ら説明がない。こうした時代背景は重要で、ぜひ触れて欲しいと思う。

(日刊ゲンダイ 2011.04.11)

電子ブックリーダー「コボ」、到着

2012年08月30日 | 本・新聞・雑誌・活字

注文しておいた、楽天の電子ブックリーダー「kobo」が届いた。

ずっと前、ソニーの電子ブックリーダー「リブリエ」を購入し、試した
ことがあって。

でも、これはダメでしたねえ(笑)。

当時は、確かコンテンツはレンタルしかなかったし。

で、最近のものは、どんな感じかな、と(笑)。

とりあえず使ってみて、また報告させていただきます。



「トッカン」井上真央の安定度

2012年08月29日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週は、 日本テレビの連ドラ「トッカン~特別国税徴収官」について
書きました。

いわば「トッカンの女」ですが、「マルサの女」とは、まったく別です(笑)。


やはり安定感がバツグン 井上真央

日本テレビのドラマ「トッカン~特別国税徴収官」(水曜夜10時)が、なかなかいい出来だ。税金滞納者の中でも、特に悪質な事案を扱うのがトッカンこと特別国税徴収官である。

ただしヒロインの井上真央はトッカンではない。有能にして冷血なトッカン(北村有起哉)付の徴収官だ。仕事に対する覚悟も定まらない井上は北村から怒鳴られてばかりいる。このちょっとドジだが生真面目な新米徴収官を演じる井上の安定感が見事なのだ。

先週は計画破産の常習犯が相手。裁判所が正式に破産を認めれば税務署でさえ手が出せない。まさに法律が犯罪者を守ることになる。井上は単独で隠し財産を突き止め、裁判所に破産手続きの中止を
求めるが、堅物の書記官(嶋田久作)が立ちはだかる。井上の頑張り
どころ、見せどころだ。

1話完結のエピソードと並行して、初回に登場した町工場の夫婦(泉谷しげる&りりィ)や銀座のクラブママ(若村麻由美)などのサイドストリーリーを走らせているのも効いている。

徴収官は法律を盾に差し押さえなどを進めるが、滞納者の中には払いたくても払えない事情を抱えた善人もいる。そんな相手に対して、井上は悩んだり迷ったりしながら作業を進める。このドラマは、井上が徴収を通じて「世の中」を知っていく成長物語でもあるのだ。

(日刊ゲンダイ 2012.08.28)



取材が2件

2012年08月29日 | テレビ・ラジオ・メディア

8月最終週とはいえ、まだまだ日中は暑いですねえ。


雑誌の取材を2件、受けました。

「週刊文春」「アエラ」

それぞれ、テレビをめぐる、かなり刺激的なテーマですが、内容は、
ほんのしばしナイショです(笑)。


映画「プロメテウス」の、「やるなあ」と「あれれ?」

2012年08月28日 | 映画・ビデオ・映像

楽しみにしていた映画「プロメテウス」を観た。


で、結論から言うと・・・・

「おお、やるなあ、リドリー・スコット!」の部分と、「あれ?あれれ?」の部分が相半ばする、といった読後感でした。

実は今回、本当に事前情報をシャットアウトして、マッサラな状態で観たのです。

だから、「プロメテウス」と「エイリアン」の“相関関係”も、劇場で初遭遇したわけで(笑)。

それに、ちょっと残念だったのは、物語のスケールが、意外と、予想よりも小さかったというか。

観終わった時も、「この作品って、“そういうもん”だったのかい?」の思いが強かった。

でも、リドリー・スコット監督らしさは十分あったし(当たり前か)、ビジュアル面もかなりなものだったし(笑)。


そうそう、映画の中で、登場人物たちが遥か遠い惑星に降り立つ際、「人類にとって偉大な一歩」みたいな台詞があった。

つい先日の、月面着陸のアームストロング船長が亡くなったというニュースがアタマに浮かんだ。

それに、リドリー・スコット監督の弟である、トニー・スコット監督(「トップガン」大好き)も、最近亡くなったよなあ、なんてことも映画の最中に思い出していた。

併せて、合掌。


というわけで、「プロメテウス」でした(苦笑)。


AKB48秋元才加と「パラリンピック」特番

2012年08月27日 | テレビ・ラジオ・メディア

日曜午後4時から、NHK・Eテレの特番「まもなくロンドンパラリンピック開幕! 世界に挑む日本選手」を見た。

いわば“直前スペシャル”だ。

先日、東京新聞のコラムでも書かせてもらった「ゴールボール」や「ウイルチェアラグビー」はもちろん、ボートや車いすマラソンの選手たちの練習内容や思いなどを伝えていた。

みんな、文字通り、自分の限界に挑戦している。

これを見て、ますます29日からの競技を見たいと思った。




それから、この特番に、AKB48の秋元才加が出ていた。

彼女は今回、NHKのパラリンピック番組にかなり関わっており、「シリーズ パラリンピックへの挑戦」でもナビゲーターを務めている。

この番組では、スタジオで男性アナと2人、堂々の「司会」ぶりだ。

また選手たちの取材にも出向いていて、現場でのレポートがとても
良かった。

まず、取材相手に対する「礼儀」が、ちゃんとしていたこと。

次に、ウルチェアラグビーやゴールボールを体験させてもらうシーン
でも、変にはしゃいだりせず、きちんと「実感」を言葉にしていたこと。

スタジオのMCとしても、終始落ち着いた語り口だったし、今後、こう
いう仕事も十分やっていけると思った次第です(笑)。




(ウルチェアラグビーの激しいタックルに跳び上がる秋元)










<このブログで書いた関連記事>

2012年08月23日
次は、「ロンドンパラリンピック」
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/aa667628c92d7cda22636bb4b83f6803

2012年08月19日
「ロンドン・パラリンピック」のCMが、すごい
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/198b6443b8fd7a2b336f6732bf526cbd

ドラマ「はつ恋」ディレクターズカット版、放送中

2012年08月26日 | テレビ・ラジオ・メディア

先週の土曜日(午後11時15分~)から、NHK・BSプレミアムで、
ドラマ「はつ恋」ディレクターズカット版を放送中だ。

通常のオンエア、再放送、そして今回と、もう3回見ている(笑)。

やはり中園ミホさんの脚本がいい。

ヒロインである緑(木村佳乃)の気持ちの揺れが、とても丁寧に
書かれているからだ。

55分と長尺のディレクターズカット版では、それをより感じる。

またしばらく楽しめそうです。



<このブログで書いた関連記事>

2012年08月24日
アサヒ芸能で、「熟女優」をめぐる対談
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/96cc44344dff30a751fc65fae7bdfa1d

2012年07月19日
ドラマ「はつ恋」最終回に、拍手
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/ed9fcf063ef36e78ce1bc79996830924

2012年07月11日
クライマックスへと向かう、ドラマ「はつ恋」
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/5a6a9805c295ac65a669a582991fa5da

2012年06月20日
大人におススメしたい、NHKドラマ10「はつ恋」
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/d0ef315e40e98a9246011ea10e1b5b16




今週の「読んで(書評を)書いた本」 2012.08.26

2012年08月26日 | 書評した本たち

池井戸潤さんの『ロスジェネの逆襲』(ダイヤモンド社)を読了。

バブル世代の銀行マン、半沢直樹が活躍した『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』。そのシリーズ最新作だ。

舞台は半沢が飛ばされた先の系列証券会社。IT企業の買収をめぐって親会社の銀行と対立する半沢は、ロスジェネ世代との共闘を選ぶ。

“ITベンチャーの星”と呼ばれる電脳雑技集団が、ライバルである東京スパイラルの買収を企む。相談を持ちかけたのは銀行ではなく、半沢のいる証券会社だ。

ところが途中で親会社の一派が、この案件を横取りしようと仕掛けてくる。買収のアドバイザーは巨大な利益をもたらし、同時に半沢を潰すこともできるからだ。

半沢の部下、森山雅弘は典型的なロスジェネ世代。楽をして禄をはむバブル世代を目の敵にしてきた。半沢は森山の能力を評価し、一緒に反撃に出ようとする。「やられたら、倍返しだ」。

物語の中で明かされる企業買収の仕組み、特に銀行や証券会社の動きが興味深い。

また優れた企業小説の例にもれず、本書も企業の中にいる人間の生態が巧みに描かれている。「組織対組織」、「組織対個人」の暗闘がスリリングだ。

「正しいことを正しいと言えること、世の中の常識と組織の常識を一致させること」を、愚直に目指す男の姿が清々しい。



さてさて、今週の「読んで(書評を)書いた本」は、以下の通りです。
 
篠田博之 
『生涯編集者~月刊「創」奮戦記』 創出版

小野幸恵 
『幸四郎と観る歌舞伎』 アルテスパブリッシング

小谷野 敦 
『文学賞の光と影』 青土社

鈴木智之・西田善行:編著 
『失われざる十年の記憶~一九九〇年代の社会学』 青弓社

* 上記の本の書評は、
  発売中の『週刊新潮』(8月30日秋風月増大号)
  に掲載されています。



深夜の「ぷっちょ×AKB48クリアファイル」大作戦

2012年08月25日 | テレビ・ラジオ・メディア

夜中に、家の廊下で、「AKB48のオールナイトニッポン」を聴いていたという息子と遭遇し、東京ドーム公演初日における「サプライズ」をどう解釈するか、について意見交換。

で、なぜか、セブンイレブン限定「ぷっちょ×AKB48 クリアファイル」の話になった(笑)。

UHA味覚糖の「ぷっちょミラクルB・A・G(バッグ)」(7種の味がとびだすおいしさ!で200円)を買うと、1枚もらえるらしい。

そのクリアファイルは、「まゆゆ、ゆきりん、しのまり、さっしー、ゆうこ、ともちん、たかみな」という7種類。

各店に、上記7人のメンバーのものが4枚ずつ用意され、つまり「先着28名様のみ」入手可能だと言う。

で、なぜか、「即ゲットだぜ!」(ポケモンか)ということになり、2人で、夜中の1時半に出撃(笑)。

3軒のセブンイレブンを駆け回った結果、3枚(ゆきりん、しのまり、さっしー)を確保したのだ。

パチパチ。

って、アホ父子か(笑)。


とりあえず、おつかれさまでした。

アサヒ芸能で、「熟女優」をめぐる対談

2012年08月24日 | メディアでのコメント・論評

発売中の「アサヒ芸能」で、”熟女優”をめぐる対談をしています。

お相手は、放送批評の大先輩である松尾羊一さん。

”熟女優”とは、いかにも「アサヒ芸能」らしい好企画で(笑)、この対談も楽しい内容になっています。


「大人のドラマ」ワイド
高視聴率「熟女優」フェロモンの秘密!

「松尾羊一×碓井広義」ご意見番対談


熟女優の魅力は何か?
その魅力を最も引き出せる舞台、役柄は何か!?
松尾羊一氏と碓井広義氏の
テレビ批評のベテランが論じ合う――。


<プロフィール>
◎松尾羊一 1930年、東京都出身。放送評論家。文化放送で社会教育番組「ズリ山に育つ子ら」「25時の討論会」「ニューヨーク・ホットライン」などを担当。著作は「てれび徒然草」「テレビは何をしてきたか」など。
◎碓井広義 1955年、長野県出身。上智大学文学部新聞学科教授。メディア論、映像制作などが専門。テレビマンユニオンで番組制作に携わる。著作は「テレビが夢を見る日」「テレビの教科書」「ニュースの大研究」など。


松尾 数多くの熟女優が活躍するのが、1話完結の2時間ドラマ。仕事を終えたオヤジさんたちが帰宅して、9時ごろから酒を飲みながら、カミさんと一緒に気楽に観られるドラマということで定着していた。連続ドラマみたいにややこしい展開はないんだけど、ある程度、大人の視聴者を満足させなくてはならない。そういうドラマのヒロインには、ピチピチした若手女優よりも、必然的に名取裕子(55)、片平なぎさ(53)、眞野あずさ(55)……ら、落ち着いた熟女優が起用されることになるわけ。

碓井 これまでの活躍ぶりから考えて、私が「2時間ドラマのヒロイン四天王」と推したいのが、沢口靖子(47)、高島礼子(48)、名取裕子片平なぎさの4人。さらにしぼり込んで「ドラマの熟女王」を選ぶと、「京都地検の女」や「科捜研の女」(ともにテレ朝系)という看板シリーズを持っているという点で、名取裕子と沢口靖子でしょうか。片や主婦のカンで、片や「科学は嘘をつかない」と最新技術やデータを駆使して事件を解決していきます。

松尾 2人とも、女性視聴者が嫉妬するタイプの美人じゃないよね。名取裕子なんか、程よく脂肪がついているし。

碓井 それ、熟女優の大きなポイントですね。それに、どちらも舞台は京都というのがおもしろい。京都地検と京都府警の科学捜査研究所。つまり、ドラマの熟女王は京都にいるわけ。名取裕子は旦那が東京にいて単身赴任。一方、沢口靖子はバツイチという設定。これも大事なポイントで、男性視聴者にとって、単なる独身女性ではなく、男の影がありつつも、今はとりあえず1人でいるというところが、ちょっと立ち寄りたくなる飲み屋の女将さんという感じで、魅せられるんですね。

松尾 どちらも、けっこう長く続いているね。

碓井 調べてみたら、「京都地検」のスタートは03年でこれまで8シリーズ。一方、「科捜研」は99年スタートで11シリーズ。ということで、私の中では、女王の座は僅差で沢口靖子に輝きました。

熟女ヒロインになれる条件

松尾 熟女ヒロインの条件は、美人だけど、変な色気や恋愛沙汰もなく、ひたすら職務に一生懸命。職場では男の部下をリードしていく。つまり、仕事ができるオンナ。男は名取裕子みたい上司を求めているんだね。かつて女優は「嫁にしたいナンバーワン」という尺度で測られたけど、今は「上司にしたいナンバーワン」。そういう意味では、米倉涼子(37)や真矢みき(48)とかとよた真帆(45)、天海祐希(45)、江角マキコ(45)のように、女子っぽくなくて、仕事ができそうな熟女優がいいんですね。

碓井 最近、気になる熟女優は、まず石田ゆり子(42)。「外事警察」がよかったですね。主婦を演じていても、OL役でも、普通の人をちゃんと演じていながら、何かエロスを感じます。いいなあ。それから、木村多江(41)。実は、彼女のことを最初に「日本一不幸が似合う女優」と書いたのは私なんです。今は不幸な役ばかりではなく、役柄を広げています。でも、個人的なイチオシは松たか子(35)ですね。映画「告白」はすごかった。彼女じゃなきゃ、演じられなかったと思う。舞台と映画ばかりで、なかなかテレビドラマに出てくれないのが残念です。

松尾 藤原紀香(41)、稲森いずみ(40)、小雪(35)、竹内結子(32)、松雪泰子(39)のように、若者向け連ドラの主役を張っていたのが、ちょっと峠を超えてきて……というタイプが、これから2時間ドラマの熟女優として出てくると思う。

碓井 この夏に放送されたドラマ「はつ恋」(NHK)に大人の視聴者があんなにグッときたのは、制作陣にチャレンジしよういう気概があったから。視聴者も大人のドラマを求めているんですね。主役の木村佳乃(36)は、すっぴんで体当たりのベッドシーンまで演じた。そういう意味では、酸いも甘いも経験した熟女優は、ディープなもの、コアなもの、重たいもの、とがったもの……など、大人の観るドラマのヒロインが演じられるんです。彼女たちが中心にくるようなドラマをぜひ作ってほしいですね。

(週刊アサヒ芸能 2012.08.30号)





次は、「ロンドンパラリンピック」

2012年08月23日 | 「東京新聞」に連載したコラム

東京新聞に連載しているコラム「言いたい放談」。

今回は、「パラリンピック」について書きました。

約90名の日本選手団がロンドンへと向かったのは昨日のことです。


次はパラリンピック

オリンピックが閉幕して睡眠不足も解消されたが、“ロンドンの熱戦”はまだ終わらない。来週二十九日からパラリンピックが始まるのだ。

陸上、テニス、水泳などオリンピックと同様の競技が並ぶが、パラリンピックならではのものも多い。

たとえば「ゴールボール」。全盲の選手たちが三対三で向き合う。ゴール目がけて投げてくるボールを、床に横たえた体で受け止め得点を阻止する。相手の足音とボールに仕込まれた鈴の音を追う緊迫の戦いだ。

また「ウイルチェアラグビー」は車イスのラグビー。バスケットボールと同じコートを四対四で走り回る。ボールを抱えたまま相手陣地に置かれたコーンを通過すればトライだ。競技仕様の車イス同士がぶつかり合うタックルでは衝突音がすさまじい。

日本チームは六月の国際大会で世界王者アメリカを破っており、初のメダル獲得も夢ではない。

イギリスの公共放送BBCが制作したパラリンピックのCMをユーチューブで見た。そして圧倒された。

肉体の限界に挑むアスリートたちの厳しさと美しさ。交通事故などで体に損傷を受けながら、それを乗り越える勇気と努力。さらにスポーツを楽しむ心までが見事に表現されているのだ。このCMがきっかけでパラリンピックを見る人が増えればと思う。

ちなみに日本でのパラリンピック放送は、地上波ではNHKのみだ。 

(東京新聞 2012.08.22)

お台場で、ガンダム

2012年08月23日 | テレビ・ラジオ・メディア

連日室内で仕事をしていたので、外の空気を吸うべく、高校生の息子と2人で湾岸ドライブ。

お台場へ。

以前から行きたかった「ガンダムフロント東京」初探訪だ。

館内は、「DOME-G」で上映される限定映像をはじめ、モビルスーツの1/1がある「Experience-Field」など見どころ多し。

1980年から現在までのガンプラが1000体、ずらっと並ぶ「ガンプラTOKYO」も壮観だ。








しかし、外に出て、我々のお目当てである、全長18メートルのガンダムの“実物”を見た瞬間は格別だった。

なにか“トンデモナイ”ものがそこにいたのだ。

だって、ガンダムが、目に前に立ってるんだから(笑)。










私は、息子ほどにはガンダムに詳しくないし、入れ込んできたわけでもないが、それでも、ちょっと、たじろいだ。

力強いというか、神々しいというか、青空を背にしたその姿は、とにかく美しい。

重さを感じるというか、中身を感じるというか、十分存在感がある。

見ているだけで、頭の中で、勝手に「物語」が動き出すような、あるチカラを持っているのだ。

これは実際に見てみないと、わからないことでした。

いやあ、侮れないぞ、実物大(笑)。

ガンダムファンであるなしに関わらず、一見の価値あり、です。

























草刈麻有が引っ張る、ドラマ「主に泣いてます」(フジテレビ)

2012年08月22日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週、取り上げたのは、フジテレビのドラマ「主に泣いてます」です。

奇妙な面白さは、ハマる人と、全然合わない人に分かれるはず。

まあ、それを狙っているわけですが(笑)。


主役のお株を奪う怪演は◎

フジテレビ「主に泣いてます」(土曜夜11時10分~)は、バラエティで
よく見かける“9等身モデル”菜々緒が初主演する連続ドラマだ。

しかも役柄は「世の中の全ての男性が心を奪われ、 なりふり構わず
追い回してしまう」絶世の美女である。いや、追い回されることで普通の生活ができない“不幸美女”なのだ。

男をとりこにする美しすぎる顔を隠すために「子泣き爺」から「元巨人のクルーン選手」まで、笑えるコスプレを披露。菜々緒自体がそれほどの美女かどうかはともかく、体当たり(しかないのだが)の演技で頑張っている。

ただし、このドラマの真の主演女優は菜々緒ではない。草刈麻有(草刈正雄の次女)が演じる“究極のツンデレ女子中学生”が秀逸なのだ。

美少女なのに笑わない。自分を「オレ」と呼び、変に大人っぽい(実際の草刈は19歳)。本当は優しいのだが、自分の気持ちを素直に表現できず、暴力的なわがままを通したりする。

ほとんど“怪演”と言ってもいい草刈だが、ぼーっとしているばかりの菜々緒を尻目に大量の台詞を連射し、物語をぐいぐいと引っ張っていく。

ドラマの視聴率は平均で5%台と苦戦しているものの、馬鹿馬鹿しい話を大真面目で撮っているところに好感がもてる。菜々緒に再び主演のオファーがあるかどうかは疑問。しかし、草刈麻有を再発見した功績は大きい。

(日刊ゲンダイ 2012.08.21)