今年のテレビ“見初め”は、1日午後、MHK・BSハイビジョン「シリーズ伝統芸能の若き獅子たち/市川亀治郎」だった。
歌舞伎役者の市川亀治郎を追ったドキュメンタリーだ。
以前、やはりNHKのインタビュー番組で話していた亀治郎が実に面白かった。
歌舞伎界における自分の位置や役割を客観的に把握していること。
その上で、世襲だからではなく、自ら歌舞伎を選んだという強い意志を感じた。
今回のドキュメンタリーは、伯父である猿之助の十八番(おはこ)「金幣猿島群(きんのざいさるしまだいり)」への挑戦が軸である。
亀治郎という役者の持ち味というか、その稀有な才能がきっちりと描かれていた。
そこには伝統を守るというより、攻める姿勢がある。
「その心意気やよし」と応援したくなった。
また、歌舞伎座の舞台から見守る猿之助のアドバイスを、ひと言も聞き漏らすまいとする真摯な態度。
こうやって、受け継ぐべきものが、受け継ぐべき人へと渡されていくんだなあと、少し胸が熱くなる。
誰の演出だろうと思ってエンドロールを見ていたら、ドキュメンタリージャパンの五十嵐久美子さんだった。
今、ドキュメンタリーの優れた作り手を何人か挙げるとすれば、必ず入ってくる。
さすがだ。
いや、正月元旦から“いいもの”を見せていただいた。
今年は、昨年以上にBSを見ることが増えるような気がします。