碓井広義ブログ

<上智大学教授のメディア時評> 見たり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり・・・

テレ朝が放送を見送った「幸色のワンルーム」について解説

2018年08月08日 | メディアでのコメント・論評



テレ朝が放送を見送った「幸色のワンルーム」
系列局の対応に温度差

準キー局の朝日放送テレビ(大阪市)が制作した連続ドラマ「幸色(さちいろ)のワンルーム」をめぐり、系列局の放送対応が注目されている。

キー局のテレビ朝日(東京都)を含む系列全24局のうち、現時点では朝日放送を含む3局が放送。テレ朝は放送見送りを決定した。誘拐事件を肯定的に描いているという内容への批判の一方、表現の自由の観点から批判に否定的な意見もあり、議論を呼んでいる。(大塚創造)

                   ◇

朝日放送が7月8日から放送を始めたドラマは同名の漫画が原作で、親に虐待された中学2年の少女が声を掛けてきた男と一緒に暮らす物語。インターネット上などでは、埼玉県朝霞市で平成26年に中学1年の少女が誘拐されて2年後に保護された事件がモデルではないかと指摘された。

5月には朝日放送とテレ朝がドラマの放送を発表したが、「模倣犯」や「二次被害」への懸念などから批判の声の一方、「表現の自由」の観点から批判に否定的な見解も示されていた。

結局、テレ朝は6月18日に放送中止を決定し、理由について「精査した結果、総合的に判断して放送を見送ることにした」と説明する。これに対し朝日放送は「本ドラマは実際の事件と関係なく、誘拐を肯定するような描き方もしていない。視聴者には作品のテーマである『人と人とのつながりの大切さ』について、ドラマを通して訴えていきたい」と話す。

朝日放送以外では現時点で、山形テレビと青森朝日放送が放送。山形テレビは「朝日放送の主張を踏まえ、局として総合的に判断した」、青森朝日放送は「朝日放送からドラマの内容について説明を受けた結果、総合的に判断し、放送することにした」とコメントした。朝日放送によると、他に数局が番組購入を検討中という。

別のキー局の幹部は「系列局はキー局に追随する傾向が強い」と指摘し、今回のドラマについて系列局の大半は放送しないとの見方を示す。一方、このドラマは民放テレビ局の公式ポータルサイト「TVer(ティーバー)」や、動画配信サービスの「アベマTV」「GYAO!」で配信(一部で閲覧期間に期限あり)されており、無料で見ることができる。

上智大の碓井広義教授(メディア文化論)の話「ドラマでは青年と女子中学生、それぞれの複雑な心理や葛藤が描かれている。2人の関係性も含め、一般的な意味での『誘拐』と呼べるかどうかも見どころであり、単純に犯罪を美化するとはいえない内容だ。自己規制で放送中止した場合、視聴者はこうした判断を行うことさえできない。さらにこのドラマは動画配信されており、全国で視聴可能だ。期せずして系列体制の意味も問われることになった」

(産経新聞 2018年8月7日)

週刊新潮で、「池田エライザ」についてコメント

2018年08月04日 | メディアでのコメント・論評


リリー・フランキーぞっこん
大人気「池田エライザ」って?

名前を聞いたら忘れない、容姿を見たら覚えてしまう。きゃりーぱみゅぱみゅじゃないですよ。池田エライザ(22)です。

年に1、2本の映画に出演していただけの彼女が、今年は決まっているだけで8本の映画に出演という大躍進ぶりだ。

「フィリピンとのハーフで、多面的な表情を持つ女優だな、と注目していました」とは、上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)。

「13歳の頃からモデルをやっていて、ビジュアルは◎。お色気シーンもアクションも、思い切り演じる。インタビューでは、自分の言葉で想いを語れる賢さが垣間見えます。ポテンシャルの高さが、今年になって花開いたということですね」


飛ぶ鳥を落とす勢いの池田は、鳥だけではなく、あの色男まで落としていた。

「池田は今年4月、NHKの音楽番組『The Covers』のMCに抜擢されましたが、これはメインMCのリリー・フランキーが指名して決まったもの。『やさぐれホステス感が良いんです』と、会見でも池田にデレデレでしたよ」(芸能担当デスク)

会見では、リリーが本音を漏らす場面も。池田を紹介する際、「歴代MCの中でもさらに巨乳が参加しました」と話したのだ。

そう、彼女はその妖艶なスタイルで世の殿方を魅了している面もあるのだ。

「下着メーカーのモデルに起用されたり、ファッションショーで胸を揺らしながら闊歩する姿が話題になりました」(先のデスク)

けしからん……が、気になってしまう。素顔は?

「プライベートでは人脈が幅広いこともあって、モデル仲間と男性を繋ぐパイプ役として飲み会を主催することが多いとか」(同)

仕事も遊びも目立つエライザ、今年の注目株だ。

(週刊新潮 2018.08.02号)

東京新聞で、ドラマ「この世界の片隅に」エンドロール騒動について解説

2018年08月01日 | メディアでのコメント・論評


TBSドラマ「この世界の片隅に」 
エンドロールでアニメ映画への「敬意」 
製作委「関知せず」で物議 
表現を無断利用なら著作権侵害も

TBSで放映中のドラマ「この世界の片隅に」が、エンドロールで同名のアニメ映画に対して「special thanks to 映画『この世界の片隅に』製作委員会」と表示したことが物議を醸している。ドラマの視聴者から、アニメ映画との類似性を指摘する声が上がる中、同製作委員会が「一切関知していない」とするコメントを発表したためだ。放映開始後に著作物との類似性を指摘され、放映停止に追い込まれたネット配信のドラマもあり、ファンは気をもんでいる。(片山夏子)

ドラマもアニメ映画も、漫画家こうの史代さんの同名の漫画が原作。終戦前、軍港の街・広島県呉市に嫁いだ主人公すずが、空襲や物資不足に苦しみながらも、前向きに生きる姿が描かれている。二〇一六年、アニメ映画が大ヒットし、現在も異例のロングラン上映が続く。一方、TBSは今月から実写ドラマをスタート。二話が放映済みだ。

ドラマは現代の関係者が登場するなど、原作にない独自シーンがあるが、視聴者からは「なんでアニメ版のロケハンと全く同じ場所の同じ景色を、同じ角度で何カットも撮影したの?偶然?」「原作よりアニメに構図や衣装の色彩とかを依存してる」など、類似を指摘する声が相次いでいた。

こうした中、映画の製作委員会は二十四日、公式ホームページでTBSドラマのエンドロールの表記に触れ「当委員会は当該ドラマの内容・表現等につき、映画に関する設定の提供を含め、一切関知しておりません」と記載した。

これに対し、TBS広報部は「エンドロールは、先行して公開されたアニメ映画への敬意を表明したもの。ドラマは原作を実写化したもので、外部の時代考証専門家の指導の下に独自に制作した」と回答。エンドロールの表示は、今後も変更しないという。

そもそも「special thanks」とは何か。テレビ業界に詳しい上智大の碓井広義教授(メディア文化論)は「一般的に、製作で協力してくれた人や組織に『お世話になりました』という意味」と説明し、「単に尊敬の念で入れたというのは違和感がある」と話す。そのうえで「わざわざ入れているので、協力や提携関係があったり、映画製作側から応援を得ていたりなど、いろいろな意味に取れる。視聴者がアニメ映画と似た表現を使う許可を得たと誤解する可能性があるし、許可を得ていないのなら、『無断でまねたことの免罪符として入れた』と見なされる可能性もある。もっときちんと説明すべきだ」と語る。

もし、無断でアニメ映画の表現を利用していた場合はどうか。知的財産侵害事件に詳しい冨宅恵(ふけめぐむ)弁護士は著作権侵害になる可能性を指摘する。その場合、「原作漫画にないシーンがあるかどうかが一つのポイント」と説き、「漫画をアニメ映画にするなど原作の表現形態を変え、創作性を加えた二次的な作品を翻案という。今回、ドラマがアニメ映画に許可なく依拠した箇所があれば、著作権を構成する複製権や翻案権の侵害になる可能性がある」と指摘。同一表現でなくても「ドラマのシーンから、映画独自のシーンを視聴者が想起できた場合は、侵害の可能性がある」と話す。

類似ケースとして、昨年十二月に配信が始まったネットドラマ「チェイス」がある。清水潔氏のノンフィクション「殺人犯はそこにいる」と多くの類似点があると指摘され、現在、配信は停止されている。

ドラマ「この世界」について、冨宅氏は「『special』の表示は映画を参考にしているとしか取れない」と話す。ただ著作権侵害かどうかは「実際に作品をシーンごとに比較してみないと何とも言えない」と話している。

(東京新聞 2018.07.28)



日刊ゲンダイで、NEWS小山「キャスター」についてコメント

2018年07月30日 | メディアでのコメント・論評


未成年飲酒のNEWS小山慶一郎
10月改編でキャスター降板も

未成年との飲酒で6月7日に活動自粛を発表した「NEWS」の小山慶一郎(34)が、10月改編で「news every.」(日本テレビ系)のキャスターを“降板”することになりそうだ。

小山は6月27日には芸能活動を再開。「MUSIC FAIR」(フジテレビ系)、「NEWSな2人」(TBS系)の自粛前に行われた事前収録番組に次々と出演し、20日には、NHKの「ザ少年倶楽部プレミアム」(BSプレミアム)でテレビ本格復帰を果たした。

今はメインキャスターを務めている日テレの「news every.」の復帰がいつになるのかに注目が集まっているが、ひっそりと番組から姿を消すかもしれない。わずか20日間の謹慎で小山を復帰させたジャニーズ事務所の対応には、非難が殺到。ネット上には「早い」「ふざけるな」という声が寄せられた。

「小山の復帰に批判的な意見が目立つのは、事務所の“復帰ありき”の姿勢があからさまだからでしょう。8月11、12日にはNEWSの15周年記念コンサートがあるため、そこから逆算して復帰時期をはじき出したとしか思えません。NHKやTBSが次々と小山を番組復帰させる中、ペンディングしている日テレの姿勢は評価に値します」(マスコミ関係者)

日テレはジャニーズのタレントを16年連続で「24時間テレビ 愛は地球を救う」に起用し続けてきた。ドラマやバラエティーでもブッキングしている。それでも、今回はこのまま小山を降板させる判断を下す可能性もあるという。

「未成年と飲酒した人物にメインキャスターを続行させるのは不適切ではないか、という声が報道局を中心に上がっているのです。番組スポンサーからも『夕方のニュースの顔にはふさわしくない』と復帰には慎重です」(日テレ関係者)

「news every.」のホームページには依然、キャスターとして小山の写真と紹介文が掲載されている。日テレに小山の復帰について問い合わせると、「今後の出演について、決まっていることはありません」(広報部)と回答があった。

上智大の碓井広義教授(メディア文化論)がこう言う。

「コンプライアンスに厳しい時代です。一歩間違えると厳しいバッシングを受けることになりかねません。日テレが小山氏の番組復帰に慎重になるのも当然です。その上で、10月改編での降板は区切りがいいし、悪目立ちしないので、十分にあり得ると思います」


身から出たサビとはいえ、キャスター復帰はなさそうだ。

(日刊ゲンダイ 2018年7月30日)


NEWSポストセブンで、「一発屋芸人」について解説

2018年07月21日 | メディアでのコメント・論評


一発屋はもう生まれない? 
「一発屋芸人」は今やブランド化

「一発屋芸人」で思い浮かぶのは、ダンディ坂野(51才)、テツandトモ、小島よしお(37才)、ムーディ勝山(38才)ら、中堅からベテランの芸人ばかり。以前と比べると、一発屋芸人と呼ばれる人たちはあまり生まれていない。いったいなぜか? 突き詰めると、そこから意外な真相が見えてきた。

上智大学文学部教授(メディア文化論)の碓井広義さんが分析する。

一発屋とは、打ち上げ花火のように一気に人気が出て、スッと消えてしまう人。原因は、飽きられる、というのが大きい。では、なぜ飽きられるのか――。一発屋芸人たちは「芸」よりも、瞬間の動きやワンフレーズを通じて「キャラクター」でインパクトを与える人が多い。芸は深めていけるから次の芸を見たいと思うけれど、キャラクターは代わり映えしないため、消費されやすい。そこが芸とキャラクターの違いという気がします。

一発屋芸人が生まれた背景には、『エンタの神様』(日本テレビ系。2003年~2010年までレギュラー。その後、不定期放送)の影響があったように思います。『エンタの神様』とほかのお笑い番組との違いは、一人に与えられた時間が短いこと。本来、お笑い芸人が出る番組は、芸を見せるだけの十分な時間を与えられていました。

しかし、尺が短い『エンタの神様』は一発芸向きでした。その瞬間で、ウケるウケないがジャッジされたんです。そうなると、じっくり芸を見せている暇はなく、キャラクターを押し出すしかなかった。だから白塗りや奇抜な格好をして、インパクトを強くした。そんな一発芸を持つ芸人たちが受け入れられた時代だったと思います。

それに対して、今の時代は、SNSでじわじわと人気が出るタイプの芸人が増えました。代表的なのは、ひょっこりはんさんですね。打ち上げ花火のように大きく打ち上がるわけではないけれど、小さな火が広がっていって、そのブームは次々と連鎖していく。

◇「芸」で楽しませてくれる人を求める時代に

また、さまざまな芸人が乱立して、見る側もさまざまな選択肢がある。一発打ち上げるのも難しい時代になっていると思います。『エンタの神様』の時代は、テレビが流行や人気者を生み出す力を持っていました。だけど今は、テレビを見ない人が増え、インターネットで欲しい情報をピンポイントで見つける時代。一気にブレイクすることは、そうそうありません。だから聖火リレーで火をつなげるように、「これ面白いぜ」って、口コミでだんだんと広がって、人気になっていく。

さらに、芸で楽しませてくれる人を求める時代になったのかもしれない。『2018 上半期ブレイク芸人ランキング』(ORICON NEWS)で1位のくっきー(野性爆弾)さん、3位のみやぞん(ANZEN漫才)さん、『好きな芸人嫌いな芸人2018』(日経エンタテインメント!)で、好きな芸人ランキングで不動の首位だった明石家さんまさんを抜いて、1位になったサンドウィッチマンさんらは、キャラクターも立っているけども、ネタもよくできている。

◇消えた人はただの一発屋、残っている人は一発屋芸人

そう考えていくと、今も名前を見かける、ダンディ坂野さん、テツandトモさんなどは、一発屋芸人という“ジャンル”に入ったと言えます。本来は文字通り、打ち上げ花火のように一瞬で消えてしまった人が一発屋芸人と呼ばれるはずなんだけれど、消えた人はただの一発屋。残っている人は、一発屋芸人という別ジャンルに移行したと考えられるのです。

一発屋芸人たちは、実はちゃんと芸もある。それに自分たちのことを客観的に見ることもできる。だから、自分たちを一発屋芸人だとネタにして笑いを上手に取れるんです。彼らは見事に、新たなジャンルを作り上げました。髭男爵の山田ルイ53世さんが書いたノンフィクション『一発屋芸人列伝』(新潮社)という本が出ているのも、それを示す一例です。今や、一発屋芸人は不名誉なことではなく、新ジャンル・新ブランドとも言えます。

2017年はブルゾンちえみさん、にゃんこスターさん、サンシャイン池崎さん、アキラ100%さんといった芸人たちがブレイクしました。なかには一発屋候補と言われている人もいます。一発屋で終わるのか、一発屋芸人として生き残るのか、これからが正念場です。


(NEWSポストセブン 2018年7月20日)



女性セブンで、「長嶋一茂さんと石原良純さん」について解説

2018年07月13日 | メディアでのコメント・論評


大物二世の一茂と良純 
「炎上しない安心感」で爆売れ中

114回と138回──これは、長嶋一茂(52才)と石原良純(56才)が、今年の上半期にテレビ出演した回数。タレントではトップクラスだ。

情報番組のコメンテーターからバラエティーまで、「顔を見ない日はない」人気を誇る2人は、それぞれ“ミスタープロ野球”の長嶋茂雄(82才)と、元東京都知事の石原慎太郎(85才)という大物の血を引く「ぼんぼん」。時に、恵まれたおぼっちゃん生活を話のネタにすることもあるのだが、どこかにくめないところがあって、視聴者からの支持を広く集めている。

上智大学教授の碓井広義さん(メディア文化論)の分析。

「一茂さんと良純さんのファンは、比較的年齢層が高い印象です。それこそ、ミスターや慎太郎さん、叔父の石原裕次郎さん(享年52)の活躍を知っている世代が、“やんちゃ坊主”を見るような気持ちで応援しています。怖いものなしで好き勝手に物申す姿が、むしろかわいらしく映ってウケているんでしょう」


突拍子のない発言が多い“天然系”の2人だが、テレビスタッフたちは困らないのだろうか。

「“育ちがいい”というか、“金持ちけんかせず”というか、他人を悪くこき下ろすような発言はしないという安心感があります。毒舌がウケる人は、たまにアクセルを踏みすぎてしまうことがあってハラハラしますが、この2人の場合には、ちょっと天然も入っているから、“炎上”には繋がらないだろうと、安心して起用できるんです」(テレビ局関係者)

その証拠が、冒頭のテレビ出演回数なのだろう。最近では、キャラがカブる2人の“セット売り”も多く、今年2月に『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に並んでゲスト出演。5月の『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)では神奈川・湘南に男2人旅に赴き、6月15日の『ぴったんこカン・カン』(TBS系)では、一茂の個人事務所が入るビルの屋上でバーベキューパーティーを開いた。

(女性セブン 2018年7月19・26日号)

週刊ポストで、「一億総録音時代」についてコメント

2018年06月29日 | メディアでのコメント・論評


飲み会の会話も録音される時代に 
普通の男性4人の後悔

通信会社勤務のA氏(58)は社内の送別会がもとで、大変な目に遭ったという。

「酒が回った派手めの女性社員が『胸元の開いた服のほうが似合うって言われるから着てるんです』と楽しそうに話していたので、私もつい『その服装だと、オジサンたちは目のやり場に困るよ。でも、そういう方が僕は好みだな』と気軽に相槌を打っていました」

半年後、社内の同僚から「Aさん、セクハラが問題になっているよ」と唐突に告げられた。

「送別会の会話がスマホで録音されていて、他部署の社員にまで音声データが広まっていたのです。面白半分だったようですが、真面目な女性社員が『これはセクハラだ』と問題にして、触れ回ったとか。その場のノリなのに、こんな大問題になるなんて……」(A氏)

総務部の口頭注意で済んだが、A氏は一部から「エロオヤジ」扱いされて肩身の狭い思いをしている。

商社勤務のB氏(50)は「相談がある」という女性部下と食事に出かけた。

「彼女は人事異動への不安をひとしきり話すとすっきりしたようで、“年下のダメ彼氏”の話を次々に披露。私も社交辞令のつもりで、『次は大人の男性と付き合った方がいいかもね』と返していたんです」(B氏)

ところがその後、望まぬ部署への異動内示が出た女性部下の態度が急変。人事権を持つB氏に不機嫌な態度を取るようになった。

「ショックだったのは彼女が私と飲んだ時のセクハラ発言音声があると周囲に仄めかしていると分かったこと。私が『大人と付き合えば』と語ったところだけ切り取られると“年上の俺と付き合え”と口説いたように聞こえるかもしれません。今後いつ、どんなふうに録音を使われるのか、気が気でなりません」(B氏)

◆録音している側に悪意がなくても…

さらに厄介なのは、録音している側に悪意はないのに問題に発展するケースだ。雇用延長で働くC氏(63)は、こう話す。

「若手社員の相談を聞くための飲み会で、部長のパワハラの話が出たんです。内心“若い連中はまだまだ甘いな”と思ったものの“アイツは昔から荒っぽい言い方しかできないし、直らんのだよ”とほどほどに同調しておいた。

そうしたら後に彼らがパワハラ相談室に訴えた際に、“Cさんもパワハラだと認識してくれていました”と私の音声まで資料として提出していた。若手の1人が、貴重な話が聞けても酔うと忘れるからと、律儀に録音していたようなんです。そんなヤツがいると思わないじゃないですか。こちらは定年後の身だから社内のゴタゴタに関わりたくないのに」

自営業のDさん(55)も、こんな目に遭ったという。

「商工会の会合で2次会のカラオケが盛り上がって、私も30代女性とノリノリでアドリブを交えながらデュエットしたんです。そしたら後日、妻に“あなた、商工会でずいぶん調子に乗っていたのね”と嫌味を言われたんです。若手メンバーが動画を撮影していて、それをSNSに〈Dさん、上手~い〉と載せたのが拡散されて、妻の目にとまった」

ネットに投稿した人に悪気がないため、Dさんは誰にも文句を言えず妻の嫌味に耐えるしかなかった。

上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)はいう。

「多くの人が高性能カメラとICレコーダーを兼ね備えたスマホという記録ツールを常時携帯して使いこなすのが当たり前になっています。とりわけ若い世代はSNSで日常の出来事を発信することに慣れているので、“そんなものも!?”と驚くようなことも記録しています。不用意な発言は注意しないといけませんし、酒の席では常に“録音されているかもしれない”と意識するのがちょうどいいくらいかもしれません」


とても酔えそうにない。

(週刊ポスト 2018年7月6日号)

週刊新潮で、女優・松岡茉優さんについて解説

2018年06月19日 | メディアでのコメント・論評


是枝監督が絶賛の「松岡茉優」 
敵なしの魅力

カンヌ映画祭で是枝裕和監督の「万引き家族」がパルムドールを受賞したのはご存知の通り。

この作品でリリー・フランキーや樹木希林など大ベテランの好演技に埋没することなく、存在感を発揮したのが松岡茉優(23)である。

飛ぶ鳥を落とす勢いの注目若手女優を知らない、お父さんのための“松岡茉優”講座――。

すでに連ドラで主演も張ったことのある松岡。しかし、スポーツ紙の芸能記者によれば、

「今回の作品へはオーディションを経て参加。是枝監督は松岡の演技にベタ惚れだったといい、彼女のために脚本が書きなおされたほど」

そんな松岡にも、不遇な下積み時代があったといい、

「8歳の頃、妹が芸能事務所のオーディションを受けた際、担当者の目にとまり、“ついで”で事務所入り。子役の頃は良い役に恵まれず、ドラマに出演することが出来たとしてもワンノブゼムで、光は当たらなかった」(同)

脚光を浴びるきっかけになったのは、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で、

「その後は、役者業だけでなくバラエティ番組にも引っ張りだこ。本人も女版“八嶋智人”を目指すと公言していて、演技力はもちろん、喋りも同世代の役者の中で群を抜いている」(同)

上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)も、

「彼女は何が求められているのかを瞬時に察知していく女優です。もう一つの目で自分を俯瞰し、共演者を邪魔せずに奥行きのある演技が出来るのです」


向かうところ敵なし、か。

(週刊新潮 2018年6月14日号)


産経新聞で、ドラマ「ブラックペアン」 について解説

2018年06月09日 | メディアでのコメント・論評



TBS「ブラックペアン」 
「ドラマの自由」めぐり議論


■学会「現実と乖離」 識者「演出は当然」

大学病院を舞台にしたTBSの連続医療ドラマ「ブラックペアン」(日曜午後9時、二宮和也さん主演)に対し、日本臨床薬理学会が抗議している。劇中に登場する「治験コーディネーター」が患者に多額の負担軽減費を支払う描写などについて、「現実と乖離(かいり)」などと指摘。一方で、識者からは「ドラマ的演出は当然」との意見も出ており、“ドラマの自由”をめぐって議論を呼んでいる。(大塚創造)
                  ◇
同学会では、一般的に治験コーディネーターと呼ばれる職種とほぼ同義という「臨床研究コーディネーター」を認定している。

ドラマ内の治験コーディネーターは、新薬・医療機器の開発に必要な治験をめぐって患者と医療機関とを仲介する役で、医師を接待するシーンが複数回描かれている。同学会が劇中で特に問題視しているのが、医療機器の治験を受ける予定の患者に、治験コーディネーターが負担軽減費として300万円の小切手を手渡す場面だ。

こうした描写に対し、同学会は5月7日付で見解をTBSに送った。文書では負担軽減費について、1回の来院当たり7千~8千円が大半で、多額の負担軽減費で治験参加を誘導することは「厳に戒められて」いると指摘。その上で、患者が不信感を抱き、治験への協力が得られなければ「医療イノベーションを目指す日本にとって大きな損失」と強調し、「あまりにも現実と乖離した描写を避けていただくよう希望する」と訴えている。

TBSはこの見解を受けてドラマのプロデューサーが学会側と話し合っているといい、「実際とちょっと違う部分も誇張した表現もあるのがドラマ。最後まで見ていただければ理解は得られるのではないか」と話す。

インターネット上では、ドラマの影響力の大きさから、誤った認識を視聴者に抱かせるなどと抗議に賛同する意見の一方、ドラマはあくまでフィクションで、逆に認知度向上の好機などと抗議に否定的な意見もあり、賛否は分かれている。

このドラマについて、上智大の碓井広義教授(メディア文化論)は「手術成功率100%の超人的技能と秘めたる野望を持つ天才外科医が主人公だ。不可能を可能にする手術場面などダイナミックな展開で楽しませるエンターテインメント作品である」と評価する。

その上で、「(元フジテレビアナウンサーの)加藤綾子さん演じる治験コーディネーターは原作小説にはなかった脇役の一人。そのキャラクターや仕事ぶりに、他の登場人物と同様、ドラマ的な演出や味付けがなされているのは当然のことだ。物語全体がドラマというフィクションであり、現実に沿った内容に終始するのであれば、医療ドラマだけでなく、刑事ドラマも弁護士ドラマも成立しなくなる」と指摘している。


(産経新聞 2018.06.05)


週刊新潮で、「8K」についてコメント

2018年06月06日 | メディアでのコメント・論評


高解像度で日本代表を応援…? 
NHKが突っ走る「8K」に疑問符

ようやくハイビジョンが浸透してきたかと思えば、今や家電店のテレビ売場を占めるのは解像度がその4倍に増えた「4K」。4Kってどれだけ凄いの、なんていってる内に、総務省やNHKでは今度はさらに上をいく「8K」が登場。

特にNHKは8Kに本腰を入れる。12月からは世界に先駆けBSで実用放送を開始の予定。その前哨戦とばかり、来月開催のロシアW杯では「8Kでサッカー日本代表を応援しよう!」と、日本の初戦、19日のコロンビア戦を含む8試合を8Kで流す。臨場感を体感してもらうため、渋谷のNHKみんなの広場、グランフロント大阪など、全国6カ所に大画面パブリックビューイングを設けるそうだ。

8Kの「K」とは単位名に冠し1000倍を表す「キロ」の記号のこと。横の画素数が8000に近いのでこう呼ばれる。画素数の多さ、即ち精細度が高く、大画面なほど映像の臨場感は増す。8Kの臨場感を味わうための理想の画面サイズは80型以上、最低でも畳1枚分ほどの大きさが必要となる。

8Kの解像度は、街の風景なら群衆一人一人の表情から建物の奥行きまで、画面が立体に感じられるほどだ。

上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は、

「スポーツ中継や大自然の風景といった映像だけならともかく、NHKはいずれ大河ドラマなども8Kで流すでしょう。でも、たとえば『西郷どん』篤姫役の北川景子さんが、輿入れが決まり涙を流す感動のシーンを、実物以上の大きさのアップ、毛穴の奥まで見える鮮明さで見たいと思いますか。どんなに高精細な画面と謳われても、一般家庭には過剰な技術だと思いますよ」


8Kで観戦すれば、日本代表が勝つ! というわけでもないしなぁ。

(週刊新潮」2018年5月31日号)


日経MJで、クイズ番組についてコメント

2018年06月03日 | メディアでのコメント・論評



クイズ、アプリショック 
問題をライブ配信

さて、問題です。日本人が大好きな娯楽で、テレビからスマートフォン(スマホ)に移りそうなものは何でしょう――。ファイナルアンサー? 正解はクイズ。今年に入り、問題を生配信するライブクイズのアプリが相次ぎ登場している。数十万円の賞金を山分けできることもあり、1日に1万人以上を集めるほどの人気に。広告も引き寄せるクイズアプリは、クイズ番組に代わるお茶の間の主役になろうとしている。

■賞金20万円を12人で山分け

夜の8時半、新宿駅南口に隣接する高層ビルの一室で、よく通る野太い声が響いた。「あなたは大金を手にすることはできるかな? LIVEトリビアの世界へようこそ」。緑色の幕の前で語りかけるのは、お笑い芸人の山田ルイ53世さんだ。

LIVEトリビアは、LINEが4月に始めたライブクイズ。クイズは全10問。「簡単だな、という人がいましたよ」「ルイめー、って私のせいではありません」。ルイ53世さんは、テレビの通販番組さながら参加者のコメントを読みあげたり、対話したりしながら司会する。この日参加した3500人のうち12人が全問正解し、賞金20万円を山分けした。

LINEは動画撮影用のスタジオを用意し、小規模だがテレビ局同様の機材をそろえる。レギュラーの司会者は、元TBSの安東弘樹さんや若手落語家の柳亭小痴楽さんら。参加者との対話を重視し「SNS(交流サイト)とテレビの良さを融合した新しいメディアを目指す」。LINEの浅野裕介エンターテイメント副事業部長は意気込みを語る。

司会者がリアルタイムで問題を読み上げるライブクイズの発祥は、「HQトリビア」という米国のアプリだ。米ツイッターが買収した動画サービス「Vine」の創業者が始めた。米国でも誰でも手軽に参加できて一獲千金が狙えるという目新しさで人気を集めた。クイズは毎日1~2回で、イベント時には25万ドル(約2700万円)と巨額の賞金が用意されることもあり、200万人超の参加者を集める。

■米国が発祥、LINEなど続々参入

日本でも今年に入り、LINEやニュース配信のGunosy(グノシー)などインターネット企業が相次ぎ参入。基本的なルールはHQトリビアと同じだ。ライブクイズに毎日参加するという神奈川県の男性会社員(34)は「リアルタイムで勝ち残っている人数が減っていく臨場感が魅力」と語る。

「スマホ利用者の隙間時間を埋めるには、テキスト(文字)だけでは不十分」。2月にライブクイズ「グノシーQ」を始めたグノシーの竹谷祐哉最高執行責任者(COO)は指摘する。動画アプリが次々と登場し、スマホで自分自身の動画を配信する若者も増えている。スマホのメディアは、テキストから動画中心の時代に急速に変わろうとしている。実際、グノシーQは1日あたり約1万5000人の参加者を集め、年内には「毎日10万人を集めたい」(竹谷COO)。

クイズは数多くの名番組を輩出してきたテレビのキラーコンテンツ。だが、ビデオリサーチ(東京・千代田)の調査によると、クイズ番組の1日あたりの平均放送時間は08年に141分だったが、15年には76分まで減少。足元は放送時間も増えているが、かつてのような勢いはない。

■テレビのクイズ番組は減少

特に視聴者参加型のクイズ番組が減っている。マスメディアに詳しい上智大学の碓井広義教授は「あらゆる雑学をネットで検索できるようになった結果、クイズが得意な人に憧れたり、感心したりする視聴者が減っている」と指摘。“1億総検索”の時代で、視聴者参加型クイズ番組の魅力が薄れているようだ。

若者を中心としたテレビ離れの影響もある。サイバーエージェントの調査では、10代後半でテレビ視聴が平日1時間以下かつ休日2時間以下という比率は48%と、15年調査から5ポイント上がった。

こうしたなか、ライブクイズが「クイズ好きである」(碓井教授)日本の消費者の受け皿になることで、「スマホ上にお茶の間を作り出す」(LINEの浅野氏)。ライブクイズに毎日参加する千葉県の20代主婦は「ひとりで参加するだけでなく、夫婦一緒にクイズに答える楽しさがある」。テレビをほとんど見ないため、クイズアプリが家族だんらんのツールとなっている。

家族全員でテレビの前に集い、クイズ番組を見ながら答えを当て合う。そんな失われつつある家族だんらんが、スマホで復活しそうだ。

ライブクイズを提供する各社は、広告収入に期待をかけている。広告の手法はこうだ。出題前に宣伝したい製品やサービスの動画を流す。クイズで、その動画にまつわる問題が出る。例えば「今日から始まった新キャンペーンは次のうちどれ?」という形で、動画を見ていれば簡単に正解できる。1問を確実に正解できるため、参加者はスキップせず真剣に動画を見る。それだけ高い広告効果が得られるというわけだ。

グノシーは数社の広告をクイズで試験配信しており、今夏にも広告販売を本格化する。広告料は数日間配信する場合で数百万円と、主力のニュースアプリの企画型広告と同等にする。

■根拠のないクイズは景表法に抵触

通常の賞金は10万~20万円が相場だが、イベント時には百万円の賞金が用意されることもある。さらにクイズの正解者が誰もいない場合は、賞金を次回に持ち越し(キャリーオーバー)となるライブクイズも多い。

多額の賞金は利用者にとって魅力だが、法律上の問題はないのか。製品やサービスの誘客の手段として金銭など経済上の利益を提供するときには、景品表示法(景表法)の規制を考慮する必要がある。

景表法の対象となれば賞金は10万円までといった規制がかかる。各社はアプリは無償で参加費もかからないため「景表法の対象とならない」と説明。消費者庁は「商品やサービスを購入するための出費を伴わず、誰でも参加できる場合は(賞金上限の規制がない)オープン懸賞となる」(表示対策課)と指摘する。クイズ中に広告を入れた場合も、製品を購入しないと解答が不利になるといったことがない限り、規制の対象にならないという。

景品表示法は、消費者を誤認させる不当な情報提供を禁止している。「表示違反に対する取り締まりも強化されている。取引につながる情報については、消費者を誤認させない注意が必要だろう」と森・濱田松本法律事務所の松田知丈弁護士は指摘する。例えば、クイズで根拠もなしに「世界でもっとも汚れが落ちる洗剤はどれ」といった誤解をまねく表現をしていた場合は景表法に触れる可能性がある。(松元英樹)

(日経流通新聞 2018.06.03)


週刊朝日で、「半分、青い。」についてコメント

2018年05月11日 | メディアでのコメント・論評


インスタも好調!
NHK朝ドラ「半分、青い。」はなぜウケるのか?

4月からスタートした連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK)が好調だ。女優の永野芽郁(18)がヒロインを務める同作は、岐阜と東京を舞台に、病気で左耳を失聴した楡野鈴愛(にれのすずめ)が、少女漫画家を目指して上京し、挫折や結婚・出産・離婚を経験しながら、高度経済成長期の終わりから現代まで、およそ半世紀を描く。

脚本は、「ロングバケーション」(フジテレビ)や「ビューティフルライフ」(TBS)などの恋愛ドラマヒット作で知られる北川悦吏子氏(56)。初回視聴率は21.8%でスタートし、前3作の「べっぴんさん」(21.6%)、「ひよっこ」(19.5%)、「わろてんか」(20.8%)を上回る好発進で、第1週=20.1%、第2週=20.0%と2週連続で大台をキープしている(数字はすべてビデオリサーチ調べ、関東地区)。

「朝ドラ史上初の、障害を持ったヒロインが生き生きと描かれている期待作」

上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)はこう力説する。


実は、左耳の失聴という設定は、脚本家の北川氏自身の実体験を踏まえたもの。北川氏は病気により3年前に左耳の聴覚を失い、その経験を脚本に生かしたという。

「ちょっとショックではあったんですが、傘をさすと左側だけ雨音が聞こえず、雨が降っていないかのように感じるのがおもしろくて、“これはドラマになる”と思いました」(北川氏)

ヒロインの鈴愛は、自身の聞こえない耳を「耳の中で小人が歌って踊ってる」と話し、不快なノイズであるはずの耳鳴りを「海の音。潮騒」だと表現する。

「障害を個性と捉え、ユニークな女の子として描かれている。ドラマ全体がとにかく明るくて、久しぶりに“本気で見たい朝ドラが帰ってきた”とワクワクしています」(碓井教授)

「赤チン」に「ねるとん番組」、ボディコンや「レナウン」のCMなど、70~80年代の懐かしさが随所にちりばめられているのも特徴の一つ。北川氏は制作決定発表後、自身のツイッターで、鈴愛と同じ「1971年前後生まれの人」に向け、当時の流行についてアンケート。参加型の脚本構成でファンのハートをつかんだ。

制作段階からのこうした積み重ねが功を奏し、放送開始時点での公式インスタグラムのフォロワー数が16万超と異例の注目度。現在SNS上では、視聴者間での“懐かしさ談議”が活発に繰り広げられている。(本誌・松岡かすみ)

(週刊朝日 2018年5月18日号)

母校・松本深志高校について、朝日中高生新聞で・・・

2018年05月07日 | メディアでのコメント・論評




深志の同期、田中晃(WOWOW社長)

週刊朝日で、「女優カトパン」についてコメント

2018年05月01日 | メディアでのコメント・論評


ドラマ進出果たしたカトパンの本気度 
MCの座はタレントに奪われ…

自身の誕生日を迎える前日の4月22日、元フジテレビアナウンサーの加藤綾子(33)が、華々しく連続ドラマにデビューした。嵐の二宮和也主演の「ブラックペアン」(TBS)、朝の連続テレビ小説「半分、青い。」への出演を果たしたのだ。前者は「半沢直樹」に代表される高視聴率の人気枠で、後者は言わずと知れた国民的ドラマ枠だ。

“女優”として最高の滑り出しを見せた加藤だが、本格的な“転身”はあるのか。上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)はこう釘を刺す。

「人気ドラマへの立て続けの出演で順風満帆に見えますが、視聴者は滑っても転んでも、どこから見ても“フジテレビの看板を背負っていたカトパン”として見ています。もしこれで女優としての自信を深めているとしたら、びっくりな勘違いですね」

主要キャストではなく、“限定された”役だからこそ許されていると元テレビプロデューサーの碓井教授は手厳しい。

「演技が多少ひどいとしても、ゲスト出演的な露出だからこそ視聴者は笑って見ていられる。同世代の女優さんはいくらでもいるわけで、彼女である必要はないんです。あくまで話題作りでにぎやかし。朝ドラではアナウンサー役ですし、極端に言ってしまえば、演技を求められていないんです」


一方で、女優業を好意的に見る向きもある。芸能評論家の三杉武氏は加藤の本気度を感じるという。

「出演作が古巣のフジテレビのドラマではなく、所属事務所の先輩のバーターとしての出演でもない。アナウンサーとしての色を避けたかのような選択に、カトパンの本気度を感じます」

その背景には女子アナの仕事が減りつつあることも関係がありそうだ。

「かつて番組MCのアシスタントは主に女子アナの仕事でしたが、最近は小島瑠璃子さんや指原莉乃さんなどのタレントが務めることが多くなってきた。仕事の幅を広げる意味での挑戦とも考えられます」(三杉氏)

女優としては、かつて「スーパー綾子」とも言われた如才なさと好感度の高さが武器になると指摘する。

「女子アナは傾向として、同性から『ぶりっ子』とか『鼻につく』と、支持されないことも多いですが、カトパンは『美貌が完璧すぎて嫉妬する気も起きない』と同性からの支持も高い。転身するなら、印象的な演技で視聴者を納得させられるかが今後の肝です」

華麗なる転身は見られるのか。そのスーパーぶりに期待したい。(本誌・秦正理)


(週刊朝日オンライン 2018.4.30)

週刊新潮で、「福田セクハラ次官問題」についてコメント

2018年04月27日 | メディアでのコメント・論評


福田セクハラ次官問題 
「なぜ自社で報道できないか」の疑問に答える

セクハラオヤジから“口撃”された女性の告発の舞台が、なぜ本誌(「週刊新潮」)なのか――。騒動を扱う情報番組でコメンテーターや司会者が口にしている、この単純な疑問に頷いた視聴者も少なくなかろう。お説ごもっとも。ならばいま一度、端的に説明させていただきます。

たとえば、4月15日のTBS系「サンデー・ジャポン」。「今回ちょっと思ったのはね」と、テリー伊藤。

「本当だったらああいうことがあったら自分が属しているメディアに対して言えばいいのに、(中略)事務次官の方だって当然、誰だってことは分かるわけじゃない。彼女自身がやりにくくないのかなあと思って」

この翌日。日本テレビ系の「ミヤネ屋」では、

「女性記者の方だったら、なんでそれを週刊新潮さんに持っていくんですかね。自分でできないんですかね」

元読売巨人軍の宮本和知がこう言い、宮根誠司は、

「だから結局そうなってくると、特定されてしまうってことがあるんですかね」

これらを約(つづ)めれば、「被害女性たちは、なぜ自社で報道できないか」となる。

それにはまず、「自社」に訴えたことのある女性の声をご紹介しよう。彼女は40代、大手新聞社の勤務だ。

「社会部記者でした。情報源からのセクハラを受けいれてネタを引いているとか、ただならぬ関係にあるんじゃないかと疑われて口惜しい思いをしたので、会社に相談したのです」

すると、どうなったか。

「幹部に呼び出され、“ひとりの人間を潰す気か”と叱責されました。情報源の勤務先に洩れて迷惑がかかったらどうするんだ、と」

記者クラブと会社の看板

次官の件とはいささか異なるが、そもそもの問題は、「日本は、組織ジャーナリズムで動いていますから」と、上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)。

「記者クラブのような組織に属し、会社の看板を背負うからこそ取材ができるのです。そういったなかで自らが属する媒体で被害を報じれば、同僚が取材現場でなんらかのリミットをかけられることは火を見るより明らか。福田次官の件がそんな相手の立場の弱みを巧みに利用した、卑怯な手口だったといっても、彼女たちもセクハラを受けて、そこで帰ってしまえば、会社から“なにやってんだ”と言われてしまうんですよ」


具体的に言えば、こういうことだ。財務省を担当するデスクの解説。

「セクハラに反発したりすれば、その女性記者が所属する社は財務省から嫌がらせをされて“特オチ”(※他社は報じているのに、自社だけが逃したニュース)が待っている。そうなると同僚にも迷惑がかかります」

これは検察や警察、各省庁の記者クラブにもあてはまる。政治家相手も然り。

「新聞やテレビの記者がもっとも避けたいのが特オチです。特オチは会社の看板に泥を塗るだけでなく、記者の評価にも直接、響く。つまり、ひとりの女性記者がセクハラで声をあげると、その社のクラブ員が特オチし、評価を下げられる可能性がある。それが分かっているから、女性記者は多少のセクハラにもニコニコ笑って耐え、取材相手に愛敬を振りまくわけです」

たとえば、財務省担当の至上命題のひとつに、日銀総裁人事がある。

「それで特オチしようものなら、それこそ地方の支局に飛ばされます。最強官庁と呼ばれる財務省は情報の出し入れがうまく、記者を使った情報操作にも長けている。日ごろから財務省の意に沿う原稿を書いていないと、日銀総裁人事が取れないといった仕打ちを受けるおそれがあります」

いかがでしょう? なぜ自社で報道できないか、お分かりいただけたのでは。

(週刊新潮 2018年4月26日号)