明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

シカゴ・ブルースの旅 その4

2007-07-19 17:42:48 | 
◎ずっと夢だったんだ。ここに来ることが。

木曜日の昼間ということもあって、ブルース・フェスティバルを観に来ている人はまばらだった。
だけど、屋台も出ていて、楽しい!
日本のお祭りの夜店みたいな感じで、ホットドッグ、ピザ、ハンバーガー、ビール、ジュース、アイスなど、いろいろ売っている。
ブルース・フェスのオリジナルTシャツや帽子も売っている。
購入はすべて金券なので、最初にいくらか購入した。

シカゴ・ブルース・フェスティバルは、今年で24回目。
グランド・パークというでかい公園の中に、ステージが5つ特設され、
木曜から日曜日までの4日間、昼の12時~夜9時までずーっとひたすら
誰かが演奏している・・・という、ブルース・バカにはたまらない祭りだ。
もちろん、演奏を観るのは無料。

大物も出るし、ローカル・バンドみたいな、名の知れないバンドも出る。
その数、およそ70バンド。
出演プログラムを見てみたが、あまり知っているブルースマンはいない。
バディ・ガイとか見たかったなー。

だけど、私も彼もあまり「誰が出演するか」ということは気にかけなかった。
そこが今回、ツアーの人たちと少し異なっていたようだ。
私と彼はもうただ、ブルースの洪水の中で、ビール片手に泳いでいられたら、
それだけでいつも最高で。

私なんて、12年以上前から夢に見て、憧れて、死ぬまでに一度はと願って、
そうやってやっと来たブルース・フェスなのだ。
その会場にいられること自体が震えるほど嬉しかった。

出演しているブルースマンの名前も知らないけれど、私と彼は「耳」だけを頼りに、ふらふらと会場の中をうろついた。

「あっちでいい感じのブルースやってるわ」
「あー、あの曲好きやわ、たまらんな」

そう言って、ビール片手にあっちのステージ、こっちのステージと移動して、
照りつける太陽の下、ふらふらになるまでブルースを浴びた。
(↓ほら、まだこんなに人もまばら)


でも、今も、これらの名前も覚えていないバンドのことばかり思い出す。
めちゃめちゃいい音出してて。
すっごく「ブルース」で。
「いかにも!」って感じの定番曲ばっかりで。
もうベタベタのシカゴ・ブルース!!
ただ、幸せで幸せで、溶けていきそうだった。



もちろん、合間にはジャンキーなものをいろいろ食べる。



やっぱり、ディープディッシュピザだね。
シカゴ・ピザ!!
これとビールが合うんだ、ほんと。
ビールを買うたびに、パスポートの提示を求められたのだけはまいったけど。
係りの人も、私の年齢確認するたびに苦笑だ。
「俺より年上のオバチャンに年齢きいちゃったぜ。東洋人はわからん。ファンタスティック!」
と、心の中で呟いていたことだろう・・・

そして、この日のメインステージのトリは、ブルースの女王、ココ・テイラー!!
我らがシュンさま、菊田俊介さんがギター!



さすがに前のほうの席はいっぱいで、私たちは後ろのほうだった。
でも、ステージが始まると、皆に紛れて前のほうに押し寄せてみた。
すぐ怒られて退散したが・・・。

菊田さん、カッコよかったなぁ



ふと、菊田さんの夢は叶ったのかなぁ、なんて思った。
日本からアメリカにわたったとき、一体どこまで辿り着くことを目指していたんだろう。

皆が、菊田さんにあたたかい声援と拍手を贈る。
ふと、後ろを振り返れば、もうすっかり暗くなってしまった会場の向こうのビルに、「THE BLUES」の電気文字。



なかなか洒落たことするじゃないか、シカゴ!

結局、この日は昼からラストの9時までずっと会場にいてブルースを聴いていた。
もう9時間もブルースの洪水を泳いできたというのに、
まだちっとも満腹していない。
それどころか、もっともっと、と欲しがっている。
40度のバーボンを口の中で転がして、水みたいにブルースに溶けていく感じを味わいたくて仕方がなかった。

ブルース・フェスの主催者の方、バーボンも売ってよ!

この夜の話は、その5へ続く・・・

シカゴ・ブルースの旅 その3

2007-07-19 16:45:32 | 
随分、間が空いてしまったが、今日はシカゴの旅の続きを書こう。

◎最初の英語試しは朝食で

2日目の朝、快晴。
今日からいよいよブルース・フェスティバルが始まる。
高鳴る胸の鼓動を抑えつつ、とりあえず朝食へ。

昨日まではツアーのみんなと一緒だったからよかったけれど、
この朝食が彼と初めての「英語試し」。
私、一応、大卒。
英語教育は9年受けました。
とはいえ、大学3回から長年、英語なんて使ったこともない。
飛行機の中でやったDSの「えいごづけ」でもまだ初級レベル・・・
かなり不安だったのだが、

「まあ、だいたいわかるって」

なぜか余裕の彼。
だいたいこういうとき、「ほんまに?」と私が聞くと、彼はこう答える。
「なんとかなるって。俺はロッカーやからな」

ロッカーでもブルースマンでもいいけれど、ほんまに大丈夫か?!
一抹の不安が・・・

ホテルの外へ出ると、風がものすごい。
さすが「Windy City」。
風の街・シカゴ。

飲食店のある通りまで歩き、どこに入ろうかとうろついた。
で、結局決まったのが、SUBWAY。
あともケンタッキーとかダンキンドーナツとか、似たようなものだったので、
とりあえず入ることにした。

でも、最初の「英語試し」としては難易度高っ!!
英語がわからない以前に、システムがわからない。
ケースに並べられた具材をじぃっと見ていたら、
「パンを選べ」というようなことを言われたので、おろおろ

写真を指されて、ああ、この中から選ぶんだとやっとわかる。
どれがおいしいのかもわからないので、適当に選ぶ。
・・・ほぅっ・・・やっとパン獲得。

次は具だが、よくわからない肉がおいしそうだったが、とにかくわからないので、「はむ!」と言う。
「Ham?」
「おー、いえす、いえす。はむ」
ハムの次はやっぱりこれだろう。
「ちーず!」
「OK、Cheese?」
「おー、いえす、ちーず」

これでとりあえず、ハムとチーズの入ったサンドイッチは食える。
その後、店員さんは「これはいれるか?」「ピクルスはどうだ?」とあれこれ聞いてくる。
そのたびに、彼と二人で「いえす」「のーのー、ぴくるす、のー」と受け答えし、どうにかこうにか、サンドイッチが出来上がった。

飲み物のシステムもよくわからん。
フリードリンク?!他の客を見ていたら、勝手にコーラとか入れて、そのまま持って外に出たりもしている。

彼と汗をかきかき、とにかく手にした食料をテーブルに運び、かぶりついた。
うま~っ!!
やっぱりこういうものは本場だなぁ、うまい。
大満足で店を出た。

あー、でも、もう英語イヤ!しんどい
なのに、能天気な彼は言う。
「なんか、もう慣れたな!SUBWAYは難易度高かったけど、もうどこでも注文できそうや

・・・そうかぁー?!

◎芸術の街

朝食の後は、ツアーの観光の1つで、シカゴに点在する美術作品を見ることになっていた。
歩いてまわれるし、まあ、2時間程度だ。
ブルース・フェスもお昼からなので、参加した。

ツアーのみんなに「朝食、何食べました?」と聞いてまわった。
みんな、マクドとかドーナツとか。
そんなもんよね、やっぱり。

シカゴは音楽だけじゃなく、芸術の街でもあって、あちこちに美術作品がフツーにある。

↑こんなシャガールのタイル絵とか。


↑こんなピカソのわけのわからん像とか。

好きな人にとったら、楽しいんだろうな。
私も別に嫌いじゃないけど、絵なんて見てる場合じゃない!
だって、もうすぐブルース・フェスティバルやんか!!
早く行きたくて仕方がなかった。

でも、その後は、噴水へ。


こうして一通りの観光を終え、ようやく自由行動に!
ツアーのみんなはバラバラと別れていった。

ああ、いよいよブルース・フェスティバルの始まりだ!

続きは、その4で・・・


シカゴ・ブルースの旅 その2

2007-07-19 10:28:31 | 
★ブルース旅日記のその3以降のアップが遅かったので、
 その2・1をアップしなおしました。(内容は一緒。順番だけね)

今日は雨だろうと洗濯をあきらめていたが、朝起きると晴れ間が!
急いで洗濯機を回す。
カラリとして涼しい、とても気持ちの良い日だ。

こんな日は、ライトニン・ホプキンスだなと、清々しさに不似合いな、不良のおっちゃんブルースを聴く。
もちろん、「Mojo Hand」。
一音でテキサスの香りが広がってくる(知らんけど)

今日は、シカゴの旅のブルース編を書こう。

◎濃厚な初日・菊田俊介さんとの出会い

ガイドさんが、
「普通は見られないんですが、菊田さんの紹介だということで、特別に皆さんをチェスレコードのスタジオにご案内します」
そう言った瞬間、車内には「おおー!!」という歓声があがった。

戸惑うガイドさん。
「え?何?僕は知らないんだけど、チェスってすごいの?」
うなずくみんな。

さすがだ。
ブルース・フェスティバルの旅に来ただけのことはある。
なんだか「同志」という気がして安心した。
それにしても、チェスのスタジオへ行けるのか~!!

バスが到着すると、もう興奮を抑えきれない!


現在、ここはミュージアムになっていて、いろんなブルースマンの写真や貴重な品々、ブルース関係のグッズなどを売っている。
いろいろ写真を撮りたかったのだが、禁止と言われて残念だった。

中には今回の旅のホスト役でもある菊田俊介さんが待ち受けていた。
彼は、アメリカで活躍する日本の代表的ブルースマン。

B.B.Kingには、
「もし僕の自伝映画が作られることがあったら、君に若いBBを演じて欲しい。」
Buddy Guy には、
「俺はいつもお前のような若いギタリストから新しいものを盗もうと思っているんだ」
Koko Taylor には
「シュンはブルース・マシーンに在籍したギタリストの中でもトップの一人よ。それ以上に息子のようなものなの。」
James Cotton には、
「シュンはいいプレイヤーだな。彼のプレーが恋しくなる時があるよ」

と言わしめた、日本が誇るギタリスト。

※このツアーのことが菊田さんのブログにも書かれていました。
http://plaza.rakuten.co.jp/shunkikuta/
この中の、「バーボンとブルースがあったらいい」と言っていた女性というのは、もちろん私のことです(笑)
光栄です!!

菊田さんに会うのは初めて。
世界で活躍されている方なので、なかなかライブなどに行く機会もなかったが、噂とブルース雑誌などではよく知っていた。

今回のブルースツアーで何が良かったかと言えば、とにかく菊田さんと過ごした時間が挙げられる。
野球選手で言えば、松坂やイチローに会ったようなもので。
本当に世界に通用する人間というのは、そのプレーはもちろんだけれど、それ以上に人間性がグローバルというか、豊かで大きな人なのだということを実感した。

ハキハキした物言い、高ぶらない気さくさ、熱いブルース魂、他人への思いやり、社交性と機転の利きの良さ・・・そして、ギタープレイ。すべてにおいて一流だった。

この館内では、ケビンという管理者の黒人の方が待っていて、いろいろ案内してくれた。菊田さんがすべて通訳をしてくれる。
いろんなブルースマンの写真を見るたび、歓声をあげる。
ゆかりの品々を目にするたび、ああ、本当にシカゴに来たのだと実感する。
これだけでも十分だったのに、菊田さんがこんなことを言った。

Roy Hytower というブルースマンがここの2階で皆さんに生演奏を披露してくれる、と。

申し訳ないが、ロイ・ハイタワーというブルースマンを私は知らず、初めて聴くことになったのだが、彼が現れて顔を見た瞬間、なんて素敵な顔をしているんだろうかと思った。
美男子という意味ではない。
柔らかい表情と奥に秘めたものが感じられて、なんだかたまらなかった。
かなりのお年だとは思うのだが、シャキッとした姿勢にも惹かれた。
お孫さんだろうか、かわいい女の子を連れていた。

2階に上がり、演奏が始まる。
ギターとハーモニカ。
そのプレイもすごかったのだけど、私はとにかく「声」にまいってしまった。
こんなすごい声を生で聴けることに心から感謝した。
体中に電気が走ったみたいになって、次の瞬間にはもうゴキゲンで、顔がにやけてくるのを止められなかった。

そして、ここでもう一つ素敵なことがあった。
一緒にツアーをまわっているナカハタさんという鹿児島の男の人が一緒にプレイしたのだ。
彼は、シカゴまでギターを抱えてやってきた、せつないほどひたむきなブルースギタリストで、普通なら多少腕があっても、いきなりプロの黒人ブルースマンと一緒にプレイしようと言われたら尻込みしてしまいそうになると思うのだが、「イエス」と答え、前に出た。

また、それが素晴らしくて。
何の打ち合わせもなく、今日初めて会ったシカゴの黒人と日本人がいきなりセッション。
「これが、ブルースの良さなんだよね」
と菊田さん。
うん、うん、とうなずく私。

得意の感情移入でナカハタさんの高揚した気持ちを感じて、ちょっと泣きそうだった。
ああ、ブルースは最高!!





その後、もっとすごいことが待ち受けていた。
一旦、ホテルで荷物を置き、夜は菊田さんガイドで「SOUL QUEEN」へ。


ここは黒人の家庭料理、いわゆる「ソウルフード」と呼ばれる料理が出されるレストラン。
菊田さんのガイドなしにはなかなか行けない店だ。
1つ1つ料理の説明もしてくれた。


これは、私が取ってきた料理。
バイキング形式になっていて、およそ1000円ほどとか。
かなりお安いし、美味しい。

決して贅沢ではない食材だが、それを工夫して美味しく食べようとしてきた黒人の想いが込められた、まさにソウルフード。

例えば、「チキン・ドレッシング」は、ターキーに詰め物をして焼く、その詰め物の部分。
「コーン・ブレッド」は、コーンとミールを主体にしたパン。
「スモーク・ハム・ホック」は豚のひざの肉を使ったハムを煮込んだもの。
「グリーンズ」は、固い葉っぱをいろんな味付けをして数時間煮込んだもの。

食材だけを見ると本当に質素なものなのだが、味は美味しかったし、何より魂に響いた。
フライドチキンやバナナのプティングも気に入った。

そこでは、ツアーの催し物で抽選会も行われた。
くじ引きでいろいろと商品が当たる。
なんと1位は菊田さんのサイン入りギターで、私はそれを絶対当てようと思っていたのだが、結果は9位。彼は5位だった。
1位のギターを獲得したのは、札幌のベーシストだった。


あとは、全員が菊田さんのニューアルバムをサイン付きでプレゼントしてもらった。

とても楽しい時間を過ごした後も、まだまだ夜は終わらない。
今度は、菊田さん案内でブルースバーへ。
本場シカゴのブルースバー!!
生演奏が聴け、菊田さんもプレイするとか。


よけいな説明はいいか。
とにかくブルースに酔いしれた。

菊田さんのギターもカッコよかったし、ベースの人のゆったりした感じも最高だった。
ヴォーカルのパワーには圧倒された。
ベタベタのブルースではなくて、サム・&デイブやオーティス・レディングなど、ちょっとR&Bの要素も強い選曲で、それもまた私の感性に合った。
生で「My Girl」を聴いて、改めて名曲だなぁと感じた。

濃い。
本当に濃い1日。

彼とホテルに帰ってからも、「あー、もし今日1日でシカゴの旅が終わりって言われてもいいくらい満足したなぁ」と言い合った。
本当に、長い長い、貴重な1日。
人生で忘れることのできない日となった。

サウスエリアへ向かうバスの中で見た風景が頭の中に浮かぶ。
高層ビルが立ち並び、白人が闊歩する都会の風景とは一転して、さびれた町。
家の窓ガラスはめちゃくちゃ。
ほとんどの家が窓ガラスに板を打ち付けている。

町にはぶらぶらしている黒人の若者がたむろしていて。
働かないのか、働く場所がないのか、それはわからない。

ギリシャ人の住むグリーク街、中国人の住むチャイナタウン、メキシコ人のエリアもあり、そして黒人のエリアもあって。

アメリカは自由の国だなんて、誰が言ったんだろう。
いろんな人種が混在し、なおかつ分かれて暮らすことしかできない国じゃないか。
少しバスで走っただけで見えてくる貧富の差。

後日、ブルースを通して、私はまた「人種」という壁と、日本にいたら実感し得なかったことを知る。
我が心の師匠・B.Bキングが言っていたことを思い出す。

「私は、ブルースを歌うたびに、自分が黒人であることを再認識する」

そのことが、こんなジャパニーズ・イエロー・モンキーにも、少しだけわかった気がした旅だった。
ブルースには、こんなちっぽけな私には計り知れない、歴史とソウルがある。


シカゴ・ブルースの旅 その1

2007-07-19 09:20:55 | 
★ブルース旅日記のその3以降のアップが遅かったので、
 その2・1をアップしなおしました。(内容は一緒。順番だけね)

◎憧れの地・シカゴ

シカゴ。
ブルースの本場、20歳からの憧れの地。

いつかシカゴへ行って、ブルース・フェスティバルを観て、ブルースバーで生演奏を聴いて、シカゴの風を感じてくる。
それが、長い間の夢だった。

いつか叶うような気もしたし、絶対に叶わないような気もしていた。
そんな大げさな・・・たかがアメリカ旅行じゃないか、宇宙へ行くわけでもあるまいし・・・と思うかもしれないが、夢は夢のままで終わることだってあり得た。
なぜなら、この夢の実現には、一緒にブルースと風を感じてくれる「相手」が必要だったからだ。

ソウルメイトはいた。
私の夢は形になった。


◎トイレに行きたい

6月6日
彼と二人、シカゴを目指し、飛行機に乗った。
朝8時伊丹発で成田へ。そこからシカゴまではさらに12時間。
かなりの長旅だ。


成田へ向かう途中、飛行機の窓から見えた富士山。
この気高く美しい姿を見ると、自分も凛とした気分になった。
さあ、いよいよ出発だ!

シカゴ行きの飛行機のシートは3人掛けで、彼が窓側、私が真ん中。
通路側はどんな人が来るのかと思ったら、黒人のおばちゃん!!
もう今にもゴスペルとか歌いそうな感じ。

しかし、私も彼もトイレが近い。
トイレに行くには、そのゴスペルおばちゃんの前を通らなければならないのだ。
二人でぼそぼそと「トイレどうする?」「ビールガマンしよう」と相談。
それでも、「お飲み物はいかがですか?」と来られたら、迷わず、
「あ、じゃあ、ビールを・・・」と答えている二人・・・

結局、トイレは1回だけ「ソーリー、ソーリー」と言いながら通らせてもらって二人で一緒に行ったが、その後はなんとか行かずにガマンができた。
長時間乗るときは、やっぱり通路側がいいなぁ。

12時間はかなり長く感じたが、東野圭吾の分厚い本を持っていっていたのと、彼がDSを持ってきてくれていたので、退屈はしなかった。
このDSは、彼が会社の上司の方から借りてきたもの。
「脳内トレーニングのソフトも買ったから、やろう!」と彼。
「やろう、やろう!」と私もはりきっていた。

それが、いざやろうとしたら、彼が「あっ!」と言う。
どうしたのかと思ったら、ソフトを出した瞬間に落としたというのだ。
おいおい……!
シートの下を探してみたが、一向に見つからない。
「降りるときに探すわ・・・、たぶん後ろの席までいってる・・・」
結局、脳トレはできず
「えいごづけ」だけやった。

さらに、映画でも観ようかとリモコンを取ろうとしたら、なんと!ゴスペルおばちゃんの腕が私のリモコンの上に!!
言おうかと思ったが、なんとなく言いづらい雰囲気・・・。
じゃあ、ゴスペルおばちゃんが席を立ったときか、腕をどけたときにさっと取ろうと思い、ずっと待つことに。
でも、結局最後まで腕は乗ったままだった・・・


◎ブルース旅仲間との出会い

ついに着いた!憧れのシカゴ!
今回はツアーだったので、専用のバスが空港で待っていてくれた。
そこに乗り込んだ13人。
これから旅を共にするメンバーだ。

大阪からは、私たち以外に2組の夫婦。
年齢は40代と50代だろうか。
それから、京都から20代後半のおにいちゃん。
合計7名。

意外にも東京などの関東人は全くいなくて、あとは九州勢!
福岡のカップル1組。北九州市のカフェ経営者、鹿児島のギタリスト2名。
合計5名。
西日本、アツイな!

さらに、北海道は札幌から1名。
「札幌だとブルースやってる人も少ないんじゃないですか?」と尋ねると、
「10人くらいですかね」と言っていた。
うーん、貴重だ!

本当は30名以上で催行だったのだが、強い要望により13名でもツアーが行われることになったという。
どんなマニアックな人たちが集まるんだろうかと思っていたら、わりとみんな普通で、そして、とにかくいい人ばかり!

この仲間たちのおかげで、旅はぐんと楽しくなった。


◎シカゴに来たんだ!

1日目はシカゴ市内観光。
バスで主な名所をまわってくれる。
ガイドさんも日本人のおじさんで、またこのガイドさんがとても気さくないい人で、あまり期待していなかった観光もなかなか楽しかった。

何より天気がいい!
私と彼の旅はいつだって、快晴
抜けるような青空とはこのことか。
気温も25度前後で暑くも寒くもなく、本当に気持ちがいい。

アメリカで一番高いビル「シアーズタワー」では、103階の展望台へ。
眼下に広がる景色は、そりゃもう絶景!


日本とはスケールが違う。
さらに、山がないものだから、本当にどこまでも平野が広がっている。


一方では高いビルもそびえたち、その向こうにはミシガン湖が。

このミシガン湖の近くにも連れて行ってもらい、湖越しにビルを眺めると、こんな感じ。


どう見ても海にしか見えない。
九州と四国を足したくらいの大きさはあるとか。
がんばれ、日本一の琵琶湖!(笑)

まだ普通の観光で、肝心のブルースは出てこなかったが、観光にも満足していた。
彼と二人、何度も何度も「よかったなぁ、来てよかったなぁ」と言い合う。

旅立ちの前日の睡眠は3時間。
その前の日も4時間くらい。
その前の日も確かわずかだった私。
旅行前に仕上げておかなければならない仕事に追われ、旅の準備に追われ、とにかく忙しく、寝る時間がなかった。
そのうえ、時差で夜中のはずが朝になっていて。
ほとんど寝ないままでまた新しい日が始まっていた。
だけど、眠気も吹き飛ばせるくらい、興奮していた。

今、シカゴにいる。
そう思うだけで、熱いものがこみ上げてくるのを抑え切れなかった。

本当にシカゴに来てよかったと思える出会いやブルースがあるのはこれからなのだが、この時点で既に私も彼もシカゴを満喫していた。

ブルース三昧の日々については、また明日