この2、3年、若者の就職支援をしている大阪府の事業部から、いろいろな仕事を受けている。
若者と企業のマッチングを助けるイベント取材であったり、
企業向け新聞に向けての「若者採用」についてのコラムであったり、
若者採用についての指南書であったり。
その関係で、一昨年は大阪府の中小企業を30社ほどまわり、取材もした。
それは1冊にまとめることができ、とても感謝している。
今月に入ってからも、企業向けの広告を作成してほしいという依頼があった。
「助成金制度を利用して、もっと採用に積極的になってほしい」と企業に促す内容の物だ。
3案違うタイプのコピーを提出したところ、
「どれも捨てがたい・・・」とありがたいお返事。
ただ、素人によくありがちな行為だが、A案を基本にしてそこにB案の一部とC案の一部を無理やり組み合わせたものが戻ってきた。
1つ1つが完成品なのにな・・・
とは思ったが、向こうが入れてほしいセンテンスをうまく生かしながら校正してみた。
不自然にならないよう、流れが悪くならないよう。
その戻しはOKをいただき、とても気に入ってもらえたようだった。
それが……
もう一つ新事業の立ち上げに際して頼みたい仕事があるとのこと。
打ち合わせに伺おうと思ったら、
「お詫びがあるので、こちらから出向きます」との返事。
お詫び?!
なんだ……?
しかし、そう言われても出向かれるほどのことはないと思い断ったが、
メールでの押し問答の末、昨日、北浜の上島珈琲で会うことになった。
行ってみると、上司の男性も来られ、なんだか大事になっている……
話を聞いてみれば、こうだ。
なんと向こうの手違いで、私が最終の校正をしたものではなく、
その前に向こうが出してきた3案をごちゃ混ぜにしたもののテキストを入稿してしまったと……。
仕上がってきた広告を見せてもらうと、確かに……
でも、印刷まで終わったものをとやかく言っても始まらないし、
私としては「別にいいですよ~」という感じだったのだが、向こうは二人で平謝り。
「あれがベストだと思って私も提出したわけであり、
そして、それをそちらもベストだと思ってくださっていたのなら、
それが形にならなかったことは残念だとは思います。
でも、済んだことですので、気になさらないでください……」
そのようなことを伝えると、上司の方がこう言ってくれた。
「でも、生み出された文章は、自分の子供みたいなものですよね?
だから本当に申し訳なくて……。
それに、これからもいろいろ力を貸していただきたいと思ってるんです」
私はなんだかその言葉に感動してしまって、ちょっと泣きそうだった。
生み出した文章は、自分の子供みたいなもの……
それをわかってくれるクライアントが一体どれほどいるというのか?
私が、それくらい想いを込めて仕事をしているということを、理解してくれていたこと、
それが何よりも嬉しかった。
誠実な対応というのは、こういうことなんだな、とも思った。
よくお店などで、クレームがあると対処後に、それが逆に顧客満足度へつながる場合があるという。
まさにそういう感じで、今回の広告は残念だったけど、これからもこちらの仕事は精一杯努めさせてもらおうと、そういう気持ちが増した。
それに、1月早々の仕事を1本いただいたし、
まだ企画段階ではあるが、実現したらとても面白そうな仕事の話をもらった。
ここの事業部は若者の就活を支援している。
企業側・若者の両側からサポートするイベントやセミナーなども企画しているのだが、
「就活をしている大学生に、文章の書き方を教えてもらえないか」
というお話だった。
これは願ってもない話!!
私はいつか「書くこと」を「教える」という仕事ができればいいなぁと、前から思っていたのだ。
私ができる二つのことを両方できるから。
まだ企画段階で具体性はないが、もし実現するとしたらぜひお願いしますと言われ、もちろん引き受けた。
その上司の方には初めて会ったのだけど、とてもいい感じの人だったなー。
国の少ない予算の中で動いている事業なので、あまりいい報酬はもらえないが、
それでもとても楽しくやらせてもらっている仕事の1つだ。
帰りに、「五感」のお菓子をいただいた
北浜に本店があるんだっけな?
過剰なお詫びに驚いたが、でもありがたく受け取った。
天職なんて存在しないよな・・・
今の仕事を一生懸命やるから、その仕事の面白みがわかるわけで。
自分がなぜ仕事をいつも楽しいと思えるのか、それがわかってきたように思う。
一生懸命やって、その仕事の先にある「人」のことを想像していれば、
どんな仕事も充実するし、楽しいのだ。