アスニー山科で11代目小川治兵衛の講演会

2010-06-18 12:15:32 | 琵琶湖疏水

 6月16日アスニー山科にて「植治の庭と京の水」と題した講演会があった。最初の司会者の説明では、「庭師から見た琵琶湖疏水」の話しと紹介されたように、1時間半の講演時間は短過ぎる講演であり、定員200名を大きく越える盛況であった。
                            

 11代目の小川治兵衛の講演を聞くのは3回目になる。彼の曽祖父にあたる7代目治兵衛のころは約300人の庭師を抱え、明治期に多くの名庭を残したが、11代目が昭和45年(1970)に引き継いだころは十数名の庭師に減少し、バブルの崩壊後は受注件数も年間数件に減り、残された庭の維持管理が中心となり、「庭師は自分で庭をどう育てるかを考えることで鍛えられる」と修行の身であることを強調していた。
 昨年と今回の11代目の講演は、庭師の仕事を地球規模から論じる格調の高いものであった。「植治の造園」の材料には、水・土・石・苔・樹木・芝生・山など地球の大地にあるものだけでなく、空気・太陽・月・星・雲など空間に存在する事物や雨・風・雪・露など気象条件も造園の材料になると説明し、顧客の希望に沿った美しい自然・豊かな自然・輝く自然・優しい自然を提供するのが庭師の仕事であると強調された。
 七代目植治の代表作「無鄰菴」と「平安神宮」の庭園マップが配布され、説明をうけたが、平安神宮の応天門と御神殿の間にある広い空間に敷き詰められてある白砂は「白川砂」で、水流を表現しており、栖鳳池(東神苑)・蒼龍池(中神苑)・白虎池(西神苑)・白川砂(水流)で御神殿を外から守っているという植治の発想が秘められていると初めて伺った。


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