ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝びっくりポン〟の句会

2019年04月23日 | 俳句

 今日は四月最後の俳句教室。出かけるとき雨は降っていませんでしたが、午後からは天気予報通り雨となり、帰る5時過ぎ頃はとうとう土砂降りになっていました。でも、久々に降る雨にはホッとします。人間って勝手なもんですね。

 今日の兼題は〝蝌蚪〟。晩春の季語で、お玉杓子のことです。歳時記を見ていたらおもしろい句がありました。

  税の数字よ小学生の日の蝌蚪よ    加藤楸邨

 以前にも楸邨の税の句〈春寒くわが本名へ怒濤の税〉について書いたことがありましたが、このように「税」などを主題にした句はあまり見たことがありませんので、すぐに記憶に残ってしまいますね。こういうところを詠むのが人間探求派とか難解派と言われる由縁なのでしょうか。〈春寒く〉の句の方は分かりますが、〈蝌蚪〉を見て税金を…いや、反対ですね。税金の数字を見て小学生の頃に捕って遊んだ〝おたまじゃくし〟を思いつくなんて誰が想像するでしょうか。

 この兼題は意外と難しく、みなさん四苦八苦されたようで、あまり印象的な句はありませんでした。それよりも今日はとてもいいことがあったんですよ。まず新しい会員さんが2名増えたこと。それもご夫婦で。これでここの句会は13名。更にいつものことですが、お菓子や手作りのフルーツ寒天が出て、おまけに自家製の絹さやがお土産にと…まるで句会ならぬ茶話会のようで、いつにも増して賑やかでした。

 最後はとっておきのいい話!今回の添削句の中に〈風船や卒業の種海越えて〉というのがあったんです。この句の季語は…そう、「風船」と「卒業」の季重ね。ここは「卒業」の方がメインでしょうから、「風船や」はマズイですね。それにこれは、きっと卒業記念で花の種を風船につけて飛ばしたんでしょう。以前そんな話聞いたことがありますし、ならばそれが分かるように…と、〈卒業の風船飛ばす種つけて〉と直したところ、作者が、実はこの句は…と、いきさつを話してくれました。

 〝この前畑に行くと風船が落ちていて、それに種がくくりつけてあって、子供の字で「ひまわりの種です。よかったら育ててください」と書いてあったんです〟と。〝へエッ、どこから飛んで来たの?〟〝福岡県の糸島というところ…〟みんな〝びっくりポン〟です。

 そして、ここで終らないところがサスガ!その小学校に早速返事を書いて出したんですって。すると今度は学校から礼状が届いたんだそうです。みんなが〝何て?〟と聞くよりも先に、〝その手紙ここに持ってきています〟と。わあ、感動、感動!〝じゃあその種植えたの?〟〝まだです〟〝ならば、花を咲かせて写真と俳句を送ってあげなさいよ。きっと喜ばれるから〟と言うと、……どんどん話が発展して行きます。

 〝それでは、この句は〈卒業の風船飛び来種つけて〉としましょう。そして、芽が出たところや花が咲くまでの様子などを詠めば、これから当分は句材にことかきませんね。頑張って…〟ということで、オシマイ!

 その落ちていた風船の写真も見せてもらいましたが、ハート形の…でも彼女のところに着いたときにはよれよれになっていて、よくぞ飛んで来たという感じ。涙ぐましいものがありました。ね~いい話でしょう。

 帰りは雨ザーザーでしたが、心はホッカホカ。

 写真は、学校(福岡県糸島市立波多江小学校)からの礼状。ブログに載せる許可をいただきました。ちなみに返事を出されたのはご主人様ですって。いいご夫婦ですね。ゴチソウサマ!

 

 

コメント (2)
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