★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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街のカラス(30了)

2009年10月01日 | 短編小説「街のカラス」
 数秒後、女性スタッフが新しい会員を引き連れて入ってきた。
 あちゃー、本当にこの電柱の位置は良くない。今回もカラスに特別な感情を持っているらしい女性スタッフとばっちり視線が合ってしまった。
 「か・からすがこっちを見てるぅ~!」
 お決まりのすっとんきょうな声をあげてオイラを指差し、それに釣られて道師さまとラメの紫服男もオイラの方を振り返った。
 さて、今回はぼちぼち退散するか。
 オイラは、最後に壁にかかっている妖しく輝いている丸いプレートをチラッと見て電柱を思いっきり蹴って飛び立った。
 この辺りの風は、本当に心地よい。穏やかな上昇気流に乗ってぐんぐん高度を上げた。街はどんどん小さくなり、はるかかなたには太平洋の水平線も見えてきた。
 ニンゲンもこんな風に空を飛べたら、何もあんな変な部屋でごちゃごちゃしなくていいのになぁ、と思いながら、オイラはお気に入りの鉄塔のねぐらに進路を取った。


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