★しろうと作家のオリジナル小説★

三文作家を夢見る田舎者です。
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義腕の男(40)

2010年05月23日 | 短編小説「義腕の男」
 俺が拘束されているこの部屋の壁は、コンクリートの打ちっぱなしで何も無いように見える部屋だが、どこかにカメラがあって監視されているのは間違いない。こちらの手の内は全てばれているうえ動きまで見張られている。最悪の状況だ。
 そこまで考えたとき、俺は気が付いた。
 俺とタイマンを張ったMr.Rは、ジャックが俺の右腕につけてくれた腕時計型緊急スイッチを知らなかった。そうでなければ俺に殴られてあんな怪我をするような真似はしなかったはずだ。
 つまり、ジャックが全面的にバランサーに協力しているというわけではない。一縷の望みではあるが、相手が知らないカードがこちらにもあるということだ。
 俺は、後ろ手に手錠で繋がれている右腕に手首にあるコード入力ボタンに左手で腕の取り外しのコードを入力した。鉄柱から逃れるには、左腕を切るか右腕をはずすしか方法が無い。監視されている中、相手がもっとも欲しがっている右腕をはずすのは危険この上ないが、仕方ない。ここからはスピードが命だ。


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