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知人の招待で、クルーザーで気ままに瀬戸内海の島々を訪れるという貴重な体験をしました。

招待といっても、決して故ダイアナ妃のような優雅なクルーズではありません。
招待されたひとりひとりが乗組員、児島のマリーナで船を海に下ろした後、まず船室やデッキの清掃から始まります。
島の船着き場での接岸離岸ではそれぞれの能力に応じて役割を果たし、最後は再び船を陸にあげて清掃で終わります。


船長は足の悪い70過ぎのおじいちゃんですが、島々の間にある暗礁や航行不能とも思える浅瀬にある「ビンの首」と呼ばれる水路などを知り尽くし、なかなか巧みな舵さばきです。



大小多数の船が行き交う瀬戸内の風景は、古代も変わらないものだったに違いありません。今のようにトラックなどによる陸の輸送が期待出来ない時代ですから、むしろ瀬戸内海航路は唯一の大量物流手段、生命線だったでしょう。
そういえば、天皇の寵愛を一身に受けたことで皇后の嫉妬を買って吉備へ逃げ帰った黒比売(兄媛だったっけ)は、船を使うことを許されず、吉備まで陸路を歩いて大変だったとか……何かの本で読みました。


2階操舵席からの眺めは抜群、舳先で全身に受ける風は爽快です。

いくつかの島を訪れた後、最後に与島に向かいました。
与島から出航した観光船「咸臨丸」に航路を譲り、その後追い抜いて与島の船着き場に入りました。

勝海舟に率いられた咸臨丸には、塩飽諸島と呼ばれるこの周辺の島出身の男たちが何十人も水夫として乗り込み、アメリカ初渡航を果たしました。観光船「咸臨丸」はそれにちなんだ名前です。

瀬戸内海は穏やかな表情とは裏腹に浅瀬や海峡も数多くあります。まるで鳴門のような急流に出会うこともあります。
その中でも特に、潮湧くが如く複雑に変化する潮流に囲まれた塩飽本島に本拠地を構え、潮を利用して船を意のままに操った「塩飽水軍」の操船技術は、他の追随を許さなかったのでしょう。

本を読んだだけでは到底分からない、貴重な塩飽体験でした。


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余談ですが

瀬戸大橋で渡れるこの与島には新しい施設、ベゴニアの温室や足湯が造られていました。入場料はチョット高め(1500円)だったけれど、結構楽しめました。

足湯は鉄分を含んだアルカリ泉で、何となく踵がすべすべになりましたよん。

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