鴨着く島

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へルソン州の危機

2022-10-25 21:15:46 | 災害
ロシアはウクライナ南部のへルソン州の戦局を不利とみて、親ロシア系住民をドニエプル川の東岸に移動させる作戦に出た。

作戦というと聞こえは良いが、何のことはない、ウクライナ軍の攻勢に耐え切れなくなり、軍民を親ロシア系住民の多いへルソン州東部に「疎開」させているのだ。

このこと自体、当然と言えば当然だが、しかし今朝の新聞によると、ロシアの国防長官が西側のイギリス、フランス、トルコ及びアメリカのそれぞれの国防長官と相次いで電話会談を行ったという。その内容とは、ロシアによると、ウクライナが「汚い爆弾」を使う恐れがあるというものだ。

(※「汚い爆弾」とは、放射性物質を撒き散らす爆弾で、核兵器とは全く違い核爆発による殺傷を狙ったものではなく、むしろ「生物兵器」に近い。

3年前の12月に発生した中国武漢由来の新型コロナウイルス禍も一時は、「すわ、生物兵器か」などと考える向きもあり、その真偽は今もって定かではないが、生物兵器は致死性の高い菌や毒物をミサイルの弾頭に充填して繁華な地域に落として被害を広げる兵器である。)

ロシアのショイグ国防長官のその話をまともに信用する英米仏の国防長官はいなかった。かえってロシアの「偽旗作戦」だろうと考えている。

つまり例の「やられたらやり返す」の論法で、向こう(ウクライナ)が先にロシアに対して「汚い爆弾」を使用した以上、ロシア側も同様の措置をとるぞ、こちらにもやり返す権利はあるんだぞ!――ということが伏線にあるわけである。

アメリカの「戦争研究所」というシンクタンクは、ロシアが「汚い爆弾」なり「核兵器」なりを使う可能性は低い、と見ているようだ。

しかしプーチンが一方的な住民選挙でへルソン州のロシア併合を宣言した以上、国土の安全を脅かす相手に対してはいかなる兵器の使用も辞さないことは確実である。

一足飛びに核兵器を使うことはないにしても、「汚い爆弾」のへルソン州西部(ドニエプル川西岸)への使用は現実味を帯びて来た。くわばら、くわばら!