仮名日記

ネタと雑感

飲んだくれていたい男(その1)

2005年06月17日 | 生活
 きっかけは「下町ハイボール」でした。それは「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系列のバラエティー番組、念のため)で紹介された謎の飲み物(2004年放送)。放送後に一部では話題になったので知っている人もいるでしょう(雑誌「散歩の達人」に載ったのが先らしいけれど)。
 普通ハイボールといえばウィスキーの炭酸割りのことですが、関東の一部地域では、甲類焼酎と味・香り付け用の液体を混ぜて炭酸で割ったものをいうのだそうです。「タモリ倶楽部」ではそのハイボールの素である「Aハイボール」(「天羽の梅」と呼ばれたりもする。どれが正式な名称なのかよく判らない)と、それを製造している天羽飲料という会社がフィーチャーされていました。
 その訳の判らなさ・正体不明ぶりにいたく興味を惹かれ、同番組のロケをしていた居酒屋「遠太」( 東京都荒川区東日暮里1-31-2)に行って飲んでみました(その前に、周辺にある天羽飲料製造有限会社(東京都台東区竜泉3-37-11)も覗いてきた。町工場か倉庫風の雰囲気がナイス)。
 その店では「焼酎ハイボール」と呼ばれていた件の飲み物、これを梅味と言い切るのは少々ためらわれ、なんとなしに人工的な感じはするけれど薬品くさいいやらしさはなく、そうこうしながらも飽きずに飲み続けていられる、結局のところ正体不明のものでした。
 まあ、早い話がおいしかったし、店の雰囲気も料理も良かったのですよ。この成功に気をよくし、同様のマイナー系の飲み物はないかと調べてみたところ、もっとも詳しかったのが以下のサイト。

酔わせて下町 特集 謎なドリンク特集

 ここで紹介されているなかでもっともそそられたのが「ドブサワー」なるもの。この商業性皆無の名前がグッとくる。で、またもそれが置かれている店を探しあてて行って参りました。
 事情により名前・場所は伏せますが、細長いカウンターだけの店で、人が座っていると後ろを通るのも苦労するぐらいの狭さ。カウンターの中には気の優しげなマスターがひとりだけ。
 店内の壁にはちゃんと「ドブサワー」と書かれたメニューが貼り付けてあり、何気ない風を装って注文したところ、「DOV」と大きく書かれたビール瓶風の容器から白い液体を氷入りのグラスに注ぎ、それを炭酸で割ってレモンスライスを入れたものが供されました。
 見た目はカルピスサワー風ですが、飲んでみると甘さが少なくすっきりとした味わい。アルコール度数は低め(4~5度ぐらい?)で、その時にマスターが説明してくれたとおり、「にごり酒を炭酸で割ったようなもの」と表現すれば判りやすい。飲み口が爽やかなので肴とも合わせやすいと思われ、これまでにまったく広まらなかったのが意外に感じられる。宣伝が足らなかったのか、やはり名前が良くなかったのか。常連らしき客が「ドブ」と言って注文していたのに心中で苦笑い。
 ともあれ、その店の売りらしきタン料理とともにドブサワーを堪能し、心身ともに満ち足りて帰途についたのでした。が、この浮かれ気分を打ち砕く恐るべき疑惑が待ち受けていようとは、そのときの私には知る由もなかったのです。(つづく)