今日は沼尻のんさんの最新作「CURAUD」をご紹介します。現代的な造形を表す名前をつけようと考案した、Cloudにも通じる造語だそうです。
台座になっているのは、色のきれいな、そしてそれぞれがユニークな形のガラスの塊ですが、さらにユニークなのが万華鏡のボディーデザインです。
ワイヤーアートでアレンジしたこのふたつの万華鏡は、それぞれが個性を競い合うようですね。作家さん自身が「今にもおしゃべりしそうな、ちょっと愉快なフォルム」と説明しているのも、よくわかります。そしてそれが「のんさんらしさ」になっています。
先端のオブジェクトセルが回る仕組みは沼尻のんさんのオリジナルな工夫で、セルの中のガラスオブジェクトはバーナーワークでひとつひとつ作り上げたものです。
CURAUD ' Ye(黄色の作品)を覗いてみると、中心映像の周りにガラスの柱が立ち上がってきており、その間、しかも一段奥にに映像が映り込むラインが見えています。
写真では手前がぼけてしまい、その立体感がわかりにくいのが残念ですが、ユニークできれいな映像です。沼尻さんが考案した2ミラーシステムの変形だそうです。
CURAUD ' Bu(青の作品)の映像は同じミラーシステムですが、ブルーのガラスが周囲を囲み、オブジェクトの色を反射しています。
次の作品は「薔薇に抱かれて」というロマンティックなタイトルの作品です。
ですが、この作品も沼尻さんらしく、モダンな切り口で造られています。
台座は美しい色のガラスを選び、サンドブラストで薔薇の花模様を浮かび上がらせています。
万華鏡本体の筒には少し和を意識して市松模様にピンクと白のガラスを配しながら、スタイリッシュなデザインを目指しました。
この万華鏡の映像はこれもまたびっくりするほどシンプルできれいです。薔薇園で花に囲まれているように・・・とデザインしたそうです。
映像には大胆な変化ではなく、淡い色合いの変化を楽しむように工夫しました。 ガラス七宝を使ってソフトな暖かみのある映像を生み出しています。
馥郁とした薔薇の香りをシンプルなデザインに込めた映像で、素敵ですね。
いつもチャレンジすることを忘れない作家さん、沼尻のんさんの斬新さ、思い切りの良さ、そして繊細さを感じる新作万華鏡のご紹介でした。