愛媛・久万中学校
★教室の窓に夏嶺の高々と 正子
久万高原の自然の風光に富んだ、木の香りのする校舎の久万中学校。校舎の窓より仰ぐ夏嶺が実に清々しく、恵まれた緑の環境と相まって、より一層子どもたちの豊かな心を育んでくれるようです。日々子どもたちの成長を見守り、励ましてくれる、悠然と聳える夏嶺です。(藤田洋子)
○今日の俳句
雨雲の山を離れて合歓の花/藤田洋子
合歓の花を的確に捉えている。愛媛の久万高原などに出かけると、垂れていた雨雲が山を離れていって、合歓の花があきらかに浮かびあがってくるが、このようなところに合歓は自生する。(高橋正子)
○第14回(七夕)フェイスブック句会入賞発表
【金賞】
★山の湯へ七夕笹を潜り入る/佃 康水
七夕飾りをしてある山の湯。七夕飾りをさらさら鳴らして湯に入るという、抒情ゆたかな七夕が詠まれている。(高橋正子)
【銀賞】
★梅雨明けを待ちつつ髪を切りにけり/多田有花
梅雨の間は特に髪が重いと感じるのだが、梅雨明けのさっぱりした気持を思いつつ、髪を切る。これで気持ちの中では一足先に梅雨が明けそうだ。(高橋正子)
【銅賞】
★梅雨の森また静やかに葉を鳴らす/小西 宏
梅雨の森は青葉が茂りしんとして緑の奥深さを感じる。風に鳴り止んだ葉が、またも静かに葉を鳴らす。なんと、ひそけく「静やか」なことであろう。深い明るさがある。(高橋正子)
★嵐去り蜻蛉生れて田の上に/井上治代
嵐が去ると、さっそく生まれ出た蜻蛉が田の上を勢いよく自在に飛んでいる。田の緑、蜻蛉のすずやかさに、生き生きとした爽やかさ季節が読みとれる。(高橋正子)
※その他の入賞作品:
http://blog.goo.ne.jp/kakan02d
○のうぜんかずら
[凌霄の花(のうぜんかずら)/横浜市港北区箕輪町]
★家毎に凌霄咲ける温泉(いでゆ)かな/正岡子規
★のうぜんの花を数へて幾日影/夏目漱石
★凌霄や長者のあとのやれ築土/芥川龍之介
★のうぜんの暮れて色なし山の家/臼田亞浪
★噴井あり凌霄これを暗くせり/富安風生
★凌霄花落ちてかかるや松の上/山口青邨
★凌霄のかづらをかむり咲きにけり/後藤夜半
★凌霄花や子は道の上に絵をかける/星野立子
★のうぜんや海近ければ手狭でも/阿部みどり女
★凌霄花の朱に散り浮く草むらに/杉田久女
★塵とりて凌霄の花と塵すこし/高野素十
★凌霄に井戸替すみし夕日影/西島麦南
★松高き限りを凌霄咲きのぼる/橋本多佳子
★凌霄花や問ふべくもなき門つづき/中村汀女
★今日の日の凌霄花にまで傾きし/中村汀女
★凌霄は妻恋ふ真昼のシヤンデリヤ/中村草田男
★のうぜんや眞白き函の地震計/日野草城
★凌霄花に沈みて上るはね釣瓶/星野立子
★凌霄花の咲き垂れし門父母います/加藤楸邨
のうぜんかずらを初めて知ったのは、大学2年生の夏。島根県へ注ぐ江川が流れる広島県三次盆地の高台のお寺に咲いていた。当時所属していた松山の俳句結社の吟行に参加させてもらったときのこと。真夏の煙るような空に曙色の大ぶりな花が魅力的だった。
砥部の家にも植木屋さんが持ってきてくれたが、できつつある庭の雰囲気にあわなかったので、お隣にあげたら見事に花を咲かせて、それを楽しませてもらっていた。その花を向かいの方が植えたがり、隣の方が分けてあげて、向かいの家にもそののうぜんかずらが玄関脇を覆うほど花を咲かせた。夏が来ると、隣と向かいののうぜんの花を我が家の花のごとく楽しんだものである。
★凌霄花の朝(あした)の花と目が合いぬ/高橋正子
ノウゼンカズラ(凌霄花、紫葳、Campsis grandiflora)はノウゼンカズラ科のつる性木本。夏から秋にかけ橙色あるいは赤色の大きな美しい花をつけ、るつる性の落葉樹。気根を出して樹木や壁などの他物に付着してつるを延ばす。花冠は漏斗状。結実はまれである。日本で栽培されるノウゼンカズラは中国原産で平安時代に渡来したといわれる。ノウゼンというのは凌霄の字音によるといわれる。古くはノウセウカズラと読まれ、これがなまってノウゼンカズラとなった。霄は「空」「雲」の意味があり、空に向かって高く咲く花の姿を表している。夏の暑い時期は花木が少なく、枝を延ばした樹木全体に、ハッとするような鮮やかな色の花を付け、日に日に咲き変るので、よく目立つ。茎の先に房状花序をつける。花冠はラッパ型で先が5片に裂けて開く。葉は奇数羽状複葉。つるは気根を出し固着すしながら伸びる。幹はフジと同じように太くなる。樹勢が非常に強く丈夫な花木であり、地下茎を延ばしひこばえを周囲に芽生えさせ、繁殖する。落花すると、蜜がたれ周りを湿らすほど。その蜜に、メジロが目ざとく感知して集まってくる。蜂も姿を現す。その蜜は毒性があるといわれるが、根拠のない俗説・風評である。花や樹皮は漢方薬では利尿や通経に使われる。園芸品種が複数存在し、ピンクや黄色などの花色もある。新梢に房となって花が枝元から次々に咲き、花は毎日のようにすぐに散る。花が終わった新梢をそのままにしておくと、樹の姿が乱れ、樹勢が衰えるので適切な剪定が必要。ノウゼンカズラ属はノウゼンカズラと、アメリカ合衆国南東部原産のアメリカノウゼンカズラ(C. radicans)、およびこれらの雑種C. x tagliabuana からなる。アメリカノウゼンカズラの花は中国系ノウゼンカズラより小ぶりで細長く、濃い赤橙色。送粉の仕方に特色があり、世界でもっとも小さい鳥といわれるハチドリが空中をホバリングしながら嘴を花の中にさし込んで蜜を吸う。花の形がラッパに似ていることから英語では「トランペット・フラワー」、「トランペット・ヴァイン」あるいは「トランペット・クリーパー」と呼ばれる。
◇生活する花たち「カンナ・半夏生・夾竹桃」(横浜日吉本町)
★教室の窓に夏嶺の高々と 正子
久万高原の自然の風光に富んだ、木の香りのする校舎の久万中学校。校舎の窓より仰ぐ夏嶺が実に清々しく、恵まれた緑の環境と相まって、より一層子どもたちの豊かな心を育んでくれるようです。日々子どもたちの成長を見守り、励ましてくれる、悠然と聳える夏嶺です。(藤田洋子)
○今日の俳句
雨雲の山を離れて合歓の花/藤田洋子
合歓の花を的確に捉えている。愛媛の久万高原などに出かけると、垂れていた雨雲が山を離れていって、合歓の花があきらかに浮かびあがってくるが、このようなところに合歓は自生する。(高橋正子)
○第14回(七夕)フェイスブック句会入賞発表
【金賞】
★山の湯へ七夕笹を潜り入る/佃 康水
七夕飾りをしてある山の湯。七夕飾りをさらさら鳴らして湯に入るという、抒情ゆたかな七夕が詠まれている。(高橋正子)
【銀賞】
★梅雨明けを待ちつつ髪を切りにけり/多田有花
梅雨の間は特に髪が重いと感じるのだが、梅雨明けのさっぱりした気持を思いつつ、髪を切る。これで気持ちの中では一足先に梅雨が明けそうだ。(高橋正子)
【銅賞】
★梅雨の森また静やかに葉を鳴らす/小西 宏
梅雨の森は青葉が茂りしんとして緑の奥深さを感じる。風に鳴り止んだ葉が、またも静かに葉を鳴らす。なんと、ひそけく「静やか」なことであろう。深い明るさがある。(高橋正子)
★嵐去り蜻蛉生れて田の上に/井上治代
嵐が去ると、さっそく生まれ出た蜻蛉が田の上を勢いよく自在に飛んでいる。田の緑、蜻蛉のすずやかさに、生き生きとした爽やかさ季節が読みとれる。(高橋正子)
※その他の入賞作品:
http://blog.goo.ne.jp/kakan02d
○のうぜんかずら
[凌霄の花(のうぜんかずら)/横浜市港北区箕輪町]
★家毎に凌霄咲ける温泉(いでゆ)かな/正岡子規
★のうぜんの花を数へて幾日影/夏目漱石
★凌霄や長者のあとのやれ築土/芥川龍之介
★のうぜんの暮れて色なし山の家/臼田亞浪
★噴井あり凌霄これを暗くせり/富安風生
★凌霄花落ちてかかるや松の上/山口青邨
★凌霄のかづらをかむり咲きにけり/後藤夜半
★凌霄花や子は道の上に絵をかける/星野立子
★のうぜんや海近ければ手狭でも/阿部みどり女
★凌霄花の朱に散り浮く草むらに/杉田久女
★塵とりて凌霄の花と塵すこし/高野素十
★凌霄に井戸替すみし夕日影/西島麦南
★松高き限りを凌霄咲きのぼる/橋本多佳子
★凌霄花や問ふべくもなき門つづき/中村汀女
★今日の日の凌霄花にまで傾きし/中村汀女
★凌霄は妻恋ふ真昼のシヤンデリヤ/中村草田男
★のうぜんや眞白き函の地震計/日野草城
★凌霄花に沈みて上るはね釣瓶/星野立子
★凌霄花の咲き垂れし門父母います/加藤楸邨
のうぜんかずらを初めて知ったのは、大学2年生の夏。島根県へ注ぐ江川が流れる広島県三次盆地の高台のお寺に咲いていた。当時所属していた松山の俳句結社の吟行に参加させてもらったときのこと。真夏の煙るような空に曙色の大ぶりな花が魅力的だった。
砥部の家にも植木屋さんが持ってきてくれたが、できつつある庭の雰囲気にあわなかったので、お隣にあげたら見事に花を咲かせて、それを楽しませてもらっていた。その花を向かいの方が植えたがり、隣の方が分けてあげて、向かいの家にもそののうぜんかずらが玄関脇を覆うほど花を咲かせた。夏が来ると、隣と向かいののうぜんの花を我が家の花のごとく楽しんだものである。
★凌霄花の朝(あした)の花と目が合いぬ/高橋正子
ノウゼンカズラ(凌霄花、紫葳、Campsis grandiflora)はノウゼンカズラ科のつる性木本。夏から秋にかけ橙色あるいは赤色の大きな美しい花をつけ、るつる性の落葉樹。気根を出して樹木や壁などの他物に付着してつるを延ばす。花冠は漏斗状。結実はまれである。日本で栽培されるノウゼンカズラは中国原産で平安時代に渡来したといわれる。ノウゼンというのは凌霄の字音によるといわれる。古くはノウセウカズラと読まれ、これがなまってノウゼンカズラとなった。霄は「空」「雲」の意味があり、空に向かって高く咲く花の姿を表している。夏の暑い時期は花木が少なく、枝を延ばした樹木全体に、ハッとするような鮮やかな色の花を付け、日に日に咲き変るので、よく目立つ。茎の先に房状花序をつける。花冠はラッパ型で先が5片に裂けて開く。葉は奇数羽状複葉。つるは気根を出し固着すしながら伸びる。幹はフジと同じように太くなる。樹勢が非常に強く丈夫な花木であり、地下茎を延ばしひこばえを周囲に芽生えさせ、繁殖する。落花すると、蜜がたれ周りを湿らすほど。その蜜に、メジロが目ざとく感知して集まってくる。蜂も姿を現す。その蜜は毒性があるといわれるが、根拠のない俗説・風評である。花や樹皮は漢方薬では利尿や通経に使われる。園芸品種が複数存在し、ピンクや黄色などの花色もある。新梢に房となって花が枝元から次々に咲き、花は毎日のようにすぐに散る。花が終わった新梢をそのままにしておくと、樹の姿が乱れ、樹勢が衰えるので適切な剪定が必要。ノウゼンカズラ属はノウゼンカズラと、アメリカ合衆国南東部原産のアメリカノウゼンカズラ(C. radicans)、およびこれらの雑種C. x tagliabuana からなる。アメリカノウゼンカズラの花は中国系ノウゼンカズラより小ぶりで細長く、濃い赤橙色。送粉の仕方に特色があり、世界でもっとも小さい鳥といわれるハチドリが空中をホバリングしながら嘴を花の中にさし込んで蜜を吸う。花の形がラッパに似ていることから英語では「トランペット・フラワー」、「トランペット・ヴァイン」あるいは「トランペット・クリーパー」と呼ばれる。
◇生活する花たち「カンナ・半夏生・夾竹桃」(横浜日吉本町)